酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年04月30日(日) 『ドリームバスター3』 宮部みゆき

 シェンは物が消えると言う現象の先に謎のフィールド《時間鉱山》があることに気付く。《時間鉱山》のおかげでテーラと地球が同一の時間律のなかにあることが判明。どうやらパラレルワールドらしい。友人マッキーを探しに《時間鉱山》へ行ったシェンとマエストロが出会ったのは・・・!?

 うわー、これっていったいどうなるのぉー!(悲鳴)と思わず叫んでしまったほどのツレナイ終わり方。そうまたまた to be contenued なのであります(笑)。こういう気の持たせ方ってウマイもんだなぁと思いますわ。次を首を長ぁ〜くして待ってしまいますものネ。この宮部みゆきさんならではの冒険SFファンタジーは表紙のイラストのシェンとマエストロが読んでいると頭で生き生きと動き始めるv 読む人間のイマジネーションを掻き立ててくれるとこが大好きです。宮部みゆきを越える者なし、なのかなぁ。すごいなぁ。面白いもんなぁ。

 何か見えても聞こえても、その人の心のうちをすっかり知ったことにはならない。だから気をつけなくてはいけないし、だから人と付き合うのは − 面白い。そうなのだ。怖がってばかりいちゃいけない。

『ドリームバスター3』 2006.3.31. 宮部みゆき 徳間書店



2006年04月29日(土) 2001『世にも奇妙な物語 SMAPの特別篇』

『エキストラ』
 自分の人生に台本があり、その通りに演じて生きていかないといけないとしたら・・・なんとも不気味で的を射たいやぁーな落ちにゾゾっとしました。慎吾ちゃんの癖の言葉を発するときの独特のタメって直らないものなんだなぁ。あれって注意した人いないのかしら。あれを持ち味に? うーん(謎)。まぁ、なんにしてもSMAPで一番伸びて化けた男に違いなく、これからどんどん存在感を増しそうな俳優さんですね。慎吾ちゃん、大好きv

『13番目の客』
 ふと迷い込んだ世界に戸惑い、怒り、慣れたところで現実に返されてしまう。これって不条理以外のなにものでもナイですよね。納得できない状況に追い込まれた時に人間ってこうまで順応できるものなのかしら。剛くんは近年《いい人》な役に恵まれているケレドモ、この物語の冒頭のような冷酷な役どころも似合うと思うんだけどなぁ。顔がシャープだから冷酷さが際立つと思うのよね。

『BLACK ROOM』
 ・・・本当にキムさまって【人とはちょっと違う】感じがお好きよね。特にコノ奇妙な世界では顕著な気がするわ。真っ当にヒーローではなく、どうにもこうにも普通でどうしようもない男の子って役どころを好んでいるみたい。今回は樹木希林さんと言う大女優(怪優?)を相手に丁々発止なやりとりがキムサマらしい。なにをやってもキムサマワールドになってしまうしなぁ。個人的にはコノ手の奇妙な世界はそう好きじゃないんだケレドモ。

『僕は旅をする』
 仲間内で大人気な漫画『百鬼夜行抄』から題材を持ってきた物語。ゴローちゃんはこういうレトロな雰囲気にぴったり。そう言えば律を演らせたらはまり役かもしれないなぁ。今ではちょいと年を食いすぎちゃったか。若い時に演って欲しかった。残念。・・・ゴローちゃん、5年前と今と髪型が寸分たがわない・・・ように見えるよう(怖)x ご本人曰くマイナーチェンジはしてらっしゃるらしいケレドモ、ファンでない者の目からすればほぼ一緒に見えるものでございます(笑)。

『オトナ受験』
 大人基礎能力0・・・って中居くんにピッタリな役どころで受けました。広末涼子ちゃんの5年前の髪型が彼女に似合ってて超キュートv 今はあんまり魅力を感じないのだケレドモ、この頃の瑞々しさって魅力にあふれてる。大人を試験して資格が必要となるって洒落にならなくなってきた感がありますね。参考書『大人への道』って現代人に必読かもしれません。ホントに。今の私はオトナ受験に合格できるのかしらん。甚だ疑問。(「ショートショートの広場7/大人免許 星野光浩 講談社文庫)

 5年前のコノ世にも奇妙な物語をリアルタイムで観てはいるのですケレドモ、今日ほど真面目に真剣には観ていなかったので新鮮に観ることができました。今観ても遜色なく、さすがSMAP! ずっとキムサマ至上主義で参りましたが、『孫悟空』で慎吾ちゃんが私の中のキムサマを越えちゃいました。ウフフv 成長して行くSMAPの世にも奇妙な物語を節目節目に作っていって欲しいものです。微妙に物語がリンクして進んで行く5つの物語を観てみたいなぁ。一番最後の人にはトテツモナイ破滅を。それを誰が演じるかと言うと、その時に一番人気&実力のある人にしたら仲間内で切磋琢磨できていいだろうなぁ。・・・と欲望と願望の垂れ流し(笑)v SMAP大好きv



2006年04月28日(金) DVD劇場版『スカイハイ』

 女性の心臓が奪われると言う猟奇殺人が3件続いていた。担当刑事の神崎は結婚式当日に最愛の婚約者・美奈が純白のウェディングを血で染めて心臓を抉り取られて殺されてしまう。死んでしまった美奈は怨みの門で門番イズコに3つの選択を迫られる。再生の道、復讐の道、現世に止まりさ迷い続ける・・・3つの道の中からいずれを選ぶのか。美奈は選択をするために現世へ記憶を辿りに戻り、遺伝子工学の世界的科学者・工藤達也の存在に気付く・・・

 ここ最近マイブームで『スカイハイ』シリーズをレンタルして観て来ました。シーズン1の出来は素晴らしいケレドモ、シーズン2は私的には今ひとつふたつみっつ、だったので劇場版はどうだろうと多少心配だったのでありますが、キャストが豪華だし、内容も意表をついていてトッテモ面白かったです。釈ちゃんが美奈(ウェディング姿)で登場して、最初は普通の女の子ってところがグーv でもちゃんと怨みの門番イズコに戻って行くって構図が憎い〜。やっぱりイズコは釈ちゃんでなくっちゃネv 内容もなかなかどうして深い深い。邦画が元気だなぁ。喜ばしいことなりv
 ちなみにこういうちょっと前の邦画の魅力はブレイク前の役者さんがたくさん出てくる点。この映画でも谷原章介さんや北村一輝さんが出てる。大奥イケメンコンビね(笑)。悪役で大沢たかおさんが出ているも嬉しい。悪役はそこそこにスゴイ人じゃないとねv 出来のいい邦画を見た後ってことのほかハッピー。
 しかし・・・怨みの門番イズコは、そこで怨みの門番をする子がイズコであり、イズコは時々交替するんだもんなぁ。不思議で興味深いことだー。



2006年04月27日(木) 『殺してしまえば判らない』 射逆裕二

 首藤彪三は東伊豆にある死んだ妻名義の家に戻ってきた。妻はこの家で死んでいた。密室となった部屋の中で血まみれとなって・・・その死は自殺として処理をされる。妻には自殺未遂の過去があったから。妻の死を乗り越えない限り、自分の人生に先は無いと戻ってきた首藤彪三は、妙な人間と知り合う。元検事で現在女装趣味で女装している狐久保朝志だった。外見の怪しさに惑わされがちだが、狐久保朝志は周囲で起こる事件の真相を見抜いていき、首藤彪三の妻の死の真相にも迫り・・・!?

 文章の運びがトテモ好みで、内容の走り方もグーv こういうのって文書との相性なのだろうなぁ。あんまり気に入ったので『みんな誰かを殺したい』を早速手に入れてきました。そちらの方が横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作品でデビュー作らしいです。読むのが楽しみ。ウフフ。
 女装マニアのヤメ検・狐久保朝志が気に入ったのですが、もっと破天荒にはっちゃけてくれても楽しいだろうと期待しています。次の作品で登場するような気がするのだけどそうかしら。ドキドキ。

「私は、物事は自分にとって都合がいいように解釈して生きることにしているわ。それは当然の権利だし、誰にもそれを侵すことはできないと思っている。他人にも、そして自分自身にもね」

『殺してしまえば判らない』 2006.3.30. 射逆裕二 角川書店



2006年04月26日(水) 『相続人』 保科昌彦

 スポーツ記者の牧野は母校のアメフト試合に取材へ行き、他社の美人記者と知り合う。北川沙織と言う女性の魅力に妻が妊娠中の牧野は心揺らぐが相手にされず、北川は試合終了後のアメフト選手と親しげに会話をしていた。その夜、北川が話していた選手が不審な事故死。その後、次々と選手達が事故死して行く。不審な事故の背後に北川沙織の存在を感知した牧野は独自の取材をはじめるのだが、それは恐怖への入り口だった・・・!?

 これはなんと言うかヘビィなホラーサスペンスでありました。本当に怖いのは人間だと改めて思わさられたと言いますか。うーん。罪を相続してしまうと言う構図は理不尽だろうなぁ。牧野は兄が事故死していて事件を調べるうちに北川沙織と言う死んだはずの女性に魅入られてしまう・・・ように見えた裏にあったもの、これがサプライズ。『リング』に通じる落ちと言えるかなナンテ思いました。しかし、アメフトってなじみがないケレドモ、おもしろそうだーv

 真実は口当たりがいいものとは限らない。

『相続人』 2003.11.10. 保科昌彦 角川ホラー文庫



2006年04月25日(火) 映画『チェケラッチョ!!』

 父の脱サラに伴い、沖縄に住むようになった透。高校三年生で人生の先が全く見えなてこない。3馬鹿トリオの仲間の暁と哲雄は大学進学や家業を継ぐことに決めている。水族館でバイトをしている透は鮫たちと人魚のように泳ぐ美女・渚に恋をする。ある夜、3馬鹿は唯と唯の姉ミナに連れられて沖縄で大人気バンドワーカホリックのライブに行き、その熱気にノックアウトされる。音楽に目覚めた3馬鹿はヒップホップでライブを目指し、透は渚に愛の告白をしようと・・・!?

 心の片隅に鬱屈した想いを吹き飛ばそうと『チェケラッチョ!!』を観てきました。いやぁ、いい。すごくいい。青春ってなんてしょっぱいんだろう(ってソレは違うぶにだな)v 高校生4人が個性それぞれで可愛くてたまらなかった。大人になりかけの渚たちをパワーで凌駕してしまうラストは圧巻。楽しくて切なくて青春映画の王道でした。明るい気分になれること請け合います。「Check it out!」



2006年04月24日(月) 『深淵のガランス』 北森鴻

 北森鴻さんモノに新しい協力なキャラクター登場! 花師と絵画修復師というふたつの顔を持つ佐月恭壱という飄々としたオトコ。昭和初期の画家の絵や壁画の修復を手がけ、その作品にまつわる事件の謎も解きほぐして行く・・・と言う北森さん御得意の構図。まだまだ登場人物に謎や過去があって物語りはこれからと言ったところかしら。なんだか北森ブランドみたいなものが確立された気がする。すごいなぁ。

「金で動かぬ人間は、ときとしてとんでもない情で動くものですね」

『深淵のガランス』 2006.3.31. 北森鴻 文藝春秋



2006年04月23日(日) 『ジウ�供〃抻訥F端豕渊栄�隊【SAT】』 誉田哲也

 門倉美咲は左遷先で東警部補と連続誘拐犯黒幕・謎の美少年《ジウ》をひたすら追い求める。伊崎基子は、前回の《ジウ》事件でSATの中ただひとり活躍し、今度は基子がスクープされてしまう。正体を知られる訳にいかないSATのメンバーとして素子は特進と引き換えに所轄へ栄進を果す。やることのない退屈な毎日の中で基子はフリーライター木原から《ジウ》事件について詳しく知らされ、手を組むことにする。そして基子が《ジウ》と遭遇した先には・・・!?

 面白い。頁を繰る手がもどかしいほどに面白い。こういう化け方をする物語に出会うと背筋がゾクゾクしてしまう。ああ、夏発売予定の『ジウ�掘戮�待ち遠しいっ!!! この物語の二台柱が門倉美咲と伊崎基子の対照的な2ヒロイン。門倉美咲は所謂カワイコちゃん系の王道ヒロイン、対する基子は過去に意識的に人を殺した経験を持つダークヒロイン。今回はダークな美女・基子が軸で素晴らしくドキドキなのでありました。基子の持つ危うさが純粋な悪と出会ってしまい、いったいどうなってしまうのか。ああ、夏が待ちきれないっ。

「・・・・・・俺、もっとスゴイこと、やる。この国、引っくり返る、スゴイこと」

『ジウ�供〃抻訥F端豕渊栄�隊【SAT】』 2006.3.25. 誉田哲也 中央公論新社



2006年04月22日(土) 『ジウ 警視庁特殊犯捜査係【SIT】』 誉田哲也

 SIT(捜査一課特殊犯捜査第二係)の門倉美咲は人質篭城事件で犯人に半裸にされ、その姿をスクープされて有名になってしまう。伊崎基子はクールな女ランボー、己の判断で美咲の危機を救う。この事件で美咲は左遷され、基子はSATへ引き抜かれる。次にふたりが再会するのは篭城事件犯人が加担していた誘拐事件の黒幕を追い詰める場面だった。犯人は《ジウ》と呼ばれる心の無い男だった・・・

 うーん、面白い。テンポが良く事件が起こり、人間関係が変化して行く様が本当にうまく描かれていました。美咲と基子の対照的なキャラクターもトッテモ上手い。基子のキャラクターの基礎となってしまった過去の事件は凄かった。生まれや育ちや環境が人間を形成することを読み取る事が出来て興味深いですね。愛情を知らずに生きて育ってしまった人間は本当に悲しいまでに残酷になれてしまう。愛情たっぷりに注がれて育った人間が持つことのない残酷さ、なんだかかなり身につまされる物語でした。

 全部が自分のものになるなんてあり得ない。だから、自分が得たものを大切にしよう。自分が得たものを信じよう。そうすれば、自ずと道は拓ける。

『ジウ 警視庁特殊犯捜査係【SIT】』 2005.12.15. 誉田哲也 中央公論新社



2006年04月21日(金) 『夢縁坂骨董店』 平林幸恵

『その街のはずれに「夢縁坂」という坂道がある。
 生きることに疲れた人々が、さ迷いのぼって来る坂道・・・・・・
 頂上には「夢見台」という自殺の名所があり、
 登り切った人は死を選び、帰らぬ人となる・・・・・・。
 その坂の中腹にひっそりと佇む骨董店がある・・・・・・
 その店がいつからそこにあるかは、誰も知らない。
 死を迷う一瞬の心が引きとめ、吸い寄せられるように店に入っていく・・・・・・
 人はその店を「夢縁坂骨董店」と呼ぶ・・・・・・』

 えーっと、たまたまレンタルで『スカイハイ』を借りまくって見た所にコレを読んでしまったのですね(苦笑)。だからどうしたって設定の似てるっぷりに何故なのかモノスゴーク謎で不思議で。たまたまなのかしらね。ここまで似せるって考えられないし。『スカイハイ』のイズコは怨みの門番でコノ物語のヒロイン秘美子は生と死の案内人、人間の真の願望を見届ける・・・の・・・ね・・・ってヤッパリ似すぎですね。内容はほのぼの系なので残酷ホラー系の『スカイハイ』とは相対するのですケレドモ。うーん、不思議で複雑。

 ・・・・・・人生は時を刻むという意味では砂時計に似ている。ひと粒ひと粒、とても大切なモノを落としながら人は生きていく・・・・・・

『夢縁坂骨董店』 2005.12.9. 平林幸恵 講談社



2006年04月20日(木) 『今夜は心だけ抱いて』 唯川恵

 47歳の母、17歳の娘。離婚のために離れて暮らしていたふたりが同居することになる。しかもある突発的出来事でふたりの心が入れ替わってしまい・・・!?

 心の入れ替わり・・・唯川恵さんにしてはベタな題材を持って来られたなぁと思ったケレドモ、あーらヤラレタ。すごい内容になっていました。女の女ならではの醜さや欲望や焦りが二人の女の心を入れ替えることでこうまで鮮やかに浮き彫りにされてしまうとは。いやはや読んでいてオソロシカッタですね。天晴れでした。女としての曲がり角を越え、焦りまくる母親は17歳アゲインに浮かれ喜びまくる。これはホントわからないではないですね。失笑しつつ「わかるワカル」と思いました。ただ・・・残酷な事実もたくさん気付いてしまうのですケレドモね。いきなり30年間を増量して47歳になってしまった娘、こちらの瑞々しい感性には感動しました。これってコノ娘って素晴らしいわ。なかなかこうはいかないんじゃないのかなぁ。これはファンタジーな気がします。綺麗過ぎるの、このコってば。女をやってることにため息をつきながら、よしまたやってくべーvと何故だか元気までもらってしまいました。驚愕のエンディングここに至るまでの感情の運びは素晴らしい巧の技でした。いやぁ、実はラストに泣けました。・・・私は、私にはこのラストは耐えられない。残酷で厳しすぎます。はい。オススメv
 追伸、個人的にミチルという脇役美女が意外に好きで彼女の台詞の「駄目よ、自分でおばさんなんて言ったら。おばさんっていうのはウィルスみたいなものだから、受け入れちゃったら、瞬く間に増殖するの」ってのに大きく同意しました。だから私は自分をおばさんだナンテ絶対に言わないものvv そしてあるナイスミドルの言葉に心打たれました。↓こんなふうに言えるように年を重ねたい。

「まあ、そうだな。でも、寂しいのは事実だよ。ありきたりだけど、出会いもあれば別れもある、それが人生だ。ただ、こうして五十年生きてみてわかったことがある。人生は生きてみないとわからないってことだ。ま、みんなも楽しんで生きてくれ。じゃ乾杯」

『今夜は心だけ抱いて』 2006.3.30. 唯川恵 毎日新聞社



2006年04月19日(水) 『お見世出し』 森山東

 京都に出張に来た私は同期にお茶屋へ連れて行かれる。お茶屋とは舞妓遊びが出来る場所。未踏の場所へ恐る恐る足を踏み込み、可愛らしい舞妓・小梅と出会う。八月八日にお見世出しをしたと言う小梅が語り始めた恐怖の物語・・・

 京都と言う街の魅力は多々あれど、私は何より血みどろの歴史に魅力を感じます。怨念と怨みの渦巻く京都、ふと迷い込んだらもう戻れないような、そんな街。この『お見世出し』は京都の中でも狭い舞妓さんの世界を描いていて、不気味でありそうで本当に怖かった。さすがはホラー大賞です。

「六道さんの迎え鐘の日どす。つまり、地獄の釜の蓋があいてる日どす。こんな日でもよろしおすんやね?」

『お見世出し』 2004.11.10. 森山東 角川ホラー文庫



2006年04月18日(火) 映画『プロデューサーズ』

 会計士のレオはブロードウェイ・ミュージカルの《元》売れっ子プロデューサーのマックスの帳簿の管理に出向く。レオの夢はプロデューサー。落ちぶれて色ボケ婆様たちから金を巻き上げているマックスの帳簿を見ていて、制作費を集めて→すぐにコケれば大金を丸儲けすることが出来ると呟く。それを聞いたマックスは最低の人材を集めて、最低のミュージカルを製作して丸儲けしようとする。集めた変な人間ばかりで出来上がったミュージカル、それが大当たりしてしまい・・・!?

 最高に楽しい映画です!!! もともとブロードウェイで大ヒットを飛ばしたミュージカルの完全映画化。ああ、この舞台を観たい観たい観たい〜!!! 貯金をおろして大枚はたいてでも観たいくらいの素晴らしさ。このふたりの舞台も最高傑作だったに違いないですよね。なんて人生は可笑しくて楽しいのだろう。生きてるって素晴らしい。笑えるって楽しい。ちっぽけなウジグジなんて吹き飛ばしてくれる大きなパワーを持った映画です。超オススメvって言うか、必見デス。



2006年04月17日(月) 『怪談人恋坂』 赤川次郎

 郁子の16歳年上の姉・裕美子が死んだ。寝たきりだったケレドモ、いつも優しい微笑で力づけてくれた。その死んだはずの裕美子から伝えられた悲しく衝撃的な郁子の出生の秘密。その時から郁子の周りで殺人事件が多発しはじめて・・・

 赤川次郎さんとか内田康夫さんとか大御所の作家さんの物語は安心して身をゆだねてソノ世界を遊べるので読んでいてとてもラクです。コメディ推理路線を読みたいとは思わないのですが、今は突如赤川次郎ホラー・ブーム・アゲインvなのであります。やっぱりうまい。うむ。

「言い回しの古くさい所は直しておきました。言葉は生き物ですから、やはり時代に合わせて行かないと」

『怪談人恋坂』 赤川次郎 角川書店



2006年04月16日(日) 『チェケラッチョ!!』 秦建日子

 沖縄の大自然の中、青春まっただなかな唯と透、暁、哲雄の3馬鹿トリオ。透は父親が脱サラして沖縄にやってきたウチナンチュー。唯は透を好きな訳ではない!ケレドモ気になって仕方がない。いけてる姉貴のミナ姉がどーんと年上のアメリカ人と結婚すると言うので唯パパは不貞腐れまくり。ミナ姉が大好きな沖縄バンドワーカホリックのライブに行き、3馬鹿トリオはヒップホップに目覚めてしまい・・・!?

 いやぁ、なんて楽しい物語なのでしょう。素晴らしいわ。映画化されたみたいなので映画も観たいくらいにファンキー。きっと鬱屈した気分なんて晴らしてくれるくらいに楽しいことでしょう。ウフフ。観にいこう。青春ストーリーの王道で胸キュンで爽やか、そしてほろ苦い。たった一度の10代。ああ、素敵〜。ちなみにタイトルの「チェケラッチョ!!」はラッパーが愛用する「Check it out!」というフレーズをもじった合言葉なのだそうです。なるほど。

「ま、言わずに陰で泣くよりさ、当たって砕けたほうが人としてはカッコいいぞってコト」

『チェケラッチョ!!』 2006.2.10. 秦建日子 講談社



2006年04月15日(土) 『【猿若町捕物帳】にわか大根』 近藤史恵

 南町奉行所同心・玉島千蔭は女ゴコロにゃ疎いケレドモ、捜査の腕は天下一品v
 若いおしかけ女房がやって来たり、人気役者が大根役者になりさがったり、怪しい錦絵師が登場したり、今回もなかなか賑やかながら千蔭はじっくり物事の本質を見極めて・・・

 近藤史恵さんの時代劇ミステリー「猿若町捕物帳」シリーズの最新作です。堅物の千蔭さんにイライラさせられつつ、こういうタイプって今はいないかも・・・と新鮮に惚れ惚れしてしまうと言う粋な構図が浮き上がります。何事にもお手軽なコノ世の中、千蔭さんみたいな人がいたらいいのになぁ、と。心にチクリと刺が刺さったり、ほっこり身体の芯から暖かくなったり近藤史恵マジック健在ですv

 あの人は馬鹿みたいに優しいから、持てないものまで抱え込む。

『【猿若町捕物帳】にわか大根』 2006.3.25. 近藤史恵 光文社



2006年04月14日(金) 『べっぴんぢごく』 岩井志麻子

 シヲは乞食をしながら女を売る母に付いて周って生きていた。母が死にキチガイの娘の代わりに分限者の娘となり、美しさを武器に生きはじめる。シヲの産んだ娘は不細工、しかし孫娘は別嬪。何故だか交互に美醜を繰り返すシヲの末裔なのだった・・・

 うーむ、志麻子ねぇさんはコノ手の物語りを描くと唸るくらいにウマイですねぇ。陰湿で淫靡で田舎特有の空気をまざまざと感じることが出来ます。志麻子ねぇさんが描くと美しさには必ず淫靡さとセット。清々しい美しさを絶対に描くことはないのですね。ここまで突っ走ると天晴れと褒め称えたいです。岡山の県北を舞台にしているそうですが、横溝御大シカリで岡山の田舎のイメージがおどろおどしく固定されちゃうことはなんとも複雑なのですケレドモ・・・うーん。

「この家は絶えりゃあせん」

『べっぴんぢごく』 2006.3.20. 岩井志麻子 新潮社



2006年04月13日(木) 『地に埋もれて』 あさのあつこ

 愛する男に埋められた優枝は白兎と言う少年に助け出された。二種類の藤の蔓が大樹に巻きつき花を咲かせている。花の色は薄紫と白。優枝は生きているのか、それとも・・・!?

 少し前にビッグネームの作家さん陣によるホラー・アンソロジーにこの『地に埋もれて』の中の一章が載っていました。不思議な物語で読み終わった後に納まりが悪い感じを抱いたのですが、こうして通しで拝読するとストンと胸に落ち着きました。あさのあつこさんの描く静かで不気味なホラー・ファンタジー。春の夜長にぴったりです。

「人はどうせ死ぬんやから・・・・・・だから、生きなあかんよ」

『地に埋もれて』 2006.3.30. あさのあつこ 講談社



2006年04月12日(水) 『チョコレートコスモス』 恩田陸

 響子は幼い頃から舞台に立ち、名声と人気を欲しい侭にしていた。恵まれた環境で優等生のままトップを走っていた響子がハジメテ焦りや嫉妬を感じた。それは従姉妹の葉月の主演映画の素晴らしさを実感したからだった。与えられ続けた響子が自分から欲しいと思った舞台のオーデションに関わるうちに、トテツモナイ天才少女・飛鳥と出会った時に・・・!?

 ウフフ、陸ちゃん版『ガラスの仮面』と言ったところですねv ものすごーく面白かったぁ。舞台に情熱をかける人たちをこんなふうに描くことができるなんてすごいなぁ。生まれながらのサラブレッドの響子と運命に導かれた天才少女・飛鳥が出会った時に見える世界・・・読んでて手に汗を握る感じでした。そして作中の舞台で演じられる演目が独特でホラーで恩田陸ここにあり!と鳥肌でした。ああ、陸ちゃんってば絶好調ですねー。

 芝居の場合、役者のみならず観客も演技することを必要とされる。舞台の上で起きている世界を信じ、舞台の上で役者が演じていることを信じる演技である。芝居は役者と観客との共犯関係によって成立するものなのだ。

『チョコレートコスモス』 2006.3.5. 恩田陸 毎日新聞社



2006年04月11日(火) 映画『コープス・ブライド』

 19世紀ヨーロッパ、ビクターは親の言いなりのまま政略結婚をする羽目に。婚約者のビクトリアは清楚で美しい女性だが、彼女の両親は家柄を重んじてビクターたちを見下していた。気の弱いビクターは今ひとつ乗り切れないまま結婚式のリハーサルに参加。しどろもどろのビクターは失敗ばかり。ひとりで練習をしていると指輪を落としてしまい、ひょんなことからその指輪がコープス・ブライドの指にはめられてしまい、ビクターは死後の世界へ呼び込まれてしまう。びくびくしながら戸惑うビクターだったが、死後の世界は破滅的に明るく(?)自堕落で魅力的だった。ビクターはビクトリアを忘れ、死者の世界で結婚してしまうのか・・・!?

 ああっ、ティム・バートン最高v 『ナイトメアー・ビフォア・ザ・クリスマス』に勝る出来栄えです。どうしてパペットたちにこんなにも生き生きと表情や感情が出るのだろうか。ホラーで不気味なタッチで描くミステリアスな死後の世界は本当に楽しそうで。人間界よりも死後の世界の方が生き生きしてるナンテとっても皮肉。何度観てもあきることない素晴らしい物語です。もう流しっぱです。コープス・ブライドが可哀想なんだ・・・。クスン。



2006年04月10日(月) 『デセプション・ポイント』 ダン・ブラウン

 レイチェルは大統領へ提出する機密文書の分析を生業としている。現在、大統領選の最中にあり、レイチェルは大統領からNASAの大発見を確認する使命を受ける。大統領選では対立候補者がNASAの無能さを論い、大統領を追い落とそうと画策している。そしてその対立候補者こそレイチェルの父親だった。レイチェルはNASAを巡り大きな陰謀の渦に巻き込まれてしまう。大統領選の行方はいかに・・・

 ダン・ブラウンおもしろーい! ダン・ブラウンの描く壮大な世界は荒唐無稽に見えながらも、しっかりと現実を浮き彫りにしているように思います。アメリカの抱える《今そこにある危機》をなんとなく読み取ることができたように思います。レイチェルと言うヒロインが美しく気高く本当に素敵。これも映像化されたらヒロイン役は誰かしら。映像で観てみたいわー。ああ、ダン・ブラウンの新作が待ち遠しいです。はまりまくりでありますv

 何ができて何ができないかを決めるのは自分自身でしかない。

『デセプション・ポイント』 2005.4.5. ダン・ブラウン 角川書店



2006年04月09日(日) 『いつもの朝に』 今邑彩

 学校でミラクルボーイと称される眉目秀麗かつ頭脳明晰でスポーツマンな兄・桐人、なのに弟の優太はチビでにきび面のやんちゃボーイ。生物学者だった父親は子供を助けて死亡。画家である母・沙羅の描く絵に必ず登場する《顔のない少年》・・・ふたりの兄弟に沸き起こった出生の秘密と母の家族が惨殺された陰惨な殺人事件。桐人と優太の運命は・・・

 今邑彩さんの物語はホラーであるイメージが強かったため、今回の物語には意表をつかれました。物語のトーンに不気味なホラーな色が流れてはいるのですケレドモ、なんだかちょっと違うのですよね。キリスト教色が強かったですし。犯罪者の血が流れる者の人生について考えさせられました。罪を憎んで人を憎まず、言葉にするには簡単なことですが実際に被害者となった時そういう態度でいることが出来るかどうか。テンポもいいし、謎が謎を呼びぐいぐい読まされました。大きなものを乗り越えて尚且つ揺るがない絆の尊さに感動しました。今邑さんのこういう作品もいいものだなぁ。

「神様は常にここにいるのよ。自己の存在を決して誇示することなく、わたしたちがその存在に気付くまで、根気よくひっそりと秘めやかに」

『いつもの朝に』 2006.3.30. 今邑彩 集英社



2006年04月08日(土) 『愚考録』 貫井徳郎 

 一家四人惨殺・・・早稲田卒のエリートサラリーマンと美人妻、そしてふたりの子供が殺された。犯人は不明。ある人物が旦那と妻と交流のあった人たちにインタビューをし、その忌憚ない発言からふたりの人間が浮き彫りにされて行く・・・

 これね、ものすごーく怖いんです。なにが怖いかってまずはインタビュアーが怖い。事件に遭った被害者の人間関係にインタビューをする人物の意図が読めない。いったいなんのために聞いてまわっているのだろう?と疑問に感じてしまってすごく怖かったですね。そしてインタビューに答える人たちの深層心理が恐ろしいまでに怖いです。ここまで赤裸々に語れるものなのだろうか、と。こういうパターンの物語運びって今までにも読んだことはありますが、今まででぴか一にウマイと思いました。インタビュー形式でインタビューされている人物と被害者の人間性や表情がハッキリ浮き上がってくるから。だからこそ見えないインタビュアーの存在や真意が底知れず怖いんですよね・・・。現代のホラーかもしれないなぁ。参ったなぁ。

 人生って、どうしてこんなにうまくいかないんだろうね。人間は馬鹿だから、男も女もみんな馬鹿だから、愚かなことばっかりして生きていくものなのかな。あたしも愚かだったてこと? 精一杯生きてきたけど、それも全部愚かなことなのかな。ねえお兄ちゃん、どう思う? 答えてよ。ねえ、お兄ちゃん。

『愚考録』 2006.3.30. 貫井徳郎 東京創元社 



2006年04月07日(金) 映画『ブロークバック・マウンテン』

 1963年夏、ワイオミング州ブロークバック・マウンテンで羊番の仕事で出会ったイニスとジャック。ふたりは美しい大自然の元で互いを思いあい、いつしか友情が愛情へと移行し、結ばれる。しかし、保守的なアメリカ西部のこと同性愛などもってのほか。イニスは後ろ髪を引かれる思いで婚約者の元へ戻り結婚をする。またジャックも金持ちの娘と出会い結婚をする。それぞれの人生を歩むかに思えたふたりだったが、思いは断ち難く、折に触れふたりでブロークバック・マウンテンへ行き愛を確かめあう。そして20年という月日がふたりにもたらした結末は・・・

 ゲイ西部劇などと言われた映画ですが、いやぁ普通に美しい恋愛映画で、ただ相手が男と男だっただけでした。美しく雄大な自然の元で愛し合う男と男、性が同じであると言うだけで許されないふたり・・・なんとも切なくも美しい物語でした。男同士のラブ・シーンがこんなに綺麗で自然だナンテほんとに驚いてしまいました。可哀想だったのはイニスの奥さんです。ふたりが再会して激しく求め合う瞬間を目撃してしまったのですから。あれは辛いだろうなぁ。愛する男の心が自分以外のもので、その相手が男だなんて・・・それはもう苦しんだと思います。愛し合う人たちが、その性別ゆえに差別され糾弾されることは間違っていると思います。なにが歪か何が正しいか、いったい誰が決めたのでしょうね。不思議で切なくて清々しい映画でした。やっと観ることができました。



2006年04月06日(木) 『25時のイヴたち』 明野照葉

 子供を産んでから不感症となってしまった真梨枝、仕事に生きるうちにストレスから味覚障害となってしまった理沙。ふたりは心に鬱屈したものを抱え倦怠感とともに生きていた。ふたりはインターネットのアンダーグラウンドで女だけの会員制隠しサイトの存在を知り、FM−ペンタゴンの書き込みで知り合い意気投合する。電脳世界から飛び出し、現実のオフで出会ったふたりはまるで恋に落ちたかのように接近して行く。そしてふたりはだんだんと禁断の行為に足を踏み入れてしまい・・・

 天晴れ、明野照葉! いやぁ、ダイスキな大好きな明野照葉さんがまたまたやってくださいました。これはかなり面白い! 明野照葉さんの描く女たちの日常って残酷なまでにリアルで心に痛く、ぎりりぎりりと歯軋りをしてしまう感じで読まされてしまいます。同族嫌悪なんて可愛いもんで女が女を嫌いになること間違いなし(笑)。そしてこれでもか、これでもかと暗黒さを突きつけて最後にすっと落とす。この落ちが明野照葉ならではなんですねぇ。今回の落ちはどうくる?明野照葉!?っと勢いこんでいましたが・・・まさかこう落とすとはなぁ。いやぁしびれました。上記あらすじには書きませんでしたが、とんでもないモンスターが登場していて、これがすごい。体型的に異様な太りようをしていて負のオーラを放つ女、想像しただけで背筋が冷たくなる悪魔。このモンスターをこう動かすのか。うーん想像できなかった。やはり明野照葉は面白い。ものすごく好きだー。

 (賢いということは、油断がならないということ。ある意味、怖いということ)

『25時のイヴたち』 2006.3.25. 明野照葉 実業之日本社



2006年04月05日(水) 『嫌われ松子の一生』 作画;空知周太郎

 2003年に衝撃を受けた小説の一冊『嫌われ松子の一生』が漫画化され、映画公開も控えています。確かに大きな力を内包する物語で強烈ではありましたケレドモ、まさか漫画化、しかも映画化ナンテちょっと驚いています。気になるので漫画を買って読んでみましたが、小説ほどエグイものではなく、サラリと淡々と描かれていました。映画はもっと違う角度で描かれているようなので楽しみにしています。これだけの力を持った物語となると小説を越えることは難しいですね。

『嫌われ松子の一生』 2006.3.24. 作画;空知周太郎 幻冬舎コミックス



2006年04月04日(火) 『あらしのよるに』 きむらゆういち

 ある嵐の夜に小屋に非難したヤギと狼がいた。その嵐の夜、二匹は互いの姿が見えず、会話だけで意気投合する。次に会う日を約束して別れた二匹は、約束の日に互いの正体を知り唖然としてしまう。なぜなら二匹は食う者と食われる者で友だちになんてなれないから・・・

 この物語は1994年に発表されてロングセラーとなり、去年は映画化までされてしまった優れものだそうです。実はこの物語がそんなに前に描かれていたこともシリーズ化されていたことも存じ上げませんでした(恥)。なんとなく知っていたのは話題になっていることと映画化されたことだけでした。小学生の国語の教科書にまで載っているのですね。すごいなぁ。
 私の読み方が邪道なのか、動物版ロミオとジュリエットだなぁと思ったのですが、どうも友情の物語の方が正解みたいで。でもそれにしてもホモだよなぁと思えるほどに二匹の間にラブラブ感を感じてしまうのです。うーん。まぁいずれにしてもここまで深い絆を築き上げることが出来るって本当に心に暖かいことですね。

 怒って、笑って、泣いて、必死に生きて、そして誰もが必ず死んでいく。
 生きものってみんな一生懸命で、みんなはかなく、それがいじらしくて思わずほほえんでしまう。

『あらしのよるに』 2006.1.1. きむらゆういち 小学館



2006年04月02日(日) 『りはめより100倍恐ろしい』 木堂椎

 羽柴典孝は中学時代《いじり》キャラだった。誰もに愛され親しまれているように見えるが、リクエストに答えてフザケ続ける辛さが身にしみていた。高校に入り、いじられる側からいじる側へ無事シフトできた典孝だったが、バスケット部の仲間に妙に絡まれ始める。これでは中学時代の二の舞になってしまうと慌てた典孝は友だちをスケープゴートに仕立てあげるのだが・・・

 ライトタッチで描かれた現代の中学・高校生の姿が心に痛くほろ苦くありました。インパクトのあるタイトルの《り》は《いじり》の《り》で、《め》は《いじめ》の《め》なのですね。《いじめられる》より《いじられる》方がしんどいと言う意味は読んでいればよーくわかります。典孝の行為は赦せないこと、でもわからないでもなく・・・なのにキッチリラストに・・・と言うハッピーエンドではないところに作者のトテツモナイ厳しい目を見ました。高校生だからこそ書けたのかもしれませんね。さらりと読みやすいケレドモ心にずっしり残る物語なのでありました。
 
 いじめなんかよりいじりのほうが全然怖いと思う。一文字違うだけだが、りはめより100倍恐ろしい。どちらも地獄なのだが、両者には決定的な差異がある。

『りはめより100倍恐ろしい』 2006.2.20. 木堂椎 角川書店



2006年04月01日(土) 『県庁の星』 桂望実

 Y県のエリート県庁マン野村聡は人事交流研修にスーパーへ行くことになった。民間への研修は選ばれた者だけが参加でき、1年後に県庁へ戻った時には今より高いポジションが約束されている。意気揚揚とスーパーで働く野村だったが、お役所仕事と毎日がドタバタなスーパーでは仕事のやり方も考え方も全く違う。「県庁さん」としか呼んでもらえない野村の孤独な戦いが始まった。そしてそれは凝り固まっていた自分との闘いなのであることに気づいた時に野村は・・・

 読みかけては後回しにしていた人気の物語なのでありますが、やっぱり映画化されるくらいのモノってハズレナシだよなぁと感動しました。しかも映画化されたスーパーは岡山の高梁市というところで撮影されたのだそうです。知っていたら見学に行ったのに残念。地元の人たちがエキストラで参加したとか。さすがに映画館に足を運ばずにテレビでのオンエアを待ちますが、たぶんなかなかいい映画になっているだろうなぁと想像します。物語の中ではスーパーのおばちゃんが県庁さんに立ちはだかっていますケレドモ、映画では柴咲コウちゃんがやってるみたいなので登場人物を変えたのかしらね。織田裕二くんは県庁さんにピッタリな気がします。最初はお役所人間そのままのガチガチで滑稽なエリート意識をうまく表現されてるんじゃないかしらん。あ、ちょっと劇場でも観たいかも(笑)。人間っていうのは環境や周りの人間によって変わって行けるものなのだとしみじみ感じました。

「中身を見る力のないヤツは、印刷されてる数字を信じるしかない。魚の目を見れば新鮮かどうかすぐわかるものなんだ。昔の人はきちんと見てたよ。今は切り身しか食べない客が多いから・・・・・それだってちゃんと見れば、品の良し悪しはわかるはずなんだ」

『県庁の星』 2005.9.20. 桂望実 小学館



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