冒険記録日誌
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いろいろ用事があって最近時間がないのですが、ここの冒険記録日誌とかいろいろ中途半端になっているのですよね。ぷりん部屋自体もそろそろ更新したいのだけどな。困った困った。
あんまり更新しないと見捨てられそうなので、とりあえずHUGO HALL氏が作られたカードゲーム「たぶらか」の感想でも一つ書いておきます。 あ、「たぶらか」はイエローサブマリンで売っているので、知らない人は通販などで買ってみるといいですよ。
真っ先に思った私の感想を正直に書くと(HUGO HALL様怒らないでね)、基本はトランプゲームのジジ抜きだと思いました。あんまり中毒性はないです。 単なるジジ抜きとは違って、読みあいのゲーム要素が加えているのですが、ゲームに勝つ為には、それなりに集中して頭を使う必要があるのでイマイチ夢中になれず。実際に4人で遊んでみたのですが、最初はカードの珍妙な絵に笑いながら遊んでいたものの、なんとなく繰り返して遊ぼうという空気にならなかったのでした。 なんというか、カードゲームにはババ抜きやダウトのような、推理ではなく直感でできる駆け引きが相応しいと思ったのですがどうでしょうかね。
実は一番面白かったのは説明書だったりします。 「1ゲーム20分位。こんなものにそれ以上かかるようでは人生を浪費しすぎです。」とか「全員当てられなかった時は、ゲーム作者の勝ち。作者を大声でほめ称えます。できれば金品花束でも贈ってあげましょう」とか書いてあるカードゲームは他に見たことないです。説明書を読んでから、カードのイラストを見るだけでも、嘘八百円の価値はあるでしょう。
工夫しだいでは、「たぶらか」は他の遊びにもいろいろ使える気もします。ジジ抜きは当然できますね。神経衰弱なんか、あの絵柄を生かす意味でもピッタリだと思います。 他にも一枚ある白紙のカードに、何か書き込めばジョーカーに大変身。ババ抜きも楽しめますね。
人生はしょせん暇つぶしと言う人もいますが、まさにそんな人生のお供にピッタリのアイテムだと思います。あなたも人生のほんの一部を「たぶらか」で潰してみませんか?
2004年04月29日(木) |
消されたモーメント(パット・ヒュイット/サンリオ文庫) |
(ネタバレが少しありますので、プレイする予定がある方は読まないで下さい)
「はじめての女性向けゲームブック」と、この本には誇らしげな紹介文が書かれています。 本当かよ?となんだか疑わしくなってしまうのですが、1986年の発売なのでもしかすると本当なのかもしれません。 女性向けゲームブックということで、双葉文庫のペパーミントや世界文化社のハーレクインのゲームブックシリーズを想像したのですが、読んでみると行方不明だった兄をめぐる現代サスペンスもののような内容でした。さすがに主人公は女性です。
たいしたルールもないので、普通の分岐小説感覚で読むことができます。一応バットエンドも用意されているみたいですが、実際に私がゲームオーバーになったこともなく、割と簡単にクリアできるみたいです。 (ただし「あなたはどこからここにきたのか?」とか「すでに彼にあったことがあるか?」のように、自分の過去の行動を尋ねられて分岐するところが時々あります。ちゃんとメモをとるか今までの行動をキチンと憶えておかないと、混乱して同じ箇所を何度もぐるぐる回るハメになることもあるのでこの辺は注意)
そんなわけでこの作品が面白いかどうかは、全てストーリー部分にかかっているわけですが・・・・・・イマイチですねぇ。 文章が暗い感じがするというか、華がないというか、そんなのが気になってしまうのです。主人公も含めて、どの登場人物もパッとしないし、恋愛要素も中途半端だし。 まあ、そんなのは好みの問題かもしれませんが、それでもマッドサイエンティストじみた医者が、大勢の入院患者を相手に洗脳実験を繰り返しているという真相がなぁ。無理のある設定が説得力なく展開されていくので、読んでいてだるくなってしまう。 現代サスペンスなんて、ゲームブックの題材としては珍しいので期待したのですがね。残念無念。
2004年04月28日(水) |
騎士と魔法使い 君はどちらを選ぶか? 竜の武者たちの攻撃(エリック・アファビー/近代映画社) |
近代映画社の騎士と魔法使いシリーズ第2巻です。 この本をヤフオクで落札するのに久しぶりに競り合ってしまい、2,200円もかかってしまいました。マニアな人は他にもいるのですねぇ。トホホ、奥様にお小遣いの前借りをしちまったい。 それにしても、本全体でも100ページちょっとしかない薄っぺらなゲームブックだもんなぁ。その中には騎士と魔法使い、それぞれを主人公にした実質2つのゲームブックが収録されているわけですが、どちらも10分とかからずに読み終わってしまう。コストパフォーマンスが悪すぎです。
で、読んでみてもゲームバランスは相変わらずの凶悪ぶりです。ヒントのない選択肢で、間違えるとバットエンド確定なんて当たり前。 さらに例をあげると、魔法使い編は最初の選択肢にも行き着かないうちに、コイントスの結果でバットエンドになってしまい「いきなり、なんじゃいそれ!」な感じでした。騎士編にしても、避けられない戦闘で、勝率50%くらいのコイントスを要求されることもしばしば。(もちろん負けると即バットエンド) まあ、何度も繰り返せる短編ゲームブックだからこそ、許されていることかもしれませんがね。
良い点は、このシリーズ独特の重々しい雰囲気です。王への忠誠心と王国の平和の為だけを理由に、古竜や邪悪な魔法使い達と戦い続ける伝説の騎士と魔法使い達。 今回もこのあたりの格好よさは期待を裏切っていません。騎士編と魔法使い編では最終的な敵も違うので、ストーリーもそれぞれ新鮮に楽しめるでしょう。 しかしパラグラフ40くらいのゲームブックでも、ゲーム性を重視することだって可能だと思うのだけどなぁ。クロスワードランドに連載している奥谷道草氏の短編ゲームブックとかは、まさにゲーム性ありきの内容だし。 海外作品と日本作品の違いかもしれませんが、ストーリー性と両方を極めた短編ゲームブックもあったらいいな、と思うのは贅沢でしょうか。
2004年04月27日(火) |
鉄拳3(前田達彦/小学館) |
原作は、わりと有名なナムコの3D格闘ゲーム。ゲームセンターに入り浸ったり、PSを持っている格闘ゲームファンなら大抵知っているんじゃないかと思います。 私は3D格闘ゲームの操作性が苦手なので、この「鉄拳3」もあんましプレイしていませんでした。ゲームのキャラクターくらいは知っていましたけど。
さて、ゲームブック版の中身の方を紹介してみましょう。 ルールは、習得した技と、フラグのチェック、それに経験値・ヒットポイントの数値を記録する必要があります。ただし、書き換えはそう煩雑ではないので、記憶力がよければ電車でプレイすることも可能でしょう。 ストーリーの方は2部構成になっています。 前半は主人公風間仁が、殺された母の敵を倒すために武者修行にはげむシーン。 ここで風間仁が世界をめぐり、鉄拳大会の他の出場メンバーに出会っていきます。ほぼ一本道の展開で、登場人物の紹介編みたいな感じが漂いますが、原作を知らない人へのフォローくらいにはなるかも。 後半がいよいよ世界の格闘家が集う鉄拳大会の開催です。 5人ずつAリーグ、Bリーグに分かれてリーグ制で戦い、両リーグの覇者同士で決勝戦を行うようになっています。 (このABどちらのリーグを選ぶかは読者の判断ですが、とうぜん対戦相手も違ってくるので、一度クリアしてももう一つのリーグを選んで、もう一度楽しむことができます) 格闘シーンはサイコロを使うとかのランダム要素はなく、「威力重視の空手技か、変則的な柔道技か」などの選択肢や、経験値の増減によって決まります。たまに「雷神拳か、鬼首落としか、空斬脚か?」というように、聞いたこともない技の中から選ばなければいけませんが、まあカンでなんとかなるので許容範囲かな。また相手が倒れるより先にヒットポイントが0になったら負け。 最後に母の仇を倒せばエピローグです。
しかし、推理ゲームやRPGならまだしも、格闘ゲームのゲームブック化って、無理のある企画だと思っていたのですがね。失礼ながら思ったより楽しませてもらいました。 登場人物が多い割にどの対戦相手も個性が出ていたし、なにより鉄拳シリーズの代表キャラである平八爺さんがしっかり目立っていたし。 思えば、この本はゲームブックブームも廃れた1997年に出版していたのですねぇ。 この内容なら発売時にちゃんと購入して、ゲームブックの復活に協力しておくべきだったかな。
2004年04月26日(月) |
恐怖のSF学園 異次元間エレベーターの謎(高槻速雄/西東社) |
つっこまれるために存在しているのかと疑問に思ってしまうゲームブック。 タイトルから凄い。
恐怖のSF学園 異次元間エレベーターの謎
たしかに謎のタイトルだ。SF学園という強烈なネーミングセンスに恐怖すら感じてしまうのは私だけだろうか。 とりあえず読んでみた。 まず謎の物体が宇宙空間をさ迷っているところから物語は始まる。 それは、かつて強大な力を誇り謎の原因で消滅した、ある宇宙人の遺産なのだ。 その物体は意思をもっており、自らとコンマ1も違わない形状をした建設物を求めて、広い宇宙を何十万年もさ迷っていた。 そして見つかったのだ。求めていた建設物が。その物体“異次元間エレベーター ビヒモス”はゆっくりと地球に進路を変えていった・・・。
なかなか渋い設定ではないですか。 異次元間エレベーター”がまるで幽霊のように乗り移ってしまう地球の建設物というのが、学校のクラブハウスというのがまた凄い。宇宙人の遺産は四角い窓や、テラス、階段や非常ベルも完備していた形状だったらしい。
さて、そんな前ふりの後から物語はスタートします。 主人公はテニス部所属のごく普通の学生なわけだが、クラブ活動の最中に学友から「ちょっとこいよ」と声をかけられます。これについて行くか否かが最初の選択肢ですが、いきなりここで物語が大きく変化してしまいます。 内容は大きく分けて、中世の騎士団がいきなり現れて、「ホーリーゴースト!」と叫んで主人公を神様扱い。異教徒との戦いに巻き込まれてしまう「おっさん騎士団編」。主人公達にそっくりなクローン人間達が入れ替わろうとする「クローン学園編」の2つ。(どっちも勝手に命名) 面白いのは、おっさん騎士団編。主人公が与えたピッチングマシーンに驚愕する騎士団の皆さん。火薬を詰めた球を敵に飛ばして、敵に当たるたびに、教えられたとおり「ストライーーーーーク!」と合唱する姿が笑える。 クローン学園編も、銃を撃ってクローンとはいえ学友を黒焦げにする主人公や、火炎放射器を発射する消防隊の登場など、おいおいおいおいっと突っ込みたくなるシーンが目白押し。 どの冒険にせよ一応クリアをすると、主人公が“サイコガン”とか“騎士団のくれた王冠”とか所有しているアイテムによって後日談が変化します。“ノーベル賞を毎年もらうようになる”“オリンピックで全種目の金メダルをとる”から、“世界中のスパイに狙われるようになった”“16ビットのパソコンを買った”まで結果はいろいろ。 いやいや、なかなか楽しませてくれました。ゲーム性とかストーリーとか、ユーモアとかなんとか気にしている人には耐えられない出来でしょうが、B級作品ファンの人にはお勧めですよ。
ゲームブックブーム衰退の理由が粗製濫造とはよく言われますが、私はそれを否定しています。映画界にもB級映画とそのファンが存在するように、ゲームブックブームとその時発生した有象無象のB級作品たちも、別の視点で見れば結構愛せるのですよ。そんなわけで創土社さんからは無理でしょうが、他の出版社の方からでもジャンジャンゲームブックを出してもらえる時代がくればいいですねぇ。
2004年04月25日(日) |
サソリ沼の迷路(スティーブ・ジャクソン/社会思想社) その5 |
四人目の冒険者 技術点9 体力点18 運点12
そこそこ勝負強い冒険者だ。邪悪なグリムズブレイドの依頼を受けることにした。 他の2人と違って、グリムズブレイドは油断ができない。 ヘタに対応を誤ると依頼を受ける前に殺されることすらあるのだ。 幸い、私はグリムズブレイドに気に入られたらしく無事に契約成立。 悪と中立の魔法リストの中から、技術回復・体力増強・開運・枯らし・枯らし・呪いの呪文をもらうことにした。さらにボーナスとして、戦闘中の技術点が1点上がる魔法の剣をもらう。悪だからなのか、いやに気前がいい。 グリムズブレイドの依頼はサソリ沼に何人かいる“○○のあるじ”と呼ばれる魔法使い達の、力の源になっている護符を、3つ以上奪ってくることだ。 戦闘が避けられない依頼内容なので難易度が高いとおもうが、“○○のあるじ”は3人以上はいるので、必ずしも沼地に住む魔法使い全員を相手にしなくていい。(護符一枚につき報酬が金貨500枚という契約なので、もっと多くの護符を狙ってもいいのだが、ゲーム進行上は3つも4つも一緒。)ある意味では最も自由度の高いシナリオともいえる。
それで今までに冒険に向かった記憶から、比較的サソリ沼の入り口付近にいる“鳥のあるじ”“狼のあるじ”“クモのあるじ”から護符を入手することに成功した。 今回は他のあるじを無視してグリムズブレイドの元へ帰還。 しかし、ここでグリムズブレイドは約束より少ない報酬しか渡してくれない。 怒りにまかせて魔法を使用して、グリムズブレイドを倒してしまった。 なんとも後味の悪い結末だが、やはり悪に仕えるとはこういうものなのだろう。 せめて、邪悪な魔法使いを1人退治したではないかと、満足することにしよう。
完
<追伸> 「サソリ沼の迷路」のもう一つの特徴に登場人物達が、善・中立・悪の3タイプに分かれていることがあげられます。悪の存在に近づくと、主人公がもっている魔法の指輪が熱くなるという趣向となっています。この場合、相手と会話を試みても、大抵痛い目にあうのです。 以前、某掲示板で「サソリ沼の迷路は、指輪が悪と告げるから相手を退治するなんておかしい」と批判されていたことがありますが、これはD&Dのような古典TRPGに見られる、キャラクターに予め善悪のタイプを設定する世界観と思えば理解できるのではないでしょうか。善悪二次元論で「悪はあくまで悪。相互理解はありえない」というやつです。その点で他のファイティングファンタジーシリーズとは、世界観が浮いている気もしますが、ゲームとしてはこういうのもありだと思います。 そもそも他のファイティングファンタジーシリーズだって、冒険中に出会った相手と「会話を試みる」という選択肢すらなく、戦闘に入ることが多いのですから。
2004年04月24日(土) |
サソリ沼の迷路(スティーブ・ジャクソン/社会思想社) その4 |
三人目の冒険者 技術点11 体力点18 運点10
今回はなかなか強い冒険者が出来上がった。 セレイターの依頼は少し飽きたので、今度は謎めいたプームチャッカーという魔法使いの依頼を受けることにした。ちなみに本当はプームチャッカーは魔法使いでもなんでもない。実際にプレイすればすぐにわかることだが、正体は魔法の品々を扱う裕福な商人なのだ。 彼の依頼とは、北にあるウィロウベンドという町へ至るサソリ沼の地図を作って欲しいというもの。それがあればサソリ沼を通って交易が出来るようになり、運搬時間を大幅に節約できるというのだ。さすが商人、目のつけどころが違う。 彼は魔法使いではないが、代わりに魔法の力のある石を5つ提供してくれる。 「私は気前がいいからな」とプームチャッカーは言うが、セレイターよりもらえる魔法が一つ少ない。おまけに中立の魔法の中からしか選べない。さすがは商人、せこすぎるぞ。 ぶつぶつ思いながらも、技術回復・体力増強・体力増強・体力増強・開運を選択して、サソリ沼へと出発する。
恐ろしい噂があるという割に、サソリ沼には戦闘力の高い強敵がいない。 技術点11だと、技術点が減るようなトラブルがないかぎりは、ほぼ無敵に近い状態なのだ。 思ったとおり、体力増強の魔法を一度使用しただけで、危なげなくウィロウベンドの町へ到達した。この時点で、サソリ沼の地図も大体のところまで完成。 魔法も沢山残っているし帰り道も楽勝だろう。 そう思いながら、意気揚揚ときた道を戻り始めるが、そこまでサソリ沼は甘くなかったようだ。 まず、行きのときに通過した“クモのあるじ”のいた広場が、大火事で二度目の通行が不能になることを知っていたので、途中から違う道をたどる。 すると広場でサンドイッチを食べている男がいた。無視して通り抜けようとしたら、後ろから頭をガツン!と殴られ・・・・・・気が付くと所持品が全部なくなっていたのだ。 体力が回復できなくなり、状況は一転してピンチ。 とにかく急いで帰ろうとするものの、また剣の木に襲い掛かられて死亡。 油断大敵であった。
続く
2004年04月23日(金) |
サソリ沼の迷路(スティーブ・ジャクソン/社会思想社) その3 |
ニ人目の冒険者 技術点7 体力点20 運点12
また技術点7かぁ。まあ、運点が12なのは心強いが。 もう一度、善の魔法使いセレイターの依頼を受け、今回も技術回復・体力増強・開運・友情・繁茂・祝福を選択する。 再びサソリ沼に進入を開始。今度は熊や沼怪獣など怪物達との戦いは避けて、体力を温存。 剣を振りかざす木々との戦闘に、苦戦しながらも運点を使用して大ダメージを与えて勝利した。 さらに沼の奥地へと進むと、鳥のあるじと呼ばれる善の女魔法使いに出会った。 セレイターの依頼を聞くと鳥のあるじは喜んで、鷲を使って私を沼の奥地へと飛ばしてくれた。鳥のあるじに(ちっ、ワープしたおかげでマッピングがメチャクチャだよ。余計なお世話と思いながら)感謝して再び沼地を歩き出す。 巨人や沼地の番人などに道を聞きながら、やっとアンセリカの実を入手した。 しかし、まだまだ使命は達成していない。町に住むセレイターに、この実を届けなくてはならないのだ。つまり、沼地の入り口まで引き返す必要がある。帰り道まで冒険が続くというのも、珍しいゲームブックではないだろうか。 今回は残念ながら、魔法はほとんど使い切ってしまっていた。半死半生の状態で道中を歩いていると、沼オークの集団に襲われて戦闘で死亡する。
続く
2004年04月22日(木) |
サソリ沼の迷路(スティーブ・ジャクソン/社会思想社) その2 |
「サソリ沼の迷路」の特徴は双方向システムだけではない。実はオープニング時点では、主人公はまだ冒険の目的がないのだ。 冒険が始まるとほどなく、町に住む3人の魔法使いのうち、誰かの依頼を受けることになる。主人公は依頼を受ける代償に、サソリ沼での冒険に役に立つ魔法の力をいくつか授けてくれる。 3人の魔法使いは、善・中立・悪の3タイプの人間に分かれている。それぞれ冒険の目的も違うし、主人公が授かる魔法の内容も違う。一冊で全く違う冒険が3つ楽しめるわけだ。 さて、前書きはこれくらいにして、サイコロを振って冒険者の能力を決定しよう。 コロコローーーっと。
一人目の冒険者 技術点7 体力点19 運点10
技術点7かぁ。戦闘がかなり厳しくなりそうだが、それでもクリアできる可能性はある。 続いて冒険の舞台であるサソリ沼に向かう前に、冒険の目的を決めなくてはならない。 ここでは、善の魔法使いセレイターの依頼を受けることにした。過去の記憶からこの依頼がもっとも難易度が低かったように思うからだ。(おまけに選択肢しだいでは、セレイターの依頼を受ける場合のみ原運点が2点あがることがある) 依頼内容は「サソリ沼の奥地に育つアンセリカという木を探し出し、その実を持ち帰る」だ。 セレイターから善と中立の魔法リストの中から、6つの呪文を選ぶように言われたので、技術回復・体力増強・開運・友情・繁茂・祝福を選択した。
そしていよいよサソリ沼に進入を開始。さっそく熊や沼怪獣などサソリ沼に生息する怪物達と戦って勝利してゆく。 だが思ったより、体力の消耗が激しい。治療のために“体力増強”の術を使うが、完全回復とはならなかった。 最後は剣を振りかざす木々に囲まれて、戦闘で死亡した。 あっけなかったが、久しぶりのプレイではこんなものか。
続く
2004年04月21日(水) |
サソリ沼の迷路(スティーブ・ジャクソン/社会思想社) その1 |
ファイティングファンタジーシリーズのゲームブックでは、異色の双方向システムを採用した作品です。 著者はアメリカのスティーブ・ジャクソン。彼のゲームブック作品の特徴は、ゲーム性やバランスに優れていて、海外ゲームにありがちな理不尽なデットエンドがほとんど存在しないことです。創元推理文庫で出版されたような和製ゲームブックに近いかもしれません。 私にとって楽しいゲームブックの条件とは、「自分で物語を選んでいくことができること」つまり自由度の高さなのです。 その点で普通のファイティングファンタジーシリーズ作品は、必要最小限の危険でクリアできる「真の道」というルートがあるのが特徴です。それ以外の選択誌の多くは遅かれ早かれゲームオーバーになってしまいます。つまり「真の道」を発見することがクリア条件ともいえ、それが不満でした。 ストーリーや世界観はとても面白そうなので、ワクワクして本屋で買ってきて、そしてその理不尽な難しさにクリアできず、ガッカリした覚えが何度もあります。 そんな中で私が双方向システム、つまり同じ場所を何度も行き来できるシステムに初めて出会ったのがこの作品だったのです。 プレイの後はその自由度の高さに感動すらしました。おかげでしばらくの間は、鈴木直人や林作品のような、双方向システムのゲームブックばかりを読むようになってしまったものです。 それだけ夢中になった作品なのですが、なんといっても読んだのが10年以上前。細かな内容までは忘れてしまいました。 再プレイにはちょうどいい頃合なので、もう一度プレイして楽しんでみることにします。
続く
2004年04月20日(火) |
幻の牛丼を求めて(奥谷道草/白夜書房) |
クロスワードランド5月号に掲載されているはみ出しゲームです。 今回は牛丼を売っている店を求めて町じゅうをさ迷うという内容となっています。タイムリーですね。 大丼町という丼のようにすり鉢状になった町並みが冒険(?)の舞台です。大雨になったら水没してしまわないかと余計な心配をしてしまいます。
まあそれはともかくとして、このシリーズらしく、地図を作成した方がクリアしやすい点は変わりませんが、大丼町には町の入り口付近に看板があって、そこで町並みの地図を見ることができるのですね。ズボラでマッピングが苦手な人間には助かります。おかげで私もマッピングせずにクリアすることができました。 捻った謎解きは少なく、地道にひと通りの道を歩いていけば、牛丼を作るための材料が集まってきます。今回はそう難しくはないのではないでしょうか。 ただ、最後の最後で「それぞれの品物を手に入れた人物に関わりある数を合計したページへ」というのにはまいりました。そんなことを尋ねられるとは夢にも思わなかったのでメモなんかとってなかったのです。おかげで、いちいちページを捲って何の数字が関係していたか探すはめになりました。やれやれ。
感想としては割とオーソドックスな印象だったのですが、テーマの話題性やらも含めてとっつきやすい作品です。 一般的なクロスワードランドの読者も、やってみようかという気になった人がいつもより多かったのじゃないのかなと思いました。
2004年04月19日(月) |
犬猿の仲間(奥谷道草/白夜書房) |
(一部ネタバレあり。プレイ予定の人は読まないで下さい)
クロスワードランド4月号のはみだしゲーム。 推理小説仕立てのシャーロック・ゲームズの冒険です。
今回の舞台は、長年仲たがいしてきた一族同士が和解することになり、その調印式が行われる会場です。 実はオープニング時点では、まだ事件が発生していません。でも、何かの陰謀が進行しているかもしれないと、心配になった雉礼子という女性がシャーロック・ゲームズを雇ったのです。という内容。 しかし、登場する一族というのが犬家と猿家と雉家。いずれも古くは、今は血筋の絶えた桃家に仕える家臣達だったという設定は、思わず苦笑い。しかも、桃家の最後の末裔の名前が英樹氏という点は、MANATさんのサイトに書いてあるのをみて初めて気づきました。遊び心がいっぱいです。
それで話しを戻すと、会場のマップが書いてあるページを中心にゲームは進行します。 場所ごとに番号がふってあり、対応するパラグラフに移動しては調査するという繰り返し。つまり今までのシャーロック・ゲームズの冒険とゲームシステムは一緒です。 さっそく会場内の調査を始めますが、いやはや、部屋の隅やトイレの中で、皆さんヒソヒソコソコソ喋ってヒントをよく落としてくれます。きっとみんな本当は犯罪馴れしていない、素朴な人達なのでしょう。 そんなわけで大体の手がかりは集めて陰謀の大筋はわかったのですが、決定的なものはなく、「これでいーんだろうか」と思いながらエンディングを読むとほぼ正解でした。 唯一わからなかったのは、犬の小便を利用して感電死させるトリックだったのですが、これは「そんなギャグみたいな方法で本当に人が死ぬの?」と深読みしてしまったせいなのですね。 まあ、最後は微笑ましい展開で陰謀は未然に防ぐことができたようだし、今回は難しく考えずに肩の力を抜いて読むのが正解だったようです。
2004年04月18日(日) |
「謎のスペシャル占い」奥義!(奥谷道草/白夜書房) |
「謎のスペシャル占い」奥義!とは、クロスワード・ランド2004年3月号に載っていた、はみ出しゲームのタイトルです。 世間では既にクロスワード・ランド4月号すら発売されていて今更ですが、この冒険記録日誌は常にマイペースなのです。気にしないように。
今回のあなたは、ビルの最上階に行きました。そのフロア全体が占い師の館となっており、たくさんの占い師と、悩めるお客さん達でいつもごった返しているのです。あなたはこのフロアに噂に聞く幻の「スペシャルで究極な占い」をうけることが出来るのでしょうか。というお話し。 ゲームとしては迷路のようなフロアをさ迷い、あちらこちらで商売をしている普通の占い師達に、「スペシャルで究極な占い」をうけるためのヒントを聞きつつ、捜索するのが基本です。中にはお客さんが大勢並んでいてヒントが聞けない占い師もいますが、通路の反対側から出直すとなぜかお店がガラガラになっている仕掛けもあり。ゲームブックならではの小技が今回も効いていますね。
ところで今回も「地図を書きながら進めることをお勧めします」と冒頭にあるのですが、これが曲者でした。 今回は通路がクネクネ曲がっているうえに距離感の記述がないので、マッピングが非常に難しくて大混乱してしまったのです。 結局、途中からマッピングなしでプレイをしたのですが、迷路といっても立ち止まる地点が少なかったので、案外この方が簡単にクリアできました。 謎解きも適度な難易度で楽しめたと思います。 しかし、占い師達のコメントがどれも占い師というより、詐欺師のようにインチキ臭い気がしていたのですが、エンディングでも見事に煙に巻かれてしまうような内容でしたね。さすが奥谷マジックです。(誉めているのか?)
2004年04月17日(土) |
縄文伝説(小林秀敏/光文社) |
「縄文伝説」は創土社の酒井さんが、剣社通信で自分の思い出のゲームブックとして、名前をあげていた本ですね。 この本は確か「マーリンの呼び声」の管理人セプタングエースさんも、勧めていたなぁ。自分が所有する唯一の和製ゲームブックだって。(まだ創土社のゲームブックが出ていないころの話し) ゲームブック界の重鎮2人が話題にあげるくらいだから、当然興味が湧いてきます。 実は以前にも読もうとしていたのですが、パラパラと読んだ印象では、漫画チックな挿絵と縄文時代のマメ知識をゲーム中に試されるという趣向に、まるで小学生向け学習本のようだと、今まであまり本格的に読む気にならなかったのです。
ところがこれ。真面目に読んで見るとこれがなかなか面白かったですよ。 当然ながら舞台は縄文時代。巫女の神託によって、大賢者を探す旅に出るというストーリーで、故郷の村から3人が旅立ちます。 3人とは、族長のオズと村一番の勇者ラキ、そして好奇心旺盛なまだ少年のあなた(主人公)です。 大賢者の情報を求めるためいろいろな村をめぐる3人(途中から仲間と別れて1人になりますが)、特に主人公は村人から土器や塩作りの技術を教わったり、祭事や呪術の知識を得たり、狩のコツを知ることができたりと、縄文時代に生きる為のいろいろな知識や技能を憶えていきます。 この知識はその後のゲームの展開に大きく関わるほか、読者自身も縄文時代の生活様式を知る事ができるので、なんだかニ重に得した気分になります。 そして、面白いのが村人との物々交換。貨幣が存在しない縄文時代らしく、情報やものを得る為に、首飾りや石斧などを代わりに差し出す必要があるのです。 最初はあまりそのことを気にせずにプレイしていたので、ほとんどの所持品を失ってしまい、他所の村々からまるで乞食同然の扱いを受けて、行き倒れのような終わり方をしてしまいました。 村々ごとに特産品があり、また村人が欲しがるものが違うので、2回目以降のプレイでは、まるで商人のようにいろいろな物をぶら下げて旅をしていました。“所持品が多い=金持ち”みたいなもんです。 ヒスイのような貴重品が手に入ると嬉しいし、川を渡る時に所持品が多すぎて品物が流されてしまったときは悔しい思いをしました。物がないと本当に旅の先々が不安になってきます。
3度目のプレイで最後までクリア。主人公は大賢者と一緒に手柄話を携えて、故郷の村に帰ってきました。 最後に所持していた品物と、旅先で憶えた知識の量、それから自分を守ってくれる守護神の数や、これまでの経験した出来事によって冒険の評価がされます。 私の場合は67点。 主人公はその後、村の狩や道具作りのリーダー的存在になったそうです。村の族長になるまであと一歩でした。ちょっと悔しい。
それにしても縄文時代の特徴を、無理なくゲームとして利用しているシステムは素晴らしい。もしかすると、これは本当に隠れた名作かもしれません。 皆さんも入手できる機会があれば逃さず一読してみて下さい。
2004年04月16日(金) |
邪聖剣ネクロマンサー イシュメリアの悪夢(草野直樹/双葉文庫) |
「縄文伝説」に引き続き、これまた創土社の酒井さんが想い出のゲームブックとして、名前をあげている作品ですね。 邪聖剣ネクロマンサーはゲームブック版はおろか、原作のTVゲームも内容は全然知らなかったのですが、いい機会なので読んでみました。 オープニングで、現実世界に住む主人公達が、骨董品屋の古びた剣をイタズラで持ち出してしまいます。そしてその剣を鞘から抜いた途端、白い光と共にファンタジー世界のイシュメリア国にやってくるわけです。そして、いきなり王様から勇者として、ネクロマンサーの封印をするよう依頼をうけてしまうのです。 なんだか典型的な双葉ゲームブックという気がします。主人公達が少年少女の3人組というのもありがちだし。 引き続きゲームをプレイしていますと、このゲームの流れがだんだんわかってきました。だいたい一本道シナリオです。町で買い物&休憩→道中で魔物達と対決→次の町で買い物&休憩→道中で魔物達と対決→次の町で買い物&休憩→道中で魔物達と対決・・・・・・の繰り返しがストーリーの基本みたいです。 慣れてくると、ちょっと単調な気もします。武具の強さや、レベルアップの概念があって、ゲームが進むにつれて主人公達はだんだん強くなるのですが、そのぶん名前だけ違う強い敵が登場してくるので、戦闘シーンもあんまり変化を感じないのです。何度も繰り返して遊ぼうとすると、すぐに飽きてしまうかも。 また、「頭がウニになる」とか「ピザって10回言ってみて」とか時代を感じさせるセリフが登場するのも双葉ゲームブックならでは。
しかしこの作品だけのアイデアというか特徴もあります。夜になって宿屋や野宿で寝てしまうと、主人公が「夢幻の書」という巻末に用意されている夢の世界をさ迷うという趣向です。(あれ?どこかで見たようなシステムかな) この夢の中では、ランダムにいろいろな現象が発生します。気が付くと魔物たちが主催する裁判の被告人席に立っていたり、裸同然の姿で吹雪の中に放り出されたり、ローストビーフなどのご馳走を際限なく食べたり、内容は夢の中らしく理不尽です。場合によっては戦闘になって、技能ポイントが増えるかもしれないし、死んでそのままゲームオーバーになることも。悪夢は目が覚めるまで続きます。 でもね。この夢の世界でないと入手できない、たぶんクリアに必須と思われる情報があるのですよ。この情報が入手できるかは、やはりランダム。つまり運任せなんですね。これはちょっと問題かも。 イラストの方もしょぼい気がします。もちろん小学生当時の私が読んだら、印象が違うのかもしれませんが。
まあ、このように今読むと結構難のある作品なのですが、当時の小学生読者にはそれなりに楽しめたのではないでしょうか。 プレイに夢中になったとか、欲しいけど買えなかったとか、いろいろな理由で愛着のあるTVゲームのゲームブック版というのは、周辺グッズ的感覚でそれなりに愛せるものです。 その点、少々マイナーなTVゲームでもゲームブック版を出版してくれていた双葉文庫はエライ!と思っています。もっとも双葉文庫のメイン読者は、ゲームブックファンというより、TVゲームファンだったと思うので、今も双葉ゲームブックのファンという人は少ないのですけどね。
<追伸> もちろん現在でも通用する優れた双葉ゲームブックだって存在しますよ。誤解なきように。 ただ、酒井さんの書いていた「サイコロオール6の最強のキャラが全ての敵を倒して経験値を稼いでいっても、途中一ヶ所どうやっても勝てない敵」らしきものには気がつきませんでした。そういえば、このゲームはサイコロを使わないし、おかしいなぁ。もしかしたら酒井さんの読んだのは、勁文社の「邪聖剣ネクロマンサー イシュメリア魔空戦記」の方だったのかな。残念ながら、こっちは持ってないや。
2004年04月15日(木) |
ゲームブックのイラスト |
創土社から発売された「竜の血を継ぐ者」のカバーイラストは目黒詔子さんが描かれるのですね。 カッコーイーです。いやもう、最高です。買うのがすごーく楽しみになってきました。 リメイク前の作品(創元推理文庫のドラゴンバスター)は、カバー・本文イラストともにバーチャーファイターなどの公式イラストとかを書いてる寺田克也さんが描いていたので有名でしたよね。寺田さんはすっかりメジャーになっているのでどうなるのかと思っていたら、心配無用のようでした。 もっとも、私は寺田克也さんのイラストに敬遠していたので、当時はドラゴンバスターをプレイしていなかったのですけど。(笑) やはり本にとってイラストは大事な要素ですよ。チョコーレートナイト・パンタクル・展覧会の絵も表紙カバーもリメイクされるそうで、また買うしかないかな。 創土社の術中にはまっている気もしますが。
私がイラストを気に入っていたのは、ファイティングファンタジーシリーズですね。ソーサリーや創元推理文庫のゴールデンドラゴンファンタジーシリーズもいい。異世界を冒険してるという気分にさせる点が、日本のゲームブックイラストにはない魅力でした。 逆に二見のドラゴンファンタジーシリーズは、ネットで評判の高さを知ってからも、表紙のアクが強すぎてしばらく購入を敬遠していたなぁ。独特のエンピツ画による本文イラストは素晴らしいのですがね。 昔は文庫サイズ以外のゲームブックは、「ロクなものはねぇ」という偏見でほとんど読まなかった(持っていたのはグーニーズくらいだ)し、食わず嫌い作品の典型でした。
それから同コーナーで酒井さんが、思い出のゲームブックに「邪聖剣ネクロマンサー」という双葉ゲームブックをあげているのは、双葉ファンとして嬉しいですね。 私は表紙イラストを見て敬遠していたのですが(笑)今は持っているし、ちょっとプレイしてみようかな。 しかし酒井さん。鈴木直人ファンである一方、同じ創元推理文庫の「展覧会の絵」は当時読んでいなかったみたいだし、いったいどんなゲームブックを楽しんでいたのだろうと、ちと興味があります。
2004年04月14日(水) |
ロード・オブ・ザ・リングを最後まで見終わった蛇足的感想 |
ちなみに私が一番好きなファンタジー小説は「指輪物語」ではなく、ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」なんだな。 (まあ、ハリーポッターも読んでないし、ザンスも一巻で読むのを挫折したくらいなので、狭い知識なのだが) もちろん「指輪物語」は物語の細部までしっかり作りこまれているので、何度読み返しても面白い。「ロードス島戦記」に代表する近年の和製ファンタジー小説や、最近のグインサーガなどに感じる物足りなさは一切ない。特にどことなく牧歌的な「旅の仲間」が一番好きだ。 ただ、一歩間違うと冗長な雰囲気になって読むことが疲れることもあった。あと、一般的に評判の高い「王の帰還」は、サウロンとの壮絶なラストバトルみたいなのを期待していたので、肩透かしを食らった。さらにホビット庄の掃蕩あたりを読む頃にはすっかりだれてしまったとかあって、すっかり感動が薄れてしまったのだ。(ただし、この辺は読者の好みの問題なので「指輪物語」が劣っているとは思わない) その点「果てしない物語」は最初から最後まで物語の流れにぐいぐい引き込まれちゃう。ストーリーもまさにそんな内容なんだけど。 だけどね。「指輪物語」は映画が素晴らしかったね。それに引き換え「果てしない物語」の映画版、「ネバーエンディングストーリー」はね。悪夢の出来だよね。特に2章以降はね。同じエンデ原作の「モモ」は原作、映画ともに面白かったのに・・・。映像化する時代が早すぎたのもあるし、原作に愛ある監督に出会わなかった不幸もあるのかしらん。 と、ちょっぴり苦々しく思ったりして。
<蛇足> まあ、一番好きなファンタジー本はゲームブックだけどさ。
<さらに蛇足> そういえば、ブレナン小説のフェアリーウォーズを映画化するという情報があったけど、どうなったんだろ。
2004年04月13日(火) |
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 |
(ネタバレ注意!映画をこれから見る予定の人は読まないで下さい)
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(日本語吹替え版)を見てきました! 奥様を実家にあずけたあと、レイトショウでこっそりと1人で見に行ったのです。 場内には数人しかいなかったので、好きな席でのびのび見ることができました。
よかったよ!よかったよ!面白かったよ!最後まで最高だったよ!
そんなボチャブラリーのない感想しか出ないのは、悲しいのですがそんな感じです。 まあ、もうちょっと詳しく書いてみます。まずは悲しかったことから。
・サルマンが登場しない。 なんでー!?今までサウロンより目立っていたのに、あんなにあっさり消えてしまっていいの? そのうち出るスペシャル版DVDには登場する可能性大だけど、そんな一部の人だけへのフォローは不親切だよ。映画館でだけ見るというファンもいるだろうに。 サルマン好きとしては、映画としてここだけ未完成に思えるぞ。
・長すぎる 203分という長時間そのものは不満じゃないです。まさに時の流れを忘れる面白さ。 しかし・・・途中から・トイレに・・行き・た・く・なっ・・て・・。 ちゃんと映画の始まる前にもトイレに行ったのだけどな。 私は結構、小便が近いので心配していたのですが見事に的中。 一瞬たりとも目を離したくなかったから、20分くらいもぞもぞしていたのですが、まだ1時間半はあるぞ。これでは落ち着いて見ていられないと考えて、象さんと兵士達が戯れているシーンのところで、急いでトイレまでダッシュ。 ふうっ。一番楽しみにしていたエオウィンの活躍をもう少しで見逃すところだったぜ。 それでもラスト前では、またトイレにちょっと行きたくなっていた。いい加減にさらせーよ。俺。
続いてストーリーの流れにそった感想。
・オープニングに登場したスメアゴル 500年くらい前のお話。“2つの塔”のスペシャルDVDで監督がこのシーンを予告していたのですが、オープニングにもってきたのですね。いい感じです。 スメアゴルのモデルをやっていた役者さん。ちゃんと登場する機会があったんだ。 なんか表情とかが“蛇の舌”の役者さんみたいで同一人物かと思った。
・パランティア 寝床で目をあけたまま寝ているガンダルフが可笑しい。パランティアがピピンを捕らえるシーンとそれに気づいて仲間達が大慌てするシーンが面白い。この映画って戦闘シーンを除くと、こういうバタバタしているシーンが意外にないから。 それにしても“旅の仲間”でも登場してはいたけど、パランティアの存在感が少ないね。これではデネソールが乱心していた理由も映画ではわからないし。 あれもこれもは詰め込めないのは仕方ないでしょうけど、説明不足な気がする。
・雪の高峰をゴンドールの烽火が走るシーン これからの戦いを予感させて、いやがおうにも燃えるシーンです。 しかし後日、友人(珍しくレゴラスファンでない女)と電話で話すと、あんなところで火を燃やして誰が見るんだ!あんな山奥で相当な量の薪をどうやって常備しておいたんだ。まったくわけわからん。とかいっていた。そーか。そんな見方もあったのか。
・シェロブ “2つの塔”に登場しなかったので、その分期待が高まっていたのだけど、よく出来ていた。主役の座が危ういフロドも、簡単にはシェロブにやられないように頑張っていて健気だぞ。 サムがフロドの死体を見て、これからは「なんて残酷な運命なんだ。旦那の死体を置き去りにして、自分が指輪を捨てる使命を引き継ぐのか」などと葛藤しながら指輪を取るシーンがないのは、非常に残念。スペシャルDVDには収録されていることを期待したい。
・死者の道 原作より展開がわかりやすくていいなぁ。(このあたり原作では読んでいてだれてしまっていたので) エルロンドが折れたる剣を鍛え直して、アラゴルンの元へ助言と共にやってくるところはいい。そーか、そーきたか、という感じ。あの剣は折れたままかと心配していたよ。 死者の道のシーンもいい。欲をいえばもっと長くやって欲しかったくらい。今回のアラゴルンの見せ場は、ここくらいだもんなぁ。
・戦闘シーン 指輪の幽鬼もあわせてモルドール軍は格好いいね。今までオーク隊ばっかりだったので、象さんと南方人の部隊が新鮮だった。 ゴンドール兵の首を投石機で撃ちこんくるエゲツなさも映画だと一層目立つ。 対して味方の軍だが、ガンダルフも格好いいが、やはりエオウィン。アングマールの魔王との戦いは原作でも燃えたシーンだが、期待を裏切っていない。 原作だと、戦場での彼女は“若い戦士”とだけ紹介されていて、カンの悪い私は彼女が兜を脱いだ瞬間に「正体はエオウィンだったんだ!」と驚いたものだが、映画ではそういう要素はなかったものの、安っぽさの一切感じられない映像に息を呑む。やはり一番の見せ場だろう。 セオデン王が息をひきとる前にエオウィンを認識してくれていたのは嬉しい。 セオデン王もさぞ満足だったろう。タイタニックの船長として沈む役よりも(笑) それからアラゴルンが率いてくる幽霊軍団は・・・ギャグ漫画みたい。戦場に突入するシーンは、ドドドドド・・・という擬音がピッタリだね。
・旅の仲間 フロドやサム、アラゴルンやガンダルフは当然として、ピピンとメリーも重要な活躍をしてくれます。 急にシリアスになっちゃったから、そのぶんギムリがお笑い要因に回されて可哀想な気もするけど。 一方のレゴラスは、「監督から女性ファン向けにサービスです」といわんばかりの活躍を戦場でしていました。ストーリーの流れには関係ないけどね。
・滅びの山の火口シーン ここまで、飲み水がなくて困るシーンや「驚き桃の木イバラの木」のシーンがないのはしょうがないか。フロドを背負って走るサムには、やはり感動する。 フロドとゴクリの火口での取っ組み合いも、長く表現されていていい。原作ではあっさりしていたように感じたからなぁ。ゴクリが落ちていくとき見せた、あのなんともいえない歓喜の表情は必見。 もっともネットの日記で、「ゴクリは“いとしいしとおお”と叫ばないと!ここのシ−ンが映画で一番不満」と書いていた人もいたので、ここの評価は好き好きなのかなぁ。私は一番気に入ったアレンジ部分だったけど。
・サウロンの最後 ソーサリーの大魔王なみに、サウロンあっさり消えすぎ。といっても、原作どおりだから、文句いっても仕方ないか。 指輪を失って不完全な力ながらも強力な抵抗をみせるとか。ラスボス戦は「オラオラオラオラァ!」「無駄無駄無駄無駄ーーーっ」とかいいながらラッシュの突き比べをして欲しかった。 いえ、嘘です。TVゲームでもやってます。
・エンディング ホビット庄の掃蕩はないだろうな。原作でも蛇足みたいな印象だったし。せいぜいアラゴルンの戴冠式までかなぁ。とかいろいろ思っていたけど、ホビット庄への帰還、サムの結婚、旅立つフロド達との別れまで入っていて文句なしです。サムが子供を抱いて「帰ったよ」というのには泣けました。 スタッフロールが最後まで流れ終わるまで席に座ったままでした。
なんだかんだいって最高でした。私が永久保存版と呼ぶ映画はこれが初めてだし、これからも当分ないだろうな。
2004年04月12日(月) |
キングスナイト クレア姫を救え!(MDクラブ 編/扶桑社) |
扶桑社から「火吹き山の魔法使い」と「バルサスの要塞」が復刊されるという情報が届いたのは、8月始めでした。
*情報元* http://www.fukkan.com/vote.php3?no=4637
でも、あれから何の続報も音沙汰もありませんね。一体どうなったのでしょうか。 あんまり情報がないので、「そういえば扶桑社って、過去に何かゲームブック出していたよなぁ」と思って調べると1986年に一冊だけ出版していました。タイトルは「キングスナイト クレア姫を救え!」です。 この本はたまたま以前に古本屋で発掘しておいたのですが、表紙にスクウェアゲ−ムブックスとあるところを見ると、TVゲームを原作にしたゲームブックのようです。 内容もまだ少年の勇者レイジャックが、王様の依頼を受けて悪を退治に行くという、いかにもな王道もの。 ちょっとだけプレイしてみたのですが、どうにもゲーム性やストーリーが底浅いという気がしてしょうがないです。 小学生向けに作られたからだとは思いますが、道中で仲間になるボビットの描写やイラストが人間の子供と大差なかったり、怪物が町を襲うシーンが淡々としていたり、必然性や脈絡もなく道端に妙なもの(容器のない巨大な水の塊とか)が置いてあったりするあたりがどうもねぇ。 かといって破綻するほど酷い部分もなく、全体に無難にまとめた印象です。 私的には同じ底浅いなら、逆にぶっとんでいたゲームブックの方が楽しめたのですが・・・。
しかしやはりこの本一冊からでは、扶桑社ゲームブックの特徴などはわかりそうもないです。実質的に扶桑社は、今までゲームブックを出版していないのと大差ないと、私は考えています。 さて扶桑社から、いったいどんなファイティングファンタジーシリーズが復活するのでしょうかね。そしてそれが分かるのは、いつなのでしょうか。
図書館から「予約していた本が貸し出せます」と留守電が入っていた。 奥様が予約していたそうで、奥様曰く「つわりがひどいから取りにいけないし、キャンセルしておいて」とのこと。 しかし心やさしい僕は、奥様の代わりに図書館に行ってあげました。そして
「夫よ!あなたがいちばんストレスです(村越克子著)」
という本を受け取ってきました。 ・・・・・・なんだよこの本は。
まあ、気を取り直して久しぶりに図書館に行ったついでに、前々から興味のあった自費出版に関する本を2冊ほど借りてきました。 早速、流し読みするのですが、自費出版した例を読めば読むほど「自費出版って自己満足の世界だよな〜」と感じてしまう。自分の昔の苦労話を語りたいが家族にも聞き飽きたと言われた人。自分の書いた詩をキレイな活字にしてみたいだけの人。冷静に読むと、どれもとても商売じゃやっていけない動機ばかりです。 もっとも個人のホームページだって自己満足の世界なので、それを否定するつもりはまったくないです。むしろ、自費出版をやってみたくなりました。 何人かの有志を募って、ゲームブックの同人誌を作れないものかと思います。 別に大人数が読まなくてもいい。同人誌の本来の意義に戻って、少数のゲームブックファンの人達だけで原稿と費用を出し合って読み合うような、そんなサークルの雰囲気で楽しめるようなものはできないだろうか。内容はウォーロックの小型版のような感じはどうだろう。そんなことを考えるとワクワクします。 そんなわけで、ちょっと「一緒に企画してもいいかな」と思う人がいたら、メールか掲示板に書き込んでください。人数次第では本気で考えますもので。
2004年04月10日(土) |
思いつくままに駄文を書く |
信じてもらえないかもしれないけど、私はゲームブックコレクターではないのです。 実際に他の方と、私の探しているゲームブックと、こちらが一冊しかもっていないゲームブックを交換することなんかはよくあります。 例えば今の私は今年の3月1日から羽田空港内で限定発売される、「東京プリンがプロデュース!東京銘菓 東京プリン(初回限定特典CD付き)」が欲しいわけですが、地方の私に代わって購入して送ってくださった方には、ヤフオクなら5千円くらいで取引されることもあるというFFゲームブック第31巻の「最後の戦士」を差し上げてもいいと思っているくらいです。(本気で)
それなのに400冊になろうかというゲームブックを所有しているのは、単に私が読みたいゲームブックが多いだけなんですね。 人間とは欲な生き物でして、どうしても欲しかったゲームブックが、ほぼ全て入手できてしまうと、続いてちょっとだけ興味のあったゲームブックが欲しくなる。 それが集まると、今まで無関心だったゲームブックにまで興味がわいてくる・・・・・・と、そんな繰り返しなのです。 つまり大量のゲームブックの蔵書も、いずれは全部読むつもりで買っています。なんか「もうゲームブックの新刊がでなくても在庫だけで一生遊べるぞ。キャッホー!」と半ば空虚な笑い声をあげながら、本箱からあふれるゲームブックの整理を続けているわけです。 それでも某サイトの日記で紹介されていた、“世界最速のサイコロ”(精密なチタン製のサイコロ2個で20,000円)までが欲しくなってしまうと、客観的にもまずいかもしれません。奥さんに怒られて目が覚めましたが。 他にも世界文化社の「ハーレクインゲームブックシリーズ」や、近代映画社の一冊パラグラフ100くらいの「騎士と魔法使いシリーズ」がヤフオクで出品されていると、がむしゃらに競り落としたくなる私はマニアでしょうか。
結局なにがいいたいのか自分でもわからなくなってきましたが、結婚してからお小遣いの制限に苦しんでいる日々でも、それでも自分は結構欲望のままに生きているのだなぁと書いていて実感したということです。はい。
世界最速のサイコロ http://www.tanomi.com/limited/html/00010.html
2004年04月09日(金) |
買うべきかどうか・・・後日談 |
RPGamerの5号に掲載されている「魔霊セプタングエースの招喚円」を読みました。前々から気になっていたソーサリーの翻訳について語っているやつです。 でも正直読んでみて、私は洋書というか原書に対して何の感慨も抱いていない人種だと判明したようです。私に英語力がないせいもあるのでしょうけど、誤訳・意訳で問題と指摘されていた箇所について、そんなの別にいいのでは?としか感じなかったものですから。 私にとって問題なのは、“マンパンの大魔法使い”より“マンパンの大魔王”の方が、“諸王の冠”より“王たちの冠”の方が格好良かった!というレベルなのです。普通に読むぶんには、それで十分な気がするのですが。 まあソーサリーファンには熱心な読者も多いですし、セプタングエースさんの主張だって理解できなくはないです。創土社版の浅羽訳を高く評価することに異論はありません。 でも、新訳もこれはこれで楽しみなのですが、やっぱり旧版だって良かったよと私は言いつづけたいですね。
(さらに後日談) この日記を書いたずっと後で思ったのですがセプタングエースさんのお話は、ゲームブックファンというより翻訳者としての立場で書いたものなのかな、と考えるようになりました。 見方を変えればRPGamerの5号に掲載されている「魔霊セプタングエースの招喚円」は翻訳についてのコラムであって、ゲームブックのコラムではなかったということです。 最初はそう思わずに「誤訳が悪い=旧版批判」と私は短絡的に反応したのですが、今ではそれは間違いだった気がします。そう思うとセプタングエースの「もっと誤訳を気にしてよ」という本当の主張も見えてきて、素直に理解できるようになりました。 もっともやはり私は、翻訳の世界には興味が湧かないようです。ゲームブックの話題と誤訳の話題は別のベクトルだと気付いた途端にこの話題に興味を失ってしまいましたから。しかし気にならないからといって、それを非難されることもないとは私は考えます。
2004年04月08日(木) |
クロちゃんのRPG千夜一夜全4巻&クロちゃんのRPG見聞録 (黒田幸弘 /富士見書房) |
日記をお休みしている間に嬉しかったことと言ったら、復刊ドットコムで私がリクエストオーナーになっている「クロちゃんのRPG千夜一夜」の復刊交渉が始まったことかな。いや、もちろん奥様のことも嬉しいですが。 この本は著者が体験したTRPGセッションの様子や、ウィザードリィのようなコンピュータRPGにまつわるエピソードを紹介していくTRPG教本なのですが、内容が爆笑ものなのです。 例えば入手した財宝の量だけ経験値が増えるTRPGで起こった、せこいプレイヤー達のエピソードなんか傑作です。このプレイヤー達は、手に入れた財宝をわざと海に落として、後で拾うことでもう1回経験値を稼ごうとするのです。しかしゲームマスターも然る者で、その財宝は漁師達の地引網に引っかかって没収されてしまうというオチをつけてくれます。 また酒やタバコ、橋などの建造物、はたまた悪魔など、RPGによく登場するテーマにそって毎回講釈は進むのですが、現実の中世ヨーロッパやアジアの皇帝時代などの豆知識を引き合いに出して説明するので、なかなか雑学本としても楽しめる内容なのですね。 ゲームブックファンでも十分楽しめる内容だと思うので、もし興味がでたら是非一票入れて下さい。投票が多ければ多いほど、復刊へ向けて弾みがつきますので。
復刊ドットコム(クロちゃんのRPG千夜一夜全4巻+クロちゃんのRPG見聞録) http://www.fukkan.com/vote.php3?no=7684
ゲームブック同人誌を作ろうというお話しが、サイロス館長の掲示板を中心に進行中です。 私は本格的な同人誌を作ったことはありませんが、記憶をほじくりかえすと、学生時代の文化祭でコピー刷りの簡単な同人誌を一度だけ作ったことを思い出しました。人気漫画とかのパロディ作品を書くのは性に合わないので、オリジナルショートショート小説ばかり書いていましたけど。 ちょっと懐かしくなったので、一話だけ以下に抜粋。今見ると、微笑ましくて少々恥ずかしいね。
<けんちゃんシリーズ その5>
ひ・と・で たけたろう著
ぽっかぽっか陽気の夏の日。けんちゃんは、お父さんとお母さんと海に行きました。 けんちゃんは海が初めて。 うちよせる波にけんちゃんは、大はしゃぎをしながら浜辺を走り回っています。 お父さんとお母さんは、けんちゃんに暖かい眼差しを向けながら、ビニールシートに座ってくつろいでいました。 「岩場の向こうに行ってくるねー」 けんちゃんが遠くから大声をあげると、お父さんとお母さんは「危ないから気をつけるんだよ」と言い、すでに岩場に向かって走り始めたけんちゃんに手を振りました。
しばらくの時が経ちました。 空から眩しい太陽の光を浴びながら、そよ風を受けてくつろいでいるうちに、お父さんとお母さんはいつしか眠ってしまったようです。 「お父さん、お母さん!大変!人が死んでいるよ」 いつの間にか戻ってきた、けんちゃんの声で目を覚ましたお父さんとお母さんは、ビックリして「一体なにを見たんだい」と聞き返しました。 「手!砂のうえに茶色い手があったの」 それを聞くとお父さんは笑い出しました。お母さんも微笑んでいます。 「けんちゃん。それは海の生き物さ。ヒトデっていうんだよ」 「そうなの?ふーん。さっきは砂を掘っていたら出てきたからびっくりしたんだ」 「それはお昼寝していたのかもしれないわ。気になるなら元通りに砂に戻してあげたらいいわね」 と、お母さんも優しく言いました。 「わかった、そうする!」 けんちゃんは元気よく返事をすると、岩場の方へ駆け戻っていきます。 その様子を見送りながら、お父さんとお母さんは顔を見合わせて、ぷっ、と思わず吹き出してしまいました。
「おこしちゃってごめんね。ヒトデさん。元通りにするから、ゆっくり寝てね」 けんちゃんはヒトデさんに、砂をかけてあげました。 ついでにドロンとした目をした頭にも、砂をかけて埋めてあげました。
2004年04月06日(火) |
買うべきかどうか・・・ |
「魔霊セプタングエースの招喚円」のコラムは気になるものの、お値段が高いTRPGの専門雑誌の「RPGamer」。 もともとTRPGへの関心が薄いのと、経済的理由から最近は購入しておりません。 ところが次回の「RPGamer5号」はトラベラー特集だそうでちょっと心が動いております。 私はデュマレストサーガとか、古き良き時代のSFの世界観が大好きなのですよ。買っちゃおうかな。
それでもって「魔霊セプタングエースの招喚円」はソーサリーの翻訳を論じるそうでこれまた興味があります。 ただ内容は旧版「城砦都市カーレ」の誤訳の多さを例にあげて説明されているそうで、ここはちょっと気になります。 いや、新版の浅羽訳の質が高いのは理解していますし、創土社から新訳で復刊したことは大賛成なのです。 しかし、やはり創元推理文庫から発売された当時のソーサリーを読んで遊んでいた私には、旧訳にそれなりに思い入れがあるのも事実です。 浅羽訳の素晴らしさを伝えることは良いと思いますが、これが旧訳にある誤訳などの欠点をあげつらって旧訳のファンは考えを改めましょう、という内容だったら嫌だなぁ。どちらが原書の雰囲気に近いかということと、どっちが好みの翻訳なのかは違う話しだし、それは個人の趣味の問題ですからね。 まあ、そんな意見を人様の掲示板に書くのは、それこそ押し付けがましいので、ネットの片隅であるこの冒険記録日誌にだけこっそりと書くことにしました。
まあ読んでみない事にはなんとも言えないし、どんな内容なのか一読してみたい気もしますが、う〜む、3千円か。どうしようかなぁ。
2004年04月05日(月) |
扶桑社ってどうなのよ? |
「火吹山の魔法使い」などの復刊を決めているのに、また携帯アプリ版ではすでに発売しているのに、浅羽さんに連絡してなかったとかで、酒井さんが剣社通信で怒ったコメントを出していましたが、実際のところ扶桑社ってどうなんでしょうね。 この件を読んでなんとなく、デイビッド・エディングスのファンタジー小説「エレニア記」を連想してしまいました。 デイビッド・エディングス作品の日本語版は、ほとんど早川書店で出版されていましたが、「エレニア記」だけ角川書店が版権をとって大々的に発売。 そのあと、数年でとっとと絶版にしてしまいました。続編の「タムール記」を始め、他のデイビッド・エディングス作品は早川さんでまだ販売しているのに。(このあたりのファンの恨みぶしは、復刊ドットコムの投票コメントで読むことができます。私がちょうど100票目を入れました) 扶桑社はそんなことがないように祈っていますが。
「エレニア記」復刊リクエスト画面 http://www.fukkan.com/vote.php3?no=948
もっとも私の場合、角川書店の力で「エレニア記」が書店に平積みしてあるのを見て、デイビッド・エディングス作品の存在を知ったのも事実。 扶桑社が地方の書店で普通に買えるように、ゲームブックを流通させてくれることを期待しています。 そうすれば新たなゲームブックファンが増えるかもしれないですしね。
2004年04月04日(日) |
タロット幻想曲 運命の指輪を探せ!(清水真理子/双葉文庫) |
本書は少女向けゲームブック、ペパーミントシリーズの一冊です。 冒険記録日誌では、このシリーズをだいたい紹介してきたので、未紹介の本も残り少なくなりました。少し寂しいですね。
さて、本作は清水真理子さんの処女作だそうです。 彼女の他作品は「ア・ベ・コ・ベ狂騒曲 ミラーワールドへようこそ」(2003年8月の冒険記録日誌で紹介)などもありますが、タイトルから共通点がありますね。 中身は違っていて欲しいなぁ。 そんなことを思いながら読んだわけですが、こちらの方が多少読みやすかったです。(ええ、多少です) 主人公は中学生の女の子。チャマというリスとネコの合いの子みたいな異世界の住民の依頼で、占いの国を冒険することになるメルヘンチックなファンタジーです。 他のペパーミントシリーズとの違いは、主人公のあこがれる男の子という存在がなく、代わりに友達の3人の男の子が一緒に冒険してくれること。 男の子にはそれぞれボーイズポイントという数値が設定されており、主人公が冒険中にどの男の子を頼るかで増減します。 登場人物紹介によると男の子は、身も軽いが頭も軽いシャニーズ系、知的でクールな少年、無口で喧嘩が強くて義理堅いタイプと個性的・・・なはずですが、実際に冒険している最中はあんまり各男の子の違いが感じられませんでした。最後は一番ボーイズポイントが高い男の子と仲良くなるわけですが、誰がどのタイプなのか最後までよく憶えられないほど印象薄し。 むしろ、占いの国の女王や、神官の息子といった敵役の方がまだしもキャラが立っていたかな。 せっかく占いの国が舞台なのだから、もっと占い要素を増やせばそれはそれで楽しめたと思うのに。タロットカードを利用した、ペパーミントシリーズにしては一見複雑なシステムも、煩雑さの割に面白さに繋がっていないのが残念。
ペパーミントシリーズそのものに愛がないと、ちょっとお勧めしにくい一冊でした。
2004年04月03日(土) |
ブラック・リバー・エメラルド(ピーター・ライアン/ボビージャパン) |
シャーロックホームズを原作にしたゲームブックは、「シャーロック・ホームズ10の怪事件」シリーズだけではありません。ボビージャパンからは、「シャーロックホームズ・ソロミステリーズ」というシリーズが出版されていました。ブラック・リバー・エメラルドは、そのシリーズ2作目の作品です。
本書の主人公はシャーロックホームズ本人ではなく、デビッド・ロジャーズという少年。パブリックスクールの生徒の1人です。 デビッドがシャーロックホームズの事務所に駆け込むところから、物語は始まります。彼はシャーロックホームズに、宝石(ブラック・リバー・エメラルド)盗難事件の犯人を探してほしいと依頼するのです。 被害者は主人公と同じ学校の生徒であり親友のマーク・エイブリー。そのマークはよりによって主人公を犯人として疑っているのです。
シャーロックホームズとの面会が終わった後、主人公は今までどおり学園生活を送りながら、1人で捜査を始めます。 マークの誤解を解くために、疑わしい人物や場所を調べていく主人公。なんだか健気です。 でも、そんな主人公の行動に左右されることもなく、事件にまつわる背景の物語はどんどん進んでいきます。 例えば重要な事件が起こっている時に、他の場所を捜査していると、もうそれを見るチャンスはありません。また見ることが出来たとしても、能力値チェックに失敗した場合は、小さな証拠を見逃すこともあります。 全ての証拠や情報を集めることはきっと不可能でしょう。 もし全ての分岐先に進む(というかパラグラフを読む)ことができれば、そして捜査の為の能力値チェックに成功すれば、推理する必要も無く事件の全容が完全にわかります。 本書の狙いは、知りえた情報だけを整理することで、穴あきになった残りの情報を推測して、事件の全容をつきとめることなのです。 読者の選択や主人公の能力によって、入手できる情報が違うので、プレイした人の数だけいろんな推理を求められることになると思います。 実はこの物語には無関係の事件も関わっているので、捜査が混乱してしまう罠がありますが、事件そのものは難解なものではないので、そう悩まずにすむことでしょう。
続いてルール面の話しも付け加えます。 主人公の能力値は体力点や観察力点などを始めとして6種類。他に所持品やお金も記録しますが、どれも書き込む必要はそうそうありません。 あとは冒険中に事件の証拠を見つけたら、記号のチェックを入れるくらいなので簡単でしょう。 総じて、さくさく読めるゲームブックとして楽しめる作品だと思います。
不満点は、シャーロックホームズが、多忙を理由に主人公と一緒に捜査してくれないこと。 彼は結局オープニングのあとは、最後の事件の種明かしのシーンまで登場しないのです。 ゲーム中は、たまに手紙や電報という形で助言をくれるのですが、シャーロックホームズを売り文句にしているゲームブックにしては、少々寂しい気がします。
2004年04月02日(金) |
ガッチリ掴みましょう(奥谷道草/白夜書房) |
クロスワード・ランド2004年2月号に載っている、はみ出しゲームです。 購入したのは年末ですが、2月号なんですね。雑誌ってなんでこう、月の表示を先取りするのだろう? ま、それはともかく、「ガッチリ掴みましょう」の内容は新年初売りのデパートが舞台。たくさんの売り場をまわって、なるべく多くの福袋を手に入れて下さいというものです。 もちろん過去のはみ出しゲームシリーズの例に漏れず、今回もとんでもないアイデアが盛り込まれていますよ。 それは、福袋を一つ入手するたびに、そのパラグラフを書いているページに、左手の指を一本づつ挟んでいかなくてはならないというルールです。 それでどうなるかと言うと、福袋を2つ・3つと買っていくごとに、当然指をはさんだページが増えていきます。すると指と指の間に、開くこと(進むこと)のできないページ(パラグラフ)がだんだん増えてくるわけです。 どこにも進めなくなったら福袋の買いすぎということなので、どれか福袋を手放さなければ(指を離さなくては)なりません。たくさん福袋が欲しかったら、パラグラフ番号も意識して、入手する順番を考えなくてはならないわけ。 指を挟みながらゲームブックを読むことは、ゲームブックファンなら誰でも経験があるんじゃないかなと思うのですが、それをパズルの要素に利用する発想が凄いです。ただ私の場合、左手の指を挟みながらプレイするのは、非常にやり辛かったので、右手の指を使ってプレイしましたけどね。 私の初プレイ成績は福袋4つ。エンディングによると最高成績が5つだそうであと一歩でした。 欲を言えば、各店の福袋の中身をエンディングに書いてくれたら、もっと面白かったのに、と思いました。特にペットショップの福袋は、中から「ウッキ、ウッキー」と聞こえてくるそうなので中身が気になります(笑)
2004年04月01日(木) |
山口プリン立ち上がる! |
冒険記録日誌を楽しみにして下っていた全国10,000,000人分の1の皆様。 お待たせしました。まだ万全ではないものの日記の復活です。 思えばこの一ヶ月、復活をかける私にいろいろなことがありました。 お風呂の洗面器にツララができるほど寒い日があったとか、黒豆ココアがおいしかったとか、奥さんがずっと寝込んでいて看病していたけど実は妊娠していたとか、おにぎりを作るのが上手になったとか、瑣末なこともいっぱいあったけどね。 なんといってもPCゲームのマイトアンドマジック6に今更ながら夢中になってしまったのですな。 いやぁ、ゲームブックばかりやっている間に、PCゲームってこんなに進化していたのですね。って、これもかなり古いゲームらしいけど。RPGにはまったの久しぶりだなぁ。 ま、そんなわけで、半ばゲームブック界からは距離が離れかけていたのですが、最近ゲームブック関連のサイトをざっと見ると・・・・・・愕然としました。 恐るべき現状です。いつの間にこんな事態に・・・・・・。 それは、
最近、元気のあるゲームブックサイトの管理人は、ほとんどブレナン者(注2)ばかりではないか!
ということです。 確かに昨年からは挿絵を書いていた絵師フーゴハルの消息が判明したり、ブレナンがファンタジー小説を発表したりと、ブレナン者にとって嬉しい事態が続いています。一方、鈴木直人氏は新作の作成に励んでいるとは聞くものの情報が少なく、鈴木者にとってチョコレートナイト発売のときのような盛り上がりは感じられないのです。
いかん! このままでは、ネット上のゲームブックのファンと情報がブレナン者ばかりで、埋めつくされてしまう。 ここらで創元推理文庫、鈴木直人ファンの私が少しでも他のゲームブックネタで盛り返さないと。ヘタをすれば創土社でドラゴンファンタジーの復刊が優先されて、鈴木直人の新作を読める日が、その分遅れてしまう事態になるかもしれないではないか! そんなわけで復活するぞ!見てろ、ブレナン者め!(?)
(注1.同ゲームをプレイした方のみわかる話) ずっと夢中でやっているのに、それでも時間がかかるかかる。昨日やっと巫女に面会できたところ。 初回プレイのくせに、ギルド未加入という縛りプレイをしているのが原因なのだろうか。 おかげで使用できる技能が、最初のキャラメイクの時に取得した ・僧侶(メイス)(肉体魔法)(皮鎧)(修復) ・狩人(弓)(風の魔法)(皮鎧)(短剣) ・戦士(剣)(皮鎧)(弓)(解除) ・戦士(剣)(皮鎧)(弓)(知覚) だけだもんなぁ。 魔法ギルドも当然未加入なのでレベル63にもかかわらず、今のところキュアウーンズとスパークしか頼れる魔法がないのが痛い。タイタン相手だと苦戦しちゃうよ。でも厳しい条件ほど燃えるのが私なのさ。 忍耐力なら学生時代に「ネバーランドのリンゴ」と「ニフルハイムのユリ」の迷宮でさんざん鍛えたからな。
(注2) ブレナンとは、以前に二見書房から発売されたドラゴンファンタジーというゲームブックシリーズの作者。日本では未だに熱狂的なファンの多いシリーズで、そのファンのことをブレナン者と呼ぶ。
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