妄言読書日記
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2013年02月05日(火) 『愛』(小)

【ウラジーミル・ソローキン 訳:亀山郁夫 国書刊行会】

『ロマン』は長編だったけれどこちらは短編集。
ロマンと表題にして冒頭に載っている「愛」を読むと、ソローキンの突然の発狂という芸風にも慣れる…かと思いきや、毎回毎回いったいどこで発狂してくるのかと冒頭の普通の描写の時点からびくびくする。
わにわにパニックやってる気分。
で、突然の発狂が訪れる。
登場人物がというより、テキストの暴走。
たまに突然の暴力に驚く登場人物がいると、ソローキン小説の登場人物ならいちいち驚くな、と思ったりするくらい、登場人物たちはたんたんと狂気と暴力とその他アンモラルな行動に及ぶ。
正直、唖然とするし意味も分からない。
でも本の後ろに収録されているインタビューにも書いてあるけれど、意味や物語性というよりもテクストそのもので充分読ませられる魅力がある。

ソローキン読むと小説っていったいなんだろう、って思う。

この短編集では「愛」「弔辞」が好きです。
「真夜中の客」で斧が登場した時は、斧だーっ!とちょっとテンションあがるという。
もう『ロマン』のせいで、斧のことをまともに見れない。



蒼子 |MAILHomePage

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