妄言読書日記
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2002年03月31日(日) 『地球儀のスライス』(小)

【森博嗣 講談社文庫】


二冊目の短編集ですな。私が読んだ中でですよ。なにしろ、お金がないので文庫化したものしか読んでないのです。
解説者が冨樫義博氏で驚きました。
H×H描かないで、こんなとこでなにしとるか。
しかし、見ず知らずの解説者がとうとうと語っているより、ずっとよい。よい解説だったと思いますよ。

て、いきなり解説から感想述べるのもどうでしょうか。
冨樫氏流に言いますと、私のお薦めは「小鳥の恩返し」「石塔の屋根飾り」「河童」ですな。
冨樫氏とほとんど同じだわ。

「小鳥の恩返し」
なんかいいです。
「ついこの間まで小鳥だったんですよ」
なんだかいいです。

「片方のピアス」
双子ネタは、このオチにならざるをえないのでしょうな。
どっちが生き残ったのか?
柳田有里の『禁断のカノン』とか。
例がマイナー過ぎました。失礼。

「素敵な日記」
どうだろか。
日記が実はロボットだったということ?
でも革製だと。
口述式だと言っていたが、書くのは苦手と言っていた奴もいる。
いまいちうまく想像が働きませんでした。

「僕に似た人」
駄目。
全然よくわからなかった。
どなたか私に解説してください。

「石塔の屋根飾り」
まず、萌絵ちゃん犀川先生の話しが、こうしてシリーズが終わったあとでも普通に読めるのが嬉しい。
珍しく、酒を飲んで赤くなる犀川先生が拝めたのが嬉しい。
で、諏訪野が美味しい。最後の一言で、もうお気に入り。思わず、くすりと笑っちゃう。なーんだ、やられたって。
ミステリーは人死にでなくてもいいというよい例。

「マン島の蒸気鉄道」
萌絵ちゃんに引っ張りまわされる犀川先生が拝めて嬉しい(前述にも同じようなこと言ってるし)
萌絵ちゃんかわいい。
喜多先生と大御坊さんのコンビおかしくて好き。
列車のクイズわかりましたでしょうか?私、まだわかっておりません・・。
このシリーズって(いや森作品全般か?)、登場人物の知的レヴェルが高くて時々追いつけないのが辛いです。
ここでも、諏訪野氏美味しいとこどり。
犀川先生も美味しいとこどり。素敵。

「有限要素魔法」
よくわからん。
もう二、三度読み返してなんとなくわかるかも。

「河童」
まずタイトルにびっくり。だって、こんなタイトル森さんらしくないでしょう。
名詞のみのタイトル自体ないような。
しかも、河童。妖怪ですよ。森さんが。
内容は、おそらく理解してもらえないとは思うのですが、何故だか夏目漱石の『こころ』を連想しました。
私は、最後の段落はなくてもいいな、と思いました。
雰囲気が好き。

「気さくなお人形、19歳」
次のシリーズのキャラですな。
話しには聞いていた、小鳥遊くんの一人称は、時々カチンときました。
なんか、ムカツクぜ。
森キャラで、腹が立つことってなかったんですけどね。一人称だったからいけないのでしょう。

「僕は秋子に借りがある」
一晩歩き通せるだろう、ナマケモノの私はあまり主人公に共感しませんな。
秋子に、だからお前なにしたかったのよ、と思ってしまう。
どうも私は、情緒がなくていけません。
感傷をあまり理解しないのもいけません。


短編集は『夏のレプリカ』の方が好きかも。



蒼子 |MAILHomePage

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