妄言読書日記
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2003年09月18日(木) 『死者の奢り・飼育』(小)

【大江健三郎 新潮文庫】

困ったなぁ、と。
どう感想を言ったものか。
大江を読むのは初めてなのですが、はっきり言って難しい。
難解な内容でも文章でもないのですが、いやむしろわかりやすい話なのですが、高度な読解力を求められているような。
考えなしな感想は言えないなぁという感じです。

文章に慣れるのに時間がかかりました。というより最後まで慣れなかったかもしれない。
英文みたい、とでも言いますか。意味がわからん、ということじゃなくて、言い回しですよ。
村上春樹よりもそういう感じがしました。
若かりし頃の作品集だからなのか、それとも今もそういう文体なのか。

「死者の奢り」

生きている人間と話すのは、なぜこんなに困難で、思いがけない方向にしか発展しないで、しかも徒労な感じがつきまとうのだろう

吐き出された言葉の一切が無駄なような気分になることが、一日に何度かある。
そんなことを思って嫌な気分になる話。

「他人の足」

残酷な話。
題名からして“他人の”だから。

「飼育」

さらに残酷な話。
なんともなんとも・・・感想はパス。

「人間の羊」

「傍観者への嫌悪と侮蔑」ということなのですが、もっと当事者的な感情があるような。じゃあ何って言うと、上手い言葉が見つかりませんが。
この話に限ったことじゃないのですが、不吉な感じのする比喩が多いです。
「兔のセクスのような、桃色の優しく女らしい吹出物」「欠伸をして甲虫の体液のように白い涙を流した」・・
これらが出てくるたびにどんどん嫌な気分になっていくわけです。
怖い話だな。

「不意の唖」

再びパス。

「戦いの今日」

「飼育」といい、これといいどうして兄弟なんでしょうね。
あぁ、読解力が追いついてません。はい。

もう少し近年の作品に再挑戦してみようかと。いつになるかわかりませんが。
今日の感想は惨敗って感じだな・・・惨憺。



蒼子 |MAILHomePage

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