冒険記録日誌
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2005年03月31日(木) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その9 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
突如として旧セレンチーヌ帝国の軍旗が光り輝いた!観客達は声にならない悲鳴をあげながら、這いずって逃げていく。眩しい輝きにワーロック王ですら目を覆って後ずさる。 軍旗に宿った亡霊が耳元でささやく。 「この旗にかけて、ひるまず戦え」 光がやんだとき旧セレンチーヌ帝国の軍隊が、パーティと骸骨の軍団の間に立ちふさがった。 チェッカーの駒から、軍馬に乗ったエルフの騎馬隊が生まれた。闇の守り神アンボラスの死体から黒の征服に身を固めた軍団が生まれた。ヒドラの牙からは屈強な蛇頭の男達が登場する。 寄せ集めの味方の軍隊にモリスが号令を発した。 経験が浅くともこういった指揮官としての力は、戦士のモリスに才能があるようだ。 骸骨の軍隊も応戦するが、もはや戦況はこちらが有利だ。弾かれた骸骨の頭や体の部品があたりに散らばる。 パーティは軍団を従えて、ワーロック王のいる貴賓席に詰め寄った。 「もうゲームは十分だ!」 ワーロック王が手を打つと、あたりの光景は鏡が割れるように消える。
気がつくとパーティは金属製のクモの巣にしがみついていた。網の中央に玉座が据えてあり、ワーロック王が座ってこちらを見下ろしていた。 あたりは広い空間で他に何もなかった。眼下にもはるか下に漂う雲以外になにも見えない。 「ここは私の夢の世界だ。私が絶対の君主なのだ!例え真のマグスだろうと私には介入できぬ」 真のマグスの名にハッとして顔を上げると、ワーロック王が小さな首飾りを取り出した。ぶらさがっているのは、捜していたブラッドソードの柄ではないか! こちらの視線に気がついて、ワーロック王が小さく笑った。 「こいつのお陰で私はマグス達の支配を受けずにすんでいる。だから手放すつもりはない。おまえ達はどうだ。助かりたくば、喜んでその鞘を私に手放すのではないか?」 もはやワーロック王の笑いは高笑いに変わっていた。 バーガンは、黙ってウルバに貰った鉄の鈴を取り出して鳴らした。ワーロック王に恐怖の表情が浮かぶ。 「やめろ」 やめるものか。なおも鈴を力いっぱいに鳴らしつづけると、王の玉座にひびが入る。あたりの光景が歪んで砕け始めた。 「やめろーーーー!!」 ワーロック王が玉座から飛び降りて、肩をつく。あたりが何千もの幻で渦巻き始まる。 「もうおしまいだ」 王が力なく言うと、水晶の冠が砕け散った。
気が付くと、パーティは湖の傍の青々とした緑の草原に寝転んでいた。 湖を見たが“夢のたそがれ城”は既になく、小さな廃墟があるばかりだ。 陽だまりの中に、2人の人影が現れた。しょぼくれた老人を賢そうな女が手を引いて近づいてくる。女は老人の首から何かを外すと、パーティに差し出した。 ブラッドソードの柄だ。受け取るとしばらく呆然と柄を眺める。 我に返って礼を言おうとしたが、既に2人は草むらのむこうに立ち去っていた。 南に下ると、村の農民たちが歓声をあげていた。彼らが目覚めた時、ワイアード王国は明るく豊かな土地に変貌していたのだ。 寒さも以前より緩んできたようで気温が心地よい。長い冬も終わり、これからこの国にも春がくるのだろう。 次は刀身を捜さなくてはならない。だが、今日は疲れを癒すこととしよう。
第二巻 完
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最後に登場するワーロック王と女性の関係。とっても気になります。 ちなみに終盤の展開についてですが、鉄の鈴に頼らずにワーロック王を倒すこともできます。その場合はエンディングが少し変化するのです。 苦労するうえ(たぶんレベルの高い冒険者一人で挑戦した方がいい)冒険終了後の経験値が少ないのでお勧めできませんが、次回はこっちの方法にも挑戦してみたいな。 第三巻のレポートもそのうち書きますので、楽しみにしていて下さい。
2005年03月30日(水) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その8 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
災厄はまだまだ続いた。 パーティの先頭に立って歩いていたバーガンが、突然出現した死神のようなゾンビに大鎌で斬りつけられ、霧のように消滅してしまったのだ。ゾンビも陰惨な笑い声を残して消滅する。 「なんということだ!バーガンが!」 「慌てるなよ。強制イベントだから後でどうにかなるだろう」 モリスとリー・チェンはバーガンを捜して、建物の中を駆け回った。大理石の石柱やガーゴイルの彫刻がほこりに埋もれ、なんとも侘しげな雰囲気を作り出していた。 階段を降りようとして、階下の廊下から人の気配がしたので立ち止まる。階段の手摺からそっと覗くと、僧侶の一団が遺体を棺台にのせてゆっくり歩いていた。 遺体はバーガンだ!思わず飛び出しそうになるモリスをリー・チェンは止めた。 そっとあとをつけると、僧侶の一団は教会のようなホールにたどり着いた。 このホールは、人間の骸骨で作られているようだ。尖塔付近は頭蓋骨で、壁はあばら骨や腕の骨で埋め尽くされている。天井から薄明かりがするので、見上げるとよくリー・チェンを困らせていた、あのファルタインの妖精の仲間が檻に入れられ、発している明かりだった。 ここで琥珀の火口箱を使うと、あたりは魔法の炎が発した光に輝いた。僧侶達は逃げ出してしまい、あとに残されたバーガンの死体は・・・目を覚ましたのだ。
3人はひとしきり再会を喜ぶと、教会の先に伸びている翼廊(よくろう)へ進もうとした。 「待って下さい!助けて下さい!」 天井の檻に閉じ込められたファルタインが、声をあげた。 「お前を助けて、何か俺たちの得になるのか?」 バーガンが意地悪く言うと、ファルタインはこの先の危険に対処する方法を教えてくれると誓った。バーガンが骨でできた壁をよじ登り、檻に飛びつこうとしたが失敗して落下し、床に体を叩きつけられた。死から生還したばかりで、どうもまだ本調子ではないらしい。 リー・チェンが緊急脱出の魔法で檻の上にテレポートすると、ファルタインを救い出す。ファルタインはいくつかのヒントを出すと、感謝の言葉とともに姿を消した。 ファルタインの助言は確かで、翼廊に仕掛けられた数々の罠も無事に通過していき、やがて突き当りにたどり着いた。 その奥には部屋があるようだったが、そこには重装備の黒い鎧に身をつつんだ巨人が待っていた。 「俺はタナトスだ」 巨人は吠えるようにいった。 「ここを通る者とは決闘することになっている。名誉ある決闘が嫌なら、大勢でかかってもかまわんぞ」 名誉と聞いてモリスが一人で進みでようとした。バーガンがそれを勇めてささやく。 「悪いがここは俺に任せてくれ。決闘なら俺の方が戦える。レベル4だからな」 バーガンが剣を抜いて、タナトスの前に出る。我ながら盗賊らしくないと思う。しかし戦士とはいえ、レベル2のモリスではさすがに荷が重いだろう。 バーガンの剣は魔法の剣、ブルート・ゲトランカーだ。クラースの迷宮で命を落としたルーカスの形見だ。戦士のモリスより、盗賊のバーガンが強い理由はここにもある。それに先程死を克服したバーガンは確実に強くなっていた。 戦闘は、タナトスがバーガンの剣に胸を貫かれて絶命して終わった。 タナトスの守っていた部屋の中には、旧セレンチーヌ帝国の栄光の軍旗が立っていた。手に取ると、遥か昔の軍人の魂が恐怖に立ち向かう勇気を与えてくれるような気分になった。あきらかに何らかの力が込められていた。 意気揚揚と軍旗を掲げたまま城に入り、ワーロック王の居場所を捜す。闇の守り神アンボラスが襲ってきたが蹴散らして進む。
いつの間にかあたりが霧につつまれた。心臓の鼓動が聞こえてくる。 霧が晴れると、広い競技場に立っていたのに気づく。 心臓の鼓動と思ったものは客席にうずくまる人間ともつかない無数の観客達の歓声だった。手をこすり合わせて、血を求めてうなるような歌を歌っている。 やがて貴賓席に年老いた男がやってきた。 「私が貴様らの捜していたワーロック王だ」 男の唇をゆがめて笑った。額には水晶の冠が輝いている。同時に周辺の景色がぼやけて、ワーロック王の姿だけがくっきりと見えた。観客のささやき声も小さくなった。 ここはワーロック王の夢魔法の世界の中なのだろう。 「愚か者め。私を殺そうとした者が今までいなかったと思うか。どんなに正しい支配を続けても必ず反抗者はいるものだ。そういった者どもは、どこに行ったと思う。ここだ!お前たちもここで教訓を学ぶが良い」 ワーロック王が手を広げると、競技場の地面の中がいたるところで盛り上がり、剣と鎧を身に付けた無数の骸骨どもが這い出してきた。ちょっとした軍隊ほどの数がこちらを遠巻きに取り囲んだ。 「さあ、死ぬがいい」 ワーロック王が高らかに笑った。
続く
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今回の日記、書くのに時間がかかるなぁ・・・。
2005年03月29日(火) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その7 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
湖には3つの門が建っていた。それぞれ「虐殺の門」「混乱の門」「恐怖の門」と看板がついている。 「なんとも趣味が悪いな」 リー・チェンがため息をつく。どの門に入っても酷い目にあいそうだ。 どの門から入ろうか考えていると、湖の傍の岩陰からのっそりと家ほどの大きさのある巨大な爬虫類が現れた。城の門番に違いあるまい。 そいつはのっし、のっしとこちらに近づいてくる。大きさを別にすれば、二本足で立ったトカゲのようだ。いずれにせよ、話しかけても戦っても無駄になりそうな相手だ。 「逃げろ!」 先頭に立っていたバーガンが声をあげると同じに、化け物の尻尾がバーガンを薙ぎ払った。吹っ飛ばされたバーガンは、地面に転がるように着地すると、他のメンバーと一緒に逃げ出した。 「大丈夫か!」 同じく走りながら、モリスが大声でバーガンに呼びかける。 「平気さ。レベル4だから生命力は十分あるからな。またオリバーに治療してもらうさ」 バーガンが答えると、モリスはちょっとムッとしたようだった。自分のレベルがまだ2であることが、コンプレックスらしい。知識や生命回復術などが使えるオリバーと違って、戦士は戦闘以外ではあまり役に立たないのを自覚しているのだ。
パーティ一行は「恐怖の門」に逃げ込んだ。門の周囲には毒蛇が何匹も渦巻いて、いかにも恐ろしさを演出している。 化け物は追いかけてきたが、門に顔を突っ込もうとして、毒蛇の一匹に鼻面を噛まれ、慌てて逃げ出した。 門の中に入ってホットひと息つこうとするが、全員息を飲む。 部屋の中はバラバラになった手足など無数の戦士達の死体が散乱していたのだ。まだ新しい血糊が壁にベットリとつき、この惨劇がつい先程のことだと感じさせた。生きている者はいないか、調べてみたが生存者は一人もいなかった。 おそらく外の化け物よりも手強い何者かが、この先にいるのだろう。 恐る恐る先に進むと死にかけたヒドラが一匹いた。戦士たちとの戦いによって、ヒドラも相当に傷ついていたらしい。生えている9本の大蛇の首のうち、7本がすでに死んでいる。だが、ヒドラの闘志は消えていなかった。生き残った2本の首が持ち上がって、こちらに噛み付いてくる! 戦闘がはじまった。 バーガンが剣で斬りつける。モリスは剣が届く位置に接近する。リー・チェンはお馴染みのソードブラストの魔法で攻撃するが失敗。オリバーは・・・ ヒドラの頭がオリバーに噛み付いた!すかさずバーガンが盗賊の特技を生かし、もう一度斬りつけて救おうとした。ヒドラはオリバーの体を咥えて話さない。 戦闘は2ラウンド目に入り、バーガンとモリスが一撃を加え、やっと頭を一つ屠る。もう一つの頭はリー・チェンの魔法に切り裂かれて、ヒドラは生き絶えた。 オリバーの様子を確かめるが、すでに死亡している。 モリスを生き返らせた金色の球はもうない。 みんな押し黙ったまま、オリバーへの祈りを捧げたあと先に進む。この戦いで得られたものは、ヒドラの牙だけだった。
続く
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痛恨の展開! オリバーの体力は満点でしたが、レベル2の僧侶では最高でも10ポイントの体力しかないのですね。 ヒドラの一回のダメージポイントが“サイコロ2個+2”。オリバーを襲った一撃は最高の14点のダメージだったのです。(鎧強度2を引いても12のダメージ) このゲームでは戦闘でマップを使うため、予めパーティの戦列を決めておく必要があります。それによって戦闘のときなどに各キャラクターの立ち位置が決まるのです。 今回は僧侶を最後尾にしていたのですが、魔術師と入れ替えて3番目くらいにした方が安全だったようです。レベル4の魔術師の体力なら20ポイントあったわけだし、最後尾は不意打ちを食らったときなどにも危険ですからね。 がっくり。
2005年03月28日(月) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その6 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
ソーンズの森に入ろうとすると、弓矢のかまえたエルフの一行に止められた。リーダー格の男が無表情に言った。 「ここは我々の道だ。来た道を戻るがいい。通りたくば通行税として血をいただこう」 格好つけたセリフだが、早い話しが戦闘に勝たない限りここは通さんというわけか。戦えば相当にやっかいな相手になりそうだ。 しかし、ウルバからエルフのゲーム好きのことは聞いていた。幸い狼人間の使っていたチェッカーを持っている。チェッカーの勝負を持ちかけると、エルフのリーダーはすぐに応じた。他のエルフ達も弓矢をおろして、興味をもった様子でチェッカー盤を覗き込んでいる。 こちらはバーガンがいかさまをしようかと考えたがオリバーが制止する。すでにウルバに勝つための助言を受けているのだ。オリバーが代表して勝負をすることになった。 勝負が進むとエルフのリーダーは次第に落ち着きがなくなっていった。こちらの戦略に対処できずに困っているようだ。ついにエルフのリーダーは宣言をした。 「負けを認めよう。だが俺は正々堂々と勝負したことに満足している。お前はわからんがな」 「お前は公明正大なゲームに負けたのだぞ。なにを根拠にそんなことを言うのだ?」 オリバーが反論すると、エルフのリーダーは目を伏せ、チェッカーの駒の一つを手にとった。そしてオリバーに差し出す。 「すまない。確かに不穏当な発言だった。詫びの印にこの駒に魔法をかけた。最後の戦いでは役に立つだろう。持っていくがいい」 他のエルフ達は、一行が森に入れるように道を開けた。
森の中は雪で真っ白だった。さらさらの雪を踏みしめ、日が暮れるまで歩く。 空が暗くなり今夜の野宿の場所を考えはじめる頃、狼とも巨大な犬とも区別のつかぬ化け物が襲ってきた。逃げ回ったあげく、明かりの灯るほら穴の中に飛び込む。 ほら穴に入って、信じられない光景に一瞬目がくらむ。暖かい暖炉、毛皮の敷き物、鍋からはシチューの香りがただよい、ワインや蜂蜜酒が棚におさまっている。 椅子には品の良さそうな一人の老女が腰掛けていた。老女はやさしく微笑む。 「さあ、お入りなさい。氷の猟犬はここには入ってこないよ。火が嫌いだからね」 あまりの不自然さに疑いたいところだが、飢えと寒さに正常な判断力がなくなっていた。 どうなってもかまうものか。食べ物と飲み物をいただくと、暖かい毛布の中にくるまって休んだ。 翌朝、目を覚ますと老女はいなくなっていた。 椅子のうえには、琥珀の火口箱が贈り物に置いてあった。昨日のウルバといい、この国には謎めいた人間が多い。 ほら穴を出て再び森を歩き始める。凍てついた枝々が相変わらず寒々しい。 ふいに森が途切れて、目の前に広大な湖が広がった。湖の中央には小島があり城がそびえていた。あれこそワーロック王の住みか“夢のたそがれ城”に違いあるまい。
続く
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う〜ん。コメントするネタがなくなってきた。 今のところ、うまく戦闘を避けているから波乱もないしね。
2005年03月27日(日) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その5 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
オーガスタスの計略にはまったパーティは危機に陥っていた。 ここは上空千メートルに浮いている絨毯の上なのだ。逃げ場はない。例えオーガスタスを殺しても地上に降りる方法がわからないのだ。 しかし、このままオーガスタスの城にいくのは奴の思う壺ではないか。 さしものバーガンにも名案が浮かばなかった。ここは城についてからチェンスを見つけるしかないだろう・・・。 「城に行きたければ行ってみろ」 ふいにモリスが立ち上がって、剣を抜いた。 「この剣で絨毯を切り裂いて、貴様を地上に叩きつけることもできるんだぞ」 「ばかな、そんなことをすればおまえ達も同じ運命なんだぞ」 オーガスタスは受け流したが、一瞬の不安げな表情を見せる。 「どのみち人間はいつか死ぬものだ」 モリスは平然と言い放ち、剣を絨毯の中央に突き刺す。 剣はあっさりと絨毯を貫いた。そのまま剣を薙ぎ払おうとする。オーガスタスが絶叫する。 「やめろ!約束どおり、お前達をワイアード王国へ連れて行ってやろう」 モリスは満足げにうなった。はんっ、魔術師なんて臆病者ぞろいだ。 勘の鋭いリー・チェンがこちらに顔をあげたので、モリスはあわててオーガスタスに声をかけた。 「さあ、ワイアードの海岸付近まで飛ばしてくれ!この剣がお前を狙っているのを忘れるなよ」
こうしてパーティは無事にワイアードに到着した。オーガスタスは役目が終わると早々に飛び立ってはるか水平線の向こうに消えた。 そろそろ日が沈もうとしている。ただでさえ凍りつくような気温がさらに冷え込んできた。 今夜を過ごす寝床を捜す必要がある。パーティは毛皮のマントをかき寄せるようにして、むっつりと歩き始めた。 歩きながらオリバーは昔読んだ書物の記憶を頼りに、ワイアード王国の歴史を思い返していた。
──ワイアード王国は人口1.2万人の小さな王国。大半はとても貧しい農民で凍った大地を耕す厳しい生活を送っている。最後の戦乱は旧センチーヌ帝国の崩壊までさかのぼる。そして現在のワイアード王の支配はなんと6世紀にも及ぶ。彼は夢を自在に操る力を持ち、反逆や逃亡を企てる人間を眠っている間に殺すこともできるという・・・。
「村があるぞ!」 モリスが聖アシャナクスの十字架をかざしながら叫び、オリバーの思考は中断した。先の方に明かりの灯った民家が見える。 民家で一晩の宿を頼むと、ワイアードの農民達はよそよそしい態度ではあったが、中に入れてくれたうえ、粥を与えてくれた。 家の中には家族達と痩せた牛や豚が一緒に入っていた。厳しい冬の間は、人間と身を寄せ合って暮らすのだろう。 そしてこの家には、火傷を負って死の迎えが近づいている赤ん坊がいた。オリバーが母親からそっと赤ん坊を取り上げると、火傷の傷に手をあてる。赤ん坊の肌は瞬く間に、健康なピンク色に戻った。しばらくすると赤ん坊は元気に泣き出した。 農民達の歓声があがる。母親は涙を流しながら、オリバーに心づくしの牛乳を振る舞った。 パーティは家の人々と歓談した。その中には予言者のウルバという不思議な少女がいた。ワイアード王の贈る悪夢から防いでくれるという。そのおかげなのかその晩、パーティは安眠することができた。
翌朝になり、パーティはウルバから鉄の鈴をもらった。 「新旧の交代の為に鳴らすのよ!」 ウルバは高らかに宣言するように言った。よくわからないが、受け取っておく。 ワイアード王の城は、ソーンズの森の向こうらしい。ウルバに世話になった礼を述べると森の中に入る事にした。
続く
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オーガスタス。あっさり撤退したのでまた登場するかな。と思っていたのですが、二度と登場しませんでした。いろいろ豪語した割に、なんとも中途半端な奴だ。 ウルバもこれっきりのキャラですが、謎めいていて妙な存在感があります。 出番の少ないキャラでも、こいつはどんな人生を過ごしていたのだろう?こいつはこの後どうなったのだ?と気にさせるくらい、キャラクターの厚みを感じさせてくれますね。
2005年03月26日(土) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その4 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
城の外で老騎士ヴァラダクソールと別れる。老騎士は感謝のしるしに銀の十字架をくれた。 「この十字架の中には聖アシャナクスの指が入っている。持っていくがいい。全ての聖人がそちらの旅を見守ってくれることだろう」 受け取ると老騎士は満足げに微笑み、馬に乗って去って行った。
パーティ一行は東に向かい、カノングの港についた。 ここはかなり北の地方で、寒さがじわじわと効いてくる。 さっそく宿屋に入ると、タバコの充満する室内は船員達で混雑していた。ちょっと目を凝らすと、商人達と旅の僧の一団が目を引いた。 僧達に話し掛けると「まあ、お座りなさい」と僧の一人が言ってくれる。 ・・・沈黙が流れた。彼らのペットのカラスがカァと鳴いた。 ワイアード王国について教えて欲しいと尋ねる。 ・・・沈黙が流れた。彼らのペットのカラスがテーブルの上を歩きはじめる。 僧侶の一人がワイアード王国が北東の方角にあることを教えてくれた。 もう一人の僧侶がワイアード王国に向かう船がないことを教えてくれた。 もう一人の僧侶がワイアード王国へは流氷を伝って歩く必要がある事を教えてくれた。 もう一人の僧侶がため息をついた。 ・・・沈黙が流れた。 なんとなく、居たたまれなくなって席を立つ。すると僧がコツコツ歩くカラスを見つめながら言った。 「私たちの老いぼれカラスを買いませんか。金貨一枚で結構ですから」 リー・チェンが買い取ってカラスを肩にのせた。スクリーボという名前だそうだ。 続いて商人達に話しかけ、火鉢や毛皮のマントを買い込む。流氷の上を歩くならこれくらいの準備は必要だろう。 宿の主人に宿金を前払いすると、まだ日も明るいので、町を散策する事にした。
捕鯨船の船員に途中まで船に乗せてもらうと交渉もしたが、折り合わずにさらに町をふらつく。すると、紫のマントを羽織った男が近づいてきて、魔法使いオーガスタスだと名乗った。そしてワイアード王国へ行く手助けをしてくれると申し出る。 露天で買った茶を啜りながら話しを聞く。いったい、どうやって手助けしてくれるのだと聞くと、オーガスタスはにっこり笑った。目が輝いている。 オーガスタスが魔法の言葉を唱えると、足元の絨毯が宙に舞いあがった。空飛ぶ絨毯だ! 「さあ、しっかりつかまりたまえ。まだ客を落としたことはないのが自慢なんだ」 驚く水夫達を尻目に、絨毯はパ−ティとオーガスタスを乗せて空高く舞い上がった。そしてすごい勢いでカノングの港から離れていく。 毛皮のマントで身をかばいながら、必死で絨毯にしがみつく。だが高度千メートルにもなると、初めての空の旅に興奮してきた。捕鯨船が小さなシミみたいに見える。巨大な流氷の浮かぶ青い海を見て目を見張った。 「本来なら数日はかかる旅だが、この絨毯ならワイアード王国なんてひとっとびだ」 オーガスタスは誇らしげだ。しかし、さすがに寒い。骨の髄まで冷え切ってしまう。 絨毯はしばらく順調に飛びつづけた。ところがオーガスタスが何事か呟くと、絨毯は進路を変更して飛びつづけた。急な方向転換に抗議する。 「静かにしてもらおうか。この絨毯は私の城へ向かっている」 さっきとは別人のような横柄さでオーガスタスは言った。 「私は真のマグスに使える神官だ。私の城についたらあるものを渡してもらおう」 突然、絨毯が揺れたのでしがみつく。わざと揺らしたに違いない。オーガスタスがあざ笑う。 「泣いても脅しても無駄だぞ。ここは高度千メートルの上空だということを忘れるな」 続く
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不気味な灰色のレディだの、空飛ぶ絨毯だの、ブラッドソードシリーズは面白い脇道や意表をつく展開が多くて、読み物としてだけでも十分に楽しめる出来です。 もちろんゲーム性としても一級品の出来だし、捕鯨船に乗ればまた別の展開が待っているという、繰り返しプレイも楽しめる点もいい。 とっつきの悪ささえ乗り越えれば、最近ではマイベスト1のゲームブックといってもいいくらいですよ。
2005年03月25日(金) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その3 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
灰色のレディの住む城は、南へ1日くだったところにあるらしい。 宿敵を倒しに行くというのに、老騎士(ヴァラダクソールという名前だ)はまるでパーティにでも出かけるような、はしゃぎっぷりだった。老人の昔の武勇団をとうとうと聞かされ、モリスだけは合図うちをするのを忘れなかった。 一晩をすごすと、翌朝の未明には城にたどり着いた。 「わが兄弟たちの魂よ。我々の戦いぶりを見ていてくれ」 ヴァラダクソールが宣言をしてから、先陣をきって門をくぐる。 階段を上がると、広間の中央にいきなり灰色のレディがいた。名前に違わず、真っ白な髪と肌をした女だ。 だが、様子が変だ。夜明けの光にあたっている為に、動けないらしい。 「この機をとらえて殺さねばならん!」 ヴァラダクソールは剣を振り上げて突進し、灰色のレディを叩き割ろうとしたが、彼も金縛りにあったように動かなくなった。
───すぐに私の城から出ておいき。さもないと地獄の軍団が襲い掛かるわよ。
突然、灰色のレディの声が脳裏に響いてきた。動けなくても魔力はあるようだ。 単なるおどしとは思えないが、いまさらヴァラダクソールを見捨てるわけにもいくまい。各自、武器をかまえる。 からっぽの鎧が生命を持ち、ガチャガチャと動き始めて立ちふさがる。こいつらを倒さないとヴァラダクソールと灰色のレディの傍には、近づけそうもない。 モリスとバーガンが必死で応戦するが、鎧の化け物は硬くて傷一つつけられない。リー・チェンが、灰色のレディに向かってソードブラストを放つが、彼女は魔法の障壁を作って跳ね返した。 その一瞬、ヴァラダクソールの麻痺の魔法が緩んだらしい。老騎士の鋭い剣が灰色のレディの首を刎ねた! 首から灰を吹き上げながら崩れ落ちる灰色のレディ。彼女の死とともに、鎧の化け物の動きも止まった。 「これで、わしの兄弟の魂も浮かばれることだろう」 老騎士は感慨深げに立ち尽くしていた・・・。
そのころ現実的な冒険者一行は、財宝がないかとすでに城内の捜索を始めていた。 まもなく、地下に降りる隠し階段をバーガンが発見した。降りてゆくと扉が二つと小さな悪魔が待ち構えている。 「おれのご主人を殺したな」 小さな悪魔は言った。 「だが、契約が終わらないかぎり、俺は命令を守らなくてはならん。扉の一つは財宝。もう一つは恐ろしい運命が待っている。正しい扉を知りたくばこれから言う謎をとけ」 悪魔は謎かけの言葉を言った。それに対してオリバーが代表して答える。 「違うぞ」 悪魔は襲い掛かってきた!小さいがすばしっこい。 辛うじて倒したが、戦いの最中にモリスが尻尾の毒針を打ち込まれて倒れていた。オリバーが駆け寄ったが、すでに死んでいる。 ひどいことになった。だが、死んでしまった者は元に戻らない。
扉を開いて、宝箱を開けてみる。そこには奇妙な光景があった。5本の腕がインクのような池から生えていて、それぞれ赤、青、灰色、金、白の球を握っていた。 突然割れ鐘のような大声が部屋中に轟く。 「これらの球には魔法の力が詰まっている。赤は虐殺、青は死、灰色は疫病、金は贈り物、白は大火だ。一つ持っていくがよい!心して選べ」 “贈り物”が安全そうだと思い、金の球を取り出した。残りの球は、腕ごとインクのような池に沈んでいった。 さっそく、金色の球を使ってみる。球は暖かい金色の光をはなってから消滅した。 なにもおこらない。悪態をつきながら扉を出る。 すると・・・ なんと・・・ モリスの死体がピクピクと動き出しているではないか。仲間が集まると、彼は目を覚ました。 「どうしたんだ。俺」 事情がわからないといった風情の彼を、仲間達はきつく抱きしめた。
続く
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ブラッドソードの世界でのキャラクターの“死”は、わりと厳しいです。 第一巻に一度だけ死者を生き返らせるアイテムが存在しますが、ほとんどの場合、死んだら冒険から脱落してしまいます。 その点、今回は非常に運が良かったです。奇跡的といってもいいでしょう!金色の球の効果はいつもバラバラで、仲間が生き返るのはサイコロを1つ振って、1が出た場合だけの効果ですから。 冒険が終わってから調べると、一番選ぶと良い球は金色の球じゃなかったようですが、今回に限っては最も良い結果だったようです。 そもそも謎かけに正解していれば問題なかったのに、という突っ込みはなしで。
2005年03月24日(木) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その2 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
気は進まないが、鞘を持っていくことにする。 どうせ目的もない旅の途中だ。ワイアード王国とやらを目指して行ってみよう。
だが、まず考える事は今夜の寝床だ。 まさか死体がゴロゴロ転がるこの草原にはいられまい。金貨やチェッカー盤などを使えそうな物を拾い集めると、暗い森の中へ向かう。 森の小道を歩いていると原っぱに出た。なんとなくホッとして、夜空に浮かぶブルームーンを眺める。 すると唐突にブルームーンが明るく輝いた。 不思議に思う間もなく、そこから青白く光る点が彗星のように落ちてくる。 軌道からするに墜落場所はすぐ近くに違いない! 異様な光景にリー・チェンは、召還の呪文を唱えて妖精ファルタインを呼び出す。あらわれたファルタインの声は恐怖に震えていた。 「私が古代のマグスを相手に戦うと思ったら大間違いですよ!さよなら」 消え去ろうとするファルタインを、どういうことだと命令を強めて引き戻した。 「あの光は真のマグスの一人、ブルームーンが送ったのものですよ。あなたが手下をやっつけてしまったので、彼の怒りを買ったのです」 ファルタインはほとんど泣き叫ぶように言うと、今度こそ姿を消してしまった。 そのとき原っぱのはずれの木立に、何かが落ちて砕ける音が聞こえた・・・。
激突した地面から蒸気が吹き上がっている。その中心部の闇の中から、黒いマントを羽織った幽鬼の姿が見えた。その髑髏の小さく輝く青い目には、ぞっとするような恨みが感じられた。 幽鬼が迫ってくる。 少々気圧されながらも、モリスとバーガンは剣で切りかかった。オリバーは弓で援護する。リー・チェンのソードブラストの魔法が幽鬼を切り裂いた。 モリスが傷を負ったが彼の一撃がトドメをさした。幽鬼は崩れ去り、青白くてかび臭い塊になり、灰になり、最後は風に吹き散らされて消えた。 オリバーが傷の治療をしている間に、バーガンが2つの青白い眼球を拾った。不気味ではあるが、宝石として価値があるかもしれない。
さすがに疲れたのだが、もう野宿する気にもなれない。 一行は夜通し歩いたあげく翌日の昼頃に一つの村へ辿りついた。商人に話し掛けて矢の補給だけすませると、ふらつく足取りで宿屋を見つけ出す。 金貨を払うと、清潔なシーツをひいたベットに転がり込み、夢もみずに眠った。 翌朝になって朝食をとっていると、宿の主人が話し掛けてきた。 「ミスドラックスには何時までいなさるんだね?」 ここはミスドラックスというのか。そう思っていると、主人はかまわず話しつづけた。 「まあ、この宿に泊まるような人なら決まってますね。東カノングの港へいくでしょ」 答えようとすると主人はさらに続けた。 「船に乗るんですな。そこからどこへいきなさるね」 今度こそ答えようとすると、主人はまた続けた。 「いや、答えたくないならかまいません。私には関係のないことだ。昼には次の客がくるからそれまでに出発してくれれば結構ですよ」 そういって主人は去って行った。こっちはまた疲れがぶり返しそうになる。 気分治しにと、朝食をとっている年老いた騎士に話し掛けてみた。 これもまたいけない。老人は自分が若く元気であった頃なら灰色のレディを倒せるのに、と嘆いていた。そのまま灰色のレディが人間の皮をかぶった悪魔だとか、彼女に兄弟たちを殺された恨みつらみの話しを延々と話しつづける。 何時までも年寄りの長話に付き合っていられない。たまりかねたバーガンは、適当な理由をつけて宿を出ようとした。 しかし──。 「お役にたちましょう。その悪魔のような女には必ず償いをさせてやりますよ」 溌剌としたモリスの声に他のメンバーは、ガックリときた。老人は大喜びだ。 「いますぐ馬で出発するとしよう。あの女に明日の朝日は拝ませんぞ」 老人はヨタヨタと鎧を装備すると、宿の主人に馬の用意を命じていた。 ───モリスの騎士道精神とやらにもまいったものだ。 バーガンは、またおかしな話しに巻き込まれたことに、そっとため息をついた。
続く
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幽鬼。リプレイでは簡単に倒しましたが、逃げた場合は大変です。逃げても逃げても、あの手この手でターミネーターのごとく追ってくるんですよね。しかもパワーアップしているし。 そして、モリス。戦士クラスの特徴である騎士道精神は、時々面倒な足かせになります。寝ている敵をわざわざ起こして勝負を申し込むような奴ですから。盗賊なら当たり前のことでも卑劣な行いをすれば戦士だけ経験値の減点があるし、それなら名誉なことをすれば臨時経験値が得られるようにして欲しいものです。 あと、ミスドラックスの村では商人から煙草を買う事ができるのですが、使用シーンを読む限りではマリファナみたいな薬物のような気がします。青少年向けの富士見書房が麻薬だと問題があると思って煙草に修正したのでしょうかね。
2005年03月23日(水) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その1 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
前回の冒険から半月が経過した。(ブラッドソード1勝利の紋章を奪え!の冒険記録日誌を参照のこと) 冒険者一行は、不運にもクラースのダンションで倒れた戦士と僧侶に変わって、新たに2人の仲間を加わえて旅を続けていた。戦士モリスと僧侶のオリバ−だ。
*冒険者のパーティ構成と、そのキャラクターの名前* 戦士(レベル2)───モリス 盗賊(レベル4)───バーガン 僧侶(レベル2)───オリバー 魔術師(レベル4)──リー・チェン
今はクラースの南東に広がる広大な森の前の草原である。一行は、同じく明日の森越えにそなえる商人や巡礼者、狩人達に混じってキャンプの支度をしていた。 なんということもない旅の一日だった。つい先程、謎めいた占い師の老婆に、「おまえ達には避けがたい運命がある」と言われたことさえも、たいして気にすることもなくなっていた。 今晩を共にする他の旅人達を見ると、雪のように真っ白な髪の吟遊詩人の旅人が竪琴を弾いているのに気がついた。興味をもったバーガンが話し掛けて竪琴を借り、見事な演奏を披露してみせると、感動した様子で予備の竪琴を贈り物として譲ってくれ、こう言ってくれた。 「見事な腕だ。あんたは素晴らしい才能をお持ちだ。この竪琴を差し上げよう。恐ろしい危険にはまったときに役立つはずだ」 礼を言おうとしたが、すでに旅人は遠くで悲しげに鳴く鳥の鳴き声に、耳を傾け魂を奪われているようだった。 演奏に興味のないモリスはチェッカーの勝負に興じる商人達の方を覗きにいっている。 それは平和な日暮れのキャンプ場の風景だった。そう、日が暮れるまでは・・・・・・。
最初に商人達に対して違和感を感じたのはモリスだった。さっきまでやっていた彼らのチェッカーの駒の動きがなにか妙だったのだ。大したことではないかもしれないが、モリスは自分のカンを信じた。 彼がバーガンに話すと、バーガンはすでに薄暗くなった原っぱのあちこちで眠り始める商人の一人に見えないように近づき、商人達の声色を真似て話しかけた。 「黙ってろ間抜けめ。森の民たちが聞きつけるぞ」 そいつは邪険にそう答えた。間違いない。何かよくないことが起ころうとしているのだ。 行動を起こすなら不意を討てるように早い方がいい。 バーガンはチッェカーを差していた男にそっと近づくと、電光石火の早業で短剣を喉元につきつけた。男は牙をむき出しこちらを睨みつけて唸り声をあげた。 牙?唸り声といい、いつのまにか体中に生えてきた硬い毛といい、こいつは狼男じゃないか! 「我々は必ず勝つ」 もう一人のチッェカーの差し手が、立ち上がって唸った。その男の顔も、だんだん狼の顔に近づいていく。背後では、奴らの部下の商人達が、無防備な森の民たちを相手に虐殺を繰り広げ始めていた。 「無駄なことはやめて降伏しろ。兄弟から身を引くのだ」 「こいつにはこの世から身を引いてもらおう!」 バーガンはためらわず短剣を狼男の喉に突き刺した。残りのメンバーは、残った狼男や商人達を迎え撃とうと剣や六尺棒や魔法で身構えた。
満月が昇りきる前に不意をつけたのが良かったのだろう。特に大きく傷つくことなく、戦闘は勝利に終わった。 草原を見渡せばあたりは死屍累々のありさまだった。森の民たちは全て殺されたか、散り散りに逃げ出してしまったらしい。生きている者は自分達だけだ。 いや、うめき声が聞こえる。あの吟遊詩人の旅人が虫の息の状態であえいでいたのだ。 旅人の傷口から出るおびただしい血を見てオリバーは首をふる。もはや僧侶の生命回復術をもってしても手遅れだろう・・・。 「奴ら私をとらえようと・・・私はこのことの為にずっと・・・・」 旅人は震える手で、荷物入れから細長いものを引き摺り出した。 それは輝くような金箔を施した剣の鞘だった。モリスが男から鞘を受け取る。 「5人のマグス・・・。まもなく奴らは復活するだろう。そのとき、立ち向かえるのはこのブラッドソードだけだ。刃と柄を捜すのだ・・・。ワイアード王国のワーロック王が柄を持っている・・・」 凄まじい気力で、声を振り絞っているようだった。 「私はマグスの配下に殺された。この鞘をお前達に託す・・・。この鞘を手放してはならぬ。それこそ破滅だ・・・。ワイアードへ行け。それが唯一生き残る道・・だ・・・」 男は目を見開いたままこときれた。その目は死者になってなお、輝くブラッドソードの鞘をくいいるように見つめていた。
続く
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のっけから緊張感のある始まりかたです。ブラッドソードの真の物語は、ここから始まると言っても過言ではないでしょう。 それからこの第二巻のプレイ、初めは前回の冒険で生き残ったメンバーだけで冒険を続行する予定でしたが、戦士か僧侶がいないと異変に気付かずにのん気に寝てしまい、どうしても不利な戦闘になって勝てません。 レベル4の盗賊と魔法使いでは、7・8回やり直しても駄目。盗賊の攻撃のタイミングを考えたり、魔術師は盲目的服従やバンパイア、雷撃の呪文も使ってみましたがどうしても駄目です。 そんなわけで新しくレベル2の仲間が加わったということにして4人パーティで始めることにしました。こういった融通をきかせることが出来るところが、ゲームブックのいいところです。
ソーサリーのプレイ日記を書いている人がいて、サイトのあちらこちらで話題になっているらしい。
今頃ソーサリー http://blog.livedoor.jp/nirva7/
実際に行ってみると面白かった。 特にソーサリー初挑戦の人が遊んでいるところが新鮮です。既に読み漁った私にはこればっかりは真似できない。 ゲームブックのプレイ状況をブログで書くのが流行りそうな気配ですね。 経験談から言うと、リアルタイムで遊びながら日記に進行状況を書いていくのは、遊び終わった作品について書くより数倍大変です。私の場合、ゲームブックを進めるのが義務みたいになっちゃって、日記もゲームブックも楽しめなくなってしまいがちでした。 そんなわけで当面やるつもりはありませんが、もし私が似たような企画に挑戦するとすれば、ローンウルフシリーズをやってみたいですな。唯一手をつけていない大作シリーズなので、やるなら時間のあるときにトコトンやってみたいものです。
それから扶桑社から、ついに「火吹山の魔法使い」が発売されるらしいですね。 早速、復刊ドットコムに注文しようかと思ったのですが、店頭に並ぶゲームブックを買ってみたいと思いやめました。ちゃんと田舎の本屋まで流通させて下さいよ、扶桑社さん。
2005年03月21日(月) |
ゲームブック出版社の傾向と対策 その6 |
以上が私の感想です。文庫本好きなので、新書版のシリーズはあんまり遊んでいなかったですね。 遊んだゲームブックの総合計は、全部で200冊くらいかな。少ないですが、私はライトファンなのでこんなものです。 以下はあんまり遊んでいないので、真っ当な評価のできない出版社の一口コメント。あんまり信用しないで下さい。 まったく所有していないものや、元々1・2冊しか出版してないものは除きます。
<秋元書房> 若桜木虔の超能力者集合せよ!シリーズが有名。ゲームブックの面白さというものを勘違いして製作されたという噂。
<MIA出版> 凝っていて割と期待できそうな作品が多いが、どの作品も字が小さくてギッシリなので、根気がない私は未だ遊べておらず。
<エンターブレイン> 2000年頃にゲームブックを一時的に復活させた。ゲームを原作にしたものが多く、双葉よりさらに子ども向けの内容。
<学習研究社> 西東社のゲームブックに近い。装丁は文庫本よりさらにコンパクトなタイプ <角川書店> サイレントメビウスゲームブックや、魔界水滸伝ゲームブックがあるらしいが原作に興味がないのでちょっと。「時空の旅人」は林友彦作品なのでいずれ遊んでおきたい。 <廣済堂> 現代社会にゾンビだのヒトラーだのがやたらと登場する作品ばかりで、読んでいるとお腹いっぱいになった。
<光文社> 装丁からしていかにもゲームブックブームに便乗したような感じ。現代物が多い。基本的にB級だがマニアな内容もあって、ある意味で面白いかも。 <JICC出版局> パソコンゲームを原作にしたものが多い。名作から今一歩までいろいろあるようだが、パソコンゲームに縁がなかったせいか、なんとなくプレイする気がおきない。 <小学館> ゲームブックブームが終了していた1997年に唐突にゲームブックシリーズを出した。 ポケットモンスターやゼルダの伝説を原作にしたTVゲームものが多いが、意外にしっかり良く作られていた。もっと売れていればゲームブック界の復活は早かったかも。
<祥伝社> 現代ホラーっぽい話しが多い。 悪夢シリーズは一部で名作との声が高い。不条理だがぞくっとする怖さがある。
<新星出版社> なんとなくチープな印象。ブームに便乗した安易な企画ものなのか。
<成美堂出版> これもチープな印象。「清里ペンション村妖精狩り」のナンパさがまたなんとも。
<世界文化社> ハーレクインなゲームブック。ルールなしの分岐小説タイプ。意外にしっかり作られているが、基本がハーレクインなだけにやはりトンデモ系になってしまう。
<創映新社> あのエロアニメ界のガンダム“くりいむレモン”のゲームブックシリーズだというのにエロがないという、詐欺のような作品を出していた。
<大都社> コミックゲームブック。シンプルだが内容は悪くない。題材がサバイバルだったり、ナンパものだったり、バラバラでいまいち購買層が見えてこないのが難点。
<大陸書房> 若桜木虔作品が多いのでもう路線が見えているような。「ファイナル・ファンタジーII 将軍ボーゲンとの死闘!」を遊んでみたが、根気が続かなかった。 <徳間書店> 天空の城ラピュタとか、宮崎アニメ系のゲームブック。ゲーム性は今一つな印象なので雰囲気で楽しみたい。
<早川文庫> 栗本薫や火浦功の小説をゲームブック化されたものなど全5冊出版。ゲーム性はまあまあの出来。 ディノンシリーズの評判が高いが、好き嫌いが分かれそうな内容だ。
<バンダイ> 起動警察パトレイバー、トップをねらえ!、機動戦士ガンダムなど主にアニメ系を原作としたゲームブック。ゲーム性は双葉と同じかちょっと良い程度。 ダーティペアが原作らしい熱核姉妹ツインノヴァは、版権がとれなかったのか名前だけ変更しているあたりが大人の事情を感じさせて興味深い。
<ポプラ社> にゃんたんのゲームブックシリーズは今でも多くが発売されているが、幼児用の絵本遊びに近い。ここでいうゲームブックに含めて良いものかどうか。 ブーム当時に発売されていたシミュレーションゲームブックシリーズの方は、いかにもポプラ社らしい児童小説っぽい装丁。こういう路線が出るほど、当時のゲームブック人気は浸透していたんだなぁ、としみじみ。
2005年03月20日(日) |
ゲームブック出版社の傾向と対策 その5 |
<ホビージャパン> 代表作:ローンウルフシリーズ、ファルコンシリーズ、カーウォーズシリーズなど ゲームブック作家:ガリー・チョーク、マーク・スミス、スティーヴ・ジャクソンなど 山口プリンの遊んだ作品数:5冊くらい
ゲーム度:★★★ (やや作りが不親切な印象があるが、よく出来ている) ブック度:★★★★ (独特の世界観をもつシリーズが多い、指輪物語ゲームブックなんかは特にお勧め) プリン度:★★ (装丁が安っぽかったり、字が小さいのが嫌い。ただ名作と評判の高いローンウルフシリーズは、まだ未経験なので遊ぶのが楽しみ)
<白夜書房> 代表作:はみ出しゲーム、シャーロックゲームズシリーズ ゲームブック作家:奥谷道草 山口プリンの遊んだ作品数:40作くらい
ゲーム度:★★★★★ (毎回わずかなパラグラフ数の作品に新しいアイデアが入っているのは驚嘆もの) ブック度:★★★ (設定はシンプルながら、少しとぼけたような味のある文章が魅力) プリン度:★★★★ (是非単行本化を希望したい)
<創土社> 代表作:チョコレートナイト、シャムタンティの丘を越えてなど ゲームブック作家:鈴木直人、スティーブジャクソンなど 山口プリンの遊んだ作品数:7冊くらい
ゲーム度:★★★★★ (さすがに選び抜かれた名作揃いなので問題なし) ブック度:★★★★★ (さすがに選び抜かれた名作揃いなので問題なし) プリン度:★★★ (チョコレートナイト以外は復刊作品のみというのは少々寂しい。本のサイズが半端に大きく収納に困るのが難点)
2005年03月19日(土) |
ゲームブック出版社の傾向と対策 その4 |
<講談社> 代表作:山のサバイバルなどアドベンチャーブックスシリーズ、ゲゲゲの鬼太郎などX文庫シリーズ、ツァラトゥストラの翼など ゲームブック作家:エドワード・パッカード、岡嶋二人など 山口プリンの遊んだ作品数:8冊くらい
ゲーム度:★★ (アドベンチャーブックスシリーズなら単純すぎて★1つ、X文庫シリーズは人気漫画などを原作にした双葉系で★2つ、ツァラトゥストラの翼は単発作品だが本格推理物なので★3つ) ブック度:★★ (アドベンチャーブックスシリーズは小さい子ども向け、X文庫シリーズは原作のファンならいいかも) プリン度:★ (アドベンチャーブックスシリーズって全部同じ内容に見える・・・)
<桐原書店> 代表作:君はエスパー、2002年暗黒霊の復讐など ゲームブック作家:スーパー頭脳集団アイデアファクトリー 山口プリンの遊んだ作品数:7冊くらい
ゲーム度:★ (無駄にめんどくさいルール、壊れたゲームバランスに耐えられるなら楽しめる) ブック度:★ (味気ない文章、支離滅裂な妄想じみた世界観が凄い) プリン度:★★ (D級ゲームブックといえばそれまでだが、ここまで極められると逆に魅力すら感じる。まれに普通に良作と思える作品もあり)
<近代映画社> 代表作:騎士と魔法使いシリーズ、インディジョーンズシリーズ、ジェームズ・ボンド・シリーズなど ゲームブック作家:R・L・スタイン、リン・ビーチなど 山口プリンの遊んだ作品数:7冊くらい
ゲーム度:★ (選択肢より運だのみのゲーム性。普通に遊んでは80%くらいクリアできないのは当たり前の世界) ブック度:★★★★★ (騎士と魔法使いシリーズは、古めかしさの漂う文体、骨太なストーリーで描かれた剣と魔法の世界が最高だった。他のシリーズは入手していないが、同じ作者が多いので期待できる) プリン度:★★★ (薄っぺらなゲームブックに定価680円は、当時としてはコストパフォーマンスが悪すぎ)
2005年03月18日(金) |
ゲームブック出版社の傾向と対策 その3 |
<エニックス文庫> 代表作:ドラゴンクエストシリーズ、ファイアーエムブレムシリーズなど ゲームブック作家:沙藤樹、安藤夏など日本人作家 山口プリンの遊んだ作品数:6冊くらい
ゲーム度:★ (初期のドラクエシリーズは評判が良いものの、他は単にストーリーをなぞるだけのような簡単な作品が多い) ブック度:★★★ (主にエニックスのゲームなどを原作としている。ファンなら○) プリン度:★★ (ゲームブック作品というより、単なるファングッズのような印象。しかしゲームブックブームが終了した後も、このレーベルがしばらく生き残ったのはその為だろうか)
<勁文社> 代表作:コミック版スーパーマリオブラザーズ外伝、機動戦士ガンダム最期の赤い彗星など ゲームブック作家:山口宏、原田力男など 山口プリンの遊んだ作品数:5冊くらい
ゲーム度:★★ (双葉文庫と共通する作家もいて内容も近いが、あたり外れの激しいあちらと比べてどれも低調な印象。後期の作品については期待できそうなタイトルがあるものの、残念ながら入手していない) ブック度:★★★ (こちらもTVゲームなどを原作とした作品が多い。時々あるコミック版ゲームブックは子供向けな印象だが、とっつきは良いのでゲームブック入門に最適かも) プリン度:★ (双葉と近いはずなのに、この落差はなんでだろう。文庫本でなかったからか。表紙イラストが半端にリアルで怖かったからだろうか。いや、最初に読んだ「ドルアーガの塔外伝」のインパクトが強すぎたからだと思う)
<西東社> 代表作:大統領を捜せ!!、サバイバル・ゲームなど ゲームブック作家:高槻速雄、さいとうたかを、など 山口プリンの遊んだ作品数:6冊くらい
ゲーム度:★ (時々トンデモ系の内容がある。中にはゲームブックと呼べるのか微妙なゲーム性の作品も) ブック度:★★ (全体的に重苦しい印象があるが、安っぽくて黒い装丁の為だと思う。後、さいとうたかをの漫画ゲームブックが読めるのは西東社だけだ) プリン度:★★ (装丁から中身までいかにもB級です、といわんばかりの内容。エニックスや勁文社の作品が普通に思える)
2005年03月17日(木) |
ゲームブック出版社の傾向と対策 その2 |
<富士見書房> 代表作:AD&Dシリーズ、スカイフォールシリーズ、ブラッドソードシリーズなど ゲームブック作家:印象が薄いが、主に外国の作品。別シリーズで黒田幸弘をはじめとする日本人作品も少々あり。 山口プリンの遊んだ作品数:12冊くらい
ゲーム度:★★★ (メインとなるAD&Dシリーズは、ストーリー重視でゲーム性がおなざりな作品が多い) ブック度:★★★ (TRPGっぽい雰囲気が多いのが特徴) プリン度:★★★★ (昔は敬遠していた出版社だが、解説などで黒田幸弘が関わっているのがポイント高し。それにブラッドソードシリーズが素晴らしすぎる)
<二見書房> 代表作:ドラゴンファンタジーシリーズなど ゲームブック作家:ブレナン、フーゴ・ハル、ハリーリンド、奥谷晴彦など 山口プリンの遊んだ作品数:10冊くらい
ゲーム度:★★★★ (洋ゲーらしい理不尽な難しさを逆手にとった「14に行け」は秀逸。ドラゴンファンタジーシリーズ以外にも、独特のゲーム性の作品が多い) ブック度:★★★★★ (どの作品もユーモアがあって申し分のない内容。タイガー暗殺拳の濃ゆい世界も○) プリン度:★★★ (文庫本でないし、装丁が不気味な作品が多いので−1点、自分が知らないうちに熱狂的なファンが大勢いたので逆に冷めて−1点、という食わず嫌いで天邪鬼の典型的な例。昔は「グーニーズ」と「魔城の迷宮」しか遊んでおらず、他にも面白い作品が多いということがわかったのは最近のことである)
<朝日ソノラマ> 代表作:「魔法使いナシアン」などのハローチャレンジャーシリーズ、他にスターチャレンジシリーズなど ゲームブック作家:高橋昌也、武田邦人、クストファー・ブラックなど 山口プリンの遊んだ作品数:8冊くらい
ゲーム度:★★ (実験的で興味深いものもあるが、全体的にイマイチな作品が多い) ブック度:★★ (SFだったり、現代物だったり、もちろんファンタジーだったり、バリエーション豊かに発売されていたが、全体的にイマイチな作品が多い) プリン度:★★★ (ハローチャレンジャーシリーズは一作品ごとに内容がガラリと変わるので、全ての作品を見てみたい気がする。スターチャレンジシリーズの方は、子ども向けすぎてお勧めできない)
2005年03月16日(水) |
ゲームブック出版社の傾向と対策 その1 |
ファーレン・ホワイデさんの味噌日記で、ゲームブック出版社ガイドなる面白い企画をやっていたので、こちらもつられて書いて見ます。(パクリ企画ともいう)
<味噌日記@はてな> http://d.hatena.ne.jp/kanipanda/20050306
今回は、私が5作品以上遊んだ出版社のみ書きます。 審査ポイントは、ゲーム度(システムやバランスなど、ゲームとしての面白さ)、ブック度(世界観やイラストなど、小説的な本としての面白さ)、プリン度(山口プリンの思い入れ度数。昔から遊んでいた作品なんかが有利)、を各出版社の出した作品ごとに各項目5点満点で平均値を出したものです。
<創元推理文庫> 代表作:ソーサリーシリーズ、ドルアーガシリーズ、ネバーランドシリーズなど ゲームブック作家:鈴木直人、林直彦など 山口プリンの遊んだ作品数:35冊くらい
ゲーム度:★★★★★ (日本人向けで文句なし。長編が多すぎるのは、好き好きか) ブック度:★★★★ (各作品ごとに独特の世界観が多い) プリン度:★★★★★ (全部好きとはいわんが、若い頃は創元以外はゲームブックじゃねぇ!くらいに好きだった)
<社会思想社> 代表作:主に「火吹山の魔法使い」などのファイティングファンタジーシリーズ、ギリシャ神話シリーズ、T&Tソロシナリオシリーズなど ゲームブック作家:スティーブ・ジャクソン、イアン・リビングストンなど、外国人作家多数 山口プリンの遊んだ作品数:30冊くらい
ゲーム度:★★★★ (統一されたシステムが遊びやすい。洋ゲーらしい理不尽な難しさに−1点) ブック度:★★★★★ (小説にも劣らないよく出来た世界観。挿絵も素晴らしい) プリン度:★★★★★ (やはり外せない出版社。わずかに出している日本人作品も良作多し。ただし、T&Tソロは嫌い)
<双葉文庫> 代表作:「ドラゴンクエスト」や「スーパーマリオ」などをはじめとするファミコン冒険シリーズ、オリジナル作品の冒険シリーズ、ルパンシリーズ、ペパーミントシリーズなど ゲームブック作家:樋口明雄、池田美佐など、日本人作家多数 山口プリンの遊んだ作品数:60冊くらい
ゲーム度:★★ (良作もあるが、平均にするとこんなもん。作家の卵みたいな若手の作品が多い) ブック度:★★★ (原作のファミコンゲームに思い入れがあるかの問題だろう。オリジナル作品の場合は趣向が合うかどうかによる) プリン度:★★★★★ (質より量的な膨大な出版数。良きにつけ悪しきにつけゲームブックブームを象徴する存在には違いない。最近でいう、ライトノベルみたいなものか。最近では一番のお気に入りの出版社である)
2005年03月15日(火) |
今、TVでジュラシックパークを見ながら |
そういえば、ジュラシックパークのゲームブックがあったな、と本棚をゴソゴソ・・・・・・ありました。出版社は二見書房でしたね。思えばゲームブックブームも完全に終了した時期に発売されたんだなぁ。当時、存在に気付いていれば、私も売上げに協力したのに。そう思いながらちょっとパラパラと拾い読み。 主人公は映画には登場しない名無しのオリジナルキャラ、つまり読者自身らしいです。ティムとレックスという2人の子供と一緒に行動しているので、役どころは映画の主人公のグラント博士と同じみたい。素直にグラント博士を主人公にした方がわかりやすくていいと思うけど、作者が感情移入にはこの方がいいと判断したのかな。 あと、ティラノサウルスに襲われて遭難したシーンの後からゲームがスタートしていますね。これはティラノサウルスに襲われる直前から始めて欲しかった。あそこが映画の最大の山場なんだし、導入部から読者を引き込む仕掛けになったのに。私は映画館であのシーンを見ながら「私ならああするのに!」と、もどかしい思いをしたものでして、それがゲーム中に含まれていなかったのは非常に残念に感じました。 でもゲームが始まってほどなく、数学者のマルコム博士に得意のカオス理論で「数字を大切にしろ」とゲームのヒントを言わせるのはうまい!と膝を叩きたくなるような演出です。 あと、恐竜エリアごとにパラグラフ番号まで固めて仕切っているのも雰囲気を出していていい感じです。映画にはない場所なんかも盛り沢山で、時間がたっぷりあるときに腰をすえて遊びたくなりました。 もし遊び終わることがあれば、またちゃんとした感想を書きます。
(追記) 今のところ途中で詰まった状態ですが、見た目と違ってアクションシーンよりはパズル要素の比重の高いゲーム性です。他のゲームブックに例えると「魔城の迷宮」に近いかも。
2005年03月14日(月) |
ラブラブ・ヒナの迷宮(奥谷道草/白夜書房) |
クロスワードランド2005年4月号のはみ出しゲームです。 今回は特に凝った内容ですね。主人公がヒナ子(女)とモモ太郎(男)の2人いて交互に操作しながらゲームを進めるのです。別々の入り口から迷宮に潜入した2人を、同じタイミングで迷宮の中央の部屋へ到着させればハッピーエンドです。 昔、ハドソンから発売されていた“バイナリーランド”というゲームを思い出しました。(知ってる?)
それでですね。率直に感想をいいますと・・・・・・直感的にわかりにくいです、これ。 とにかく面倒くさいというか、1パラグラフ毎に主人公が交代するのが、煩雑すぎて感覚がついていかないのですよ。本文中では指を挟んで、ヒナ子パートとモモ太郎パートを交代するように指示されていますが、地図を書かないと攻略できないので、そりゃ無理です。しかも、はみ出しゲームではお馴染みの「一つ前のページへ戻る」なんて指示がここにもあった日にはもう大混乱。(^^; ここでは、双葉ゲームブックでお馴染みのルール、(でも普通は誰もしない)ステップメモという方法がお勧めです。早い話しが指を挟む代わりにパラグラフ番号をメモしていくのです。こうすればいくらか落ち着いて遊べるかと思います。 ただ、ルールが煩雑なぶん配慮したのか、ヒナ子パートとモモ太郎パートがあるぶんパラグラフ数が足りなかったのか、迷宮自体はとてもシンプルです。地図さえ完成させれば簡単にクリアできるでしょう。 いっそ、先に片方のパートだけ遊んで地図を完成させてから、改めて挑戦したらもっと楽かも。でもそうするとこのゲームの趣向が台無しかな。うーん。今回はこのアイデアを生かして、もっと遊びやすい方法がなかったものかと考えてしまいました。
2005年03月13日(日) |
グラディウス 未知との戦い(吉川剛史・飯野文彦/双葉文庫) |
アーケードやファミコンで有名だったシューティングゲームを原作にしたゲームブック作品です。 人類とエイリアンとの戦争が繰り広げられる世界。その人類側の宇宙艦隊の中で生活をするのは、戦闘機パイロットに憧れている若い整備兵のフレディという主人公なのです。フレディは操縦テクニックには自信があるものの、適正テストに不合格になって整備の仕事を割り当てられて不満をもっています。 そこに事故が発生してフレディは異次元の世界へ飛ばされてしまいます。その異世界はフレディの住んでいた世界に似ていて、ここでも人類と別種のエイリアンが戦争をしていたのです。フレディはひょんな展開からフィオナという少女と一緒にエイリアンと戦うことになるというストーリーです。
ゲームのルールとしては、体力、知力、アイテムの管理くらい。そんなにクリアに苦戦することはありません。目新しいシステムなどもなく、ゲームブックとしての感想はあんまり書くことはないのですが、小説として読ませる力のある内容でして結構気に入りました。 元がシューティングゲームだけに、どうゲームブックで表現されるか不安になっていたのですが、ギャグなし、シリアスな内容で、憧れの戦闘機に乗った喜びの表現や、フィオナとの会話、緊張の戦闘など、青春SF小説っぽい感じです。 私はRPGやアドベンチャーゲームは別として、アクションやシューティングゲームをゲームブック化するときは、ゲーム性より世界観を移植できるかを重視する方がキモだと考えています。原作のゲームが好きで購入するという方も、本でゲームの疑似体験したいというより、ゲームの世界観の広がりを楽しみたいという人が多いのじゃないかと。 この点、この作品はまさに世界観重視で作られています。グラディウスファンの方なら、この作品をおさえていても損はないと思いますよ。
2005年03月12日(土) |
次元からくり漂流記 タイムマシン冒険号発進(高野富士雄/双葉文庫) |
この作品自体は少しマイナーですが、著者は他に「地底階層王国シリーズ」や「ねこまんまのポチシリーズ」、それに「魔界横断ドラゴンラリーシリーズ」などを書かれた高野富士雄さんです。(えっ、どれも知らない?) そういえばゲームブック風CDの時以外で、高野富士雄作品をまともに冒険記録日誌で話題にするのは初めてですな。当時は恐ろしく多作なゲームブック作家だったのに。一時は2ヶ月に1冊という恐ろしいペースでゲームブックを発売していて、樋口明雄や池田美佐に並ぶ双葉ゲームブックの代表的な作家の一人となっていたのですね。 でもなーんか私は手を出す気になれなかったのです。 それなりに世界観は好きな作品が多かったので、彼の作品は発売当時にはパラパラと立ち読みくらいはしましたけど、ゲーム性の方がいまいちに思えて、いずれも購入までは至りませんでした。 でもマトモに遊んだこともないので、本当は面白いのかちゃんと遊んで判断してみました。
次元からくり漂流記の主人公は小学生の3人組です。それぞれ、わんぱく小僧のダイスケ、可愛くて生意気な女の子のくりりん、頭脳明晰なハカセというキャラになっています。 ある日図書館の掃除をしていた3人組が、一冊の古びた本を発見します。ハカセによると、この本は時間跳躍之機会製造法、つまりタイムマシンの作り方を書いているそうで、3人はタイムマシンを組み立てて過去の世界へ冒険の旅に旅立つというのが粗筋です。 車一台作れない小学生がそんなの作れるんかい!とつっこまないように。現代人が過去の歴史を見物に行くというストーリーはよくある話しです。この作品はなんとなく児童小説みたいな雰囲気がしました。 しかし、ゲームとしてみるとほぼ一本道のストーリー展開で、選択肢でも片方がバッドエンド行きか、どれを選んでも大差ないものばかり、というのが不満です。何度遊んでもまったく同じ展開になってしまうので、戦闘などでゲームオーバーになると、もう最初からやり直そうという気力が湧いてこないのです。 冒険の舞台も序盤は平安時代とかにタイムスリップをしていたのですが、そのうち“次元からくり漂流記”の名前に違わず、そのうちいつの時代とも思えない妙な妖怪が住んでいる異次元の世界に到着するようになるという展開になります。個人的にはファンタジーに走らずに、ちゃんと時代考証を考えて作られた作品にしてほしかった気もします。 まあ、もともとは小学生向けの作品という印象なので、歳を食った私があれこれ思ってもしょーがないかもしれません。もしかしたら小学生だった当時の私がちゃんと読んでいだら夢中になっていたかもしれませんね。 尚、この作品を原作としてゲームブック風CDシリーズ第3弾が発売されていたようです。ゲームブック風CDなら、案外丁度いい感じになるかも。一度聞いてみたいですが、恐ろしく入手が難しそうです。
2005年03月11日(金) |
どきどきまあちゃんゲーム(警視庁) |
子供を犯罪から守るために警視庁が製作した、画期的なゲームブック風アドベンチャー啓発ゲームです。 「お母さんに頼まれて、おつかいに出かけるまあちゃんを操って、無事に買い物をすませよう」 そんなゲームですが、まあちゃんがとっても可愛いのか、ゲームが始まると怪しい男やおばさんが次々にまあちゃんに話し掛けてきます。ここで選択誌が発生するので、まあちゃんの代わりに選んであげましょう。 基本的に誘いにのる選択誌を選んだら駄目みたいですね。注意を受けたあと、すぐにやり直しになってしまいます。 防犯ブザーを鳴らしながら走るとか、正しい選択誌を選んだら、お話しは進んでまたまあちゃんに次の誘いがくる。 この繰り返しをくぐり抜けて、家まで無事に帰れたらハッピーエンドです。 低学年向けだけにとっても簡単にクリアできますね。
って、子供だましすぎないかい? あまりの単純さに小学生でも遊ばない気がするのですが。もっと真剣に啓発になるゲームにしましょうよ、警視庁の啓発担当の皆さん。 ここは間違った選択誌でも安易にやり直させずに、とことん話しを続けて分岐を増やしてほしいですね。その方がゲーム性もアップして、子供も興味をもつと思います。 例えば、あのスティーブ・ジャクソンの凶悪ゲームブック「地獄の館」のように。一旦へんな誘いにのったら、後はどんな選択肢を選ぼうがバッドエンドじゃ。ぐししししっ。ついでに下着の写真もとっちゃいましょうかね、まあちゃん。座った方がいい?それとも立った方がいい?選ばせてあげるよ。どっちも一緒だけどね。(by拷問師) という展開まで徹底的に描くのはどうでしょうか。 これを遊んだ子供は真剣になるでしょうし、ある意味で大人でも楽しめると思います。 どうですか、警視庁の啓発担当の皆さん。
どきどきまあちゃんゲーム http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/dokidoki/index.htm
2005年03月10日(木) |
キモだめし(奥谷道草/白夜書房) |
クロスワードランド2002年10月号のはみ出しゲーム。 「秘境温泉めぐり」とは季節が一転して今度は真夏のお話しです。田舎に遊びにいった主人公が、地元のガキ大将の誘いにのって、キモだめしに真夜中に神社まで行って神社鈴を持って帰るというものです。 このキモだめしで命にかかわるような危険はないようなのですが、主人公はちょっと不思議な空間にさ迷い込んだようです。東や西へずっと進んでもいつの間にか一周して元の場所に戻ってきてしまうという不思議な迷路となっています。 階段もずっと登っていると、気がつくとさっきより下の山道を歩いているという具合で、今回はちゃんと地図を書かないと混乱するかも。いや、地図を書いても私は混乱しましたが、エンディングに書いてある地図をチラリと見て、構造を把握してから書き直すとうまくいきました。 ゲームとしてはまず提灯を手に入れるまでが序盤、鳥居にあるいくつもの謎のメッセージを収拾してヒントを得るまでが中盤、神社への入り口を発見してからが終盤というところでしょうか。 最初の取っ掛かりがわからなくて、話しが進まずに困りました。することがわかってからも、鳥居を捜してウロウロと迷ってしまい、クリアするのに少々疲れましたよ。ふぅ。 それで感想ですが、テーマがテーマだけにもっと恐ろしげな演出を効かせてほしかったかも。個人的には今回は少しだれ気味だったので、そういうスパイスがほしかったかなーっと。 深夜の山道で謎の声や足音が聞こてくるなど、それらしい演出は随所にありますが、不気味さはあっても怖くはありませんでした。 むしろ白夜山温泉の方が絶対に怖かったね。(笑)
2005年03月09日(水) |
秘境温泉めぐり(奥谷道草/白夜書房) |
クロスワードランド2002年4月号のはみ出しゲーム。 私が遊びたいゲームブックの趣向は、その日の気分で変わるので、たまにはこのような唐突に古いはみ出しゲームを遊びたくなるんです。
このゲームの目的は、白夜山に天然の温泉が7つあって、そのすべてを巡りましょうというものです。シンプルですね。 7つの温泉を全部まわれば無病息災・頭脳明晰・出前迅速の効能があるそうで、俄然はりきります。温泉に入るのは気持ち良さそうだし、読んでいると本当に近場の温泉に行きたくなりますな。 と、最初は思っていました。 しかし、しかしです。 この天然温泉は無茶苦茶に危険なところだったのです。 まず、熊との遭遇。この山では熊さんによく出会うのですが、二度出会うと「僕に食べてもらいたいのだな」と熊さんなりに考えてくれたようで、主人公はムシャムシャと食べられてしまいます。とにかく熊の登場するパラグラフ25には、絶対近づかない事です。 続いて、気温。白夜山はとても寒いらしく、うっかり池に足をつっこんだりすれば、さぁ大変。数パラグラフ以内にどこかの温泉で温まらない限り、たちまち凍死してしまうのです。橋を渡れば崩れおちて冷たい川に落ちるのは当たり前、巨大温泉の中をじゃぶじゃぶ歩いている時は、あまりのお湯に茹だってそのままパッタリ死亡という展開すらあって、まさに命がけです。 トドメは、老婆。山小屋に住んでいる飢えた老婆がいるのですが、話し掛けただけで襲われます。ここで食料を持っていないと、なんと自分が食べられてしまうのです。いくら秘境の地といっても恐ろしすぎる。
このように命を削るような温泉めぐりなのですが、そのかわり謎解き自体は簡単な方です。時々出会う人々の話しをキチンと聞いていれば、特に迷わずに全ての温泉に到達できるでしょう。私はマッピングなしでクリアしました。 しかしいくら天然100%の温泉でも、ゲームブックでなければ絶対にこんな温泉にはいきたくありませんね。くわばらくわばら。
2005年03月08日(火) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その8 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
六度目のプレイ。 僕は迷宮内を彷徨っていた。とはいえ、前回の冒険でマッピングの大半は終わっているので、今度はそう苦労はしない。 ファムも黙って(といっても喋れないのだが)僕の傍をついてくる。お婆さんの家にいるように言ったのだが、彼女はガンとして聞き入れなかったのだ。 迷宮内には一般兵士はいないものの、迷宮には4人の門番が行く手を塞いでいた。道中に体力を回復する手段がないので、中盤までに十分に強化していないと連戦するのはかなり厳しい。 なぜかどーしてだかとっても不思議なのだが、どの敵もレーザー銃のような武器をもっていないのは助かるのだが・・・。この世界では接近戦は剣や拳で勝負するのが伝統なのだろうか。 そして僕は4人目の門番の部屋へと辿りついた。ムキムキの筋肉が服の上からでも波打って見えるような男だ。 「よくきたな。俺の名はケンジ。ここが貴様の墓場となる」 やはりこいつも拳法使いらしい。奴はそう言うと、ホアァァァァーと気合をあげ始めた。 盛り上がった筋肉のために奴の上着がビリビリと引き裂かれて消えた。なにかオーラみたいなものまで見える。 「いくぞ!アアーータタタタタタタタタタタタタタ。ホアタァ!」 奴の凄まじい連打が襲い掛かる。必死に避けると、奴の拳が僕の背後の壁をボロボロに変えた。 「よく避けた。しかし、ここまでだ。いくぞ究極奥義・・」 僕は奴が技の名前を喋っている間に、剣を突き刺した。 「馬鹿な・・・俺が敗れるなど。こうなったら己の命と引き換えにしてでも・・・経絡秘孔を」 しょーこりもなくブツブツ言っている奴に、もう一度剣を振り下ろして勝負は決まった。
こうして僕は王の部屋に潜入した。そこにいたのは・・・ 「お兄ーちゃん」 「リルル!どこにいるんだ!」 思いもかけぬ声に僕は慌てた。部屋は真っ暗で何も見えない。いや、思うと赤い盗賊団の面々が浮かんでは消えた。そしてお爺ちゃんを始めとする村の人達の顔、顔、顔。僕はうろたえて絶叫しそうになった。
──極端なネタバレのために自主規制、中略。
支配者を倒した僕は、リルルに再会した。ファムも笑っている。 そうだ。この世界はきっとこれから良くなるに違いない。早く武器を持ち帰って、村を助けよう。本当の冒険はこれからなんだ!
END
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いやぁ、やっぱり楽しかったです。 一回のプレイ時間が長いのと管理するデータの多さの為に、手軽に遊べるような作品ではありませんがお勧めです。 超序盤を抜けたあたりから中盤までのあたりは、とても自由に行動できますし、イベントも豊富なので、ゲームオーバーになっても繰り返す気力が湧いてきます。 双方向システムタイプのゲームブックが好きで、双葉ゲームブックじゃ軽めの作品しか遊んだことがないという人には、是非試していただきたいですね。
2005年03月07日(月) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その7 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
あんまり根掘り葉掘りストーリーを書いてもなんなので、少し割愛。
僕と同じ少年達で構成されている赤の盗賊団を仲間にした僕は、彼らの力を借りて世界を分断する西の壁をわたることになった。もちろんファムも一緒だ。 ついに到着した西の壁の向こうは、遥かに近代化された都会だった。壮大で華麗な未来都市。 そして何台ものパワードメタルが僕らに襲い掛かってきた。すでに赤の盗賊団の連中は必死で交戦中だ。 なぜ、問答無用で襲い掛かってくるのだろう。僕らが侵入したことがそんなに大変なことだったのだろうか。 僕は、ドラグーンをボバリングで走らせながら、走れるところまで走った。 走りながら、この未知の世界を眺めた。 チリ一つない清潔な町並みだったが、人気もない。ここには不思議に病的な印象だけが残った。 ボバリングの燃料が切れた。僕はすぐさまファムを抱えて、連中に気付かれないようにドラグーンから脱出して走り出した。 追っ手のパワードメタルがドラグーンに向かって、集中砲火を浴びせてきた。僕の背中に熱い衝撃が走り、意識が薄れていった。背後のドラグーンが爆発したのだ。
どのくらい時間がたったのか。かすかに僕の名前を呼ぶ声がする。 僕はどこかの民家で目を覚ました。看病してくれていたらしいファムが心配そうに僕を覗き込む。 「ファム。僕の名前を呼んだのは君か」 ファムは首を振る。ファムの背後から、お婆さんがやってきた。 「目が覚めてよかった。温かいスープなどいかかがかね」 僕はお婆さんに聞いた。僕らを助けてくれた理由。そしてこの世界のこと。 「たいしたことじゃないよ。ただこの世界が嫌だから、壁の向こうから来てこの世界から敵にされているお前達を助けたかったんだ」 「どうして、こんなに立派な文明なのに」 「きっと文明は行き過ぎると毒になるのだろうね。昔はそうじゃなかった。けどこの国を支配する王が文明に取り付かれてから、ここは地獄そのものなんだよ」
家でついていたテレビが自動的について緊急放送へ変わった。国王が呼びかけている。 ──アル。大人しく出てくるんだ。 「なんだろうねぇ。こんな子供一人のために緊急放送まで使って」 お婆さんは呆れ顔で呟いた。 本当になんで僕のために。それに、この世界に来たばかりの僕の名前をなぜ知っているのだろう? ──繰り返す。出て来いアル。貴様の仲間達は間もなく処分されるのだぞ。 画面が切り替わった。赤の盗賊団の皆が次々とレーザーに貫かれていく。悪夢のような光景が写った。 盗賊の首領は恋人の死骸を抱えて何か叫んだ。そして恋人を殺したパワードメタルに走った。そして何かを口で引き千切ると、そのパワードメタルを巻き込んで彼は自爆した。 映像はそこで終わった。 僕は絶叫した。喉も裂けんばかりに。 そしてお婆さんに王のいる宮殿を教えてもらうと、僕は王と決着をつけるために走っていったのだ。
王の宮殿は門番すらもおらず、ガランとしていた。王の自信の表れだろう。 僕は剣を構えると、宮殿内に潜入する。 宮殿内は迷路のような構造だった。そして迷ううちに時間切れとなったのだ。
END(ここで最初からはあんまりなので、壁を越えたシーンに戻ってから続く)
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この作品、ストーリーは中盤が凄く盛り上がるんです。 それだけに王の宮殿に直接王を退治しに行く展開も、そこが無人の迷路というのも、どちらもありえないって感じで水を差してます。 一応、迷宮では四人の兄弟がそれぞれ門番として道を塞いでいるのですが、「ネバーランドのリンゴ」のようなファンタジー世界ならいいかもしれないですけどねぇ。もうちょっと違う手段を考えてほしかったな。全体的には最高に面白い作品だけにこの点だけは残念です。 それに最後の迷宮もしっかり1パラグラフ毎に時間ポイントが経過するので、よくタイムオーバーになるのもつらい。 ここまできたら、時間ポイントなんて無視しても良いような気がするんですがね。
2005年03月06日(日) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その6 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
五度目のプレイ。 順当にレベルアップをしたあとに、さがしていた“キールビー”が見つかった。 洞窟の町のさらに奥に向かうと、そこは迷宮になっていた。ここはあけやみの森と同じく、1パラグラフ毎に時間ポイントを消耗するらしい。 そんなに複雑な迷路ではないとはいえ、迷っている時間の余裕は無いのでつらい。なんとか目的地、パワードメタル「ドラグーン」の前に到着したときはほっとした。 最終戦争前から存在したと思われるこのドラグーンは、武装もしておらず細かいサビこそあちこちにあるものの、十分に稼動できる状態だった。興奮を抑えて“キールビー”をコクピットに差し込むとドラグーンは迷宮の天井から飛び出し、外の大気を吸った。これで怖いものなしだ。 そのままリルルのさらわれている北の民族の本拠地へ一直線に向かう。 北の民族の男達はパワードメタルの急襲に右往左往していた。 「リルルはどこだ!」 僕は拡声器で大声をあげた。すると、ひときわ体格の良い一人の大男が、こちらに突進してきたではないか。 「ウオォララァ!」 奇声とともに男が、パンチをドラグーンのボディに叩き込む。ドラグーンがビリビリと振動した。素手なのに恐ろしい力だ。 すぐに僕は、男をパワードメタルの腕で吹き飛ばした。男はカッキリ40メートルは吹き飛んで倒れたが、すぐにヨロヨロと起き上がった。 「ぐっ、パワードメタルなんぞでこのゴワワを倒そうとは。卑怯な」 ゴワワ。奴は族長だったのだ。僕はコクピットのハッチを開けて、地面に降り立った。 「ほう、その玩具に頼らずに戦うのか。感心だな。・・・こいっ!」 そして死闘が始まった。他の北の民族の男達は、固唾を飲んで戦いを見守っている。 しかし、すでにドラグーンの一撃でゴワワは、少なからずダメージを負っていたのだ。やがて、ゴワワの胸に僕の剣が突き刺さった。 「こんなガキに・・・俺がやられるとは・・・」 僕はリルルを返すように迫った。 「リルル・・・。ああ、あの小さな女の子か。もう人買いに売り渡した。今ごろはあの遥かな西の壁の向こうだろう・・・」 ゴワワはそう言うと息絶えた。 そのとき殺気を感じて身をかわすと、つい先程の位置に棍棒が振り下ろされた。 みると涙を流しながら、男が棍棒をかまえている。 「きさま、よくも族長を!」 僕はとっさにドラクーンに飛び乗ると、北の民族の本拠地から急いで離脱した。 一度だけ振り返ると彼等は僕を追いかけようとせずに、族長の亡骸に集まって頭を垂れていた。
遥かなる西の壁か。 一説では、壁は最終戦争から僕らを守るために作られた防護壁であり、壁の向こうは戦争の傷跡も生々しい荒廃した世界が広がるともいう。だが武器を手に入れるためにも、リルルを取り返すためにも、壁をこえなくてはならない。 だが壁は高く、一人の力では乗り越えられそうも無い。どうする?
ひとまず僕は、まだ見えぬ手がかりを求めて、まだ訪れたことのない機械の町に向かった。道を塞いでいたゴーストメタルをドラグーンとの格闘の末に倒し、そのまま町に入る。 機械の町は廃墟のようだったが、広場では人が集まって賑やかだった。 「これから働かせるには、丁度いい歳だ!さあ、いくら出す!いくら出す!」 「500!」 「1000!」 「2000!」 なんとここは、人買いによる奴隷のオークションが、開かれていたのだ。 ステージではまだ若い男の子が鎖につながれている。やがて商人に競り落とされた男の子は、その商人に連れて行かれた。 耐えられない。 僕はその光景から目をそらして、立ち去ろうとした。そのとき、会場のどよめきに僕はもう一度ステージを見て、釘付けになった。僕と同世代の少女が、ステージに立たされたのだ。 「今日一番の上物だよ。この娘はわけがあって言葉がでない。だが、この顔を見ろ!これからどんどん美しくなるぜぇ。すぐに元なんかとれちまう!さあ、いくら出す!いくら出す!」 「1000!」 「2500!」 「5000だ!5000だすぞ!」 僕は、目に悲しみをたたえたその少女を見た。衝動にかられた僕はドラグーンに乗り込むと、ステージに向かっていく。 「10000!もういないか!10000ゴールドで落札が決まるぞ」 高額の競りに人買いの声が高まる。ぼくはドラグーンの拡声器で怒鳴った。 「30000!」 あたりが静まり返る。ぼくはドラグーンに乗ったまま、ステージに降り立った。 娘が鎖から離されたのを見計らって、僕はハッチを開け中に娘を引き寄せた。 「おい、子供じゃないか。坊や、本当に30000ゴールドは払うんだろうな」 「ああ、払うさ。3万年後にな」 途端にあたりを飛び交う怒号の中、武装したパワードメタルが何台も飛び出してきた。僕らは必死にドラグーンを走らせ、機械の町を抜ける。 しばらく走り抜け追っ手を巻いたのを確かめると、僕は賭博の町にしばらく身を潜めることにした。 救った娘に僕は笑顔を向けると、娘は安心したのか、僕によりそって指で文字を描いた。 「F・・・A・・・M。ファム。君の名前はファムっていうの?」 彼女はコックリと頷いた。
続く
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ゴワワのシーンや人買いのシーンは、ほとんど自動的に話しが進行します。 ここまできたら中盤も終わりって感じですが、今後も時間ポイントを消費することが多いので、出来れば3日目になる前にここまで来たいところです。 それにしても、パワードメタルを何台ももっている人買い達に比べると、弓矢で武装する北の民族達なんてそれほど怖くないような・・・。ま、ゴワワが格好いいので許すか。
2005年03月05日(土) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その5 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
賭博の町から出るともう一度商業の町に向かった。 道中に恐竜達と戦闘をしているうちに、念願のレベルアップを果たす。 商業の町の入り口には謎の武装集団がいたので、迂回して町に到着。新しい剣と軽い鎧、そして昔ロケットという乗り物の材料にも使われていたという丈夫な盾を購入した。 これで格段に強くなった僕は、洞窟の町に向かったが時間がかかったわりに特に収穫なし。宿屋で武装行商隊という、町を渡り歩く武器商人の存在を教えてもらったくらいだ。1日目は洞窟の町、2日目は商業の町、3日目は機械の町に滞在しているらしい。あ、さっきの武装集団はこれだったのか。 あと“キールビー”というアイテムがあればこの町で何かあるようなので、また出直さなければいけない。 日付はまもなく3日目に入るので、機械の町に向ったものの、ゴーストメタルという無人のパワードメタルが行く手を阻む。ロケット砲もパワードメタルも無い僕はどうしても勝てずに、やっとの思いで逃げ帰った。 そうこうしているうちに3日目も経過して時間切れ。もう村を救うには間に合わないのだ・・・。
END(再プレイで続く)
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強力な武器、ロケット砲を入手するためには、武装行商隊から購入する必要があります。2日目の商業の町で出会うのが妥当でしょう。 ただ武装行商隊の情報は、読者が知っていてもアルがゲーム中にちゃんと情報収集していないと、アルが警戒して武装行商隊に近づきません。今回は洞窟の町の宿屋で教えてもらいましたが、商業の町の防具屋で役にたたない防具を購入するとサービスで教えてもらえるので、時間節約のためにそっちの手段がいいと思います。 ちなみにロケット砲は高額なうえ必須アイテムではないので、入手するかは読者の作戦しだいでしょう。
2005年03月04日(金) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その4 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
四度目のプレイ。 ボバギーに乗り込んだ撲は、まず商業の町に到着した。結局、最初に行くのはここが正解だと思う。 宿に泊まって体力ポイントを満タンにしようとしたけど、翌朝までの時間が経過するのが惜しいので食堂に入る。まあ、食堂といっても最終戦争以後は、お粥のような合成食料に人工の味を加えただけという代物しか売っていないのだが。取り敢えず、フランス料理フルコースのお粥を食べて体力を大幅に回復させた。 武器や防具も購入したいが、まだ夜なので店は開いていない。しかたなく町を出て、あけやみの森へ入る。 しばらく森の中を移動し、二回目のプレイで作成中だった森の地図を完成させた。 夜が明ける前、ギリギリのタイミングで森から出て賭博の町に到着した。 パワードメタルに乗った門番に勝負を挑み、繰り出されるパンチを掻い潜って胴体の部分に剣を突き立てる。 するとパワードメタルが止まった。コクピットのハッチが開き、男が姿を見せた。 「やるじゃないか、少年。町に入っていいぜ」 皮袋が目の前に飛んできた。見ると中にはゴールドが入っている。男は快活に笑いながら言った。 「餞別だ、とっとけ。それから最近、赤の盗賊団という連中がこの町に現れるから、気をつけるんだぞ」 僕は礼を言って中に入った。
賭博の町は名前の通り、カジノ店が乱立する町だ。昼間こそみんな寝静まって、自動販売機がポツンとあるくらいの寂しさだが、夜の時間帯は華やかだ。 一番大きな町営のカジノに行く事にする。 遊べるのは、スロットマシーン、カードゲーム、ルーレットの3種類だ。 スロットとカードゲームを数回遊んだ時は少し所持金が下がっていたが、ルーレットに挑戦するとだいぶん稼ぐ事ができた。でもなぜか、ルーレットコーナーだけは人気が無いらしく、貸切状態になっている。経営は大丈夫なのか? 調子にのって、倍率の高い賭けに挑戦してみたが、さすがに甘くないようで所持金がみるみるへってしまう。元金割れしないうちに諦めてカジノを出ることにした。
続く
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フランス料理フルコースのお粥、ゲームブックブーム当時からとっても印象的な食べ物でした。どんな味が試してみたい、と思ったものです。 ちなみにもし私が「ゲームブックで印象に残る食べ物は?」と聞かれれば、このお粥と鈴木直人作品に登場する“バグラネズミのミンチ”、それとなぜか「死の罠の地下迷宮」に登場する忍者がもっていた“米の飯”が思い浮びます。 カジノのシーンですが、この世界のルーレットは確率的に割のいい賭けになっているので、繰り返し遊んでいると必ずもうけることができます。後でロケット砲などの高性能武器を購入するつもりならここで稼いでおきたいところです。 もうけを考えなければ、美人のキョーコさんが相手をしてくれるカードゲームの方が楽しいのですけど。 今回のプレイでは成功しませんでしたが、もっとも倍率の高い賭けに勝つと大金をせしめることができたうえ、カジノのオーナーとブラックジャックで勝負する特殊イベントが発生します。本物のトランプを使って遊んでいるとなかなか当たらないですが、ページの端に印刷してあるトランプの模様を代用して遊んでいる時は確率が良くなるようです。
2005年03月03日(木) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その3 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
二度目のプレイ。 今度はリルルを説得するのにちょっと手間取ったものの(時間ポイント2経過)、同じように話しは進み、モヒカン男を倒した。 ボバギーに乗り込むと、今度は無謀にも北の民族の本拠地にリルル救出に行ってみた。 隙を見て酔っ払っている見張りの男を斬り捨てる。すると男の「はぎょー」という妙な断末魔の声を聞きつけて、他の屈強な連中が弓矢を手に集まってきた。 とても分が悪そうなので、一旦逃亡する事にする。やはりロケット砲かパワードメタルを入手してから出直そう。 それに考えたら、僕の最大体力値は60ポイントなのに、ゲーム開始時の体力って、なぜかたった10しかないんだよな。まずは体力を回復しないと話しにならないや。 商業の町に到着した僕は宿に泊まって体力を回復する。(時間ポイント翌朝まで経過) 武器屋で武器ポイントプラス2の剣を購入して、1回のダメージが4点にアップ。これで少しだけ心強くなった。 次は賭博の町に行きたいが商業の町からとなると、あけやみの森の正反対の位置だ。遠回りをするより、あけやみの森に踏み込むほうを選ぶ。
あけやみの森は迷路になっていて、ウカウカしていると遠回りするより時間のロスになりかねないが、今後の移動のためにもマッピングは必須だ。2度ばかり森にすむ怪物に襲われるがなんとか撃退して、なんとか日の暮れる前に、賭博の町につくことができた。あ、賭博の町は日が暮れてからでないと、行っても面白くないんだった。 あけやみの森に戻って時間ポイントの消化をし、夜になってから再び賭博の町へ向かう。 すると突然、5メートルはあるロボットが風のように現れた。 「おい、ここはガキのくるところじゃねぇ。とっとと帰りな」 どうやら町の門番を倒さないと町に入れないようだ。戦闘になったが、戦いの連続で体力を消耗していたのか、僕は倒されてしまった。
END
三度目のプレイ。 今度はリルルを説得する時間が惜しいので、冒険につれていくことにした。 それでも、やっぱりリルルは北の民族にさらわれてしまう。どうせ同じなら、説得しない方が時間ポイントの節約になるな。 今回は機知ポイントが高いので、最初から賭博の町の門番に勝負を挑む。 あと、一撃!というところで、僕は負けてしまった。
END(再プレイで続く)
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このゲームは武器ポイントのルールが(私が勘違いしていなければ)独特です。 武器を入手すると、今まで使用していた武器を捨てるにもかかわらず、武器ポイントはそのまま残り、新しい武器のポイントを加算することができるのです。 例えば武器ポイント7の鎖鎌を持っているときに、武器ポイント1の棍棒を新たに装備し直します。すると武器は弱そうになったのに、武器ポイントは7+1の8ポイントになっているのです。さらに武器ポイント2の剣を入手すれば10ポイントになります。 この理屈だと安い剣を何本も買えば、戦闘バランスが崩れるほど強くなりそうな気もします。実際にはめんどくさいのと時間の制限もあるので、そこまではなりませんが。 当時はそのルールが理解できずに、武器ポイントを加算しなかったので、終盤の戦闘にどうしても勝てなかったな・・・。 あと、あやけみの森というのは、このゲームの舞台のど真ん中に広がる大きな森林のことでして、たびたび町と町の移動のときに通過する必要があります。 迷うと大変ですがマッピングさえ出来ると、迂回するより移動時間の節約が出来るので有効利用したいところ。たいしたイベントもない単調な迷路のようなのですが、森の中だけは、1パラグラフ移動する事に時間ポイントが1経過してしまうルールがあるので緊張感を保ちつつ遊べます。森の中で入手できるアイテムもあるので、何気に重要な地帯です。
2005年03月02日(水) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その2 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
夜になった。闇に沈んだ部屋の中で僕はそっと薄目を開け、隣で寝ている妹のリルルが寝入っているのを確認する。 僕はベットからそっと身を起こし、剣と100ゴールドを携え、家からこっそり抜け出し・・・・ 「おにーちゃん。どっこ行くのよ」 「しっ、静かに。村の人に見つかるだろ」 「私も連れて行ってくれたら、静かにするわ」 じょーだんじゃない。僕はリルルをなだめすかして(時間ポイント1経過)、ふてれ腐れる妹を置いたまま、家を出た。 しばらく人気のない村の裏道を歩いていく。 「キャー!」 いきなり聞こえたリルルの悲鳴。あのバカ、ついてきたのか。 見ると昼間に見た北の民族の男たちが、リルルを担ぎ上げているじゃないか!先触れの連中は帰らずに、キャンプを張って村を見張っていたらしい。 僕はリルルをかついだ男に突進しようとしたが、他のモヒカンの男に阻まれた。 「坊や。あんたの相手は俺だぜ」 戦闘のすえ、モヒカン男を切り捨てたが、すでに他の連中はいなくなっていた。騒音を聞きつけた村人達がやってくる気配もする。こんなところを見つかったら連れ戻されてしまう。 僕は死んだモヒカン男が乗って来たボバギー(小さく空中に浮くエアバイク)に飛び乗ると、村を抜け出した。
ボバギーを走らせながら僕は考える。どこに行ったらいいのだろう? 北の民族の本拠地に行くべきか。リルルはきっとそこにいると思うけど、剣一本しかない僕にはまだどうにもできない。 東北の商業の町か。そこで武具を買う事はできるだろう。でも僕のお金で強力なものは買えないと思う。 南西の賭博の町でお金を増やすというのも手だし、あけやみの森とナン湖に囲まれている謎めいた機械の町には何かあるかもしれない。それとも、外敵から隠れるようにひっそりとある北西の洞窟の町か。 考えたすえ、僕は洞窟の町に向かうことにした。(時間ポイント4経過) 沼地を抜けて目的の洞窟までもう少しというところで、一瞬あたりが影につつまれた。見上げると、端から端まで十メートルはあろうかという翼を広げた恐竜が僕に向かってくるところだった。翼竜ソーイスだ! 今の僕ではとても勝ち目が無い!急いで近くの沼地に飛び込んだが、今度は鞭のような触手が僕に絡み付いてきた。巨大イソギンチャクが僕を栄養にしようというのだ。 こうなったら覚悟を決めて戦うしかない。 触手が引っ張るより先に肺に息を溜め、剣を抜いて自分から沼深くに潜むイソギンチャクの本体に突っ込む。 しかし、激しい戦闘にも力及ばず僕は力つきた。 忘れていた。このゲームって、序盤はかなり難しかったんだ・・・。 END(再プレイで続く)
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リプレイ文でもわかる通り、このゲームは最初から移動できる範囲が非常に広い一方で、序盤の攻略が一番難しいのです。 時間制限もあるので、無計画に行動していると終盤に困るという理由もありますが、それ以前にアルが戦闘で勝てない強敵が多すぎるのですね。 このゲームには機知ポイントという、FFシリーズでいう技術点にあたる、戦闘のために重要な数値があります。 この数値の決め方がゲーム前にトランプを一枚引いて出た数字を設定するというもの、つまり1〜13ポイントのいずれか(ただし5ポイント以下なら振りなおしが一度だけ認められる)なのです。 この決め方は流石に少し無茶な感じもしますね。FFシリーズでいうなら、技術点を決めるのにサイコロ2個振って2〜12ポイントで決めるようなものですから。 さらに、このゲームは最高の機知点13ポイントでスタートしても結構厳しい、最低でも10ポイント以上は欲しいところです。そんなわけで最初は高い機知ポイントを設定したうえで、比較的安全なルート(FFシリーズでいう真の道)を模索する必要があるでしょう。 ただし、厳しい序盤さえ切り抜け、ある程度の敵を倒して経験値を溜めると、レベルアップして機知ポイントが大幅にアップするので一気に戦闘が楽になります。戦闘に勝てれば自然に行動範囲も広がるゲームバランスはなかなかいいです。 このあたり、作者はコンピューターRPGの感覚を意識していたのかもしれません。
2005年03月01日(火) |
終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之/双葉文庫) その1 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないで下さい)
ここは辺境にある小さな村。 「火だ!家が燃えているぞ!」 突然の火事。誰かの叫び声に、慌てて消火しようと駆け寄る村人達。 そこへ毛皮を着込んだ巨漢の男たちが3人あらわれて、村人の前に立ち塞がった。その姿から彼らは北の民族の人間のようだ。 ニヤニヤと笑いながら、彼らは傲慢に言い放った。 「聞け!今日から3日後に我が軍隊と族長のゴワワ様がやってくる。そのときから、お前らは奴隷となり服従する運命なのだ!」 その言葉に血気盛んな村の男が一人詰め寄ったが、たちまち胸を矢で射抜かれた。それを目の当たりにした男の妻が悲鳴をあげる。 「俺たちに逆らう奴は、みんなこうだ!」 「まあ、残された3日間だけでも楽しむのだな。なんて親切なんだ。はっはっはっ」 男たちはそういい残すと去って行く。そして、うなだれた村人達の姿だけが残った。 「やめるんじゃ!アル」 お爺ちゃんの制止に、僕は剣を抜きかけていた手をさげていた。
僕はアル。14歳だけど、村の掟でこの村からは一歩も出たことがない。 でも、そんな僕でも村人が諦めて戦おうとしないことに、納得できなかった。 あいつらにも対抗できるような強力な武器さえあれば!しかし最終戦争で全てが滅びた後、ほとんどの武器は残っていなかった。 いや、あった!村の西にそびえるデュラン山。そのさらに先には、世界を隔てる“世界の壁”があって、その壁の向こうには、まだ最終戦争前に使われていた武器が残っていると聞いたことがある。 3日の間に武器をもって村に帰ることができればいいんだ。 こうして僕は掟で禁じられたその壁を目指し、人知れず村から旅立つことに決めた。
続く
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こんなプロローグで冒険はスタート。去年の夏に10何年ぶりくらい久しぶりに再プレイをしたので、今回のネタに取り上げてみます。 私、双方向システムの双葉ゲームブックの中では、これが1番好きな作品だったのですよ。トランプを使った戦闘システムが当時は他の双葉ゲームブックより本格派に思えたものだし、SFチックな世界観にも惹き込まれて。 懐かしいなぁ。 ちなみにこの作品は、時間ポイントというものがシビアに設定されていまして、町や森を移動していると、30分単位で時間がビシバシ進んでいくのです。アルは夜中にこっそり村から抜け出すので、1日目の夜からスタート。つまり実際には2日間半がタイムリミットの冒険となります。 果たして私は無事にクリアできたでしょうか。
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