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■ 新しい詐欺
最近は、「おれおれ詐欺」ではなくて、「振り込め詐欺」と言うそうです。 初めて接したのはラジオニュースでしたが、「振り込*み*詐欺」の間違いではないかと思いました。耳になじまない言い方のように思えたので。 でも「振り込め」と(犯人が)言う詐欺なのですから、「振り込*め*詐欺」で正しいのですね。
「振り込*み*詐欺」っていうのがあるとすれば、それは、勝手に振り込んでくれるというものでしょうか。何だか楽しそうです。 でもそれはわなで、残高が増えている〜わーい、と、よく確認もせずに使っていたら後で脅される、とか。 まさか。
さて、なぜ、耳に聞いてひっかかりを覚えたのかといえば、それはたぶん、「詐欺」にくっつく語が名詞あるいは活用語の連体形でなかったからだと思われます。連体形だと「振り込み詐欺」になるけれど、それでは詐欺の実態をあらわしていない。 試みにデスクトップ上の広辞苑(第四版)で「詐欺」を後方一致検索してみると、
おきや‐さぎ【置屋詐欺】 きず物または粗悪品を良品のように見せかけ、質屋に高値で質入れすること。また、その者。
かごぬけ‐さぎ【籠脱け詐欺】 金品をあずかったうえ、表口に人を待たせて建物の中に入り、裏口から抜け出して跡をくらます詐欺。
とりこみ‐さぎ【取込み詐欺】 初めから代金を支払う意思なしに物品を取りよせ、転売などしてしまう詐欺。
とあります。「置屋」は名詞、「抜け」(cf.「抜ける」下一段活用)「(取)込み」はいずれも動詞の連体形。他に思いつく例というと、「結婚詐欺」「寸借詐欺」あたりですが、いずれも名詞が前に来ています。
なんだか物騒な用例が並びました。
つまり、「振り込め詐欺」というのは、「振り込め! 詐欺」なのですね。連体形に接続しない「詐欺」。そう考えると腑に落ちます(私が)。 ほかに名詞あるいは連体形以外の語を伴う「詐欺」はあるでしょうか。もしないとすれば、この詐欺は、手法だけでなく語法までも新しく生み出したということになるのかな。
2004年12月13日(月)
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