酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年05月31日(水) |
『虹の彼方』 小池真理子 |
高木志摩子は過去に恋多き女優と呼ばれていた。数々のスキャンダルを乗り越え、今は優しい夫を持ち48歳の落ち着いた大女優となっている。志摩子が座長となり舞台をやることになり、その原作者・奥平正臣と運命的に出会い、ふたりは激しく狂おしく恋に落ちて行く。しかし、正臣にも妻がいて双子の娘がいた。許されない関係ゆえ、ふたりの思いは燃え盛り行き着く果てに・・・
うーむむむむぅぅぅ。なんだかスゴイ恋愛モノを読んでしまいました。やっぱり女が描く熟女の激しい恋っておそろしく生々しいですね(苦笑)。どんなに美しくても48歳と言う年齢に女が女を意識しない訳が無いだろうなぁと想像できて・・・なんだか怖いなぁ、切ないなぁ、苦しいなぁ・・・と巡り来るその日を本気で真剣に憂えてしまいました。女が女をわかる恋愛モノって厳しい。美しい女優さんですらこうならば、一般ピープルはどうなるのよ。トホホ。 結婚して伴侶より他に目が行ってしまう、それはまぁあるかもしれない。それが家族も仕事も何もかもぶち壊してまで欲しいものとなったら、きっとそこは自分達も関係各位も巻き込んだ生き地獄。自分達はそれでも自分達の思いゆえだからいいとしても、巻き込まれて壊れて行く人たちは気の毒。だからって思いは止められなくて。うーん、深くて重くて苦しいことだなぁ。なんだかものすごくのめりこんで読んでしまいました。熟女が若い男と恋をする夢物語にはのめりこまないケレドモ、この路線はけっこうぐっときちゃいました〜。
「地獄の種類が違う、と言われてしまえばそれまでだけど、でも、少なくとも捨てる側には、それまで保ち続けてきた絆を一刀両断に切り落とすための覚悟がいる。それは何だろう・・・・・・そうだな、たとえて言えば、登山をしていて、ザイル一本でつながっている相手を、自分が生き延びるためにどうしても切り落とさなくちゃならない事態に陥って、どうしようもなくナイフを使ってしまう時の、あの地獄の悲しみに似ているのかもしれない」
『虹の彼方』 2006.4.15. 小池真理子 毎日新聞社
| 2006年05月30日(火) |
『密室の鎮魂歌』 岸田るり子 |
麻美は友人の由加と共に新城麗子の展覧会にやって来た。美大時代、美しかった麗子は37歳の今も変わらず美しい。会場で美大時代の友人・一条哲に再会。彼は絵をあきらめて寺町でイタリア料理店を営んでいる。一条から麗子の双子の息子を紹介されている時に由加が【汝、レクイエムを聴け】という絵の前で悲鳴をあげ白目をむいて倒れそうになる。由加は作者の麗子に「夫を返せ!」とわめくのだが・・・!?
第14回鮎川哲也賞受賞作品です。この岸田るり子さんは只今マイブームなのです。京都を舞台にしているところが魅力的だし、事件の妖しさもトッテモ好み。ただ読んでいて事件の核は見えてきて、その核って岸田さんの好みのテーマなのかしらと想像しているところです。妖しい事件の背景に蠢く人間達の真実、いいですねぇ。惚れ惚れ。 エキセントリックな麗子と言う人物は美しいらしいのだケレドモ、ちっとも魅力を感じない。それは岸田さんが設定した麗子の人としての魅力の無さ、底の浅さがキチンと文面から伝わってきたからだと思います。主人公の麻美の人の良さや生活の苦しさもしっかりと伝わってきますし、うまいものだなぁと思います。麗子の魅力の無さから痛感する事は言葉がその人を写す鏡であると言うこと。なにか悪いことをしでかした時の反応や発する言葉が如実にその人物を表します。温かさや率直さや潔さや・・・そういうものを持たない人は私はいやだなぁ。
そういう何げない麗子の言葉遣いに人間の奥行きの浅さを感じるのは麻美だけなのだろうか。
『密室の鎮魂歌』 2004.10.22. 岸田るり子 東京創元社
| 2006年05月29日(月) |
『パズル・パレス』 ダン・ブラウン |
テロ対策としてあらゆる通信を傍受&解読できるNSAのコンピューター《トランスレータ》は国家機密だった。一般市民の通信も監視してしまうことに疑問を感じた元・暗号解読員がトランスレータに壮大な罠を仕掛けてくる。それが成功するとアメリカはとんでもない事態になってしまう・・・
今、世界中で最も注目されている作家ダン・ブラウンの10年前の処女作です。パソコンについて詳しくないせいなのか、10年前のコンピューター事情でも色褪せることなく楽しんで読めました。むしろ私的には10年前でもなかなか難しい世界だったくらいです(苦笑)。ダン・ブラウンがすごいなぁと感じるのはフィクションだろうけれども、そのフィクションの中にかなりのパーセンテージで真実が含まれているのではないのか?と思わせるところだと思います。この物語に登場するスーパーコンピューターの存在もひょっとしたらアメリカが保持しているんじゃなかろうか。テロ防止のために一般市民のプライベートまで丸裸、それってどちらをどう重視すべきなのでしょうね。なんだか難しい問題すぎるなぁと思いました。10年前の物語なのに。今はもっとスゴイことに・・・? 怖すぎます。
『パズル・パレス』 2006.4.5. ダン・ブラウン 角川書店
| 2006年05月28日(日) |
『SWITCH』 さとうさくら |
苫子は26歳、フリーターで処女。有能な人間であるにも関わらず、うまく人と接する事ができず、勤め先のファミレスをいきなり解雇されてしまう。ひとりで黙々と働きたいと願い、清掃作業員となるも指導係りのオバちゃんに振り回される。そして隠れ家みないな店を見つけ、開店していようがいまいが店に入っていく客となり、新しい出会いをする・・・
ああ、こういう<生きづらい>タイプの人間が必死で生きる様ってのは読んでいて胸に迫り来るものがあります。人との付き合いについてあれこれ考えることが多いため、頷きながら反発しながら読みました。なかなか好みの物語です。この物語の中で自分の立場を利用して女に手を出そうとする輩が登場してきて本気で腹が立ちました。長いこと生きてきて、それなりに社会に出てきて、いるんですよね。こういうエロきもい奴が!(激怒) 本人はナンダカンダ言い訳をするけれども、仕事を離れてプライベートに関わろうとする男はろくなもんじゃねぇxと思いますね。ごく最近もそういうエロきもい男にいやな思いをさせられました。思い違いも&思い上がりも甚だしい。でもまぁあんな人だとそうでもしないと駄目なのだろうと思えて気の毒でもあり。男と女は利害関係なく正々堂々といかなきゃツマラナイ。
わかってほしいことは何ひとつ理解されないのに、やってしまったことは、安易に本質として見られてしまう。言い訳をするほど嘘くさくなるが、黙っていれば誤解される。自分の言動にいちいち説明や言い訳を要する、人の遠さが疎ましかった。
『SWITCH』 2006.5.8. さとうさくら 宝島社
| 2006年05月27日(土) |
『東京バンドワゴン』 小路幸也 |
東京の下町の一角に築七十年になる今にも崩れ落ちそうな日本家屋古本屋<東京バンドワゴン>がある。玄関を真ん中に左側が古本屋、右側がカフェ。店主は三代目の堀田勘一。勘一の息子・我南人(がなと)60歳は「伝説のロッカー」と呼ばれる金髪で粋なオトコ。その息子がフリーターの紺。娘でシングルマザーの藍子。紺と藍子の異母兄弟の青。紺の妻の元スッチーの亜美。藍子の娘の花陽と紺の息子の研人。そして彼らを見守る幽霊の堀田サチは勘一の妻。そんな大家族の周りで起こる様々な事件と事件の背後に見え隠れしてくる人間模様とは・・・
アハハ。笑っちゃう。登場人物を書き出すだけで大変なのですもの。大好きな小路幸也さんが古本屋さんを舞台に心温まるお話をプレゼントしてくださいました。小路幸也さんの物語はどうしてこんなにも心に温かくフィットするのかしら。やはりお人柄が投影されているのでしょう。絶対的に心に優しい温かい物語りというのは本当に魅力的です。これだけ登場人物が多いと贔屓のキャラも出来ちゃうと思うのですケレドモ、私のお気に入りは「伝説のロッカー」我南人さんv こんな人がいたらファンになっちゃう。いいなぁ。傍迷惑に自然体で(笑)おおらかで優しくて。こういう生き方ができたら最高なんだけど・・・。
憎んでいたって何も始まらないんだよね。憎しみからは何も生まれないのさぁ。ただただその感情が続いていくだけ。暗いねぇ。暗いよ。未来は明るい方がいいよ。うん、明るい方がいい。楽しくなることを考えていく方がずっといいんだよねぇ。過去に何があってもさ。そう思わない?
『東京バンドワゴン』 2006.4.30. 小路幸也 集英社
| 2006年05月26日(金) |
『眠れぬ真珠』 石田衣良 |
45歳・独身の咲世子はプロの作家(銅版画家)。 厨子に暮らし、犬と気ままに生きていた。付き合っている男は妻子もち。体の相性はいいが、なかなかやんちゃな問題児。咲世子の他にうんと年下の愛人を持っていて、その女が咲世子や自分の妻に悪意の刃を向け始めてしまう。咲世子は男と別れ、十七も年下の男に激しい恋をするのだが・・・
うーぬぅ・・・若さを失った女が年下の男に恋をする。そういうドラマを最近よく目にしますケレドモ、個人的には違和感だらけと申しましょうか、美しくないなぁと思ってしまいます。まぁ、美しい黒木瞳さんと岡田准一クンのラブストーリーは演じるふたりの美しさで見せてくれましたが。恋愛なんてのはホント個人の自由、勝手なんでやりたきゃやってくれーと言う感じですよね。でもどうしたってバランス感覚とかってあるのじゃないかと思うのですね。釣り合いって奴かしら。まぁそれでもどうしても恋愛は個人の自由なんで。 石田衣良さんを敬遠していましたが、この物語は面白かったです。45歳の更年期障害の女性が17も年下の魅力的な男と激しい恋に落ちるナンテ夢物語だなぁとは思いましたが、かなりエロティックで、そういう描写はウンウンと力がはいってしまいました(笑)。年下の男と恋愛をしたいとは思わないけれども女の性を現役であり続けたいとは思いますネェ。快楽は大切v うふ。
「ねえ、いい。咲世ちゃんは十分に若い。わたしの年になったら、きっと後悔するよ。あなたは今日を大事になさい。今日は二度とないし、明日よりは必ず一日若いんだから。恋はここの張りじゃなく・・・・・・」 中原町枝は頬にあてた手を、ピンクのスエットの胸に移した。 「・・・・・・心の張りでするものよ」
『眠れぬ真珠』 2006.4.30. 石田衣良 新潮社
| 2006年05月25日(木) |
『出口のない部屋』 岸田るり子 |
私は編集長に無理を言って担当でもないホラー作家の原稿を取りに行く。彼女は美貌のホラー作家として有名だったが、彼女の顔を見た時にその美は壊れていると感じる。そして彼女は私に気付かない・・・。彼女から渡された原稿『出口のない部屋』、それはふたりの女とひとりの男が出口のない部屋に閉じ込められるという設定だった。三人はどうしてこの部屋に集められたのか、三人に接点はあるのだろうか。
これはものすごく面白かったです。イントロの編集者と美貌のホラー作家との再会(作家はハジメは気付かない)のシーンからぐいぐいと惹きつけられました。このふたりの関係は何か? そしてホラー作家の原稿の三人の繋がりは何か? 現実と虚構がリンクする時・・・って展開がまぁアナタうまいったらありゃしない! 半分を過ぎた辺りから関係や繋がりや設定は読みきれましたケレドモ、それでも素直にひたすら面白いと思いつつ頁をめくりました。こういう物語を読ませてもらえるナンテ幸せだったなぁ。読書をヤメラレナイと思わせる一冊でありました。この作家さんは要チェック!
もっとも触れられたくない部分だというのに、なんのデリカシーもない。
『出口のない部屋』 2006.4.25. 岸田るり子 東京創元社
| 2006年05月24日(水) |
映画『ダ・ヴィンチ・コード』 |
原作か映画か…私は原作を支持します(^-^)v トム・ハンクスは良かったしルーブルをはじめとする絵画や街の景色は素晴らしかったケレドモ…あの原作を映像にしようなんて不可能なことですね。あまりにも原作がよかったのでかなり辛口ではあります。原作を読んでいないとむずかしすぎないかしら。
| 2006年05月23日(火) |
『エンジェル・ウィスパー』 山科千晶 |
弓削鷹次の兄・森道は2年前に事故死した。見ず知らずの女性を助けた結果だったため、鷹次たちはマスコミに追われた。その後、山梨と長野の県境の遠見に転居。東京に未練は無かった。そして今度ハ弟の純也が消えた。もう兄弟を失いたくない純也を求めて奔走する鷹次が遭遇する意外な不思議な人々とは・・・?
分厚い本を手にする時、軽く興奮します。果たしてコノ分厚さを読みきるだけの魅力がコノ中に詰まっているのだろうか、と。だから合わない時にはさっさと手を引きます。合わないものはどうしたって合わないし、時間がもったいないから。もしかしたらまたいつか遠い未来で合うこともあるかもしれないと思いながら。なので今回のようにドキドキ感を最後まで継続させてくれる物語って偉大。SFミステリーになるのかしら。若さが清々しくて切なくて真っ直ぐで胸がキュンキュンしました。若い人たちに是非読んで欲しいなぁ。
『エンジェル・ウィスパー』 2006.4.30. 山科千晶 メディアワークス
| 2006年05月22日(月) |
『カンニング少女』 黒田研二 |
天童玲美は姉の事故死の真相を探るために、自分には難しい大学を目指す。悪いことと知りながら時間の無い玲美は成績抜群の天才少女・愛香、理系に強いオタク・隼人、何故だか参謀に入ってきた杜夫の三人とカンニングをすることに。おとなしく愛らしい玲美がハラハラドキドキのハチャメチャなカンニングを決行するのだが・・・!?
クロケンさんの描いた4人の少年少女たちがトテモトテモ可愛らしい。こんなハイテクなカンニングは無理だろーxと笑いながら読んじゃいました。うふふ。少しだけ心に痛い現実もきっと彼女達は受け入れることができるはずだよね。
君みたいに強い人間ばかりでこの世界は構成されているわけじゃない。
『カンニング少女』 2006.4.25. 黒田研二 文藝春秋
| 2006年05月21日(日) |
『すべては海になる』 山田あかね |
夏樹は書店でアルバイトをしている。10年前17歳だった時、いつも淋しくて、いつもなにか足りなくて・・・その想いを埋めるかのように出会う人と関係を持っていた。中にはお金をくれる人もいた。27歳になった今も二股をかけている。でも心の隙間は埋まらない。そんな時、目の前で中年女性が万引き事件を引き起こし、その女性の息子と知り合う。彼は17歳の高校生・光治。彼は壊れかけている父と母の狭間で必死に自分を保つようにして生きていた。ふたりは交流していくうちに夏樹も光治もそれぞれの何かの欠片のようなものを・・・・
この小説を読もうと思ったのは、�〔椡�しをした女性の絵�◆屬垢戮討漏い砲覆襦廚噺世Ε織ぅ肇襪量ノ廊�タイトルの文字が本に合っている・・・要するに表紙の魅力に惹かれました。内容も山田あかねさんのことも全く知識なく読んでみました。とても不思議なトーンの物語で静かなんだけど壊れていて痛くて淋しくて。でも主人公と少年が出会って色合いがどんどん変化していきました。だからと言って結論も解決も無いのですケレドモ、ふたりが光を見出したように思います。こういう物語を純愛と呼ぶのか否か私にはわからない。ただ出会えてよかったね、とそんなふうに清々しく温かく読み終えることができてなんだかトテモ嬉しかったです。
「ここにじっとしていれば、いずれ僕らは海になる」 「ここじゃなくても、たくさん時間が過ぎれば、誰だって消えるよ」
『すべては海になる』 2005.12.20. 山田あかね 小学館
| 2006年05月20日(土) |
『町長選挙』 奥田英朗 |
やりたい放題で言いたい放題、日本一有名(有害?)なオーナーナベツネさんをモデルにしたナベマンVSイラブン。一躍時代の寵児となったインターネット長者ホリエモンをモデルにしたアンポンマンVSイラブン。40歳過ぎとは思えない美貌とスタイルを誇る女優・黒木瞳をモデルにした白木カオルVSイラブン・・・面白かった。あまりにも馬鹿馬鹿しい戦いが妙に笑いを誘ってくれました。トンデモ精神科医イラブンの幼児性が今回も大暴走! 4篇めの『町長選挙』はどこをモデルにしたのか思い当たらなかったのですケレドモ、小さな町(島)ならありそうな騒動で、その騒動へ騒動の目みたいなイラブンが飛び込むのですから無茶苦茶間違いなしで(大笑)。読んでいて面白いなぁと素直に楽しめるってスゴイv でもこれってイラブンが架空の人物だから笑えるのであって、こんな人が実在したら、それこそ有害で大変だと思います。少なくとも私は関わりたくない。看護婦のマユミちゃんには会ってみたいけど。ウフフ。
「何もしないで若いままの人って、たまにいるんだよね」 いるか、そんなやつ。みんな裏じゃ必死こいてんだよー。
『町長選挙』 2006.4.15. 奥田英朗 文藝春秋
| 2006年05月19日(金) |
「ジェリーフィッシュ」 明野照葉(『澪つくしより』) |
「ジェリーフィッシュ」 多加雄は色っぽいイイ女の瑛子を伴って仲間達とディンギーに乗りに来た。ディンギーを置かせて貰っている元漁師の家は腰越と言う屋号で呼ばれている。その家には《くらげ》がいる。海にいるくらげではない。人間のくらげ。多加雄はくらげを見た時の瑛子の反応が楽しみだったが、瑛子はごく普通だった。くらげの異形に驚かない瑛子を多加雄は抱こうとする。くらげがそっと見ているのを承知の上で・・・
くらげの名前は哲一と言い、海難事故で異形のものとなってしまう。その哲っちゃんを多加雄たちは人として見なしていない。それどころか軽んじている。瑛子はその魂の高潔さで優しさで哲っちゃんと接する。そのことに哲ちゃんは喜びもし絶望もしたことだろうなぁ。多加雄たち馬鹿者どもの愚かさよりも哲ちゃんの稀人ならではの魂の寂しさが心に迫り来ました。哲っちゃんは瑛子に出会ったからこそ、出会えたからこそ・・・せつないことです。
「馬鹿じゃないの。哲ちゃんは、言いたいこと、伝えたいことが山ほどあっても、それが表現できなくなっていた。それが哲ちゃんの一番のつらさだったんじゃないの」
『澪つくし』 2006.5.10. 明野照葉 文藝春秋
| 2006年05月18日(木) |
『SOKKI! −人生には役に立たない特技ー』 秦建日子 |
1本のカセットテープから記憶が蘇る。198×年、ぼくは早稲田大学でひとりの少女と知り合った。彼女に惹かれ、彼女に誘われ速記研究会に入ってしまった。彼女に恋をし、役に立たない速記に熱中し、彼女を巡る恋のライバルであり心の交流をする男との出会い。それはぼくの青春の時だった・・・
不思議なものですね。本当にただ普通の青年の普通のありきたりな青春の日々が秦さんの手にかかるとユーモラスで切なくなってしまう。まるで魔法のようだなぁと思いつつ、主人公達の青春の日々に参加した気分です。私の友人の男のたちは慶応と早稲田に進学した奴らが多いので、こんなふうな時間を過ごしたのかしらナンテ想像しながら読みました。ああ、しょぱくてナンテほろ苦い。懐かしくて恥ずかしくて心の片隅にそっと仕舞っている青春プレイバックでありました。
「自分のことをね、ちゃんと認められるのって、格好いい」
『SOKKI! −人生には役に立たない特技ー』 2006.4.6. 秦建日子 講談社
| 2006年05月17日(水) |
「かっぱタクシー」 明野照葉(『澪つくし』より) |
「かっぱタクシー」 68歳の市橋は個人タクシーをころがしている。市橋の名前は征太郎だが車体に河童の絵を描いていることから河童の河太郎→タロさんと呼ばれるようになっていた。今夜も市橋は一人の老女を乗せ、彼女の一人語りに耳を貸す。彼女の話す昔懐かしい、そして背筋の凍る河童の物語・・・
この短編をハジメテ読んだ時の戦慄を覚えています。明野照葉さんの描く懐かしく恐ろしい世界が好きで、その極めつけでしたから。特にこの主人公が個人タクシーに乗せる女性がトンデモナイ怖さを感じさせるのです。こういうごくごく普通に主婦をやってきた人の心の奥底にこんなにも暗くて深い闇があるとは・・・。その闇を生ませたのは男。なんだか男と女って奴は・・・と何度読んでも途方にくれてしまうのです。この女性の怨念を理解できる、それは私が女だからなのでしょう。それは死ぬまで続く性と言うべきものですね。悲しいことだわ。
だけど本当のところ参っていたのはからだではなく、心のほうだったんです。
『澪つくし』 2006.5.10. 明野照葉 文藝春秋
| 2006年05月16日(火) |
DVD『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』 |
9歳のエミリーの最愛の母が浴室で死んでいた。血まみれのバスタブを見てしまうエミリー。父親で心理学者のデビッドはエミリーの心を癒そうと街を離れ、静かな湖畔の別荘地へ移転する。エミリーのために同年代の少女を家に招くデビッドだったが、エミリーは拒絶。自分の殻に閉じこもり、デビッドには見えない友達チャーリーと遊ぶようになっていく。ある夜、浴室に赤いクレヨンでデビッドを告発する文字が書かれる。エミリーは自分ではなくチャーリーが書いたと泣きじゃくるのだが、その文字はエミリーの文字だった・・・
★ ★ 感想に思い切りネタバレを書きますので 観ていない方はご注意ください! ★ ★
主演がロバート・デ・ニーロと言うだけで物語の筋と展開が読めてしまいました。それは勿論デ・ニーロお得意の《豹変》ですね。優しく聡明な父親が狂気に転じる・・・その父の変化に恐怖しつつも愛する娘。その流れが読めていても素晴らしい出来でしたv 物語のハジマリの母親の自殺の真相、それが父親の狂気を引き起こしてしまう。母親が火遊びをしなかったらこんなことにならずに済んだのかもしれないケレドモそれでは物語がハジマラナイ(笑)。DVDではふたつのエンディングを観ることができました。父親の狂気から逃げ出した娘エミリーのふたつのエンディング。ひとつは劇場公開されたもの。ひとつはボツになったのかな。どちらも観てみましたが、劇場公開されたぶにの方が個人的には好み。あの不気味な絵を最後に持ってくるところがウマイ。公開されなかったもうひとつのエンディングはエミリーの可愛い部屋が実は精神病棟だと言うオチ。これはわかりにくい気がする。どちらも救いがなかったケレドモ、救いがないなら閉塞的な閉じ込め終わりより放たれた恐怖の方が素敵。エミリーその後を観て見たい! デ・ニーロはあいかわらず素晴らしいけれど、ずいぶんと抑え気味の演技で子役のダコダちゃんをうまく引き立てていました。面白かった。
| 2006年05月15日(月) |
『Op.ローズダスト(上)』 福井晴敏 |
ハムの脂身・並河(公安四課の余計物)は、テロ現場で七五三のような風情の男・丹原朋希と出会う。朋希は防衛庁非公開組織ダイス所属、今回のテロリストのリーダー入江一功とダイスで親友同士だった。朋希と一功がダイス時代に愛した少女がアル工作で死んでしまい、袂を分かっていた。ふたりの愛憎とも言うべき因縁と一功たちテロリストの仕掛けているテロ「スターダスト」に巻き込まれてしまう並河と並河の家族。朋希は一功を阻止できるのか・・・?
いやはや、ものすごい重厚なエンターテインメントです。どうにも登れない福井晴敏さんの上下巻モノに無謀にもレッツチャレンジ! なんと今回はキッチリ上巻を登りきれましたっ(満足)。これで何故だか今まで読むに進めなかった福井さんモノにも登れそうです(にっこり)v 私の頭と心がやっとついていけるようになったと言う感じなのでしょうねぇ。しみじみ(嬉) さて『Op.ローズダスト』はトテツモナイ物語であります。最初の過去と現在の入り乱れと登場人物を一生懸命頭で整理をしながら読みました。今回なんとかかんとかついていけたのは公安のはみだしモノ並河さんの存在ゆえですね。なんだか素敵な人なんですよ。過去に失敗も後悔もありつつ、今を自分を生きている。妻と娘を愛し、愛されている。そこで出会う朋希が並河ファミリーに癒されて人間らしさを取り戻すあたりホロリとしちゃう。王道なのですケレドモ(笑)。そして朋希と一功の因縁の確執にドキマギ。ふたりはどうなるんだろうなぁ。 福井さんモノを登れなかった原因のひとつにテロへの無知(私の知識としての)があると思います。テロについて知ろうとも考えようともしてこなかった。今回のコノ物語でかなりテロについて国について考えますね。今のままじゃ駄目だよニッポン侍魂を取り戻せナンテ思っちゃいました。娯楽でありながら考えさせられる力を持つってスゴイことだ。さぁ今から下巻に突入です。どうなってしまうのかなぁ。朋希は、一功は、並河は・・・。
「おまえがどんな過去を抱えているのかは知らん。だがなにがあったとしても、同情する気はないし、おれがされるつもりもない。誰にだって、辛い過去のひとつや二つはある。中には後悔なんて生やさしいもんじゃ済まない、一生苦しまなきゃなんない過去を抱えている奴だっているだろう。忘れちまえばいいとか。時が癒してくれるとか、そんなおためごかしはなんの役にも立ちゃしない。救われようってのが、どだい虫のよすぎる話だ。 だから背負っていくしかない。それがどんなものでも、背負って生きるのが人生だとおれは思う。もし赦される時があるとしたら、潰されないで歩ききった時だけだ。それは過去の中身がどうこうって話じゃない。そいつの足腰が強いか弱いかっていう、いまこの瞬間の話なんだ」
『Op.ローズダスト(上)』 2006.3.15. 福井晴敏 文藝春秋
| 2006年05月14日(日) |
『裏京都ミステリー ぶぶ漬け伝説の謎』 北森鴻 |
京都の名刹(?)大悲閣千光寺の寺男・有馬次郎は破天荒な新聞記者・折原けいとスチャラカ元(笑)作家のムンちゃんに振り回されて、今回もまたまた妙な事件たちに首を突っ込んで行く。
おもしろーい! 北森鴻さんのコノ路線も侮れないなぁ。パロディやナンセンスやギャグ満載。あ、けい&ムンちゃんの漫才も満載!(大笑) あのふたりトンデモナイなぁ。かつて裏社会にいたアルマジロくんならではの裏探偵っぷりが爽快でした。京都ならではの謎解き(解釈)の妙は素晴らしいですね。でも白味噌の妙はご勘弁を・・・。
『裏京都ミステリー ぶぶ漬け伝説の謎』 2006.4.25. 北森鴻 光文社
| 2006年05月13日(土) |
DVD『ショーシャンクの空に』 |
アンディは銀行副頭取だったが、妻と妻の愛人殺しの濡れ衣で投獄される。独特の空気をまとうアンディに刑務所の顔で調達屋レッドは興味を抱く。人と馴染む事を拒んでいたアンディだったが、レッドに或る物を調達依頼して少しずつレッドとレッドの仲間達と打ち解けて行く。アンディたちを取り締まる看守や所長の金の管理をはじめたアンディは刑務所でどんどん親しまれて行く。図書室を作り、若い囚人に勉強を教える。アンディはレッドに希望の大切さを訴える。しかし、アンディに濡れ衣を被せた真犯人の存在を知り、所長に直訴した時、所長は自分の利益を守るために殺人を犯し、アンディを刑務所に縛り付ける。希望を断たれたアンディは・・・
本と映画、このふたつが人生で大切な私の娯楽。映画は今より以前のほうが本当によく観ていました。今、今までの人生で心を打った作品をせっせと集めていて、この『ショーシャンクの空に』も迷わず購入しました。大好きな映画の中でもトップクラスにランクインするほどに愛してやまない作品です。 物語の原作は、スティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」でアンディがレッドにプレゼントされ監獄に貼る最初のポスターです。原作のラストと映画のラストは違っていて、映画のラストの美しさに軍配をあげますね。涙がとめどなく頬を伝います。何度観ても胸がいっぱいになって・・・。 この映画でティム・ロビンスと言う優れた俳優さんを知り、ファンになりました。童顔の大男のティム・ロビンスは魅力あふるる演技で私を魅了し続けてくださいます。飽きることがない俳優さんですね。日本での露出が少ないから飽きないのかもしれないです。ジャン・レノも大好きなのですケレドモちょっと露出が多すぎて・・・うーんと思ってしまうので。 この映画を観たことがない方には是非にレンタルに走っていただきたい。特に高校生くらいの瑞々しい感性の方には必ず見て欲しいですね。希望を捨てないで生きる難しさと尊さを映像で学ぶ事ができます。何度も何度も繰り返し観て希望を失わないことを確認したい最高の映画です。超オススメ。
| 2006年05月12日(金) |
『幸せのかたち』 松村比呂美 |
紗江子は友人の香織と共同経営のリサイクルショップのことで衝突し、気まずい喧嘩別れをしていた。新しい仕事を探さなければ・・・と思う紗江子に声をかけてきた昔の同級生の美幸だった。美幸は転校を繰り返す地味でおとなしい少女だったのだが、今は堂々とした女っぷり。強引に美幸のマンションに誘われ、モデルルームのような整然とした部屋に通されて妙なものを見てしまう。それは紗江子そっくりの女性が浮かんで見えるクリスタルだった。偶然の再会と自分の顔が閉じ込められたようなクリスタル、そして紗江子はソノ日から・・・!?
待ちに待った松村比呂美さんの新作しかも長編です! 前作の『女たちの殺意』は優れた短編集で女ゴコロの複雑さを堪能できましたケレドモ、今回は長編となり、またまたしっかりと女ゴコロの捩れや複雑さを楽しませていただけましたv トッテモ面白かったので思わず二度読みをして『女たちの殺意』も読み返したくらいです。物語には作者自身が投影されているものと思うのですが、比呂美さんの鋭い観察眼やオシャレな生活の断片を拝見できて興味深かったです。つくづく物語りに惚れると言うことはイコール作者に惚れると言うことなのだなぁと思います。ものすごく好きな作家さんって本当に素敵な方ばかり。まさしく文は人なり、ですね。だからどうしたって合わない文章の作家さんとはきっと現実でも駄目だろうなぁ。松村比呂美さんとはいつかどこかでお目にかかれたらいいなぁと思う魅力的な作家さんのおひとりです。しかし・・・物語を紡ぎ出す才能はやっぱり特別な人に与えられた文章の神様からの贈物なんだなぁ。うーん、憧れます。素敵だv 私の幸せのかたちってどんなカタチだろうなぁ。
かたちの見えるものにとらわれて、もう少しで、今の幸せを見失うところだった。
『幸せのかたち』 2006.5.20. 松村比呂美 双葉文庫
| 2006年05月11日(木) |
『ノアの徴』 新井政彦 |
健人(けんと)は小学4年生の時、レンゲ畑で見た同級生・直子の太股とソノ奥に衝撃を受ける。早熟な直子の誘いで健人は太股と下着の下まで見てしまい・・・なにかが壊れた。直子は転校し、健人はイケテルもて男になり大人になって心理学者となった。全くタイプでもない年上の×1大学教授(心理学者)と結婚をし、自分の内なるモンスターと向き合い、猟奇殺人を繰り返して行く。イケメンで素敵な男の仮面をつけたままで・・・
うー、面白かった。このテの物語を面白いナンテ言うと危ないと思われてしまうのかしら。でもこういう外面と内面が乖離したモンスターの言動って興味あるのですよね。ものすごーく! 健人の異常な性癖と行動は周到に計算されていて、まさか完全犯罪か!?・・・なんてそうはいかないもので。まぁこのエンディングは個人的にはツマラナイと言うか、もったいないと言うか。もっと残酷なもっと非道なエンディングが望ましかったのだがなぁ。悶々。
モンスターは誰の心のなかにもいる。 この言葉は真実だが、同時に虚偽でもある。なぜなら、モンスターは人それぞれ違った姿をしているからだ。
『ノアの徴』 2006.3.25. 新井政彦 光文社
| 2006年05月10日(水) |
『骸の爪』 道尾秀介 |
仏像をテーマにホラー小説を書こうと思った道尾秀介は、親戚の紹介で滋賀県の南端にある仏像専門工房・瑞祥房へ取材に。迫力のある仏像たちに囲まれた真夜中、秀介は「・・・・・・マリ・・・・・・マリ・・・・・・」と言う不明瞭な声を聞き、頭の割れた仏像が血を流すのを目撃。不気味な不思議な目撃を友人の真備に相談し、ふたたび調査に赴くのだが・・・!?
うまい。不気味さをしっかりと敷きつめておきながら、謎に落ち(説明)をつけてしまいました。なるほどなぁ。声の謎はなんとなく想像がつかないでもなかったのですケレドモ、血の謎は解けなかったなぁ。人間の奥深いところに隠された想いと言うのは表に出ないがいいですね。出てくると大変なことになってしまう。人間ってやっかいだよなぁ。
「でも、きっと人の心なんて、軽軽しく論じることはできないんだろうね」 「鬼も仏も、そこから生まれるんだものな・・・・・・」
『骸の爪』 2006.3.25. 道尾秀介 幻冬舎
| 2006年05月09日(火) |
『陰日向に咲く』 劇団ひとり |
仕事に行き詰まり、自分にとっても自由の象徴ホームレスのコスプレをするうちにホームレスになってしまう男。小学生の時に好きだった女の子を追いかけつづける男。夢見る夢子ちゃんな性分ゆえに男たちに弄ばれる女・・・
現実とうまく折り合えない人間達の微妙にズレタ短篇集。物語の登場人物が次の物語に顔を出すという展開がなかなかウマイなぁと。独特の芸人さんらしい独特の捩れた世界。でもたぶんその捩れたところになんとなくシンパシー感じることってあるのかもしれない。だから売れたんだろうなぁ。
『陰日向に咲く』 2006.1.25. 劇団ひとり 幻冬舎
| 2006年05月08日(月) |
DVD『ティム・バートンのジャイアント・ピーチ』 |
ジェームスは両親亡き後、叔母たちにこき使われる毎日。ある日、不思議な老人からもらったモノから大きな桃が育ち、その世界に迷い込む。そこで出会った虫たちと夢のニューヨークを目指して旅立つのだが・・・!?
ティム・バートンはロアルド・ダールが好きなのですね。これもロアルド・ダール原作でした。少年ジェームスが桃の世界に入ったら、あのティム・バートンならではの人形達が大活躍! 現実での二人の叔母の怪演もあなどれないのですケレドモ(怪演と言うよりソノ風貌の恐ろしさと言いましょうか)、やっぱり人形達の愛くるしさったらたまりません〜。ゲストとして偉大なるキャラクターが海賊役で登場するもかなりサプライズで嬉しいv ハッピーエンドでほんと良かった。
| 2006年05月07日(日) |
『作家六波羅一輝の推理 白骨の語り部』 鯨統一郎 |
デビュー作がスマッシュヒット! しかし、その後まったく書けない作家・六波羅一輝。可愛い押しかけ編集者と取材に遠野へ出かけ、白骨死体を発見してしまう。その白骨は死後一年経過しているはずなのに、その本人は生きていた!?
うーん(不満足な唸り)x 鯨さん大好きなのですケレドモ、このトリックは早々に見抜けますね。なんと言うか・・・もっともっとじっくり丁寧に煮込めばいいのになぁ。なんだかトッテモ残念で仕方なかったです。題材がいいだけに・・・。うーんxx
『作家六波羅一輝の推理 白骨の語り部』 2006.3.25. 鯨統一郎 中央公論社
| 2006年05月06日(土) |
『異国の迷路』 坂東真砂子 |
坂東真砂子が作家としてデビュー前に書かれたホラー短篇集です。旅先でふいっと出会ったようなコジャレたホラーと言う感じでした。ご本人もあとがきで書かれていましたが、デビュー前の青さも拝読できてなかなか興味深かったです。一番気に入ったものは「信じる?」ですが、夏木静子さんの旅先ミステリーで似たような設定(落ち)があったことを思い出しました。本人は悪気なく旅先で落としてしまった災厄の種。その種を拾った人間の死とその復讐。人間っていつ何時なにをやらかしていることか・・・と怖くなること請け合いです。うう。
「信じることは、真実となる」
『異国の迷路』 2006.5.1. 坂東真砂子 JTBパブリッシング
| 2006年05月05日(金) |
『インディゴの夜 チョコレートビースト』 加藤実秋 |
晶は名物オカマなぎさママに拉致されてママの店に行ったところ、強盗に遭遇。ママの男らしい(笑)立ち回りで撃退できたのだが、負けん気の強い晶は強盗にママのバッグを投げつける。タトゥをチラリと覗かせた強盗はバッグを持って逃走。そのバッグはなぎさママのペット・まりんの入った特注キャリーだった。なぎさママに攻め立てられ、晶はまりん奪回に奔走するのだが・・・!?
うひゃひゃひゃひゃ。このホスト探偵くんたちシリーズって本当に爽快だなぁ。映像化を期待してるんだけど。キャラたちが生き生きとしていて文字だけに収まっていたくないって風情。見たいなぁ。動く彼らを。今回の事件たちも様々な背景を抱えていて興味深いです。お手軽なコノ世の中、そうインスタントになんでもかんでも処理できるわけじゃないってことだよねぇ。
『インディゴの夜 チョコレートビースト』 2006.4.20. 加藤実秋 東京創元社
| 2006年05月04日(木) |
『紙魚家崩壊』 北村薫 |
北村薫さんの物語を久しぶりに読みました。静かで怖くてうまくて・・・さすがだなぁと思いつつ、あっと言う間に読了。中でも「紙魚家崩壊」と「溶けていく」は怖かったなぁ。静かなる狂気・・・人間誰しも心のどこかに持っている恐怖なのではないかしら。
「様々な小説の中に、様々な人生がある。そいつを欠番のないように、総て自分の棚に閉じ込めようという執念が、まあ、いってみれば神の怒りに触れたんじゃないかな。世界を受け止めるには、この家はやわ過ぎたということさ」
『紙魚家崩壊』 2006.3.20. 北村薫 講談社
| 2006年05月03日(水) |
『終末のフール』 伊坂幸太郎 |
8年後に小惑星が地球に衝突し、世界が終る・・・その発表から動乱の5年が過ぎ、滅亡まで残すところ3年となった。5年間で大概の悲劇が巻き起こり、それなりに落ち着いた後3年・・・人々はこの残された3年をどう生きるのか。
うーん、参りましたネェ・・・。えっとですね、あと8年で滅亡、残すところ3年となった世界で生きる人たち、死のうとする人たち、新しい出会いをする人たち、命を生み出す人たち・・・いろーんなタイプの人たちが登場し、さりげなく物語りはリンクしていました。決められた死へ一斉にカウントダウンか。なんだかなぁ。極限で人間が浮き彫りにされてしまうってところかしら。うーん。恋旦那の死を目の前で看取った私としては死ぬことにジタバタって感覚がない・・・のではないかと思っているので。腹をくくってると言うか。いつかは誰しも死ぬし、と言うか。ああ、そうだな。ジタバタしたくないなって感じなのでしょうね。願望ですね。うん。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
『終末のフール』 2006.3.30. 伊坂幸太郎 集英社
| 2006年05月02日(火) |
DVD『フライ,ダディ,フライ』 |
大好きなキャラクター舜臣(スンシン)をV6の岡田准一クンが好演。最高に素敵なパク・スンシンでした。あんまり素敵なので繰り返し流して観てしまっています。てへ(スーさん笑い)v 岡田クンは小柄なのだケレドモ、均整の取れた美しい身体をしていてメロメロにメロリンパ。私の中でハッキリくっきりキムサマの存在を越えたわー。対するオッサンを堤真一さんが演じてらして岡田クンをしっかと受けて輝かせてくださっていると言う感じ。個人的には好みの役者さんではないケレドモ、うまいなぁと思いましたねぇ。なんにしても『ガンバル』ものって観ていて清々しいです。頑張って頑張って頑張った先になにかを掴む、こうでなくちゃv DVDをいずれ買っちゃおうと思っているくらいに良かったです。オススメv
| 2006年05月01日(月) |
『イルカ』 よしもとばなな |
キミコは恋愛小説家。素敵な男と恋に落ちたが、その男には年上で妻同然の存在があった。深みに嵌り、泥沼化することがイヤでキミコはあちこちへ彷徨い、いろんな人間に出会い、家に残る悪意にうなされる。そしてそこで妊娠していることに気付き・・・
なんて言うか、ピュアで不思議なトーンは相変わらず。よしもとばななもよしもとばななにしか描けない世界をしっかと持っているんだなぁ。子供を産むと言う女性だけが経験できることを経て、よしもとばななは何かをつかんだのかもしれません。私は子どもを持たなかったし、もう持つこともないケレドモ、描かれた子供を育む尊さ暖かさは心にスッと馴染んできました。女性なら誰しも心に染み入るように読めるのではないのかしらね。
淋しさはウィルスのようにまず全身にしみこんでいって、体から抜けていくのに時間がかかる。毎回もうだめだと思うけれど、毎回けろりと立ちなおる。私が私であるということは、なんとすごいことだろうと思う。治癒と時間の関係については、いくら考えても奇跡だと思わざるをえない。それ以上の善なる力はこの世にないとさえ思う。
『イルカ』 2006.3.31. よしもとばなな 文藝春秋
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