妄言読書日記
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2012年05月21日(月) |
『早雲の軍配者』(小) |
【富樫倫太郎 中央公論社】
忍として有名な風魔小太郎が主人公。 この小説では北条家の軍配者ということですが。 軍配者=軍師ではないんですが(当時軍師という言葉がないとかそういう細かいことはさておき)、このシリーズでは軍師と了解してもさして間違いではないようです。 その辺の説明は作中にあるんで……。
この小説では風間党の小太郎とは別扱いみたいなので、忍の小太郎がイメージ強い身としては、性格良くて賢いけどなんか薄味の小太郎だなーという印象。
早雲にその才を見込まれて、孫の軍配者にするべく足利学校に送られる若き日の小太郎の話しなので、早雲の軍配者じゃなくて、氏康(作中だと最後の最後でようやく元服する)の軍配者じゃね?とか、そもそも最後の最後までは軍配者見習いみたいなものなので、このタイトルはなんか違うんですが、そういうことはともかく面白いことは面白かった。 戦国物なのに、学園物であり、友情物であり、青春物であり、と案外爽やかな内容。 足利学校で共に学ぶ、山本勘助と曽我冬之助たちはその後、武田、上杉に散っていくので、関東三国志的な面白さもあり。 勘助はわかるんだけど、上杉の軍師って宇佐美じゃないのかと思ったら、後の宇佐美だった。なるほど。
この若い軍配者卵たちよりも、早雲様が素敵でございました。正直。 北条家って素敵です。
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