冒険記録日誌
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2011年05月29日(日) ドラゴンクエストIV (エニックス文庫)

(昔、mixiに書いた日記を修正したものです)

 初挑戦のゲームブック、エニックス文庫のドラクエIVをクリアしました!普通のゲームブックの感想を描くのは久しぶりだ!
 原作は説明の必要がないほど有名なドラゴンクストシリーズの4作目。勇者の登場が中盤以降で、最初はトルネコとかアリーナ姫といった、後に仲間となるキャラクターが章仕立てで登場するという、結構特徴的な話でしたね。
 原作ドラクエIVについては、ファミコン版は未プレイで、リメイクされたDS版で遊んでました。が、4章の途中で飽きて中断したままです。
 やっぱ自分にとってRPGは、ウィザードリィみたいに、厳しめの戦闘バランスとある程度のゲーム進行の自由があるタイプが好みみたい。そのへん、ドラクエではIIが一番好きだったなぁ。

 さて、ゲームブック版ですが、全4巻にわたる結構な大作です。
 1巻には戦士ライアンとおてんばアリーナ姫と2つの冒険が収録。2巻は商人トルネコと踊り子と占い師の姉妹の2つの冒険。3巻からは勇者が主人公になり、全ての仲間と合流してバルザックを退治するまで。4巻でエピローグまでといった流れでして、なかなかよい配分に感じました。
 原作とのストーリーの差異ですが、あくまで原作を途中までしか遊んでない自分の感想でいいますと、元々のエピソードをなるべく削らずに収録し、ゲームブックオリジナルの話しもあまりなく、忠実に原作を再現している印象を受けました。ただ最後の結末については、ファミコン版とリメイク版は違う、と聞いたことがあるので、ゲームブック版はどっち側に近いのかはちょっとわかりません。
 世界観の再現という面で考えれば、ゲームブックという媒体を生かして、原作より雰囲気を深く表現することに成功しているのではないでしょうか。
 トルネコは基本的に戦闘には加わらずに交渉での活躍になってるし、ライアンがパーティ一行の中で頼りがいがある存在として描かれているし、マーニャは主人公の勇者をからかったりアリーナと喧嘩したりと忙しいし、などなど仲間のキャラが元々個性的なので、遊んでいてライトノベルを読んでいるような楽しさがあります。
 ご都合主義な展開も多々あるのですが、それはまあ、原作がそうだからしょうがないか。
 それにしても特筆すべきは3巻から登場する勇者。まだ世間知らずの少年というキャラ設定だからかもしれませんが、仲間ができるまで「僕は伝説の勇者で、運命の仲間を探しているのです」などと言いながら、町で聞き込みを続ける序盤はどうなんでしょう。今なら中二病患者丸出しといわれそうな痛い姿で、ちょっとニヤついてしまいました。

 次に問題点なんですが、秀逸な物語性に比べ、この作品はゲーム部分がかなり弱い感じです。
 なぜならゲームオーバーという概念がないうえ、最終結末は一つなのです。どんな選択肢を選んでいって違う展開にしていっても最終的には上手くいくし、戦闘ではどんなに苦戦しようが必ず魔物に勝ててしまうし、ということでゲームとしての緊張感がないのが、ゲームとして致命傷です。
 後半の巻ではボス戦など極一部の戦闘で、パーティが全滅する可能性はありますが、そのときは謎の龍の言葉とともに少し前のシーンに戻されるだけなので、簡単であることには変わりません。
 コンピュータRPGのゲーム性を忠実に再現しようとして、すごろく上のマップを歩いてはマメに戦闘を繰り返すゲームブック版ドラクエI(エニックス文庫版)もかなり疲れたのですが、これはこれで物足りないですな。
 ただ、サイコロを振らずに戦闘は全て勝ったことにしたり、ゲームオーバーになっても最初からやり直さず一つ前に戻るだけとか、元々ゲーム性を重視しないタイプのプレイヤーにはピッタリかも。
 自分的には、せっかくフラグチェックや経験値やアイテムを書き込むルールで作っているのだから、もう少しいじって、ゲーム的にも遊べるものにしてほしかった思うのですが。

 総じていえば、一度クリアしてしまえばもう十分という感じの作品ですが、一読の限りなら結構遊べます。
 ドラクエIVがどんな話しだったか気になる。だけど、今更ゲーム機で長時間をかけて遊ぶのも面倒くさいが、小説版を読むのもピンと来なくてやっぱゲーム気分で遊びたいし。なんてわがままな人にオススメです。


2011年05月16日(月) LOVEハンティング(作・本間正夫、画・ほしのちあき/大都社)

 シュミレーションゲームブック特集をしているわけではありませんが、続いては恋愛シュミレーションゲーム「LOVEハンティング」を紹介します。

 漫画で進行するゲームブックということもあり、ルールはたいしてなく、単純な分岐小説タイプの作品です。
 キャラ紹介では、恋愛対象となる6人の女の子がイラストと名前とともに登場していますが、データは血液型と星座しかありません。性格などはゲーム中にさぐっていくという趣旨でしょうか。
 一応、自分が遊んでみた印象で、あえて女の子をタイプ別に分けると、ヤンキーっぽいタイプ、内気なタイプ、知的で物静かなタイプ、お嬢様タイプ、彼氏持ちの年上OL、メンクイギャルというところかな。
 一方、主人公の設定は何も書かれておらず、ゲーム中も大学や職場や近所など、生活に密着した場所は一切登場しませんので、背景設定はないようです。
 強いて言えば、就職している様子もなく、伯父さんの車を借りてドライブする展開があるあたり、おそらく大学生の男子と思います。性格は彼女を作ることを目指して、無理にソフトちゃら男を演じているような感じ。

 ゲームは、友人に彼女ができたのを目撃した主人公が、俺も彼女を作るぞ!と決心するところからスタートします。
 まずはナンパする場所探しからというわけで、映画館、電車の中、喫茶店、街頭、クルマを使うのどれかを選んで移動し、めぼしい女の子を見つけようとします。個人的には大学のサークルあたりとかで、身近な女の子を狙ってもいい気もしますが、この作品ではあくまでナンパにこだわるようです。
 道を歩いている女の子に後ろから声をかけるか?前に出て声をかけるか?とか、知り合ったばかりの女の子と喫茶店に来たときは、カウンター席に横並びで座るか?テーブル席で向かい合って座るか?というような、恋愛ノウハウクイズみたいな選択肢が続きます。間違えると女の子と気まずくなって、違う女の子を探しにゲームの最初からやりなおしです。
 たいしてパラグラフ数も多くないのに女の子が6人もいるので、一回のストーリーが短く、ゲーム終了まで5分もかかりません。
 それにしても公衆電話で困っている女の子に10円玉を差し出すとか、時代を感じさせる引っかけ方法も多いですなぁ。まあ、これは発売当初から20年はたっているから無理もないか。

 最初にプレイしたときの結末ですが、喫茶店で目的の女の子といい感じになったところで、唐突に「彼女の星座は○○だ。さて、君との相性は?」と、女の子とプレイヤーの星座による相性占いが始まりました。
 結果は相性が悪く、女の子が「なんだ相性が悪いのね」とガッカリ。するとこれまた唐突にソファーの後ろから、その娘の女友達が「じゃあ、私との相性はどうかしら」と初登場し、こっちとは星座占いの相性が良かったので、その女友達と恋人になるという、唐突続きのエンディング。
 他にも女の子に贈るプレゼントの正解が相手の血液型によって違う(ハンカチなど実用品を喜ぶのはO型とか)とか、占い要素が随所に入っているのは、男性向け恋愛シュミレーションゲームとしてどうなのでしょうか。巻末には、「こんな女とはつきあってはいけない」とか、「女とのきれいな別れ方」など、ナンパ向けなことを書いているのに、占いで相性がピッタリだとか言われても、全体の整合性が感じられない気もするなぁ。

 OLを電話でデートに誘うタイミングは昼休みか退社前なのかという選択肢も、職場や女の子の性格によって本当は違うしな。この色の服を着ている女はこんな性格だとか書いているけど、年中同じ色の服を着ているわけでもないだろうに。などと考えはじめると、果たして本当に恋愛シュミレーションとして参考になったのかと、発売当時に読んでいたとしても甚だ疑問な気がします。「女とのきれいな別れ方」については、裏を返して「こんな男は女の子とうまくいかない」と読めば反面教師的に参考になるかもしれませんがね。

 ここまで書いて読み返すと文句ばっかりな感想になってしまいました。
 でも私的には嫌味な雰囲気もなかったし、そんなに嫌いな作品じゃないです。うまく行った時のエンディングで主人公の興奮を隠してる表情がなんとも正直でいい感じ。今までもててなかったんだもんね。気持ちはわかるよ。
 オススメとは言いませんが、漫画形式だし軽ーいノリで気軽に遊べるゲームとして、割り切って楽しめばいい作品だと思いますよ。


2011年05月09日(月) RPGドラえもん(三谷幸広他/小学館)

 あの藤子・F・不二雄のドラえもんの世界を味わえるシュミレーションゲームが登場です!
 ってほど大げさなものではなく、ただ単純にドラえもんの漫画が分岐式で収録されているだけの本です。
 どの選択肢を選んでも必ず最後まで到着するのでゲームとしては非常に簡単。肩の力を抜いて普通のドラえもんを読む感じで楽しめばいいんじゃないでしょうか。今の子どもにも十分オススメできます。

 全部で5話用意されているのでボリュームはそこそこ。一つの冒険が1ページ1パラグラフで、25パラグラフ分となっております。
 第一話が、ドラえもんが錯乱したのでのび太たちが原因をつきとめたり何とかしようとする話し。第二話がドラえもんが出した未来のゲームブックの中に入ってシズカ姫を救出しようとする話し(これは、原作でも似た話があったなぁ)。第三話はスモールライトで小さくなった状態で風に飛ばされたジャイアンを探しに行く話し。第四話はロンドンで行方不明になったスネ夫を捜索する話し。最後の第五話はのび太0点の答案をめぐって、どらみちゃんと謎の悪人が登場するタイムトラベルの話し。
 藤子・F・不二雄本人が書いたわけじゃないせいか、原作とちょっと雰囲気が違うところもありますが、まあ、それを言い出すと、今のアニメ版なんてもっと雰囲気が違いますし、私的には許容範囲内でした。
 
 余談ですが、この本と同じ出版社とスタッフが書いたもので、学習教材っぽい要素を加えたドラえもんの漫画ゲームブックがシリーズ化されています。
 あっちは今でも図書館の児童コーナーに置いてあることがありますので、興味が沸いたら借りてみてください。私も一冊だけ「ドラえもん 21世紀宇宙大冒険」(2002年07月05日の日記参照)を読んだことがあります。内容は少しぶっとんでましたけどね……。

 あと、他のサイトではこの作品はゲーム性がないように書かれていますが、一応選択肢にはうまくいく展開と失敗する展開があって、良い選択肢を選んでいけば、より少ないパラグラフ数でエンディングを迎えることができるような構造になっています。最短クリアを目標に遊んでみるのもいいでしょう。
 本の最後の方にイラストでパラグラフのフローチャートまで書かれているのでとっても親切ですよ。


2011年05月07日(土) 拓植久慶のランサン作戦(拓植久慶/日経企画出版社)

 ベトナム戦争を題材にした戦争シュミレーションゲームブックです。
 けっこう大判で四コマ漫画のコミックと同じサイズの本で、パラグラフ数は全部で221あります。昔遊んだ、「オペレーションコニー グリーンベレー特殊作戦」(2002年08月03日の日記参照)に似ていますが、それの強化版みたいな印象。

 さて、筆者の名前がタイトルになっているあたり、おそらく拓植久慶氏はミリタリー関係の有名人と思われるのですが、そっち方面に疎い私には、どんな人か知らないのでありがたみがイマイチわからないです。
 本の著者紹介欄によると、軍事ジャーナリスト兼作家だそうで、大学時代の夏休みに外国人傭兵としてコンゴ動乱に参加した経験があるとか。文字通りひと夏の危ないアルバイトだなぁ。

 本をひらくとルール説明の前に、4ページの漫画で拓植久慶本人が登場しての解説があります。どっかの応接間で椅子にくつろぎワインなんか飲みながらなのでキザというか、方言で言うと、ええかっこしーな感じです。
 続いてルール説明ですが、トランプひと組を指定の方法で4山に分けたものと、サイコロ4個というちょっと面倒な準備を求められました。これはメンドイ。能力値のような数値管理はいっさいないので、その気になれば、もっと手軽に遊べるゲームにできたと思うのですが。
 次に登場人物紹介。主人公であるイエロー大尉を始めミッションを行う小隊のメンバー13名が紹介されています。
 年齢、体重、小隊での役割、簡単な経歴と習得している語学が書かれていますが、名前はブラック曹長だのグリーン二等軍曹だの適当に色の名前になってました。部隊の名前はないので、レッドリボン軍と勝手に呼ぶことにします。
 そして作戦会議ということで、ミッション説明のシーンがありまして、これがプロローグとなるのかな。
 今回のミッションの内容は、敵の本拠地に潜入して、弾薬庫を爆破すること。そして反撃してくる敵陣の中から脱出して、無事生還することです。
 次に小隊が所有する武器や爆薬の解説、各自が持っている野戦服まで含めた装備品の解説。これが14ページにわたる力の入った解説で、装備品の重量から、なぜこの装備が必要なのかまで細かく書いています。
 ルールでは所持品のチェックは必要ないので、ゲームプレイそのものには装備品のページは無関係ですが、純粋に豆知識として紹介しているのでしょう。とはいえ、単純に「一人40キロ近い荷物を背負ってのジャングルでの強行軍」と書かれるより、ゲーム中のリアリティーが増す効果はあります。
 最後にミッション開始直前の作戦会議として、部下も含めたミーティングが始まり、最初の選択肢として5つ考えられたルートのうちどれを選ぶかから、やっとゲーム開始です。

 基本的に用心深い行動を選択していけばいいのかなと、進めていくのですが、そんなに単純にはいかないようで、何度も絶滅しました。
 落ちているものを拾うか?のような時間とは関係のない選択肢なら、安全重視でよかったのですが、大抵は安全策を選ぶと、道を迂回するなどの行動になるので、それだけ時間と隊員の疲労が蓄積されるらしく、ゲーム中の主人公があせり始めて、悪い状況になるようです。とはいえ、楽天的な行動は敵兵に見つかってしまうのでこの兼ね合いが難しいところ。
 各隊員の個性はあまりなく、若干25歳でやや軽率な行動がみられる副隊長のブラウン中尉と、一番経験豊かなブラック曹長、それと現地案内人のカーキ少佐以外はまったく印象に残っていませんが、休息の指示をすると、火のついたタバコで体に吸いついたヒルを落としたり、レーション(食料)を食べたりし始める隊員たちが、生生しくて好きですね。
 ゲームは作戦ルートが多いので自由度がありそうですが、実際はシビアで、間違った選択肢を選ぶとすぐにゲームオーバーになります。
 現実的なシュミレーションゲームだからか、戦闘での死亡率が高く、一応は隊員が死んでも主人公さえ生きていれば大丈夫とはなっていますが、ほとんどは戦闘突入した事態でゲームオーバーが確定するので、敵に発見される=絶滅の覚悟で戦闘を避けることが必要です。
 武器庫を破壊してからの終盤の脱出も厳しかったのですが、それよりもミッション達成のエンディングシーンがなきに等しいくらいあっさりしているのが残念。

 感想としては、先日の日記に書いたダービースタリオンのゲームブックが、競馬のリアリティより遊びを重視したシュミレーションゲームだとすると、こっちは現実的なシュミレーションをゲームブック形式にしたという感じ。
 ゲームブックファンというより、ミリタリーマニア向けの本と思って楽しんだ方がいいのかもしれません。


2011年05月05日(木) ミッドウェー大空海戦(鈴木巌/新星出版社)

 太平洋戦争の戦局を決定づけたといわれるミッドウェー海戦をシュミレーションしたゲームブックです。
 これを遊んだのは、ミリタリーマニアの友人が、ミッドウェー海戦を扱った面白い本があると紹介してくれたのがキッカケです。
 元々この作品の存在自体は知っていましたが、新星出版社の他のゲームブックがイマイチだった記憶があること。某西東社にもミッドウェー海戦のゲームブックがあって、そちらのゲーム性がアミダクジレベル(本当に大半の選択肢がアミダクジなどで分岐するので、プレイヤーが考える余地がない)だったこと。そんな理由でなんとなく期待できないと思って読んでいなかったのです。
 しかし、めずらしくゲームブックと無縁の友人が進める本だからと遊んでみたところ、創土社で出しているような本格的なゲームブック並みとまではいいませんが、結構楽しめました。

 ストーリーは、太平洋戦争開始から三ヵ月後の状態からスタート。日本軍の立場になって史実とは逆に日本軍を勝利に導くのが目的です。
 特定の主人公は存在しませんが、選択肢の度に、その戦況を担当している長官や大尉などの立場になって作戦を決定します。
 乱数処理にサイコロなどの小道具は使いませんが、たまにアミダクジで結果が決まることがあり。(西東社のと違って、あくまでサイコロの代用としてだからこれは許せる)
 ルールでは得点というポイント管理が一つあり、これは正しい作戦や支持ができれば増え、失敗すれば減ります。
 ルール説明によると、史実どおりに進めれば0点になるそうです。敗戦しているのだから、当時の司令官たちは失敗ということですね。
 1パラグラフが=イラスト付きの1ページというタイプのゲームブックで144ページのボリュームです。
 ルール自体は簡単で普通の本を読む感覚で気軽に読めます。
 
 私はミッドウェー海戦のことは、あまり知らなかったのですが、ルール説明のあたりで、両軍の艦隊の構成とか、空母の名前とか、戦闘機の性能とか読んでいるだけでも興味深いですね。
 ゲーム中も、戦闘中の決断シーンはもちろんのこと、電報の何気ない質問に回答すると、これがアメリカ軍の偽電報で情報をばらす結果になってしまったとか、興味深いエピソードがいくつも登場して飽きさせません。
 どこまで史実に忠実にできているのかと思って、ネットで調べてみたら有名なエピソードは大体盛り込んでいるようです。何よりミリタリーマニアの友人が勧めてきたのだから、シュミレーションの出来は合格なのでしょう。

 しかし、私の場合、考えて選択しているつもりなのに、作戦が裏目裏目に出て、最初は戦闘の決着がつく前にゲームオーバー。再チャレンジで最後まで進むも、史実どおりな結末になってしまいました。
 4度目くらいで最後に一矢報いた的な結末で、やっと史実よりマシな展開に。マルチエンディングですが、2種類ある日本軍勝利エンドにはなかなか到達できません。
 まあ、もともと情報面などアメリカ軍が有利な海戦だったようなので、日本軍勝利が難しくても当然かもしれませんが。

 ちなみにこの本を気に入った私は、その後同シリーズの「パールハーバー大空海戦」という真珠湾攻撃を扱ったゲームブックを入手しましたが、こちらはミッドウェー大空海戦ほどの楽しさはなかったかな。
 いや、こちらも作品のクオリティーや、ゲームシステムは同じなんですが、元々圧勝の日本軍の立場で挑戦するので、弱い者いじめなような感じがしてしまって。(ただし、グッドエンドを目指すには、史実以上の戦果を出さないと駄目)
 やっぱり日本人としては、弱小野球部が甲子園を目指すとか、ハチロクがランエボとのレースに勝つみたいな、劣勢からの大逆転的な内容じゃないと盛り上がりませんな。


2011年05月03日(火) ダービースタリオン(須田鷹雄/ファミ通ゲーム文庫)

 久しぶりのゲームブック感想です。今回、話題にする作品は、ダービースタリオン。
 原作は説明の必要がないかもしれないですが、いろんな機種に移植されている有名な競馬シュミレーションゲームです。このゲームブックはPS版をベースしているそうです。
 正直なところ、ファミ通ゲーム文庫のゲームブックは、低年齢向けの簡単な作品しかないと思っていたので、遊ぶ前はまったく期待していなかったのですが、予想を裏切ってよくできていました。
 冒険記録日誌を一時復帰して、感想を書いてしまいたくなったくらいです。隠れた名作と言っていいのではないでしょうか。

 主人公は牧場のオーナーとなり、競争馬の種付けや調教やレース出場を管理してG1制覇を目指すという点は、ゲームブック版も同じです。
 ゲームブックでシュミレーションゲームというと、ルールが煩雑で、馬のパラメータなどの数値管理が非常にめんどくさそうなイメージがあったのですが、この作品にはまったくそんなところはなし。
 なにせゲームルールでは、所持金の管理も含め、数値は一切使っていないからです。ゲーム進行上、記憶する必要があるのは、そのときに走っている馬が制覇したレース名と親馬の名前くらい。
 サイコロやバトルポイント表のような、乱数すら使用しておらず、びっくりするほど簡単です。

 そして牧場のオーナーという主人公を含め、このゲームには名前や個性のある登場人物はまったくいません。
 ただ選択をすれば、馬を○○のレースに出場したらこうなった。この調教をしたらこうなった。の表現で淡々とすすみます。
 シュミレーションに特化しているというか、社会思想社のゲームブックで「君ならどうする食料問題」という作品を読んだことがある人なら、それとよく似た感じと思ってもらっていいでしょう。
 あの作品と同じく、あまりゲームオーバーにはならないのですが、それでもこちらは失敗が続くと、牧場の経営が破たんしてバットエンドにはなります。
 ゲームの基本的な流れは次のとおり。

1.まず自分の牧場にいる手持ちの繁殖牝馬に、種牡馬を選んで種付け。
2.生まれた馬を調教しながらレース出場。(管理する馬は一度に一頭)
3.年齢や体調の都合などで馬が引退。
 その馬が活躍していたら→賞金でもっと高ランクの繁殖牝馬に乗り換えられる。
 ほどほどなら→そのまま違う種牡馬を選んでやり直し。
 調教失敗などで活躍できなかったのなら→損害で牧場の経営が傾いてしまい、今の繁殖牝馬を売って、ランクの低い繁殖牝馬から再出発。

 この1〜3の繰り返しとなっています。
 最初はランクの低いところから始まりますが、順調に進めば世代が交代するにつれ、徐々にG1を連勝し、いずれは海外遠征で世界のレースを制覇する馬を育てることが可能です。同じランクを繰り返していると、同じ展開を繰り返す可能性もあるのですが、654ものパラグラフ数を上手く使って幅広い展開が用意してあるのでそんなに気になりません。

 繁殖牝馬と種牡馬を選ぶシーンは、馬の名前が2・3体出て、その中から選択します。芝向きの中距離血統やダートの短距離血統とか書いてあることもありますが、多くの場合は各馬の特徴は書かれていません。
 生まれた馬には、3歳時に早熟タイプとか、脚元弱いとか、コメントがつき、それを参考になるべくその馬にあった調教とレースの選択が求められます。
 どの馬が生まれてもクリアに支障はないのですが、交配が運任せになるのはこの作品唯一の不満かな。
 (ただ、ルール説明によると繁殖牝馬と種牡馬は、PS版ダビスタに登場する馬に準拠しているそうなので、PS版をやりこんだ人や馬データを掲載しているゲーム攻略本を持っている人なら戦略的に選べるのかも?)

 あと、たまに間違った選択肢でなくても予測もつかないトラブルで損をする展開、例えば馬に休息をとらせようと放牧に出したら、柵にぶつかって骨折してしまうとか、がありますが、現実の競馬でもセオリーさえ守れば必ずうまくいくものでもないと割り切りましょう。
 逆に自分の馬が輸送中に逃げ出して、高速道路を爆走。そのことがニュースになって人気馬となる、なんてギャグみたいなボーナス展開でうまく行くことも。

 エンティングはマルチで13種類。凱旋門賞を制覇して競走馬の頂点に立つという正統派な内容から、馬術競技に転向してオリンピックでメダルをとる変わり種、破たんして借金を返済すべく日雇い労働をする日々なんてしょっぱい終わり方まで、内容は多彩です。ランダム要素がないわりに飽きがこないので、繰り返しプレイにも耐えられます。
 ちなみに自分は何度やっても、「心筋梗塞で現役を続けられずに息子に夢を託し牧場経営を引退」というバットエンド気味の内容になってしまいました。
 上位のグッドエンドを目指すなら、終盤で特別な血統による交配が必要なようなのですが、ここはまだよく解明できていないので引き続きプレイ中です。

 我ながら面白さをうまく伝えられてないと思うのですが、この作品はゲームとしての完成度が非常に高いのです。
 もちろんコンピューターで大量のデータを計算処理できる本家のダビスタに、シュミレーションの奥深さでかなうはずもありません。
 しかし、手軽にできるゲームブックという形態を生かして、これまた手軽なルールでテンポ良く遊ばせる点で、劣化ダビスタとは言わせない魅力を引き出していると思います。
 入手ができるなら、みなさんもぜひお試しあれ。 


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