冒険記録日誌
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2005年04月30日(土) 創土社版ソーサリーの翻訳について雑感を述べる

 創土社から復刊中のソーサリーシリーズですが、今月になっていよいよシリーズ最後の「諸王の冠」が発売されましたね。
 扶桑社の「火吹き山の魔法使い」と違って、こちらは注文して購入できているので少々新訳に対する雑感を言ってみます。
 蒸しかえすようですが、浅羽さんの新訳はやっぱり肌に合わないというのが私の最終的な感想でした。そこで冷静にそう感じてしまう理由を書いてみます。

 私の場合は固有名詞の変化(“レッドアイ”が“赤目”になるなど)は浅羽さんの新訳とわかった時点で最初から覚悟していたのでまあ許容範囲。
 それよりも英文を直訳したような文章がたまに見受けられるのが気になります。旧版より誤訳が少ないのは良いことですが、例えばアリアンナの家の描写では“緑のさまざまな色合いが微妙な対比をなす木陰という、絵になる場所に建つ小さな家”と書いていて、意味が分かり難くてかないません。初めて読んだ時はもう少し普通の日本語で書けないものかと、思わず考え込んでしまいました。
 さらに問題は「あとで役に立ってくれるかもしれぬ」「連中は騙されぬ!」「持っていなければこの術は使えぬ」などと文末に「──ぬ」とつく文章が多くて、この文体がどうしても私には合わないこと。
 なんというのかな。「──ぬ」という表現は、なにか昔の物語という印象がしてしまって、リアルタイムで冒険をしているはずの私はそのたびに物語から醒めてしまうのですね。
 私は昔は時代小説とかも読んでいたので、今までこうゆう文体の小説を見かけなかったわけでもないけど、ファンタジー小説(海外翻訳ものも含む)で「──ぬ」という表現はほとんどないですよね。いや、最近書かれた時代小説でもそう。これって単純に今の読者にはうけない古い文体だからじゃないかと思うのです。少なくとも私にはそうでした。

 まあ、そういう好みの問題を抜きにしても、浅羽さんの翻訳でこれは駄目でしょ。と思ったのは、その「──ぬ」という表現が2巻の「魔のワナの都」から採用されていたことです。
 私が最初、新訳に期待した一番の理由は「同じ翻訳者が全4巻を翻訳する」という点でした。1巻で“今夜は野営する”と書いていたところを、3巻では“今夜はキャンプする”と書くような用語の不統一がなくなるのは、歓迎することだと考えていたのです。実際のところ1巻の「シャムタンティの丘を越えて」が発売された時点では、私も結構新訳を気に入っていましたし、続刊の新訳も心待ちにしていたました。
 ところが2巻から、つまり物語の途中から文体が変わるのに違和感を覚えたのです。これは用語の入れ替え以上にヒドイことじゃないか、と。私の小説感からは受け入れがたいことでした。
 希望をいえば「シャムタンティの丘を越えて」の路線のまま最後まで翻訳していたら、きっと浅羽訳版ソーサリーも旧版と同じくらいにお気に入りになっていたと思うのですが、これならまだ「──ぬ」という文体を1巻の「シャムタンティの丘を越えて」から採用していた方がまだ良かったと思います。最初からなら好みはともかくとして浅羽訳のソーサリーはこうゆうものなのだ、と理解できたかもしれませんから。
 例えるならば、ソーサリーのジョン・ブランシェの絵が2巻から急に日本人イラストレーラーの書いた萌え系のアニメ絵に差し変わっていた感じとか。アニメ絵自体が嫌なのだが、使うなら1巻からしていればまだ覚悟ができたのにと。(笑)
 結局のところ、これではいったいなんのために浅羽さんが1人で翻訳されたのか、と創土社版の完成度に疑問を感じてしまったのは確かです。

 文句ばかり書いてもなんなので、逆に新訳で楽しめた点も書いておきます。
 それは旧版との違いがいろいろ比較できる点。いろいろ文句をいってみても、すでに持っている旧訳のまま復刊するより、新訳の方が新しく楽しめるというものです。
 とくに冒険の目的である「王たちの冠」の名前が「諸王の冠」に変わったのは私が非常に気になっていたところ。一言でいったら「諸王の冠」なんて名前が格好悪いと思うし。それがダイレクトに最終巻のタイトルにもなったわけだし。
 まあそんなことを思っていたわけですが、最終巻を購入したあと、終盤の魔王との会話シーンなどを読んでみると「王たちの冠」より「諸王の冠」の方が会話には自然に溶けこんでいるかな、とちょっと見直しています。
 文章やセリフなどの変化もそう。中には浅羽訳の方が面白いと思う箇所もあるので、要は慣れということで最近は納得する部分も増えました。
 アリのミートボールを(変異現)象団子としたり、黒エルフとの食事中に話す小話で“記述”と“奇術”と引っ掛けた洒落なんかは本当にお見事。
 ちょっと感動したのが、カレーの町に住むタコ男が料理を主人公に提供するシーン。旧版では“動物の腎臓の料理”としか書いていなかったのですが、実は動物は動物でも“棘々獣の腎臓肉”だったのです。こんなところでFFシリーズとの関連を感じさせてくれるとは思わなかったですよ。

 他に創土版ソーサリーが出たことに感謝しなければならないのは、やっぱり2巻のクーガ像のシーンにあるイラストに描かれた飾り板の「・・・あちこちにキスをして・・・」のメッセージが新訳で原文表示になり、本文で「・・・十字の果ては唇に・・・」とちゃんと謎解きのヒントとなる訳に改善されたところでしょうね。
 旧版ではヒントなしの難所だと思っていたので、ここがソーサリー最大の欠点だと長年思っていましたから。この誤解がとけただけでも新訳版がでた価値があるというものです。
 新訳は新訳で、3巻に登場する七魑魅の禁呪文の文句を英文ベースにしたために、旧訳と違って謎の意味が通じなくなったという問題点があるようですが、必須ルートではない分、ダメージが小さいからセーフということで。

 私が一番影響をうけた翻訳の差異が、プロローグ部分。
 悪の親分に関する説明が「カクババードをわがものにすべく野心を燃やしている、マンパンの大魔王」から「カーカバードの王となることを夢見ているマンパンの大魔法使い」となっているところです。
 大魔王って、何か人間離れした不気味で強大な悪という(指輪物語でいうサウロンみたいな)イメージがあったのですが、大魔法使いと書くとこれが実に人間臭く思えるのです。それに“王となることを夢見ている”くだりが、ちょっぴりメルヘンチックだし。(笑)
 善と悪の戦いには違いないのですが、世界の破滅から救う冒険から、世俗の領土争い(バルサスの要塞くらい?)に冒険の目的がスケールダウンしたような気がします。もっとも敵は人間だと思ったほうが、イメージが湧きやすいので“大魔法使い”とした新訳もこれはこれで新鮮な面白みを感じました。
 それに最終巻を読んだって、“大魔王”と“大魔法使い”のどっちがふさわしい表現かわからないんだよなぁ。

 まあ、なんだかんだいっても購入した値段分は楽しんでいますので、要は創土社の酒井さん頑張って、と無理やりしめておきます。


2005年04月29日(金) 扶桑社の「火吹き山の魔法使い」

 期待に反して、どこの本屋にも売っていないのです。扶桑社の「火吹き山の魔法使い」
 はじめて気が付いたけど、扶桑社の文庫自体が意外と本屋には置いてないんだねぇ。店員に聞いても入荷予定はないっていうしさ。
 スニーカー文庫並みに平積みでゲームブックが並んでいるのを、妄想していた私がバカでしたか。注文していなかったので、当然まだ入手できていません。

 それでも扶桑社さんには感謝していますけど。
 ゲームブックへの愛情は創土社の方が上だと思うけど、やっぱりゲームブックは文庫本の方が好きだし。
 仮に創土社さんが版権をとっていたとしても、創土社の出版ペースからして「火吹き山の魔法使い」が発売されるのは来年以降になっていたかもしれないしね。
 文庫本の割に値段が高く感じるのだが、本屋で確認するとハヤカワ文庫で復刊した他のファンタジーやSFが同じくらいの値段で売っていました。
 高いのはゲームブックだからってわけじゃない。今の相場ってことで納得するしかないですね。

 でも意地になったので今後も注文はせずに本屋で探しつづけてみる予定。どうせ新訳でもないので、急いで見たいわけでもないし。まあ、のんびりと探してみます。
 扶桑社でもロマンス文庫の方はよく本屋に置いてあるのだがなぁ。これならいっそ、世界文化社から出していた“愛のアドベンチャーゲームブックシリーズ”を復刊した方が良かったのかもよん。(笑)


2005年04月28日(木) 悪夢の妖怪村(鳥井加南子/祥伝社)

 「悪夢のマンダラ郷」と同じ悪夢シリーズ、その第一弾の作品です。
 基本的なルールですが、アミダクジを引いて“運命数”を決め、日の日付を足して、“バイオリズム数”を決めて遊ぶところは変わりません。違うのは最初に登場してアミダクジを差し出すのは阿弥陀様じゃなくて、妖怪村らしく妖怪アミダ婆ということくらいですか。
 他にはカメラやサンドイッチなどの所持品と3000円の所持金を管理する必要があるのですが、これくらいなら暗記でゲームを楽しめるかと思います。

 さてゲーム本編の方ですが、「悪夢のマンダラ郷」と違って舞台は日本のようです。
 妖怪が登場すると評判の村を、ビデオカメラ片手に取材にきたのが主人公というわけです。村と言っても登場人物が1人残らず全員妖怪の奇妙な村。妖怪ヤブレガサやのっぺらぼう、ろくろ首、カッパのような和風妖怪がわんさと登場します。
 ヘタをすれば鬼たちに食べられたり、亡霊の仲間になったり、永遠に走り続ける幽霊電車にのってしまうとか、なかなか悲惨な結末が多数待っていますが、「悪夢のマンダラ郷」のような復活の趣向はなく、そのままゲームオーバーなのがちょっと不満。最初からやり直すのは同じなのですが、あの味付けが良かったのに。
 まあ、こちらが第1弾なので復活のシムテムは、第2弾で改良されて加えられたのだとも考えられますが。

 妖怪たちは基本的に温厚です。中にはいきなり襲ってくる攻撃的な奴もいますが、大抵の妖怪とは警告なりの会話が出来ます。中には、カメラ撮影に応じてくれるものやヒントをくれるものまでいて、どこか愛嬌すら感じさせます。
 あげくにはファミリーゴーストなんて不気味なコンビニまで立っていたり、後半にはドラキュラやゾンビなどの西洋妖怪、果ては火星人まで登場してくる始末でマンダラ郷に負けず劣らずの狂いっぷりです。雰囲気的にまったくホラー要素はなく、ストーリーもあってないようなもの。そのノリはまさにマンダラ郷と同じシリーズだと感じさせます。
 基本的に一方向システムで、何度も繰り返して正解のルートを見つけ出さないとこの妖怪村からは脱出できません。
 時々双方向移動に切り替わることがあるぶん、融通が効くのでマンダラ郷ほどには繰り返さずにクリアできましたが、やはり難しいです。
 脱出するまで何度も遊んで不思議な世界を味わう。これが悪夢シリーズの面白さでしょうね。

 こうなると第3弾の「悪夢の幽霊都市」を持っていないのが本当に残念です。以前、古本屋で見かけたのにカバーイラストに敬遠して買わなかったのが悔やまれます。
 第3弾ではいったい何者がアミダクジを差し出してくるのか・・・気になるなぁ。


2005年04月27日(水) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その12

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナを食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、サメと答えてみる。
 「サメだと。サメのトーテムの者は我らが仇敵。我らと勝負せよ」
 男達の1人が槍をかまえて、私に向かい合った。他の男達はじっと見守っている。
 私は相手の胴を目掛けて棍棒を薙ぎ払った。都合の良い事に棍棒は相手の槍を弾き飛ばしたではないか。ラッキー。
「むぅ、さすがはサメのトーテムの者だ。ここは負けを認めよう。だが、これ以上南に行って我らの村に近づかないでくれ」
 原住民の男達の願いを聞かずにさらに村に進んでみようする。
「ちょっと、待ってくれ」
 男達が嘆願するが、誰も私の決めたことを留めることは出来ない、と言い放ってニヒルに笑ってみせた。内心はビクビクものだったが、男達は私のそんな態度に感銘を受けたようだ。
「君こそ勇者の資格がある。この剣を持っていきなさい」
 そういって差し出されたのは勇者の剣。なんとこの選択肢でも勇者の剣が手に入ってしまったのだ。こうなるとスフィンクスの3問目の答えがわからなくなってきたぞ。
 とにかく剣と腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

  道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい」
 今回はおばさんからチャイナ服を強奪するという選択肢を選んでみた。おばさんはあっさりひっくり返って、手足をジタバタとさせる。意外にも何も失わずに簡単にチャイナ服が手に入っではないか。
 まるでチャイナ服はオーダーメイドのように体にピッタリとして着心地がいい。まだ起き上がれないおばさんの罵り声を無視して、さらに山を登りつづけた。
 やがて道が分岐していたので、今度は仙人に会う道を進んでみる。チャイナ服を失っても、もっと他の質問をしてみたい。
 すると道幅が徐々に狭くなってきて崖にへばりついているような格好になってきた。もはやロッククライミングだ。引き返す選択肢もあったが、少し意地になって先へ進む。
 ああっ、足が滑ってバランスが崩れて、霧の谷へまっさかさまに落ちていった。
 私の意識も深いモヤに包まれる。

 どのくらい気を失っていただろうか。
 気がつくと私は白いフワフワしたものの上に横たわっていた。気絶している間にチャイナ服は脱がされて、かわりにドテラのような着物を着せられていた。
「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」
 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。
「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」
 今度はあの無くなったチャイナ服はどうしたかと聞いてみる。
「なんとバカな質問じゃ。チャイナ服を着ていたということは、お前さんがトンマか強盗犯ということじゃろ。それを質問までするとは恥ずかしいとは思わんのか」
 仙人の機嫌が悪くなっていく。だけど私も納得できない。質問を変えずに尚も問い詰めると、仙人は面倒くさそうに話した。
「わかった。わかった。教えてやる。あの服はもともと盗品じゃから、持ち主のエンマの側近の所へ返したまでよ」
 するとあの行商のおばさんは食わせ者だったわけか。仙人はニヤリとして続けた。
「しかしお主のようなしつこい奴はマンダラ郷では見込みがある。良い事を教えてやろう。この世界では服の格好などどうでもいいのだ。衣服は身を守るためにのみ必要とされる。熱くても平気な服、寒くても平気な服、水中でも平気な服を手にいれないと脱出はおぼつかんだろう」
 良いヒントを聞いた。礼を言って仙人と別れ、山々をくだって草原地帯へ進んでいく。
 前回と同じ道を選ぶと、羊飼いらしき少年がしょんぼりと座っているのが見えた。
 何を悩んでいるんだいと聞くと、もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならないのだという。
「相手は美人で気立てもよくて僕のことを慕ってくれる。でも僕は女が嫌いなんだ。あーあ、惚れ薬でもあったら僕が飲んで簡単に解決するのに」
 なんてワガママな、という気持ちを抑えて持っていた惚れ薬を差し出してみる。
 少年は媚薬を受け取ると礼を言ってそそくさと立ち去ろうとする。
 今度はそのまま黙って見送った。
 やっぱり損したかな、と一瞬後悔したが、少年のいた場所に皮袋があるのに気がついた。やった、少年の忘れ物だ。開いてみると中身は毛皮でできた分厚い服や暖かそうな帽子などだ。きっとこれが仙人の言っていた“寒くても平気な服”だ。
 一旦引き返して、以前の冒険で進めなかった徐々に寒くなっていく道を歩いていく。
 当然のように吹雪が襲ってくるが、毛皮の服のおかげで寒くない。やがて道は海につきあたって途切れた。あたり一面が氷に覆われた白い海だ。
 よく見ると、ところどころ氷が割れていて危険そうだが、ここで引き返しては“寒くても平気な服”を手に入れた意味が無い。きっとこの先に何かがあるはずだ。
 正面と左右に海が広がっている。息を飲んで覚悟を決めると、正面の方向を選んで歩いてみた。
 突然バリバリバリバリと氷が割れて、体が235まで落ちていく。


235

「あーあ、やられてしまったのか。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいてた。しかし、今度は様子がおかしい。
「もう一度パラグラフ1へと進んでやり直してもらいたいところじゃが、予想以上にお主の冒険が進まんので4月分の日記がそろそろいっぱいなのだ。今回の冒険はこれくらいにしておこうの。日記でこのネタが再開するまで、しばらく眠っておれ」
 そんな!私はいったいどうなるのだ。手抜きだ。無責任だ。閲覧者も納得しないぞ。本当にクリアしたのならちゃんと最後までやれ!
 思いつくままわめいていみたが、阿弥陀様が厳かにつげると視界は闇に包まれてしまった。


(また会える日までさよーならーとごまかしつつ)完


2005年04月26日(火) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その11

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はヘビと答えてみる。
 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。これもムシャムシャと食べた。
 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、案の定だが男達は私を呼び止める。
「ちょっと、待て。これから旅を続けるのならどんな魔物にであうか分からない。この剣を持っていきなさい」
 こうして勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい。ぎゃあ!」
 今回もおばさんからチャイナ服を強奪する。まだ起き上がれないおばさんの罵り声を無視して、さらに山を登りつづけた。
 仙人のいる方へ向かうとチャイナ服が没収されてしまうので、草原に向かう。
 今度は羊飼いらしき少年がしょんぼりと座っているのが見えた。
 何を悩んでいるんだいと聞くと、もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならないのだという。
「相手は美人で気立てもよくて僕のことを慕ってくれる。でも僕は女が嫌いなんだ。あーあ、惚れ薬でもあったら僕が飲んで簡単に解決するのに」
 なんてワガママな、という気持ちを抑えて持っていた惚れ薬を差し出してみる。
 少年は媚薬を受け取ると礼を言ってそそくさと立ち去ろうとする。おいおい、ただじゃないよ。代わりに何かくれないのかい?
「どういうことさ。君のものは俺のもの。俺のものは俺のもの。そうだろう」
 少年はジャイアンみたいなことを言って今度こそ去ってしまった。とんだ恩知らず野郎だ。つばを吐き捨てて先へ進む。

 しばらくするとアラブ風の町にたどり着いた。ここでは勇者の剣とチャイナ服を金貨4枚で売って、馬(金貨3枚)と安かったのでついでに羊(金貨1枚)を購入する。これでオオカミ地帯を一気に駆け抜けようという作戦だ。
 馬はたくましく嘶くと、町を出て草原を疾走する。
 絵になりそうな格好良い光景だが、自分が素っ裸なのでやっぱり格好悪い。後から羊がトコトコとついてくる。
 やがてオオカミの出現地帯に差し掛かると、気配を感じ取ったのか急に馬は怯えあがり、そして私を振り落とすと馬は全力疾走で逃げてしまった。なんてこったい、薄情馬め。
 あとにはポツンと私と羊が残された。羊も気配を感じ取ったらしく、怯えて逃げ出そうとする。私はあわてて羊についていった。
 羊はジグザグに草原を走り回る。オオカミのいる付近を察知してうまく避けていたのかもしれない。いつの間にか私は草原地帯を抜けだしていた。
 どっしりと座り込んで動かなくなった羊に感謝して、1人で先に進む。

 目の前にエジプト風の砂漠のような光景が広がっている。目の前にスフィンクスがいて、私を見下ろしている。スフィンクスが口を開いて話し掛けてきた。
「元の世界に戻りたいのであろう。私の出す3つの問いに答えたら、そのための情報を教えてやろう。間違えればお前は死ぬ」
 願ってもないチャンスかもしれないが、死ぬのは嫌だな。
「嫌ならやめても良い。私はおまえ達の世界のスフィンクスと違い、通行の邪魔はせぬ。そのかわり脱出のヒントは手に入らない」
 スフィンクスがすかさず答える。どうやら心が読めるらしい。
 ようし、脱出できないなら死ぬのと一緒だ。挑戦を受けてたとうじゃないの。
「よくぞ言った。では、第一問。次の中でマンダラ郷にいない人間はどれか。少年、少女、壮年の男、壮年の女、老人の男、老婆」
 えええええっと、少年は羊飼いのがいたな。壮年の男は町にいくらでもいる・・・。壮年の女は行商のおばさん。老婆はチェーンソー男やキャタピラーの警告をした婆さんがいたし。老人・・・仙人は老人に入るのか?少女は・・・今のところ会っていないな。女の子のいないゲームブックなんてつまらんのだが・・・よし。答えは“少女”だ。
「正解。では、第ニ問。次の中でマンダラ郷にいない生物はどれか。トラ、サソリ、ヘビ、ワシ、オオカミ」
 まだ出合ったことがない生物はサソリとヘビだな。ヘビのトーテムというのはあるし、答えはサソリか。んー、でもこのゲームブックの表紙カバーがサソリの絵なんだよなぁ。ええい、答えはヘビだ!
「ファイナルアンサー?」
 ファイナルアンサー!頼む。当たってくれ。
 スフィンクスは黙っている。駄目か?失敗したのか?

 ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・・・・・




「正解」
 ほおおおおおおおおっ。安心した。
「ヘビのトーテムはあっても実在しない。第三問目。ではそのトーテムでマンダラ郷を脱出可能なのは何種類あるのか」
 トーテムの種類?ヘビのトーテムの1つだけかな。
 しかし本文には「ディック博士の言葉を思い出して正解の数に進もう。答えを知らなかったり、ディック博士がなんのことかわからなければ100へ進め」と書いてあるな。ディック博士なんて会ったことがないぞ。
 答えられずに100へ進むと、スフィンクスの額から光線が発せられ、一瞬で私は灰になってしまった。235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(前途はまだまだ多難らしいと予想しつつ)続く


2005年04月25日(月) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その10

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はヘビと答えてみる。
 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。これもムシャムシャと食べた。
 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、案の定だが男達は私を呼び止める。
「ちょっと、待て。これから旅を続けるのならどんな魔物にであうか分からない。この剣を持っていきなさい」
 こうして勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 よし。ここまではこのパターンで固定していいだろう。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい」
 今回はおばさんからチャイナ服を強奪するという選択肢を選んでみた。おばさんはあっさりひっくり返って、手足をジタバタとさせる。意外にも何も失わずに簡単にチャイナ服が手に入っではないか。
 まるでチャイナ服はオーダーメイドのように体にピッタリとして着心地がいい。まだ起き上がれないおばさんの罵り声を無視して、さらに山を登りつづけた。
 やがて道が分岐していたので、前回と違う道を進んでみる。
 すると道幅が徐々に狭くなってきて崖にへばりついているような格好になってきた。もはやロッククライミングだ。引き返す選択肢もあったが、少し意地になって先へ進む。
 ああっ、足が滑ってバランスが崩れて、霧の谷へまっさかさまに落ちていった。
 私の意識も深いモヤに包まれる。

 どのくらい気を失っていただろうか。
 目を醒ますと急いであたりを見回す。半ば覚悟していたのだが、予想と違ってここは235ではなかった。
 私は白いフワフワしたものの上に横たわっている。気絶している間にチャイナ服は脱がされて、かわりにドテラのような着物を着せられていた。
「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」
 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。
「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」
 そりゃ、願ってもない。もちろんマンダラ郷を脱出する方法を聞いて見るが、仙人はプイとそっぽを向いてしまった。
「単刀直入というのも良し悪しじゃの。そんな簡単に教えられると思うか。甘いぞ、おぬし」
 なんでも聞いてよいと言ったのはそっちのくせに!
 腹ただしい思いをぐっと堪えて、今度はあの阿弥陀様のことを聞いてみる。
「なんと、おぬしは阿弥陀君に言われてマンダラ郷にきていたのか。阿弥陀君とは懐かしいのう。元気にしておったかな」
 仙人は今度は嬉しそうだ。私は阿弥陀様のペテンに引っ掛かって、目的だった媚薬を自分の世界に持ち帰れない状況を話した。
 すると仙人は面白そうに話した。
「くっくっくっ。阿弥陀君もなかなか策士じゃからな。よいか、おぬしはもてなくて悩んでいたのであろう。媚薬など所詮、一時的な効果にすぎん。薬の効果が薄くなれば、結局のところは元通りだ。それより、おぬしが生まれ変わって魅力的な人間になれば、相手がほおっておかん。つまりじゃな。おぬしは今、人格改善の旅をしておるのじゃ」
 仙人には面白いかもしれないが、そのために何度も殺されるこっちはたまったもんじゃない。人格改善なんてどうでもいいから、元の世界に返してほしいものだ。
「その言葉には意味がない」
 仙人はそんな私の意見にぴしゃりと言った。
「生まれ変わりとマンダラ郷の脱出は、表裏一体のものなのだ。まだまだこれから大変じゃよ」
 私は納得できなかった。そんな勝手な話しがあるわけがない。だまされた。詐欺だ。インチキだ。責任者を呼べ。と仙人に尚も食い下がる。これには仙人も少々困ったようだ。
「ふむ、そうか。責任者に会いたいのか。責任者といえば、やっぱり阿弥陀君だろうなぁ。では望みを叶えてやろう」
 しまった。と思ったときはもう遅い。私は雲を突き抜けて、今度こそ深い谷底に落ちていった。
 235へ進む。


235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(なんちゅー終わり方じゃ、と思いながら)続く


2005年04月24日(日) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その9

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はヘビと答えてみる。
 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。これもムシャムシャと食べた。
 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、案の定だが男達は私を呼び止める。
「ちょっと、待て。これから旅を続けるのならどんな魔物にであうか分からない。この剣を持っていきなさい」
 こうして勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい」
 ちょっともったいないが、勇者の剣と交換してチャイナ服を手に入れた。まるでオーダーメイドのように体にピッタリとして着心地がいい。快適になったところで、さらに山を登りつづけた。
 やがて道が分岐していたので、前回と違う道を進んでみる。
 やがて広大な草原地帯にやってきた。しばらく草原をあてもなく進むと、だんだん周囲が熱くなってきた。初回の冒険の火炎地獄への入り口と同じだ。嫌な予感がするので、引き返して別の方角へ進む。ところが今度はだんだん寒くなってきたではないか。なんなんだこの世界は?
 とりあえず嫌な予感がするのは変わらないので、引き返してさらにまた違う方角へ進む。すると小さな町にたどりついた。まるでアラブ圏のような町並みで、露天商がひしめき合っている。
 ここでは馬やら羊やら鉄砲やらを売っていたが、私はあいにく金をもっていなかった。媚薬やチャイナ服を金貨2枚で買い取ってくれる店もあったが、媚薬は勿体無いし、町中で真っ裸になるのも困る。結局何もせずに町を抜け、さらに草原の中を歩き続けた。
 しばらく進むと、いつの間にか何匹ものオオカミ達がこちらを遠巻きに取り囲んでしまっていた。しまった。こんなことならチャイナ服を売って鉄砲を購入しておくべきだった。
 オオカミ達はいっせいに飛び掛ると、たちまち私を切り分けて、パクパクモグモグごっくんと飲み込んでしまう。235へ進む。
 

235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 しかし、今回は私は媚薬を持っている。
 元の世界に戻してくださいと頼んだが、阿弥陀様はとぼけた。
「どこに媚薬があるのだ」
 どこにって。ああっ、媚薬がない。
「そんなにうろたえることはない。いずれにせよ、マンダラ郷で手に入れたものはお前の世界には持ち帰れないのだからな。あまり気にしないことだ」
 なんだと。媚薬が手に入らないなら、なぜ私はマンダラ郷で苦労しているのだ。サギだ。ペテン師め。
 私はわめいたが阿弥陀様はすまし顔で、パラグラフ1へと私を連れて行った。


(もはや生き残ることが最大の目的だと自分に言い聞かせながら)続く


2005年04月23日(土) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その8

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。もはやお馴染みの、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。あいかわらず傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 今度もバナナを食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、わざとサメと答えてみる。なんとか勝って一矢報いないと気がおさまらない。
「サメだと。サメのトーテムの者は我らが仇敵。我らと勝負せよ」
 男達の1人が槍をかまえて、私に向かい合った。他の男達はじっと見守っている。
 私は相手の胴を目掛けて棍棒を薙ぎ払った。都合の良い事に棍棒は相手の槍を弾き飛ばしたではないか。ラッキー。
「むぅ、さすがはサメのトーテムの者だ。ここは負けを認めよう。だが、これ以上南に行って我らの村に近づかないでくれ」
 原住民の男達の願いを素直に聞いて、私は引き返すことにした。どのみち村に招待されたときも引き返していたのだ。無理をしてこれ以上、原住民を刺激することはない。
 
 険しいけもの道をさらに進むと、若い女性が木からするすると降りて来た。健康的な浅黒い肌に、長い髪をアップにして、ヒスイの耳飾りや、金製の腕輪などで着飾った美しい女性だ。
 もちろんその招待は恐ろしい魔女、ランダだとわかっているので、無視して道を歩き続けた。勇者の剣がない今回は近寄らないに限る。
 森を抜けると、今までに通っていない道に足を踏み入れてみた。
 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい」
 しかし、私には金がない。媚薬か勇者の剣となら交換してくれるというが、あいにく持っているのは棍棒1つだけだ。貧乏人には興味ないよ!とおばさんの捨てセリフを後に、さらに山を登りつづけた。なにが悲しくて裸で山をさ迷わなければならないのだ。
 やがて道が分岐していたので、適当に選んで進んでみる。
 すると出くわした虎にぼりぼりと食べられてしまった。235へ進む。
 

235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(バイオリズム数が悪いのか、それとも選択肢自体が悪かったのか・・・と考えつつ)続く


2005年04月22日(金) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その7

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。もはやお馴染みの、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。あいかわらず傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 今度もバナナを食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、まだ選ばれていない選択肢のワシと答えてみる。嫌な予感はしていたのだが、やはりというか男達は眉をひそめた。
「ワシだと。ワシのトーテムとは我らと同じだぞ。怪しい奴め」
 この答えは失敗だったようだ。男達の1人が槍をかまえて、私に向かい合った。他の男達はじっと見守っている。どうやら戦うしかないらしい。
 私は棍棒で力任せに相手の頭を叩こうとしたが、あっさりかわされる。逆に相手の槍が私の心臓につき刺ささった。235へ進む。

235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(なんとか原住民に勝ちたいなぁと思いながら)続く


2005年04月21日(木) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その6

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。もはやお馴染みの、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 バナナを食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はサメと答えてみると男達は眉をひそめた。
「サメだと。サメのトーテムの者は我らが仇敵。我らと勝負せよ」
 この答えは失敗だったようだ。男達の1人が槍をかまえて、私に向かい合った。他の男達はじっと見守っている。どうやら戦うしかないらしい。
 私は棍棒で相手の足元を払おうとしたが、あっさりかわされる。逆に相手の槍が私の心臓につき刺ささった。235へ進む。

235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(なかなか序盤から進まないなぁと思いながら)続く


2005年04月20日(水) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その5

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 やがて最初の冒険でワシに落とされた場所、森のほとりの川岸にたどり着いた。
 前回は川上に向かったので、今度は川下を歩くとほどなく海にたどりついた。砂浜から海上を見ると椰子の木一本しか生えていない小島がポツンとある。ここにいても何も出来ないようなので、大人しく引き返す。妙に意味ありげな島で気になるのだが・・・・・・。
 川上には向かったが、最初の冒険と違う道を辿っていく。しばらく歩くとアスファルトに覆われた道へ変わった。文明の世界に戻った気がして少しホッとする。
 やがて道はT字路となった。路肩で老婆がポツンと座っていたので道を尋ねてみる。
「この先になにかあるかじゃと。恐ろしいことを聞くものじゃ」
 老婆は震え声で答えた。なんでも南へ行けばチェーンソー魔、東へ行けばもっと恐ろしいキャタピラー邪蛮人の巣窟があるという。
 よく意味がわからないが、とりあえず南に進んでみた。
 アイスホッケーの白いマスクをかぶった男が、血しぶきや肉片をあびた姿のまま飛び出してきた。手にもったチェーンソーがチーン!と不気味な音をあげている。
 おいおいおいおいおい。いつから映画村になったんだよ!チェーンソー魔のチェーンソーが私に襲い掛かる。辛うじて勇者の剣で受け止めるたが、剣はあっさり折れてしまう。絶体絶命!
 しかし勇者の剣の魔力なのか、折れた剣先がチェーンソー魔にささって奴が苦しんでいる。このスキに命からがら私は逃げ出した。

 元のT字路に戻って、今度はキャタピラー邪蛮人の巣窟とやらに向かってみる。
 チェーンソー魔より恐ろしいと老婆が警告していたので、覚悟をしていたが辿り付くと何の事はない。そこは単なる工事現場だったのだ。キャタピラーとはブルトーザーなどの工事車両らしい。工事現場の人に元の世界に帰る方法を尋ねてみると、あっさり道を教えてもらった。
 礼を言って歩いていくと見覚えがある町並みが見えてきた。無事に家に帰ってきたのだ。口笛を吹きながら、自宅のドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。
 気が付くと、私はゴリラの巣で寝ていた。そんなバカな!
 もう一度同じように冒険を勧めて、私は自宅に帰ってくる。そしてドアを開けた・・・。

 どうやら私はゲームブックの恐怖、無限ループの世界にはまり込んだらしい。


(永遠に続けるのも嫌なので最初から)続く


2005年04月19日(火) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その4

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。いったい、どこで眠っていたのだろう。頭がぼんやりしている。ああ、ゴリラに巣まで運んでもらって・・・・・・。しくしく。もうそろそろ、いい加減に現実を見なくちゃ。
 私はまぶたを開いてみた。わかっていたが、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。
 ふてれくされてバナナを食べてから巣から抜け出す。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はヘビと答えてみる。
 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。試しに媚薬のありかを尋ねて見たところ、そんなものがあるとすれば魔女ランダがもっているだろうと教えてくれた。
 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、案の定だが男達は私を呼び止める。
「ちょっと、待て。これから旅を続けるのならどんな魔物にであうか分からない。この剣を持っていきなさい」
 男達の指差した剣を見て、唖然とする。錆びてボロボロの古い青銅の剣じゃないか。
 私の表情を見ても男達はいたって真面目に、この剣が長い歴史において数々の魔物を退治したという、由緒ある勇者の剣だと説明してくれる。半信半疑ながらも、礼を言って受け取った。
 さらに真っ裸じゃ恥ずかしくないのか?と腰蓑もくれる。正直こちらの方がありがたい。礼を言って村を立ち去った。

 険しいけもの道をさらに進むと、若い女性が木からするすると降りて来た。健康的な浅黒い肌に、長い髪をアップにして、ヒスイの耳飾りや、金製の腕輪などで着飾った美しい女性だ。
「なんて格好で歩いているのよ。ねぇ、この腰布を使いなさいよ」
 騙されるものか。私が突き飛ばすと、女は化け物じみた老婆の姿へと変わった。
 女の正体は悪霊や魔女たちを支配する恐ろしい女王ランダだったのだ。
 媚薬のことを訪ねると「欲しければ腕づくで取りな」と小瓶を取り出して挑発してくる。しかし女は口汚く罵るものの、こちらを攻撃してこない。驚いた事に村の男達の言っていた話しは本当だったようだ。ランダは勇者の剣を持っていた私を怖がっている。剣で威嚇しながら強引に媚薬を取り上げたが、魔女は呪いの言葉を吐きながら悔しがるだけだった。
 思ったより簡単に媚薬が手に入った。あとは元の世界に帰るだけだ。
 でもどうやって?
  

(これで終わるわけはないよなぁと思いつつ)続く


2005年04月18日(月) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その3

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。いったい、どこで眠っていたのだろう。頭がぼんやりしている。ああ、確か私は女の化け物に殺されてしまって。まったく変な夢を見たな。それにしても、なにかがチクチクと肌を刺すなぁ。なんだろう。もうそろそろ、いい加減に目を覚まさなくちゃ。
 私はまぶたを開いてみた。そして私は自分が、草でできた動物の巣のような場所に寝ているのに気がついた。チクチクするのも当たり前で、私は真っ裸だった。
 私は周囲を見回そうとして、ゴリラが傍で寝ているのに気がついた。
 な、なんだぁ。ここはいったい、どこだ。
 思わずうろたえてしまうが、頭のどこかでまたマンダラ郷の最初の場所へ戻ってきたと納得するところがあった。しかし、何が悲しくてゴリラと添い寝しなくちゃならんのだ。

 ゴリラの頭の上にバナナがあったが、食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。ふむ。バナナを諦めると棍棒が入手できるようだ。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。ここはどこなのだろう。ゴリラがいるからアフリカなのか。さきほど、カンガルーのような動物も見かけたのだが。それにこのジャングルはまるでニューギニアかアマゾンだ。
 いやいや、どれも違う。ここはやっぱりマンダラ郷なのだ。
 やがて、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はサルと答えてみる。
 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。なんだ、別にどんな答でも良かったのだろうか。
 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、男達は私を呼び止めた。
「待て。お前の仲間が迎えに来たようだ」
 男達の指差した方を見て、唖然とする。さっきのゴリラじゃないか。
 そうか、私もゴリラも同じサルがトーテムの者なのだ。ということは、2人がひとつ屋根の下で添い寝しても不思議ではない。(ひどい理屈だな)
 さあ、せっかくのお迎えだ。じたばたしないで巣に帰ろう。どうせゴリラはしっかりと私を掴んで放してくれない。パラグラフ1へ戻る。


(何が悲しくてゴリラと添い寝しなくちゃならんのだとシクシク泣きながら)続く


2005年04月17日(日) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その2

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。いったい、どこで眠っていたのだろう。頭がぼんやりしている。ああ、確か私は火炎地獄へと落ちてしまって。まったく変な夢を見たな。それにしても、なにかがチクチクと肌を刺すなぁ。なんだろう。もうそろそろ、いい加減に目を覚まさなくちゃ。
 私はまぶたを開いてみた。そして私は自分が、草でできた動物の巣のような場所に寝ているのに気がついた。チクチクするのも当たり前で、私は真っ裸だった。
 私は周囲を見回そうとして、ゴリラが傍で寝ているのに気がついた。
 な、なんだぁ。ここはいったい、どこだ。
 思わずうろたえてしまうが、頭のどこかでまたマンダラ郷の最初の場所へ戻ってきたと納得するところがあった。しかし、何が悲しくてゴリラと添い寝しなくちゃならんのだ。

 ゴリラの頭の上にバナナがあったので、ムシャムシャと食べて腹ごしらえをする。巣の奥に毛皮と紐らしきものがあったので、今度は無理にとろうとしてみるとこれが成功した。原始的だが毛皮の服を着込むと巣から抜け出すことにした。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。ここはどこなのだろう。ゴリラがいるからアフリカなのか。さきほど、カンガルーのような動物も見かけたのだが。それにこのジャングルはまるでニューギニアかアマゾンだ。
 いやいや、どれも違う。ここはやっぱりマンダラ郷なのだ。気が付くと、紐がほどけたのか服がずり落ちて、また真っ裸になっていた。やれやれ、意味がなかったな。
 やがて、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムだのなんだのと聞かれるのが煩わしいので、接近する前に道を外れることにする。
 しばらく歩いていると、若い女性が木からするすると降りて来た。健康的な浅黒い肌に、長い髪をアップにして、ヒスイの耳飾りや、金製の腕輪などで着飾った美しい女性だ。
「なんで裸で歩いているのよ。ねぇ、この腰布を使いなさいよ」
 おもわずデレデレしながら、女に腰布をつけてもらった。これがまたいけない。
 女のしなやかな腕が私の腰にしっかりと絡みついて、信じられない力で締め上げてきたのだ。もがいてももがいても解けない。やがて腰骨が折れる音と共に、私は意識を失った。パラグラフ235へ進む。

235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(すぐ死んじゃうゲームらしいな、とか考えながら)続く


2005年04月16日(土) 悪夢のマンダラ郷奇譚 その1

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)

 意識がだんだん戻ってくる。いったい、どこで眠っていたのだろう。頭がぼんやりしている。ああ、あの奇妙な仏像、阿弥陀様だったかな。阿弥陀様の誘いをうけてマンダラ郷へ向かうことにしたのだった。まったく変な夢を見たな。それにしても、なにかがチクチクと肌を刺すなぁ。なんだろう。もうそろそろ、いい加減に目を覚まさなくちゃ。
 私はまぶたを開いてみた。そして私は自分が、草でできた動物の巣のような場所に寝ているのに気がついた。チクチクするのも当たり前で、私は真っ裸だった。
 私は周囲を見回そうとして、ゴリラが傍で寝ているのに気がついた。
 な、なんだぁ。ここはいったい、どこだ。
 思わずうろたえてしまうが、頭のどこかでここがマンダラ郷だと納得するところがあった。しかし、何が悲しくてゴリラと添い寝しなくちゃならんのだ。

 ゴリラの頭の上にバナナがあったので、ムシャムシャと食べて腹ごしらえをする。巣の奥に毛皮と紐らしきものがあったが、無理にとろうとしてゴリラが目覚めると怖いので、真っ裸のまま巣から抜け出すことにした。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。ここはどこなのだろう。ゴリラがいるからアフリカなのか。さきほど、カンガルーのような動物も見かけたのだが。それにこのジャングルはまるでニューギニアかアマゾンだ。
 いやいや、どれも違う。ここはマンダラ郷なのだ。
 やがて、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。褐色の肌に腰蓑だけの姿で、顔には派手なペイントをしている。男達は私に声をかけた。
「止まれ。お前のトーテムはなんだ」
 トーテムとはなんだろう。私が何のことかと訪ねと男達はあきれたように口々に言った。
「おまえ、本当にトーテムがなにかも知らないのか」
「あの恐ろしい魔女のランダの仕業かな。気の毒に」
 一人だけ格好の違う、半ズボンにメガネの男が私に説明してくれる。
「いいかい、トーテムとは話すと長くなるから簡単にいうが、君の先祖がなにかということだ。蛇だの、鮫だの、極楽鳥だの、鷲だの人によっていろいろなトーテムがある。さあ、君のトーテムはなにか答えてくれ」
 適当に極楽鳥だと答えると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。よくわからないが、私の答えで正解だったようだ。
 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、男達は私を呼び止めた。
「待て。極楽鳥がトーテムの者とは、我ら鷲のトーテムの者と結婚することになっておるのだ」
 そんな勝手な。世界ウルルン滞在記の再会スペシャルでもあるまいし。しかし私も失恋したばかりだし、可愛い娘ならちょっといいかも。
「さあ、これから見合いをしよう。ほれ、あそこに控えておろうが」
 男達の指差した方を見て、唖然とする。本物の大鷲じゃないか。ばたばたと羽ばたいてグウッとか鳴いている。冗談じゃない。ここは辞退するよ。
「なかなか遠慮深いな。だがあいつはお前を気に入ったみたいだぞ」
 男達がそういうと同時に、大鷲は私の体を文字通りにワシ掴みにして、舞い上がりはじめた。 
 ちょっと待て待て待て待て。私はいったい、どうなるのだあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・。
 叫び声も虚しく、私は大鷲に掴まれたまま大空へ飛び立った。

 こうしてしばらくの間、大鷲と恐怖の遊覧飛行をしていた私だが、何か獲物でも見つけたのだろう。私は森の上空で大鷲から放り出されて、地面へと落下してしまった。
 痛たたたたたたた。たいした怪我もなかったから、良かったと思うべきだろうが、大変な目にあった。
 またあてもなく、とぼとぼと道を歩き始める。やがて、前方がだんだん熱くなってきたが、進路を変えずに歩き続けた。しかし、これがいけない。
 いつの間にか火炎地獄へとまっさかさまへと墜落していった・・・。
 パラグラフ235へ進む。

235

「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」
 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。
 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。


(しょっぱなからなんちゅう展開じゃ。と思いつつ)続く


2005年04月15日(金) 悪夢のマンダラ郷(鳥井加南子/祥伝社)

江戸川乱歩賞受賞作家!
鳥井加南子!
書き下ろし!

 以上の3つの単語が燦然と表紙カバーに煌くゲームブック。裏面にも江戸川乱歩賞受賞作家が書き下ろしたゲームノベル“悪夢シリーズの第二弾”と盛んに書きたてています。もうこれ以外には宣伝できる箇所はないと言わんばかりに。
 ゲームブックブーム当時もこのシリーズの存在は知っていましたが、怪しげでB級っぽい雰囲気に手を出していなかったのですが、ネットでは最高に面白いという意見もチラホラ見られるので一応読んでみました。
 でもねぇ。別に有名小説家が書いたからといって面白いゲームブックになるとは限らないし。あの鈴木直人だって、小説家ではなくプログラマー出身という噂だし。この作品の評判がいいのは物語の雰囲気が秀逸なのかも。私はどちらかというとゲーム性が優れている方が好みなんだけどなぁ。
 まあ、そんなことを思いつつ読んでみたわけですが・・・・・・すいません、なめていました!これは面白いです。久しぶりに本気で熱中して遊べるゲームブックを読みましたよ。

 ちょっとこの作品のストーリーとルールを説明しますと、主人公は日本に住むいかにもな一般人です。失恋して泣く泣く家路を歩いている情けない姿から物語は始まります。
 その途中でゴミ捨て場に置かれた阿弥陀様の仏像を拾ったのが運の尽き。阿弥陀様が主人公に語りかけたあげく、惚れ薬となる媚薬を手に入れることができるとそそのかされ、不思議な力で“悪夢のマンダラ郷”へと主人公は旅立ってしまうというストーリーです。
 ルールは最初に阿弥陀様の正真正銘のアミダクジを引いて、“運命数”という数値を決めます。続いて読んでいる日の日付を足して、“バイオリズム数”という数値が決まるのです。この作品にはサイコロなどのランダム要素がない為に、これが所持品以外では戦闘や行動の成否に影響する唯一にして重要な数値となります。運命数はゲーム中は変化しませんが、バイオリズム数は日付によって変わるわけで、明日読んだらまた違う展開にもなるという少し変わったシステムです。
 他にも所持品や入手した情報のメモが必要ですが、そう覚える量もないので暗記でも楽しめると思います。見方によっては、必要最小限のルールで展開の変化も楽しめるという、とても優れたルールじゃないかと思います。

 それにしても、この悪夢のマンダラ郷がもう滅茶苦茶に統一感のない世界でして、スタートからどこかのジャングルに放り出されたかと思うと、中国にあるような山岳を越え、氷に覆われた海をわたり、イスラム風の町へたどりつき、エジプトの遺跡地帯をこえ、今度は熱帯の海を潜水して・・・と世界中の場所が一箇所にごった煮になっているのですね。登場人物も首刈り族から仙人から女神から、謎のチェーンソー男から、考古学博士から、工事現場のおっちゃんまで登場、実にバラエティー豊かで混沌としています。
 一言で言うと何に例えたらいいのかな。“不思議の国のアリス”ならぬ、“不気味の国のキミ”というところ。主人公はこの奇妙な世界をひたすら脱出するためにただたださ迷うという印象です。
 いつ内容が破綻してもおかしくない設定なのに、妙に読者を引き込む魅力があるのは、江戸川乱歩賞受賞作家の名に恥じずに、しっかりした文章を書いているからでしょうか。文章って大事なんだな、とこの作品を読んでいてしみじみ感じました。もちろん全体にただようユーモアのおかげもあるかと思います。

 このゲームは基本的に一方向システムですが、ゲームをクリアするために必要な正解ルートはほぼ完全な一本道です。ヒントはあるのですが、最初からクリアできる可能性は皆無でしょう。正解ルートを見つけ出すのがゲームの目的のようなもので、そういう意味ではリビングストン作品などに近いかも。
 この作品が素晴らしいと思うのは、ゲームオーバーになるのもまた面白いということ。先程もいったように、この世界をさ迷うだけでも面白いから、苦にならないのです。
 また、選ぶとクリアが不可能になるという選択肢の先でしか入手できない情報もあるので、初めから繰り返しプレイを前提としているのは明々白々です。正解ルートはガチガチな一本道ですが、何度も繰り返して攻略していくという意味では、かなり自由度が高く遊べると思います。
 はまりにならないように徐々に正解ルートがわかっていくようなヒント配置や、簡潔なルールや所持品管理が最大限効果的に使われている点は、よく練られているなと感心。
 それから、死ぬと阿弥陀様が現れてぼやきながらパラグラフ1へ戻してくれるところがブレナン作品の「14へ行け」を連想してしまうのです。脱力ものの展開で死んでしまったりするところなんかに、また苦笑。
 この作品をゲームブックの最高峰という人がいるのもわかる気がするなぁ。ストーリーは適当でも、簡潔なルールで、ブレナン作品風のユーモアと、日本人作品風のキッチリしたゲームバランスを表現しているのだから最強です。
 ルールも簡単ですし、本書を入手できる機会があるかたは是非お試しあれ。


2005年04月14日(木) 意外と読まれていた

 先日、ゲームブック作家だったある方からメールが届きました。
 冒険記録日誌にその方の作品について、感想を書いていたのを読まれたそうです。私がその作品を気に入っていたことに対するお礼のメールだそうで、いやぁ恐縮です。そういう反応があると、日記を書いているかいがありますね。ありがとうございます。
 実はその数日前に、別のゲームブック作家だった方がHPを開いていることを発見したのですが、そのHPから冒険記録日誌のその方の作品の感想を書いたページへリンクが貼られているのを発見して、驚いたばっかりだったんですね。
 ネットの片隅に存在するつもりの冒険記録日誌でも、案外見られているものらしいです。やはりゲームブックサイト界は狭いということですな。
 もしかすると閲覧しただけなら、もっと多くの作者の方がこの日記を見ていたのかも。げげっ、中には辛口なことを書いた作品もあるんだよなぁ・・・。
 見られているかもしれないので、一応ここで言っておきます。冒険記録日誌に取り上げる作品は、基本的に私の好きなゲームブックだけです。批判や嫌ごとを書くのは私の趣味ではないので、まったく愛着のない作品についてわざわざ日記に書きたいとは思いません。
 どこかに何らかの面白さを感じているからこそ、その作品を話題にしているので、その中で不満に思ったことは正直に書いているスタンスとご理解ください。
 そんなわけで、ゲームブック作家の方。私の感想の感想や、ゲームブック製作の当時の裏話などがありましたらメールでも掲示板でもいつでもウェルカムよ。(笑)


2005年04月13日(水) がはは ヒカルゲンジ物語(辻真先・夢かなえ/くもん出版)

 双葉のペパーミントゲームブックみたいな少女向けの作品が遊びたくなったので、ヤフオクで落として入手したのですが、字が大きくて平仮名の多い文章といい、ポップなイラストといい、合間合間に入っている星占いコーナーといい、良くも悪くもいかにも小学生の女の子向きという内容でした。
 現代人の女の子の精神が平安時代のヒカルゲンジの体に乗り移ってしまい、元の世界に戻るために怨霊退治をするというお話しですが、その内容が軽い。
 登場人物がジャニーズの光GENJIにそっくりだったり、超刺激キャンデー“シーパーパー”が怨霊退治の武器になったり、主人公と同じく現代から平安時代に迷い込んだ四村県(しむらあがた)というキャラがまともに志村ケンのバカ殿様だったり、サンマや山田邦子みたいなキャラも登場して、当時の流行り物のゲームブックに、同じく当時の流行り物を全てぶち込んで平安時代を舞台に無理矢理料理しましたといった感じです。
 それにしても平安時代で出会う紫式部が、「今年のアクタモリ賞は私のものよ。ロマンスグレーの審査員がパーティ会場で私の名前を呼ぶの」なんて普通言うか?水晶球の中に写る帝が「みずがめ座の守護神ウラーヌスに向かってお祈りするのだよ」なんて普通言うか?とにかくこの作品に時代考証というものはまったく眼中にないようです。
 ゲームルールとしては5つの宝玉を入手したかのチェックのみでとても簡単。最後の怨霊との戦いでバッドエンドになる可能性はありますが、基本的にだれでも児童書でも読んでいるかのようにスラスラとエンディングまでいけるとは思います。

 同じ平安ゲームブックならペパーミントの「薫の君によろしく! DOKIDOKI平安京ストーリー」の方が時代考証やゲームシステムが上と思うのですが(ペパーミントの方も、まだましというくらいのレベルですが)、本書は本屋でも女の子の星占いやおまじないコーナーあたりで売っていたのかな、という気もしますので比べることは無意味かもしれません。
 余談ですが最初の方のページを見ると宝玉のチェック欄があって、そこに鉛筆と消しゴムで何度も書いたり消したりした後がありました。この本を読んだ人(たぶん小さい女の子)が一生懸命に読んでいた姿を想像して微笑ましい気分になります。当時のゲームブックの人気と浸透ぶりを改めて感じることができましたね。


2005年04月12日(火) 花見の席取り(奥谷道草/白夜書房)

 クロスワードランド2005年5月号のはみ出しゲームです。
 今月もはみ出しゲームらしく日常的な話題をテーマにしています。
 自分の花見シートを広げる陣地を広げる為に、行方不明の少年を捜したり、お団子を買ってきたりと、シートを引いて花見をしている人々の間を右往左往する内容となっています。各シートが部屋みたいな役割になっている迷路ゲームといったところでしょうか。
 先月号とは対照的にそれほど捻ったシステムはないのですが、簡単というわけでもなく、ビールや酒を強制的に飲まされる場所が何箇所もあって、3回のんだらゲームオーバーというルールが結構難しい。最初は酔いつぶれてやり直すのを覚悟でひととおりマッピングをしてから、再スタートしなければクリアできないでしょう。
 でも案外この作品の楽しみ方は花見をしている人々を眺めることかも。和服を着て静かに桜を眺める人がいれば、空飛ぶ絨毯の販売をしているアラブ人まで多種多様でクスッと笑える雰囲気があります。
 こゲームはクリアにかかった時間によって最後のコメントが違うのですが、私は小刻みに時間の合間で遊んだので、どのくらい時間がかかったのやらよくわかりませんでした。でも1時間半はこえたかな。
 まあ、いずれにせよそんなこと気にしなくてもいいような、ほのぼのした結末なのでご安心を。あーー、本当の花見にも行きたいなーーー。


2005年04月11日(月) 注文の怖い料理店 その10

*原体力点まで回復した*
 
 素晴らしい。君こそ真のゲームブック勇者だ!
 お土産の包みを開けてみると、タイタングルメ3点セットが入っていた。
 珍味として人気のある“棘々獣の肝臓のからし漬”に、食後の体力の回復量が倍になる“ボンバの実”。
 しかしきわめつけは真空パックで閉じられたレトルトの“帝王のスープ”だろう。
 これを暖めて飲むと、君の身体は大きくなり支配者たる貫禄がつく。君は奈落の帝王として、宇宙に及ぶ神々自身をも巻き込んだ冒険に旅立つことすらできるのだ・・・。


*原体力点までいかなかったが、最初の体力点よりは多い*

 君は十分にレストランの料理を堪能できたようだ。
 お土産の中身は、鈴木直人グルメ3点セットが入っていた。
 原体力の増える“ニ人静草”、レトルトパックの“ソーサリーカレー”、火界の魔法でじっくり焦がした“ミツユビオニトカゲの黒焼き”だ。


*最初の体力点とぴったり同じ*

 ある意味では貴重な成績だ。お土産の中身は二見ゲームブックグルメ3点セットになっていた。
 麻薬として高価な“水を呼ぶ木の種””、恐竜の化石の入った“竜の骨の粉末を入れたお茶”、「お願い……このまま、やさしく抱いていて……」と君にささやきかける“首なし七面鳥だ。


*最初の体力点よりも下がっている*

 料理はお気に召さなかったかな?ともあれ、こうして生き残っているだけでも、君はよくやったではないか。
 お土産の中身は双葉ゲームブックグルメ3点セットになっていた。
 ハンバーガーショップモモドナルド特製の“なめこバーガー”。服用すると下痢を起こす効能のある“タカムラアルファ”。みずみずしくてとうがらしの味がする“真っ赤なリンゴ”だ。



(シーン11:お別れ)
 たけたろうでございます。ここまでたどり着いたあなた様に感謝いたします。さらに最後のお土産の出典までが全てわかるようでしたら、あなた様は真のゲームブック勇者を超えて“マニア”の称号を差し上げたいと思います。
 では今後とも皆様に満足していただけるように当レストランは精進してまいります。もし皆様から新メニューの提案があるようでしたら、是非メールなどで連絡をお願いします。
 それでは再び皆様をご招待できる日を夢見ながら、失礼いたします・・・。


2005年04月10日(日) 注文の怖い料理店 その9

*ブリムベリーの絞り汁*

 うわっ、臭い!
 カップから漂う強烈な臭気に君は思わず顔をそむける。とても食用とは思えない!
 だが、ブリムベリーは薬草として重宝されているのだ。これを飲んだ君は体力点を3増やすことができる。
<出典:ソーサリーより>


*ミノタウロスの角に入れられた雄牛の血*

 君は覚悟を決めて血を口につけてみた。意外にもワインのような味がする。
 いっきに飲み干すと体中が強化されたような気がした。古傷もいやされ、傷口がぴったりと閉じていく。
 体力点を10増やす。
<出典:シャドー砦の魔王より>


*老魔道師ティグルワイズお手製のマンドレイクの煎じ汁入りコーヒー*

 これは緋色の塔にすむ老魔道師ティグルワイズ自身も愛飲しているものだ。
 猫妖精などには猛毒だが、人間には長寿の薬となる。
 おかげで原体力点を2増やすことができる。
<出典:ネバーランドシリーズより>


*雷ミカン、蓮磁ブドウ、行灯イチゴを調合して作った金丹*

 カップに入っているのは琥珀色の美しい液体だった。えもいわれぬ甘い香りが鼻をくすぐる。
 あなたはたまらなくなってすぐに口をつける。何という美味だろう。五臓六腑に染みわたるとはこのことだ。身体じゅうが聖なる光に包まれ、指先までも暖かい。
 この金丹の効能により魔力点を原点まで戻すことができる。なに?魔力点がないのか。それは残念だ。
<出典:パンタクルより>



(シーン10:お土産)
 長かった食事もやっと終わった。
 君は席から立つとレストランの出口に向かう。扉の前でたけたろうは、またまた丁寧にお辞儀をした。
「当店をご利用いただき本当にありがとうございました。当レストランでは、成績に応じてささやかなお土産をサービスすることになっています。どうぞお受け取り下さい」
 お土産か、いったいなんだろう。君は包みを受け取ると、家に戻ってからゆっくりと開けることにした。
 さて、君の体力点は現在どうなっているのだ?

・原体力点まで回復した
・原体力点までいかなかったが、最初の体力点よりは多い
・最初の体力点とぴったり同じ
・最初の体力点よりも下がっている

続く


2005年04月09日(土) 注文の怖い料理店 その8

*猫仙人が生やした缶詰の木にたわわに実る缶詰*

 缶詰を開けると、コンビーフみたいにブヨブヨした塊が出てきた。
 君は食べようとしたが・・・
「それをよこすニャン!」
 ふいに、背後から頭にハチマキをして太ったしましまネコが君に飛びついた。君は慌てて振り払う。何者だと問い掛けると、デブネコは胸をはって答えた。
「ネコマンチェロシスト343世。通称、ねこまんまのポチだニャ。その缶詰が食べたいニャン」
「ポチさん!お客様の食事を邪魔をしないで下さい」
 なおも食い下がろうとするポチを、たけたろうが大きな虫取り網ですくい上げる。
 ジタバタと暴れるポチを尻目に、君はスプーンですくって食べてみる。薄味ではあるが、まったりとして、それでいてあっさりとしつこくない。いろんな肉や魚や野菜が混ぜられているようで、栄養価は高そうだ。体力点を2増やす。
 たけたろうはポチを必死に説得しているようだ。
「食わせるニャン!食わせるニャン!」
「おとなしくして下さい、ポチさん。後でお客様のと同じキャットフードの缶詰を差し上げますから」
 それを聞いて君はぶほっ、と食べたばかりのものをふき出してしまった。体力点を2減らす。
<出典:ねこまんまの大逆転より>


*都の料亭でも出される皮までしゃぶるほど美味いスイカ*

 看板に偽りはなく、スイカは本当に甘くて美味だった。君はガツガツとスイカを食べ尽くすと、最後に汁のついた口を手でぬぐう。
 しばらくすると、急に腹がキリキリと傷み始めた。あまりの苦痛に目がより目になって、身がよじれそうになる。唸り声をあげて君は恐ろしい痛みに絶えようとするが、たまらず胃をかきむしり身を二つに折ってしまう。やがて君は床に崩れ落ち苦しみ抜いて死んだ。
 君はなんておろかな選択をしたのだ。さっき、キノコの天ぷらを食べたのを忘れたのか?これはゲームブック以前の常識だぞ。
 昔から「天ぷらとスイカは食い合わせが悪い」というだろうが!
END

 ただし、君がワートルスープを飲んで発疹ができてしまっていた場合、もしくは毒キノコを吐き出していた場合は、天ぷらを食べていないので影響はない。
 君は満足のゲップをして、体力点を5増やす。
<出典:桃太郎伝説 愛と勇気のオニ退治より>


*山盛りの温泉タマゴ*

 たけたろうは湯気の立つ山ほどの温泉タマゴを盛った大皿をテーブルに置くと、いったん退席した。君は一人になったが、気にせずに食べる。
 温泉タマゴはトロリとした黄身がまた格別だ。2つほども食べると、君は満足したのだが・・・。
「た・べ・て(はぁと)」
 残ったタマゴの山から声が聞こえたので、君は驚く。沢山あるタマゴたち自身が喋っているのだ。
「うっふん。わたしたち、あなたに食べられたいの」
「ねえ、わたしをたべて」
「たべて」
「たべて」
 いつのまにか君は周囲を、タマゴたちに包囲されている。君はもう十分に食べたと言ったが、その包囲網はじりじりと徐々に狭くなってきていた。
「いやんいやん、嫌わないで」
 ぶるぶると体を震わして、しがみついてくるタマゴたち。無理矢理口の中に入ろうとしてくる。こうなったら食べるしかない!君は剣のかわりに味塩の瓶を振りかざしてタマゴたちと対峙する。

 温泉タマゴ1つにつきサイコロを2個、タマゴは16個あるので合計16回(!)振ること。また超合金の入れ歯をはめて食べるなら、サイコロの目を1つ減らすことができる。
 サイコロの目が1〜9なら普通に食べられる。
 サイコロの目が10か11の場合、気持ち悪くなって吐く。体力点を2引くこと。
 サイコロの目が12の場合、喉につまるので運試しをしなくてはならない。吉がでたら君は無事にタマゴを飲み込めるが、凶がでたら君は窒息してしまう。END

 無事に食べ終えたら、タマゴの栄養で体力点を4点増やせる。
<出典:魔界横断ドラゴンラリー 栄光への戦いより>


*ヒモでしばって形を整えた金箔入りの緊縛ヨウカン*

 このヨウカンは菓子職人の人間国宝、寅屋練衛門(とらやねりえもん)の手で作られた一級品だ。金箔の美しさが素晴らしい。
 ヨウカンを縛り上げているヒモを君は摘み上げる。
・・・・・・なんとなく縛り方がエッチだ。
 食べてみると、身がしまっていてなんともいえず旨い。体力点を3増やす。

(ただし君が現実に虫歯の人間だったなら)
 君の奥歯に激痛が走った!
 C4度の虫歯に甘〜いヨウカンがはさまったのだ。思わず涙ぐんでしまう。
 ここでは体力点は増えず、逆に1点引くこと。

<出典:桃太郎電光石火 00モモ危機一髪より>



(シーン8:お茶)
 たけたろうが丁寧にお辞儀をしながら君に告げる。
「ご満足いただけましたでしょうか。これでコース料理は終わりです。食後のお飲み物の注文をお願います」
 戦いは終わった。君は軽い感動を覚えながら最後の注文をする。

・ブリムベリーの絞り汁
・ミノタウロスの角に入れられた雄牛の血
・老魔道師ティグルワイズお手製のマンドレイクの煎じ汁入りコーヒー
・雷ミカン、蓮磁ブドウ、行灯イチゴを調合して作った金丹

続く


2005年04月08日(金) 注文の怖い料理店 その7

*バルサスの要塞の食料庫から出してきた肉*

 でかいステーキがドンとテーブルに出された。
 肉にかぶりつくと同時に、かすかな苦痛のうめきが聞こえた。あたりを見回すが、すました顔をしたたけたろうを除けば近くには誰もいない。
 気のせいだろうか。
 気を取り直して、君は再び肉を食べ始める。焼き加減はレアに近いが、なかなかうまい。
 突然、肉が皿から飛び上がった。そして苦痛に身をよじるように蠢きはじめるではないか。
 腹にずきんと痛みが走る。君の食べた肉が体から出てこようと戦っているのだ!
 サイコロを2個振って技術点と比べよ。技術点と同じかそれ以下の目なら影響はないが、もし技術点以上の目だったら体力点を2点引くこと。
 肉が完全に消化できるまでにこれを3回繰り返すこと。これで3回ともダメージを負ったら、君は胃袋に致命的な一撃を受けてしまう。(ミツユビオニトカゲを食べていないかぎり)END
 もし超合金の入れ歯をつけていたら、君が噛み砕いた際に肉はダメージを受けて弱っている。サイコロの目から2点減らして判定することができる。
<出典:バルサスの要塞より>


*ドラキュラ城の貯蔵庫から出してきたソーセージ*

 皿の上でとてつもなく長いソーセージが、くねくねと動いていた。
 そして君の前に近づくと、蛇のように襲い掛かってきた。

ソーセージ  技術点6  体力点12
特徴:ソーセージの攻撃のときにサイコロの目が12だったら、君の首に絡み付いて一瞬で絞め殺す。

 倒すと、ソーセージはピクピクと痙攣していたが、やがて動かなくなる。運点に2点を加えること。
 ソーセージは、食べると体力点を5増やすことができる。食欲はわくかどうかは知らないが。
<出典:ドラキャラ城の血闘より>


*未知の巨大高地にいた生きの良い恐竜*

 のっしのっしと中型の恐竜が歩いてこちらにやってきた。
 生きが良すぎる!とたけたろうに何度目かの抗議をしたが、返ってきたのは「草食恐竜ですから美味しいですよ」とトンチンカンな答えだ。
 ある程度の覚悟はできていたが、恐竜は君に突進してくる!

アンキロザウルス  技術点9  体力点11

 倒したらたけたろうが肉を切って焼いてくれる。確かになかなか美味い。体力点を4増やす。運点も2増やしていい。
 肉はまだまだ残っているので、たけたろうが残りの肉をお土産に包んでくれる。
<出典:ロストワールドから脱出より>


*ドルアーガの塔に棲息するバグラネズミのミンチ*

 たけたろうが申し訳なさそうに言う。
「すいません。バグラネズミのミンチは品切れでして・・・、またの機会にして下さい」
 君はたけたろうの胸ぐらを掴んで「こっちは10年以上前から、待っているんだよ。あん?」と凄む。
 思わぬ君の気迫に、たけたろうはぶるぶると震え出して、ネズミ捕りを仕掛けてきます!と部屋を飛び出していった。
 運試しをせよ。

 凶なら・・・材料のバグラネズミは捕まらない。お詫びにとたけたろうが“犬ステーキ”を代わりに出してくれる。これを遠慮するなら、君は“魔の罠の都こんぶ”をしゃぶって(体力点+1)肉料理を我慢することになる。
 “犬ステーキ”を食べる覚悟があるならずっと画面下へ移動して効能を確認すること。

 吉なら・・・バグラネズミが捕まる!ミンチにして皿に盛られたバグラネズミを君は感動とともにゆっくりと味わう。味は・・・う〜ん。バグラネズミの味だ。ネズミの頭が見えるのもエグイが、グミみたいな半端な弾力と生っぽさがたまらない。
 まずいので、体力点を2点引くこと。もし君が鈴木直人ファンならそれでも貴重なものを食べたという自己満足により運点を2点増やすこと。

<出典:ドルアーガの塔より>



(シーン7:デザート)
 そろそろ食事も終盤に差しかかったようだ。今度のメニューは双葉ゲームブックで見かけたようなデザートばかりになっていた。
 缶詰や温泉タマゴがデザートというのは、疑問なのだが・・・。

・猫仙人が生やした缶詰の木にたわわに実る缶詰
・都の料亭でも出される皮までしゃぶるほど美味いスイカ
・山盛りの温泉タマゴ
・ヒモでしばって形を整えた金箔入りの緊縛ヨウカン


続く























*犬ステーキ*
「違います!犬ステーキじゃありません」
 たけたろうがメニュー表のうえで手をはらうと、ハエが飛んでいく。“犬ステーキ”は、“大ステーキ”へと変わった。
 登場したステーキはちゃんとした牛肉でうまかった。君は久しぶりのマトモな食事を堪能する。
 体力点を5増やすこと。
<出典:パンタクル2より>


2005年04月07日(木) 注文の怖い料理店 その6

*森に生えていたという、かさが平べったい黄色のキノコ*

 天ぷらになったキノコからは臭い匂いがするが君は我慢して口にいれる。
 そんなにうまくないが・・・・・・と思っていると、出し抜けに燃えるような感覚が喉を走り、首の神経を通じて脳まで達するかに思えた。
 君は口の中に指をつっこんで吐き出そうとする。運試しをせよ。
 吉なら君はキノコを吐き出すことができ、命拾いをする。失点は特にない。
 凶なら毒が身体中にまわって一巻の終わりだ。
<出典:吸血鬼の洞窟より>


*牢獄に生えていたという、色も鮮やかな赤く小さいキノコ*

 君は一口でキノコの天ぷらを食べる。
 原体力ポイントを2増やすこと。このキノコは有益なものだった。
 ただ、このゲームは食事の終了までに、体力を原点まで増やすことが目的なので、ありがた迷惑な気がしないでもない。
<出典:ドルアーガの塔より>


*洞窟に生えていたという、緑色のかさをもつキノコ*

 キノコの天ぷらはとてもおいしく体力が充実してくる。
 体力点を4増やす。
<出典:運命の森より>


*通路に生えていたという、ピンクのかさをもつ大きなキノコ*

 キノコは水分を多く含んでいるようで、つるんと柔らかいかさは舌で転がすだけでぐずぐずと崩れて口の中に広がった。コクがあって質の良い肉料理を食べているかのような錯覚さえ覚えるほど満足できる味だ。
 キノコの天ぷらを食べ終わると、体の芯が熱くたぎってくるのを感じた。おもわずうずくまる君にキノコの作用が現れた。体力点を3減らすこと。そのかわり君の魔力点が4点アップする。
 なに?魔力点がないのか。それは残念だ。
<出典:竜の血を継ぐ者より>



(シーン6:肉料理)
「いよいよ、本日のメイン、肉料理でございます!」
 たけたろうはうやうやしくメニューを広げたが、食欲をそそるものはなかった。

・バルサスの要塞の食料庫から出してきた肉
・ドラキュラ城の貯蔵庫から出してきたソーセージ
・未知の巨大高地にいた生きの良い恐竜
・ドルアーガの塔に棲息するバグラネズミのミンチ

続く


2005年04月06日(水) 注文の怖い料理店 その5

*バグランド地方のワートルスープ*

 黒エルフのコックが灰白色のスープを持ってきた。
 中身は野菜スープで温かい。味わってみると力がついてくる感じだ。体力ポイントを2増やす。
 ただ、このスープはときとして不思議な効果を及ぼすこともある。サイコロを1つふること。

1〜5なら 特に何も影響はなし

6なら
 体がほてって、あちこちがヒリヒリしてきた。
 ついには体中に赤い発疹ができてしまったではないか。
「普通のアレルギーみたいなものですよ。すぐに元どおりになります」
 と、すましてたけたろう。本当に客商売なのだろうか?
 とはいえ、あまりに君の苦しそうな様子に見かねたのか、たけたろうは簡易ベットを用意してくれた。
「発疹がひくまで、しばらくお休みになってください。次の料理は中止したほうが宜しいでしょうね。メインディッシュはその次ですから安心して下さい」
 残念ながら君は次のキノコ料理を食べられない。(もちろん選ぶ事もできない)

<出典:ソーサリーより>


*ニューバーグ地方の羊肉シチュー*

 おどおどしたノームが陶器の器を持ってきて、そっと君のテーブルに置く。
 中はこってりした肉のシチューで、たいそう美味だ。
 君はあっという間に平らげる。体力点を4増やすこと。
<出典:ナイトメアキャッスルより>


*サグラフ訓練場のボビットシチュー*

 罰当たりめ。ボビットシチューは名前のとおり、ボビットの肉を入れたシチューだぞ。
 それを君は知ってか知らずか、ガツガツとむさぼった。シチューは喉を焼くほど熱かったが味は最高だった。
 体力点を5増やす。
 しかしこのスープの問題は肉の事ではなく、シチューに“操り草”が混ぜられていることだ。
 サイコロを2個振って技術点と比べよ。技術点と同じかそれ以下なら影響はない。
 もし技術点以上の目だったら、君は当分このレストランで下働きをすることになる。ひどいレストランだ。(死んだわけではないので、今回はミツユビオニトカゲも無効だ)
END
<出典:モンスター誕生より>


*八幡國風のお粥*

 みすぼらしい中年の女が熱いお粥を持ってきた。
 へんな女だ。寒いのか顎が震えていて、歯がカタカタとカスタネットのように鳴っている。
 運試しをせよ。
 吉なら女はカタカタ歯を鳴らしながらも粥を置いて立ち去る。
 お粥は質素だったが、普通にうまい。こんなレストランでは、胃にやさしい食べ物の方がありがたいかも。体力点を1増やす。
 凶なら・・・。
 突如として女の首が体から離れて飛び上がった。宙を舞いながら、君に噛み付こうとカタカタと歯を鳴らしつづける。戦うしかない。

ろくろ首 技術点8 体力点8

 食べ終わったら粥を食べられる。勝利を祝って運点を2増やしていい。
 体力点も1増やす。

<出典:サムライの剣より>



(シーン5:キノコ料理)
 たけたろうは4種類のキノコの山を差し出した。
「次はキノコ料理です。どれか一つお選び下さい。それを天ぷらにしてお出しいたします」
 キノコなんてどれが安全だか区別がつくものか!と君は抗議すると、たけたろうはニッコリ笑って答えた。
「ゲームブック勇者たるもの、冒険中に見知らぬ薬品などを飲んでみるのは日常茶飯事ではないでしょうか?」
 うーむ、反論できない。しょうがないので選んでみるか。

・森に生えていたという、かさが平べったい黄色のキノコ
・牢獄に生えていたという、色も鮮やかな赤く小さいキノコ
・洞窟に生えていたという、緑色のかさをもつキノコ
・通路に生えていたという、ピンクのかさをもつ大きなキノコ

続く


2005年04月05日(火) 注文の怖い料理店 その4

*真の楽師の琴による演奏会*

 するするとカーテンが開くと、そこには頭にターバンを巻いて物静かそうな男が座っていた。男は、無言のまま軽く会釈をすると、琴に指をかける。
 琴から独特の旋律が聞こえ始めたとたん、君にはその演奏に魔法の力を感じ取った。
 吟遊詩人がどんな旋律を弾くか、サイコロを1つ振って決めよ。

1か2なら.
 流れてきた曲は“和解の旋律”だ。とても美しいしらべに君はうっとりとする。心身ともに癒されるようだ。体力点を4増やす。
 曲が終わる頃には、君の頬に涙がつたい落ちていた・・・。

3か4なら.
 不思議な曲だ。たけたろうの説明によると“魔よけの旋律”というらしい。
 この曲には魔法的な影響を取り除く力がある。
 もし君が“無秩序の霊薬”や“ミュータントミートボール”を食べていた場合、これらの影響は取り除かれ、食する前の状態に戻る。もちろん良い影響についても同じだ。
 それ以外については何の影響もない。

5か6なら.
 力強く響きわたる旋律に、君の気持ちは活気に満ちてきた。演奏は“戦いの旋律”だ。
「闘志に沸き立つお客様には、特別サービスです!」
 たけたろうが宣言すると、スポットライトがレストランホールの入り口に当たった。そちらを見ると、眩しいライトの光に当たりながら熊のような大男が入場してくるではないか。上半身は裸で覆面レスラーのような格好をして、ぶるぶると筋肉質の体を動かし武者震いをしている。
「ア・ニ・マ・ル!ア・ニ・マ・ル!ア・ニ・マ・ル!」
 何人もの野次馬達が、覆面レスラーの名前を連呼しながら囃したてる。こいつら、いつのまに登場したのだ?
 アニマルが怒れる雄牛のごとく君に突進してくる。しかし君も戦いの旋律によって一時的に力強くなっている。この戦闘に限り、自分のサイコロの目に2つ足してよい。

アニマル 技術点11 体力点16

 勝てば勝利を祝して運点を原点まで戻していい。野次馬達は立ち去っていき、何事もなかったかのように食事は続けられる。
<出典:展覧会の絵より(少しフリーウェイの戦士より)>


*詩的魔人による詩の朗読会*

 ジャーーーン、とシンバルが鳴るとカーテンがさっと開いた。
 真っ白な肌に、燕尾服に白いネクタイ、その上にオぺラコートを着込んだいでたちの魔人が登場した。二本の牙がにゅっと不気味に生えている。
 魔人はシャイクスピアを演じる役者のように歩き始め、朗々と歌い始めた。

白ワインで酔おう

肉団子を味わおう

美味しく食べる

ソーセージを殴る

食事をたのしもう

羊肉をたのもう

素晴らしき幸運を求め

グロイスターを噛め

コース料理をおかわり

余の素晴らしき歌でもうひとまわり

 なんとひどい詩だ!思わず君は顔をしかめようとしたが、歌い終わった魔人が君の顔をじっと見つめているのに気がついた。
「どうかな。余の美しい詩は」
 魔人を賛辞し褒め称える気なら、右下の投票ボタンを押して感嘆の一票を贈ってやれ。魔人は喜んで、贈り物として“超合金の入れ歯”を君にくれるぞ。
 正直に貶すなら、君は首筋をカプリと噛まれてあの世行きだ。END
<出典:暗黒城の魔術師より>


*マイケル・ブラックソンのコンサート*

 カーテンから、アォ!などと意味不明の奇声をあげながら、細身の男が飛び出して、カクカクと後ろ歩きをするなど奇妙なパーフォーマンスを繰り広げ、おもむろに歌い始めた。1ダース程のソンビ達が背後で一緒に踊っている。
 幽霊と食人鬼をテーマに歌った「ウィラー」という曲だ。タイタンシティで大ヒットしたそうだが、テーマがテーマだけに食事中に聞くような曲ではない。ソンビから漂う腐臭もたまらない。
 食欲がなくなったので、体力点を1減らす。
<出典:サイボークを倒せより>


*骸骨達によるオーケストラの演奏会*

 カーテンが開くと、タキシードで正装した骸骨達が、ずらりと控えていた。
 中央の骸骨が指揮棒をあげると、クラシカルで素晴らしい演奏が始まった。
 君は食事をするのも忘れてずっと聞き惚れた。
「ご満足いただけましたか?合図をいただければ曲を終了させます」
 たけたろうが尋ねるが、君は夢中で聞くあまり返事をする気力もない。君が正常だったなら、たけたろうの耳に耳栓が詰まっていたのに気が付いただろう。
 演奏は君が魅了されたまま餓死するまで延々と続けられることとなった。
END
<出典:吸血鬼の洞窟より>



(シーン4:スープ)
 たけたろうがスープのメニューをもってきた。
 ネバーランドにある美味そうなシチューなどを期待したのだが、メニューにあるのは、どれもタイタンの世界にある怪しげなスープばかりだ。
 お勧めメニューの“魔女のドリー姉妹の作ったスープ”なんてとても食べる気になれないぞ。
 比較的安全と思えるメニューを4つ見つけ出す。

・バグランド地方のワートルスープ
・ニューバーグ地方の羊肉シチュー
・サグラフ訓練場のボビットシチュー
・八幡國風のお粥

続く


2005年04月04日(月) 注文の怖い料理店 その3

*マスクマンが作ったトカゲのから揚げ*

 喜びたまえ!トカゲは驚異的な再生力で有名なミツユビオニトカゲだ。
 ウロコが喉に引っ掛かって食べにくいが、鳥肉のような味で食べられないこともない。
 ミツユビオニトカゲを食べたことを覚えておくこと。体力点は増えないが、君には強力な特典がついた。今後ENDになっても、一度だけミツユビオニトカゲの薬効のおかげで生き返ることができ(復活時の体力値は原体力の半分、端数切捨て)、そのまま先に進めることが出来る。
<出典:ドルアーガの塔より>


*女ボブコブリンが作った肉団子*

 喜びたまえ!技術点と体力点を原点までもどしていい。
 肉団子を食べると体が暖かくなって、筋肉がついてくるようだ。
 この肉団子はミュータントミートボールという、スローベンの薬剤師がつくった食べ物だ。これを食べた生き物は体になんらかの突然変異を起こすという・・・。
 サイコロを一つ振って、その薬効を確かめよ。

1.君の背はみるみる縮んでボビットほどの大きさになった。原体力と体力点を2点づつ減らすこと。
2.君の頭にウロコが生え、形が変形してトカゲのようになった。トカゲの舌では料理が少々食べにくいが、他に影響はない。まあ気にするな。
3.髪の毛が抜けていく。背中が曲り硬質化して甲羅のようになる。しばらくすると君は河童のような姿になった。今後戦闘でダメージを受けたとき、サイコロを一つ振れ。偶数ならダメージは1点ですむ。
4.奇跡だ。君には生まれながらの免疫があるらしく、なんの変化も起きなかった。
5.君の腕が細く、ぐにゃりとなり、まるで触手のようになった。今後剣はつかえないが、代わって触手がムチのような武器となる。原技術点と技術点から2点引け。
6.君の脳みそが変質してマンギーの頭脳となってしまった。END

<出典:ソーサリーより>


*ノームが作った蚊と小麦粉で練った饅頭*

 これは蚊饅頭だ。土竜の大好物だが、人間の食用ではない。
 食べると腹がシクシクと傷んできた。
 体力点を2減らす。
<出典:ネバーランドシリーズより>


*青白い親父が作った地中海風冬眠ガマガエルのドングリ煮込み・クリームかけ*

 青白い親父と聞いて、ガンジーでも出てくるのではないかと君は身構えたが、単に洞窟の町に住んでいる普通の親父らしい。
 君はほっとすると、ガマガエルの足をつまんで口に入れた。まあ普通に食べられる。体力点を2増やす。
<出典:終末の惑星より>



(シーン3:前菜)
 次に出されたのは普通の野菜サラダだ。君は選択が出来るのではなかったのかと抗議した。たけたろうは、にこやかに答える。
「実は前菜を食してもらう間に、当レストランのステージショーが始まるのです。そこで選択肢がでますのでご安心下さい」
 その答えに君は納得してサラダを食べ始める。体力点を1点増やすこと。
 突然、レストラン内の照明が暗くなり、ステージ上のカーテンにスポットライトが当たった。
 ドンドコドコドコドコ・・・。重低音のタイコの音が響きわたる。
「今日の出し物は何がよろしいです?」
 傍に控えていた、たけたろうが尋ねてくる。もしかするとこれが選択肢なのか?
 試しにぱっと頭に浮かんだものを言ってみた。
・真の楽師の琴による演奏会
・詩的魔人による詩の朗読会
・マイケル・ブラックソンのコンサート
・骸骨達によるオーケストラの演奏会

続く


2005年04月03日(日) 注文の怖い料理店 その2

*ドラマー伯爵家のワイン倉に秘蔵されていた白ワイン*

 ワインはピリッとしたがそう強くはない。あきらかに上等な銘柄だろう。
 いや、しかしこの奇妙な後味は・・・。まさか、毒!
 ここまで考えて君は意識を失った。
 ドラマー伯爵家の白ワインには注意が必要なのだ。

 END
<出典:地獄の館より>


*魔界のニュール地方名産、ニュール三割酒*

 君のダンブラーに琥珀色の酒が注がれる。君はそっと味わってみるが、悪くない。
 体力点を2点増やす。
<出典:夜の馬より>


*クラースの地下迷宮でハッグ達が蒸留した無色の美酒*

 これは別名「無秩序の霊薬」といわれる薬のような酒だ。
 飲んでみると、美酒というだけあって、心地よい味がした。だが、問題はどのような効果があるかだ。
 サイコロを一つ振って、その薬効を確かめよ。

1.明るくなる。特に影響はなし。
2.強壮効果が出る。今後もし戦闘があれば(あるのか?)自分の攻撃力を決める際にサイコロの目に1プラスできる。
3.酔いが回って頭がふらつく。技術点を1減らせ。
4.幸せな気分になる。原運点と運点を1ずつ上げる。
5.悲しくなる。運点を3減らす。
6.気が強くなってなんでも食べられる気になる。今後、まずいという理由だけなら体力点を減らさなくても良い。ただし、毒や食用でないものはあてはまらない。

<出典:ブラッドソードより>


*タイタンに名高いグアーシュ*

 最悪だ!一口飲んで、吐き出してしまう。まるで胃の中を毛虫がのたくっているような味だ。
 どんな酒なんだと、たけたろうを問い詰める。
「タイタンのオークに好まれる酒ですね。これはその中でも彼らが何年も樽に寝かせた一級品です」
 その説明でますます胸が悪くなった。
 体力点を3減らす。
<出典:最後の戦士より>



(シーン2:一口料理)
 君が食前酒を堪能したのを見計らって、たけたろうは4つのお盆を持ってきた。 お盆にはそれぞれ別々の料理が並んでいる。
「さあ、どれにいたしましょうか」
 たけたろうは、にこやかに言った。きっと営業用スマイルなのだろう。君は、その表情から料理の意味を読み取れないかと考えたが、うまくいかなかった。
 ヒントを教えてくれるように頼むと、各料理の料理人の情報を教えてくれる。
 どの料理を選ぶか。
・マスクマンが作ったトカゲのから揚げ
・女ボブコブリンが作った肉団子
・ノームが作った蚊と小麦粉で練った饅頭
・青白い親父が作った地中海風冬眠ガマガエルのドングリ煮込み・クリームかけ

続く


2005年04月02日(土) 注文の怖い料理店 その1

(はじめに)
 これは「火吹山の魔法使い」や「ソーサリー」のルールを知っている人へ向けた実験ゲームブックです。
 よく企画倒れになりますが多分今度は大丈夫です。気にしないで下さい。
 読み始める前に、以下の説明に目をとおして下さい。

1.サイコロ2つと紙とエンピツを用意して下さい。

2.主人公の能力値を以下の方法で決めておいて下さい。
技術点 (6+サイコロ1個)
体力点 (12+サイコロ2個)
運点 (6+サイコロ1個)

3.戦闘ルールや運試しなどの方法は、ファイティングファンタジーシリーズのルールに準じます。体力点が0になったらゲームオーバーです。
所持品の管理などは覚え書き程度で結構です。

4.ゲームの流れ
 毎日1シーンずつ物語は進行し、最後には必ず選択肢があります。そのたびに読者は一つ選んでおいて下さい。
 翌日にそれぞれの選択肢の結果が、書いてありますので指示どおりに処理して、再びその日の選択肢を選びます。

5.このゲームの特殊ルールとして、体力値は半分(端数切り捨て)の値から始めてください。目的は体力を原点まで増やすことです。

 では、“注文の怖い料理店”いよいよスタートです。


(シーン1:食前酒)
 はじめまして。私、この料理店の給仕をしております、たけたろうと申します。
 本日はこのゲームブック料理店へ、ようこそいらっしゃいました。
 これからお客様には、当店のコース料理を食していただきます。もちろんゲームブック料理店ですから、いくつかの選択肢からメニューを選ぶ事が可能です。
 当店には薬効の強い料理が多くございます。うまくすれば超人的な力を身につけられると評判です。尚、食事によってお客様の身になにかあったとしても、当店はいっさい感知したしません。
(と、ここで彼は、レストラン中心部の中庭でガラス越しに見世物のようになっているトカゲ人間を目で差した)
 あちらはゲロトラックスを召し上がったお客様ですが、人間のときの記憶がなくなってしまったようで、当店でご面倒を見て差し上げているのです。歴戦のゲームブック勇者のお客様なら、このようなこと問題ないですよね。
 さあ、まずは食前酒からお選びください──。 

君はメニューを見た。何を注文するか。
・ドラマー伯爵家のワイン倉に秘蔵されていた白ワイン
・魔界のニュール地方名産、ニュール三割酒
・クラースの地下迷宮でハッグ達が蒸留した無色の美酒
・タイタンに名高いグアーシュ

続く


2005年04月01日(金) 攻略情報求む!

 フォボス内乱(宮原弥寿子/社会思想社)の文庫版を遊んでみたのですが、ルールはシンプルながら思ったより面白いです。主人公が若い女性型アンドロイド、しかも戦闘用って、設定に萌えるものがありますなぁ。(笑)
 ページの端にサイコロが印刷されていないのは不親切ですけど許しちゃう。
 しかしほとんど進行していません。どう進めてもまだ序盤のうちに胡散臭いパルジャニアに部屋に案内され、そのまま解体されて終わってしまうのです。
 この袋小路から抜け出す方法を知っている方、教えて下さい。


山口プリン |HomePage

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