冒険記録日誌
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2011年06月20日(月) ゲームブックが定着する方法

 ゲームブックの情報メルマガ“ゲーマニ”がなくなってから、最近、私の唯一のゲームブック情報源となっているMANATさんのところの情報ですが、去年発売されたゲームブックの続編「バニラのお菓子配達便!」の続編がこの夏に出るそうです。
 タイトルは「スイーツ女王と秘密のドレス」だそうで、総土社以外の出版社でも単発企画のようにゲームブックが発売されたことは割とありますが、続編が出るのは珍しいですね。ボビージャパンから発売された「サムライ・ソード」以来の出来事ではないでしょうか。

 私は以前に、今の時代だと、どんなゲームブックなら売れるのだろうか、と考えたことがあります。
 なにせゲームブックがブームだった時代は、海外作品はTRPGのソロゲーム、日本作品は当時はまだ高価だったTVゲームの簡易版、という位置づけのゲームブックが大半だったから、今ではどっちも需要ないかなと考えざるえないわけです。
 どうやって売るか。以前にこのHPのコーナー「エロゲームブックを語ろう」でエロをメインにすれば売れる!と力説したことがありますが、まさかのクイーンズブレイドのヒットに驚きました。
 元々、エロゲがゲームブック的なシステムを使っているしな、くらいの感覚があっただけで、クイーンズブレイドのようなイラストをメインにする手法にはまったく気付かなかったので、企画した人に感心します。
 しかし試しに買ってみましたが、う〜む、やはりエロ本ですね。試しに無理矢理、相手を見つけて対戦とかも少しやってみましたが、どんな理屈をこねようがゲームブックというより、趣向の変わったイラスト集として売れているとしか思えません。
 やっぱりゲームブックそのもののPRにはならないのかなぁ。試しにファングッズの一つとして、普通のゲームブック形式のクイーンズブレイド作品を出せばいいのに。

 次に考えたのは、ブームにのっかる形です。ブーム当時も人気ファミコンソフトや映画に便乗した作品がよく売れていたわけですから、今だったらライトノベル的なゲームブックを作るべきかなと。
 というわけで、ボビージャパンのFFは、単に復刊した扶桑社のFFよりは頑張った気もするのですが、元々FFで萌えようというのが、無理があるわけで、やはり無理矢理なアレンジになってしまいましたね。
 個人的には「ハウス・オブ・ヘル」は大好きなんで、クイーンズブレイドより、こっちを企画した方に感謝したいですが、「サムライ・ソード」の路線で定着したらどうしようかという心配もしなくもなかったですが、そんな楽しい展開にもならず続編が途絶えているのが残念です。(ゲームブックというより、ライトノベルレーベルで海外作品を出すこと自体が、どの出版社も停滞しているので、予算とかいろいろ他の都合もあるのかも。とりあえずルルル文庫さんは、エノーラ・ホームズの最終巻を翻訳してください)
 やっぱり普通に日本人のライトノベル作家に、オリジナル作品を書かせればいいのにと思うわけですが、その方向でもう一回企画してくれないかな。
 もっともオリジナルとなるとライトノベルなゲームブックだけでなく、より質の良さが求められるわけで、そんな難しい注文をこなせる腕の良い人が、わざわざ手間のかかる割に売りにくいゲームブックを書いてくれるかどうかが難しいところですが。

 最後に考えたのは、簡易なルールで、児童向けゲームブックを作るという方法です。これは去年にも何度か子どもたちの前で、短編ゲームブックの読み聞かせをしたときから、考えていました。
 ただ、この路線が商売になるかはわからないので、現状で出す出版社もあるまい、とも思っていたので、ほどなく「バニラのお菓子配達便!」が発売され、それに続編の情報ですから、これが嬉しくないはずはありません。小さい芽ですが、育っていって欲しいものです。

 大ヒットなんてしなくてもいいので、ゲームブックが生き残っていくといいですね。


2011年06月19日(日) マイ・ベスト・ゲームブック?

 実は7月に引っ越しをする予定です。
 この機会にようやくネット環境が自宅に導入されるわけで、そうすればもう少しは、ここも更新できるはずなんですがどうなるやら。

 ところで引っ越し準備で最も困っているのが、新居のスペースの都合により、現在3つ使っている本棚のうち1つしか持っていけない、ということです。
 幸い残りの本棚は実家に置いておけるので、本を捨てる必要はないのですが、それでも手元に置ける本が減るのは非常に残念。
 子どもの頃は大量の本を買うことが贅沢でしたが、大人になると大量の本を置くということの方が、それだけ広い居住空間に住む必要があるということで、これも一種の贅沢なんだな、と実感するようになりましたね。

 とりあえず、唯一持っていける本棚は、所有する3つの中で一番お気に入りの、刑務所製の頑丈ででかい本棚にします。さらにホームセンターで板を切って、棚板を制作して収納能力を増強しました。(もっとも棚板を増やすと、文庫本サイズの本が沢山入るようになる分、絵本や四コマ漫画本などの大型本を入れるスペースがなくなるので一長一短ですが)
 その本棚の中に、ゲームブックとその他の本を半々のスペースに収納することにします。
 一般本を入れる棚は何度も読みかえすことのある本を中心に残し、今後も本を買っていくつもりなのでスペースに余裕を持たせます。これは漫画本や2年前のマイブームで買ったライトノベルの多くを除けることで、なんとか入りました。

 次にゲームブック。これは難しい問題なのです。
 ゲームブックはどの作品もそうそう読み返すものじゃないので、愛着の問題になってしまいます。ずらっと並んだ背表紙を眺めて安心するというか、コレクター的な感覚になるのかもしれません。
 これは散々悩みましたが、基本的には出版社別にゲームブックを整理しました。
 まずは創元推理文庫の全てと、社会思想社のT&T系を除く作品と、双葉文庫の7割くらいの作品は持っていきます。これは自分にとってゲームブックの原点ですから、この3社は外せません。
 次に富士見、二見書房、ボビージャパンも、なるべく持って行くことにしました。もちろん近年出版されたラノベFFもボビージャパン枠に入ってます。
 最後にその他の出版社から、鳥井加南子の悪夢シリーズ、騎士と魔法使いシリーズ、ハーレクイーンゲームブックシリーズのような、名作だったりネタだったりでお気に入りな作品群と、ファミ通文庫やエニックス文庫の一部などこれから読むつもりの作品を持っていきます。
 後は、西東社は“さいとうたかを”作品だけとか、朝日ソノラマはシリーズ後半だけとか、桐原書店は飛びぬけて変な作品だけとかそんな感じで抜いて持っていくリストに加えました。
 ハヤカワ文庫や講談社のシリーズなど、さほど好みでない作品は置いていきます。JICC出版局と勁文社もそうなのですが、これは食わず嫌いに近いので未読の数作品は抜いていくか。
 最後に雑誌ウォーロックと創土社作品は、かなり悩みましたが置いていくことにしました。内容の問題というよりは、サイズが大きいのでスペースがとりにくいのが一番の原因です。処分するわけではないので、読みたくなったら1・2冊ずつ持ってくればいいということで割り切ります。
 これで図らずも暫定的なマイ・ベスト・ゲームブック集が完成したことになりますね。

 ゲーム機やDVD類は全て実家に置いていくので、インドアの娯楽は本当にこの本棚だけになってしまいます。
 量こそさみしくなりますが、その分自分の趣味が濃縮された本棚になったと考えれば、悪くないのかもしれません。
 そういえば今年は全国的に節電と言われているわけですし、ゲームブックはその意味で理想的にエコな一人遊びなのですよね。引っ越しが完了したら、ルールの凝ったタイプのゲームブックなんかにも久しぶりに挑戦してみたいと思います。


2011年06月12日(日) 宇宙植民地を救え!(影山貴市/朝日ソノラマ)

 タイトルにはフリガナが振ってあって、宇宙植民地は「スペース・コロニー」と読むそうです。タイトルでわかるとおりのSF作品で、まだジュブナイルと呼ばれていた頃の、児童書っぽいSFを連想させる内容です。

 ストーリーは怪物退治でも宝探しでもなく、ノームという人間を含めて3種族が住む惑星を舞台に、戦争を起こそうとしているモルゴス人に対して、主人公が人間代表の交渉団の一人として説得に向かうというもの。
 とはいえゲーム開始早々に、すぐに交渉団の宇宙船が謎の攻撃で破壊され、主人公は唯一生き残った調整官となってしまいます。脱出艇も荒野に不時着してしまい、危険な生物が徘徊する世界を、好戦的なモルゴス人や交渉を妨害しようとする人間の犯罪者達の攻撃を掻い潜りながら、交渉手段を探していくという、結局サバイバル冒険ものになってしまいました。
 現地案内人として宇宙船に同乗していた女の子アリサも運よく生き残っていて、一緒に旅してくれるのも、ゲームブックとしてはともかく小説としてはお約束。
 荒野で遭遇するモルゴス人は、まるで北斗の拳のモヒカン雑魚みたいに、暴れまわるだけで話しが通じません。しかも、主人公は兵士ではなく単なる調整官であり、戦闘力が皆無なのです。汚物扱いされて火炎放射器で消毒されないように、とにかく逃げるしかありません。
 一緒に旅するアリサにもよく馬鹿にされて主人公の立場が低い気が。いや、これは気の強いヒロインが好きな人には逆にいいのかもしれないけど。

 所持品や能力値の管理が必要なく、サイコロのような乱数も使用しません。基本的には分岐小説タイプのゲームブックですのでサクサク進みます。
選択ミスをすると即バッドエンドという展開も中にはありますが、理不尽なほどでもありません。なぜなら、主人公は未熟な予知能力が備わっているので、選択肢の先に対してヒントが与えられるようになっているからです。これにはサイコミンという錠剤を使う必要があり、体への悪影響なども考えて3錠しか携帯していないという設定になっています。つまり、ヒントを使う機会は3回まで。使えば一種の白昼夢を見ることで、選択肢の先をみる事ができます。
 しかし、あくまでも予知夢なので、中には漠然としすぎてヒントがわからないこともあるので過信は禁物。それにクライマックスで予知夢が必須な展開もあるので、無駄使いは厳禁です。この辺の兼ね合いは考えないといけないので、一見したところ単純分岐小説タイプのゲームブックながらゲーム的な面白さを残した良いシステムだと思います。

 一通りクリアしての雑感としていうと、このタイプの作品では良作の部類に入ると思います。
 さらに、もしこれからプレイしようと考えている人は次に書くことは、あまり見ない方がいいかもしれません。ゲームのおおまかなルートは3種類ありますが、普通の意味でのハッピーエンドにつながるルートは自分的には一つです。
 温厚なアムネシア人に頼りすぎると、任務こそ達成できてグットエンドにはなるけど、主人公自身の犠牲が大きすぎるのですよねぇ。
 もう一つのルートは、序盤のポカで任務失敗が確定したパターンで、うまく進めても生きて帰ることができるのが精一杯という内容だしな。

 最後にインパクトがあったので一言。ヒュドラ虫にやられたときのバッドエンドはゲームブック史上、一・二を争うえぐさです。このパラグラフのイラストがなくて本当によかった。


山口プリン |HomePage

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