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2010年04月19日(月) ■ |
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生きていくおまえ(9) |
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その道の専門家というのは、それが八百屋のおばちゃんであっても やはりたいしたものだ。 毎々日、時間帯によってさえ変動する野菜ごとの値段、それらを すぐさまアタマに叩き込む、黒いごつごつとした指でレジを打つ。計算をする。 店先から「いまから大根50円です」「いまから小松菜70円!」と声が聞こえれば すぐさまそれに対応できる。バーコードなど使わない。プロフェッショナルに狂いはない。
先週、買い物に行ったときは お釣りが60円足りなかった。 しかし、わたくしとしてもいちいち おばちゃんに文句を言ったりはしないのである。 先々週には100円ほどお釣りを多く 受け取っていたから。 昨日はその100円をお返しすることになったし 今日は50円が正しく戻ってこなかった。
にんじんいくらきゃべつがいくら…。 はい、ありがとさん。
けれども次行ったときは、きっと またお釣りを多く渡してくれちゃうのだろう。 夕暮れ。夕暮れ。 小銭ちゃらちゃら。 おばちゃんとの 無言の貸し借りは続きます。
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