妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2003年03月10日(月) |
『三国志1 天狼の星』(小) |
【北方謙三 ハルキ文庫】
先日の宣言通り、北方です。 百人いれば百通りの三国志があるものだと、しみじみ思いましたよ。
予想したとおり、北方だなーっという感じです。 ハードボイルド三国志。 吉川と比べてスマートな文章に、クールながらも熱いものを内に秘めた男たち。 雨の中、コートの襟立てて、煙草吸いつつ街角に立っていそうです。 (イメージが安直過ぎますよ)
ハードボイルド劉備です。かっこいいです。 温厚篤実ではなく、時々我を忘れてかっと激情を発してしまいそうになる劉備。 督郵を殴りつける劉備なんて、なかなか。実は張飛よりも手が早い。 それを、カバーする為に、ことさら暴れてみせる張飛。 目新しい。 義弟二人の役割が、きっちりしています。 桃苑の誓いがないという、珍しい三国志です。 それについては、この間北方氏が雑誌で答えていました。 吉川では。桃苑のシーンが実は一番不思議でならなかった。なんでいきなり、そんな誓いを立てられるのかな、と。 蒼天でもなかったから、やはりみんなあの場面は不思議だったのかもしれません。
やっぱ、張飛は可愛いなーと。 趙雲も可愛いです。
そして、曹操。 ようやく、宦官の家で育ったことをコンプレックスに持つ、曹操です。 吉川もましてや、蒼天もそこのところは書かれていなかった。 なんだか繊細です。 それでもまた、素敵です(曹操ならなんでもいいのか)。 この曹操様が、感情表現の激しい殿になられるというのが、ちょっと想像できません。将来そうなるのかな。 そして、子どもの頃不良少年だったいう風にも見えません。とかく、繊細っぽい。 もっとふてぶてしいのが好きなんですが。
何より、冷静沈着な夏候惇。 これでは、惇兄なんて呼べません。かっこいいです。かっこいいんですが、惇兄に関してはもう蒼天でイメージが固定されております。 激している惇兄が好きです。 孟徳!!と怒鳴っているのが良いです。 この惇兄、とても目玉を食べそうにもありません。 穏やかに微笑んでます。博望坡で大敗しそうにもありません。
孫堅、かっこいいです。 ふてぶてしいです。これは蒼天のイメージと近いかもしれません。 しかし、一巻にして退場・・・。ああ、このペースでは策の退場も早そうだ。 周瑜がもう出てまいりました。 えへ。なかなか良さそうで、まずは安心。 とにかく呉の扱いが、三国志ではキーだと思うのです。 あとは劉備の設定。
特筆すべきはは呂布です。 馬が友だち呂布(違うから) ハードボイルドが良く似合う呂布。 とても妻を愛しているというのがまず珍しい。 チョウ蝉が出てこないから、というのもあるのかもしれませんが。 チョウ蝉は創作の人物である、ということらしいので出てこなくても不思議は無い。
しかし、どうしても呂布は真三國無双の呂布でイメージしてしまうのね。映像が。
さて、これからあの人やこの人が北方にどう書かれるのか、あのシーンはどうするのかが楽しみです。
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