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| 2007年12月03日(月) ■ |
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| 近所のふたり |
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ぼくと彼女との関係はあくまで対等ニャのだ どちらの心を奪おうともしないし しくじって奪われたりもしない そのくせ一応一定の関心は持ち寄って たがいの周囲をうろつきあう 名前も年齢も知らないどうしのくせに 近所に住んでるんだもの、理由はそのくらいよ ってなかんじ
彼女が首の鈴と長い爪を鳴らして ぼくの部屋にやってきたとしても 甘えた声なんて聴かせやしない 勝手に箪笥にもぐったりソファーでくつろいだり 洗濯物に頭を突っ込んだりして 退屈すると帰っていく
近所を歩くたびに彼女の真白い姿を見かけるけれど こちらを一瞥するだけであとはしゃなりと知らんぷり ひとはひとりでいると大抵それだけのことで 寂しそうに見えてしまうのに 彼女はただ颯爽としているだけだ それだけで音楽みたいなんだ
いちどだけ豆煎餅の匂いをさせたまま 家のまえで彼女と出くわしたことがあって そのときはカラダをすりつけて甘えられてしまったけれど それは本能だったからしょうがない よっぽどおなかが空いてたのかもしれないよ ぼくはガッカリするよりも なにもなかったことにした 彼女もじぶんをひどく恥じたに違いない そのあとしばらく姿を見せなかったもの
と、ここまで書いてディスプレイを眺めていたところへ ひさしぶりに彼女が部屋のなかへ 網戸を勝手にガラガラ空けてはいってきた
-調子はどう?
ん。ぼちぼち。
-今日はニャにを書いてるの? あ。隠さなくてもいいわ。興味なんて、ニャいもの。
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