妄言読書日記
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2003年06月14日(土) 『月は幽咽のデバイス』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

月と竹のイメージなんでしょうか。この表紙。
素敵ですね。

美しい竹林と言うのは一種の憧れです。地元にないから。

さて。
大掛かりな密室でありました。
あ、ネタバレします。いいですか?
解説者が殺人であると言う固定観念、先入観からラストに衝撃を受けた、と言ってはいますが、殺人じゃないというはなんとなく雰囲気でわかるかと。
雰囲気と言う曖昧なものじゃなく、まあ、伏線が無かったという言い方でもいいですが。
密室ネタは犯人がいるのかいないのか、という二択についてまず考えるものだと思います。

そうは言ってもね、部屋ごと動くとは思いませんでしたが。
警察の力でもいずれは解けたであろう事件だったな、という気がしますよ。

相変わらず、紅子と七夏の仲が険悪で怖いですー。
林さんも凄いですよね。この二人と付き合っている(いた?)んだから。やっぱりどこかが鈍いのかもしれません。

新しく阿漕荘に加わった森川くん。なんだか好きです。活躍しそうな気配は今のところ見られませんが。

紅子さんと保呂草さんの微妙な仲も楽しいです。
「貴方はね、私の飲んだお酒のお代を支払う。そのために地球にいるの。それを忘れないでほしい」
紅子サンだからこそ言えるってものですね。羨ましい。

結局プレジョンの意味はなんだったんですか・・・・。

どんどん保呂草さんは曲者になっていきますね。素敵ですが。
そしてその曲者の記述形式というのがまた、このシリーを曲者にしていると思います。
最後一行、
「もう少し、生きてみようと思う」
意味深長ですが、意外と意味は無いのかもしれないし、何かの伏線なのかもしれないし。
森作品はどこまでが伏線か分らないところが難解です。

ミステリーのシリーズ物で、完結するというのは本当はとても珍しい。
森ミステリはシリーズとしての一つの流れと謎をもっているから完結させることもできるんでしょうね。



蒼子 |MAILHomePage

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