妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2003年07月04日(金) |
『断鎖 Escape』(小) |
【五條瑛 双葉社】
とてもとても不本意だが、サーシャ、かっこいいんだよ。 読み終わった時に思わず出た言葉が、「くっそ〜」だったあたり、心境は亮司と一緒なのかも。 『プラチナ・ビーズ』から更にグレードアップしたサーシャ。 これなら、巷でファンに「様」付けで呼ばれるのも仕方がない。 私はつけないぞ。
サーシャが嫌いなんじゃなく、あまりに華麗に完璧で認めたくないらしい。 でも、亮ちゃんよりは、まだ先読みは早いですよ。私は。一応、ミステリ読みだから。
エディと葉山コンビもそう思うけど、サーシャも話す時、距離が近すぎ。 どきどきするから!亮司と一緒にうろたえまくり。 サーシャのピアスが左右違う形なのか、と尋ねる亮司に、 「自分の目で確かめてみろ」 サソッテルンデスカー・・・・・。近いって言ってるだろー。レストランだってば、そこー。 亮司も素直に間近に覗き込んでる場合じゃないから。断れって。
薔薇とフェロモン撒き過ぎのサーシャ。 最後は自分で花吹雪しちゃうサーシャ。 かっこいいからってなんでも許されると思っているのか。かっこいいんだよ(どっちだ) 亮ちゃんは、薔薇とフェロモンに振り回された挙句、からめとられてしまったようです。 哀れ。もう、サーシャからは逃げられない。 ところで、車に薔薇の花束仕込んだのはサーシャ本人でしょうか。 なんだかその様子を想像するとおかしい。
葉山と亮司はどちらが哀れなんだろう、と思ってしまいます。生い立ちの複雑さは葉山かな。 エディもサーシャも溺愛の仕方が歪んでいますよ。 葉山と亮司は気が合いそうだ。
こうして感想を書こうと思うと、サーシャしか思い出せないんですが…。 亮司を落していく過程というか、やり口が女を落すそれに似ていて、「どうよ、サーシャ」と言いたくなります。 それにしても、どうして亮司がよかったんでしょうか。好み? そんな感じで葉山のこともいつか落としにかかるんでしょうか。それとも「私を倒しにこい」という心境なんでしょうか。 今回しみじみと、葉山ではサーシャを倒せないな、と実感。だいたい、葉山はエディにも勝てないし。 エディとサーシャならどちらに軍配が上がるのか。怖いもの見たさです。
読んでいる間、この頃鉱物チームは何をしているんだろう、ということが気になってました。
いい加減、サーシャのことばかり書いていてもしょうがない。 ヤクザにぼこられている亮司を二度も都合よく、いやタイミングよく助けに現れるサーシャにときめくというより、不信感でいっぱいなのは私だけですか。 腕っ節の方も問題ないらしいです。銃器も扱いますし。弱味はないのか。
だからもう、サーシャはいいってば。
革命の主役は亮司でいくんでしょうか。 五條の主役ってどうしてみんな、妙に可愛いんでしょう。 亮ちゃんも可愛かったです。悪になりきれないのが、育ちのよさを感じさせます。 それなのにサーシャにたぶらかされ・・・ホロリ。 プロポーズの言葉は 「革命を起こさないか、この国に」 素晴らしく胡散臭い言葉です。 この先、亮ちゃんがどうなっていくのか、楽しみです。
両親と仲直りできてよかったよ。本当に。
ダークホース大川先生。 私は最初から信じていなかったけれど。 でもあまりの可憐さにもういいやという気分です。 儚すぎます!先生!! 先生にやられぎみです。 そりゃ、植村も執着しますよ。先生、細いのに。華奢なのに…ああ、心配。
お岩(亮ちゃん、あだ名が酷いよ)が、かっこいいというか魅力的。 五條の女性キャラ、本当に好きです。
実は、サーシャに翻弄されまくってストーリーが頭から抜けてます。 ええとー。でもまだ、繋がっていない伏線があるような・・・。繋がっていないのは私の頭かもしれません。
一つ真面目な感想を言いますと、大川先生のような境遇は想像するのも困難だし実感もわかないのですが、奈々子や亜由は実感を伴って辛い気持ちになります。 実感を伴い具体的に想像できる心情と言うのは、せいぜいが実生活で起こりうる範囲のことなんだと思います。 だから、祖国を失うこと、餓えること、そういうことをリアルに想像することはできません。 漠然と思うことはできるけれど。
サーシャの月のピアスは祖国の国旗でしょうか。中近東の国の国旗にはよく月と星があしらわれています。 30年ほど前の世界地図と現代を比べるとなかなか面白かったですよ。サーシャはこの辺で生れたのかな、とか。 (サーシャはエディと同年代らしいです)
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