酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年12月31日(金) 2004酔陽亭のこれ読んどけ本

 本日、ほろほろと酒を呑みながら、がーっと今年読んだ本の感想を流し読みしました。今年も様々な素晴らしい本に出逢えた1年でしたv 僭越ながら今年も‘これ読んどけ本’(ただのオススメ本でございます)をいかせていただきまーす。

『高く遠く空へ歌ううた』(酩酊本処2004.4.18)
『そこへ届くのは僕たちの声』(酩酊本処2004.12.2)
 2003年に出逢って心惹かれた作家さんの小路幸也さんですが、今年は頭とラストに全部持っていかれた感じです。いろんな感想(書評?)を拝見して感じた事は、好き嫌いの相性が分かれる作風なのかもしれません。ただ私的には今年一押しの作家さんでした。こういう物語が生まれる限り、日本はまだまだだいじょうぶだと素直に感動しましたから。小路幸也さんズキさんにはどんどん遊びに来ていただきたいものです。

『鬼神伝 鬼の巻/神の巻』(酩酊本処2004.2.7&2004.4.29)
 高田崇史さんとは今年お目にかかれるという非常にラッキーがありました。鬼の事を調べておいでの高田先生は岡山の温羅伝説を取材に来られたのでした。個人的にも鬼について気にしているテーマだけに、これは興味深い作品でした。ミステリーランドで一番すごいと感じました。これを読める子供達は幸せだわ。

『幽霊人命救助隊』(酩酊本処2004.5.7)
 この物語を読み始めたのは旦那の命日でした。‘命’の貴さを1年で一番切実に感じる日に読み始め、やられましたね。今年一番泣かされた物語だったと思う。これを是非に映像化して欲しいものなのです。ユーモアを交えながら、生命の貴さを謳いあげた高野和明さんに乾杯(完敗)v

 酔わされて2004にはまだ他にもランクインしているのですが、今年はここまでにしておこうかと。いや、単にもうヨッパなので書けません〜。
 個人的には浦賀和宏さんにハマリました。どっぷり。



2004年12月29日(水) 『X'smap 虎とライオンと五人の男』

 クリスマス・イヴの夜、ふたりの少年がとある街にやってきた。ふたりの少年、レオと虎之助は‘ある目的’を遂行しようとしていた。大人たちをだまし、お金を巻き上げるふたりは、カレー屋で妙な二人組みと出会う。この二人・アジーとオットーが、ある屋敷に泥棒に入ろうと計画している事を知り、レオと虎之助は二人に便乗しようとするのだが・・・

 SMAPの5人が、それぞれの役柄で少年に絡んでいました。中でもアジー(木村拓哉)とオットー(香取慎吾)の泥棒兄弟は最高に良かった。息の合ったボケ(慎吾ちゃん)と突っ込み(木村君)が見ていて笑えた笑えた。あれって、慎吾ちゃんだからこそ、あの受けが出来るんだよなぁと感心することしきり。他の3人では誰にも木村君の暴走を止められないし、受けられない。そう考えるとSMAPって慎吾ちゃんが要になったのだなぁと思う。絶対に主役でいないといけない木村君より、主役にも脇役にもなれる慎吾ちゃんのが強いのではないかと。でも私は誰になんと言われようと、木村君がだぁーいすきだけどネ。



2004年12月27日(月) 『ぽきぽき』 五十嵐貴久

 ‘俺’は研修医。両親共に医者で金にも女にも不自由はない。女なんかやり捨てだ。ある夜、高級マンションに帰るとピッキングで不法侵入をされていて、部屋に入るなり気絶。不法侵入者はやり捨てた女・亜由美と亜由美の今の恋人らしき女医だった。このふたりの目的は・・・

 日本推理作家協会編『暗闇を追いかけろ』を読了。優れもののホラー&サスペンスの短編集でありました。いろんな怖さがありましたが、この五十嵐貴久さんの作品は、かなーり恐ろしいものが・・・。『リカ』に通じるものがありました。最初はエロい話だけかと思っていたら、足元を掬われます。特に殿方には縮こまる怖さと言えましょう。

 ぽきぽき、と言う音が俺の

『暗闇を追いかけろ』 2004.11.25. 日本推理協会



2004年12月26日(日) 『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

 たっくんとマユが出会う物語とたっくんがマユを捨てる物語がA面とB面という2部構成で語られる。A面では80年代の恋のヒット曲を章タイトルに、B面では反対に失恋別れのヒット曲タイトル。携帯電話のない時代の恋愛ならではのもどかしさや、青臭い時代特有の恋愛がなつかしい。いつの時代も男と女。アイテムは変わってもやってることに変わりはないってことかしら。

 これって何を仕掛けてくるのだろう?と疑う心で読んだため、からくりは見破りました。ある違和感がからくりを解いたと言えましょう。でもじゅうぶんに楽しめますv
 そして、やっぱり女の方が傷つくふりをしながら一枚も二枚も上手だよなぁと感じてしまう。傷つきながらも、したたかに。それは女の武器だっ。

 「うーん。開放感っていうのかな。」と彼女は笑顔のまま解説をはじめた。「今日一日の仕事が終ったー、っていうのと、あと今週もこれで終わりだー、っていう開放感と、あとは身体の調子が戻って、よーし、っていう感じがあって」
 「よーし、飲むぞー?」と聞くと、
 「ううん。よーし、飲んで食うぞー」と微笑んで、またグラスに口をつける。

『イニシエーション・ラブ』 2004.4.5. 乾くるみ 原書房



2004年12月25日(土) 『蛍』 麻耶雄嵩

 オカルトスポット体験サークル<アーキリーズ>のOB佐世保は、6人の音楽家が惨殺された洋館を買い取り、惨劇の復元を試みている。そこを惨劇の起こった日から四日間を<アーキリーズ>の合宿に当てると言う凝り性ぶり。そして嵐となった山荘でお約束の殺人事件が起こり、そして・・・

 評判を聞いて読んで見たいと思った今年のこのミス11位作品。オカルトと猟奇殺人が入り乱れ、きっちりトリックもあり、うまい。だけど文章の相性はよくないかも。まぁ、この方の他の作品をしっかり読んでいないので、いきなりこれだけで判断するのは間違っているかな。
 内容的には面白いし、騙されました。しかし、嵐の山荘ものってどうしても挑みたい設定なのねぇと感じ入ってしまったのことでした。

 酒でも飲まないと心がオカシクなってしまう。誰もがそう感じている。大きく切り裂かれた胸の傷を癒してくれるのはアルコールだけ。

『蛍』 2004.8.25. 麻耶雄嵩 幻冬舎



2004年12月24日(金) 映画『ロッカーズ』

 博多の街にジンと言う男がいた。好きなのは女。得意(?)は喧嘩。そして愛しているのはロックンロール! バンド仲間のモモちゃんは、女に惚れては名前を刺青にしている。ガクちゃんは合法ドラッグに溺れていつもへろへろ。美少年のコーちゃんは占いマニア、メイクをすると切れる。腐れ縁の仲間の中にタニというギタリストが参入。プロになりたいというタニの熱意に巻き込まれ、本気でロックンロールにのめりこんでいく。しかしタニは・・・

 「山笠があるけん博多ったいっ!」 博多を舞台にした俳優・陣内孝則さんの体験した青春グラフティ。これがね、非常によかと。も、博多ズキにはたまらん。
 実際に、陣内さんは博多でロッカーズとして伝説を残し、上京したそうで、ほぼ実話に近いらしい。でもアノ目立ちたがりげな陣内さんが自分よりもタニ君をメインに置いてヒジョウに良い映画となっています。若手俳優陣の豪華なこと。涎が出そうなくらい。やはりタニ君を演じた玉木宏さんが最高にカッコよか〜。たまらん〜。そして耳に残るのはライバルバンドのヴォーカルを演じた玉山鉄二さんの歌声。これは意外だったなぁ。メイクも似合ってたしv
 熱くてせつなくて、青春っていいなーって叫びたいほど良かった。も、何度でも観たいv



2004年12月23日(木) 映画『ターミナル』

 ビクター・ナボルスキーは、JFK空港に降り立ち、入国審査で引っかかってしまう。ビクターが祖国クラコウジアから旅立った後、クーデターが起こり、ビクターの帰る国がなくなってしまったのだ。融通のきかない法の落とし穴にはまってしまったビクターは改装中の67番ゲートを根城に、英語を覚え、仕事を見つけ、人と知り合い、恋をする・・・

 スピルバーグとトム・ハンクス、この映画界を背負って立つふたりが組むならば、間違いはナイ。暖かさと悲しさが同居した人生そのものを表すかのような映画でした。空港に人生があるなんて、奇想天外。そこは通過するだけの場所なのに。
 ビクターという異邦人が、扉の向こうのアメリカに行けそうで行けない場所に止まり、人と触れあう。彼にかかわる人たちは、彼を愛し、彼のおかげで幸せになる。現代のファンタジーだった。
 トム・ハンクスをはじめて知ったのは『ビッグ』だった。少年がオトナになってしまう魔法の映画。トム・ハンクスは名優だし、素晴らしい作品はいくらでもあるけれど、私にとってのマイ・トム・ナンバー1は『ビッグ』が不動かしら。

映画『ターミナル』



2004年12月21日(火) 『浦賀和宏殺人事件』 浦賀和宏

 作家・浦賀和宏は講談社から密室モノを依頼され、苦労していた。これだ!と書いたものを担当に否定され、浦賀は息抜きに・・・

 あはは。ここまで掟破りをされちゃうと笑っちゃうしかないですね。袋とじをドキドキしながら破った思いを返して、とは言いたいけれど(笑)。からくりは読めるんじゃないかなぁ。それより驚かせる記述があいかわらずてんこ盛り(苦笑)。
 浦賀和宏さんが作家としてよく訴えている気持ちが今回も浮き彫りで、ものすごく気持ちがわかる。それは浦賀さんが正しいよ。

 だけど、そういう連中の中には、図書館で借りたり、古本屋で買ったりして俺の本を読んでる読者もいる。読むだけならまだしも、それでつまんねえって批判する奴がいる。まったく冗談じゃねえぜ。こっちは商売でやってるんだから、批判するんだったらまずちゃんと本の定価の代金を払えっていう話さ。
 絶版本ならともかく、俺の本は新刊でまだまだ買えるんだから、批判するんだったら、きちんと新刊書店で買ってください。

『浦賀和宏殺人事件』 2002.5.8. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月20日(月) 映画『ブラザーフッド』

 朝鮮戦争勃発。ジンテは徴兵されてしまった弟ジンソクを連れ戻そうとし、そのまま戦争に。弟を守るため、弟を除隊させるため、ジンテは英雄になろうとするが・・・

 なんと言っていいのやら。戦争ものは本当に後味が悪くて。朝鮮戦争について詳しくは知らないのですが、同じ民族が分裂し力で抑制しようとする。ごく一部の人間の思想のために、巻き込まれてしまう一般の人たち。それだけでやりきれない。
 兄が弟を思う余りに命をかけ、英雄と言う名の悪魔に成り果てる。弟はそんな兄に反発するようになる。愛情は方向を誤るとただの暴走になってしまう。悲しすぎる。兄の狂気が心に痛かった。個人的にはこういう戦争ものは見たくない。

映画『ブラザーフッド』



2004年12月19日(日) 映画『純愛中毒』 ※感想にネタバレあります

 ホジンとテジンは仲のよい兄弟だった。両親を早くに亡くし、兄のホジンはテジンの親代わりでもあった。オクテの兄ホジンが美しいウスンと結婚し、3人は一緒に暮らす。
 兄の心配を受け流し、カーレーサーの道を選んだテジン。あるレースの日、テジンはレース場でホジンはレースを見るために急ぐ道中で同時刻に事故に遭遇。ふたりとも昏睡状態になってしまう。
 一年後、奇跡的に回復したテジンは家に帰る。そして兄嫁ウスンに向って自分はホジンだと主張し始める。あまりも愛する夫ホジンに似た行動をするテジンにウスンの心は乱れ始め、そして・・・

 韓国ブームにどっぷりな職場の先輩から「これはあなたにピッタリ」と2本の映画をレンタルされました。そのうちの1本がこの『純愛中毒』でした。ゆったりと流れる物語の展開をもどかしく感じつつ、ラストに一気に明かされる謎のあたりは結構気に入ってしまった。テジンに思いを寄せていた女友だちから「狂った愛」と指摘される兄嫁へのテジンの思いは、兄より先に好きになっていようがなんだろうが変質的としか言いようがなく(苦笑)。でも、ただのストーカー映画の作りにならなかったあたりが‘純愛’ゆえなんだろうなぁ。要するに狂った義弟の愛を兄嫁が受け入れるかどうかがポイントなのですが、それは映画をどーぞv
 私はテジンを愛した女友だち役の報われない思いが胸にぐぐっときて、「アンタを忘れたい」と言う言葉にそっと涙・・・



2004年12月18日(土) 『透明人間』 浦賀和宏

 飯田鉄雄が、新しく出来た彼女を安藤直樹に紹介。彼女=小田理美は天涯孤独な女の子だった。理美の父の残した研究をめぐって、飯田と理美は地下室に閉じ込められてしまう。そして発生する連続殺人事件・・・?

 お調子ものを気取っている飯田鉄雄くんの新しい彼女は哀しい過去に囚われた自殺未遂を繰り返していた。安藤直樹モノと思い込んで読んでいたので、理美ちゃんのうじぐじした独白には気が滅入ってしまいました。安藤直樹モノではじめて放り出しそうになった。この物語が安藤直樹の物語に今後どうかかわってくるやら想像もつかないけれどメモだけはしっかり残しました。
 前回の安藤君の行動が異様過ぎただけに閑話休題だったのかしら。閑話休題にしてもかなり人は死にますが(苦笑)。シリーズモノは外せないとこがあるから厳しいわー。

 生きていればきっと、新しい人達と出会う。
 未来が、どうなるのかはわからない。
 これから誰と出会うのかも。

『透明人間』 2003.10.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月17日(金) 『学園祭の悪魔』 浦賀和宏

 ‘私’は穂波留美と同級生。秋の学園祭に現れた穂波の兄たちに興味を示す。なかでも陰気そうな安藤直樹がなぜだか気にかかり・・・もしかしたら好きになってしまったのかも。どうして穂波留美なんて暗い女に彼氏がいて‘私’にはいないのか、嫉妬の先に‘私’が遭遇した事件とは・・・

 いやーっ。だめーっ。逃げてぇぇぇっ。誰に対して叫んでいるかは読んで想像してください。ううう、ここまでやるか、安藤直樹。笑わない名探偵・安藤直樹は異端すぎる。私は好きだけど。
 登場する人物の中で二人の人間が自分のために手段を選びません。それがまた酷い手段なので・・・。巻き込まれた不幸だけではすまない残虐さでありました。

『自分でお金を払ってないくせに、偉そうに作品の批判なんかしないでよ。食い逃げして、あそこのラーメン不味かったって言うのと同じだよ』

『学園祭の悪魔』 2002.2.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月16日(木) 『記号を喰う魔女』 浦賀和宏

 安藤裕子(中学生)の同級生・織田が「安藤さん、さようなら」と声をかけて飛び降り自殺をした。左小指が欠損していた織田は学校一美しく優秀な少年だったのに。織田に恋していた坂本は安藤を恨む。そして織田の遺言で織田の自殺の瞬間に居合わせた天文部の少年・少女たちは、住人が10人も満たない角島へ招待されるが、そこは・・・

 ぎゃー。これはいかがしたことかぁぁぁ。うー、安藤直樹シリーズは元から問題作ではあったけれど、ここまで書くか?>浦賀和宏 これって私のようなマニアには‘たまらない’物語の運びだけど、引く人はものすごく引いて二度と浦賀作品を読めないかも(苦笑)。
 あの安藤裕子が中学生で既にここまでの魔物であったのかと、背筋が冷たくなる。ゾクゾクゾク。あまり核が見えなかった安藤裕子が私の中でハッキリしたイメージとなりました。いや、強烈過ぎ。ただ今まで語られた安藤裕子の状況から、安藤裕子がこうなってしまったとは考えづらく。生れ落ちたときから魔性だったのだろうか? 母親のことくらいで安藤裕子がめげるとも思えないんだけどなー。

「強い肉食獣は美しいよ。美しくない生物は淘汰される、それが自然の原則。にも拘わらず、本来死ぬべき弱い人間が、文明の近代化の結果で、どんどん生き残ってしまう。弱いことは醜いことなの。醜いことは罪なのよ。醜い女と醜い男がまぐわって醜い子供を産む。この国はいらない人間が多すぎるの。戦争に負けて、白人に侵されて、野蛮さを忘れた日本人は醜いよ。そしてそれを自ら打破しようとしない。システムの奴隷と化している。醜い人間に生きる資格なんて、ないのよ」

『記号を喰う魔女』 2000.5.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月15日(水) 『とらわれびと』 浦賀和宏

 安藤直樹の友人・飯島鉄雄の父親が殺された。ナイフで一突き。黒のレザーパンツに革ジャン、セミロングの女と一緒にいるところを目撃されている。安藤と喧嘩別れしていた金田忠志は、金田妙子という謎の存在に悩まされていた。その女は妹で、飯島の父が殺されたときに一緒にいたと言う・・・? 安藤直樹の恋人(?)穂波留美は友人の森山亜紀子の弟が殺され、腹の中を掻き出されていた事件を追いかけはじめるが、そこには・・・

 今回のテーマには‘性同一障害’。女になりたかった戸籍上・男たちが殺され、腹から中味を描き出される。まるでその中の胎児を探し出すかのように? 
 今回、安藤君の幼馴染の金田くんがパカパカ音を立てて壊れていきます。あぁ、金田くん、そのまま行っちゃうと帰ってこれないよ?と声をかけながら読み進めました。事件のつながりや動機がひと筋縄ではいかないところも安藤直樹シリーズならでは。このシリーズはどんどん残酷になっていっている気がする。どこまで行くのか。浦賀和宏。

「ふふふふふッ。可笑しいね。みんなみんなそんなセックスやらジェンダーやらに翻弄されて。人間を男だとか女だとか、単純な二分法に集約させないと気が済まないんだから」

『とらわれびと』 1999.10.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月14日(火) 『頭蓋骨の楽園』 浦賀和宏

 大学で笑わない男・安藤直樹に興味を抱いた穂波英雄は美しい管野香織さんが好き。しかし菅野さんは安藤を気にしている? 大学祭の日にミスコンで菅野さん優勝。安藤の友人・飯島や自分の友人雨宮・妹の留美といるところへ菅野さんの婚約者がやってきた。失恋。そして菅野さんが首を切られ、首なし殺人事件が続発し・・・

 「これはきっと俺の事件だ」・・・安藤直樹は穂波にそう告げる。大好きだった菅野さんが殺され、彼女のおぞましい過去を知っていくたびに穂波もまた壊れていく。留美は安藤直樹に恋したばかりに、やはり・・・。
 どうして首を切られなければならなかったか? その動機の哀しさに浦賀和宏さんの才能を見ます。そういう想像力ってどんなだろう。すごかった。これ。安藤直樹シリーズは登場人物と相関図をメモりながら、読むことをオススメします。安藤直樹の言う通り、「全てはつながっているから」

「ネット上だけで優れた表現者になれるとはまず考えられない。ネットは社会の投影です。社会の中で、あるレベル以上の表現者になれない人間は、ネット上でもそのレベル以上の表現者にはなれないんです。そのことを理解しているのならば、個人がホームページを持つのは構わないでしょう」

『頭蓋骨の楽園』 1999.4.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月13日(月) 『時の鳥籠』 浦賀和宏

 DOA = Dead On Arrival(来院心肺停止)で病院へ担ぎ込まれた女は、目覚めたとき記憶を失っていた(?)。付き添ってきたクールな美少女・安藤裕子は、その女性に執着する。なぜなら、出会ったことのないその人は安藤裕子のことを知っていたから・・・

 前作の『記憶の果て』で安藤直樹が巡り合った少女の物語。ハンサムなドクターの甲斐と甲斐の友人のミヤノシンイチが不気味な彩りを添えている(苦笑)。
 いやはや、あの少女がこんなメビウスの輪に捕りこめられてしまうなんて。まさかこういう展開とは予測つかなかった。無間地獄の苦しみだわ。
 安藤直樹の物語は本当に「繋がっている」んだなぁと痛感。そしてまた次もすごいんだな、これが。

「何方を選択しようと、その結果の善し悪しは人生をもう一回やり直さない限り分からないから」

『時の鳥籠』 1998.9.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月12日(日) 『記憶の果て』 浦賀和宏

 親父が死んだ。自殺だった。あと一ヶ月で大学生になろういう安藤直樹はいきなりアイデンティティの崩壊に見舞われることとなる。パソコンの中に親父が残した安藤裕子。彼女の正体に気づいたとき、安藤直樹は笑わない男になってしまったのかもしれない・・・

 うー、すごいんですよ。浦賀和宏さんの安藤直樹‘笑わない探偵’シリーズ。4作めを読んだところでスタートに戻りノートに登場人物を書き出し、頭を整理しているところ。そう、このシリーズは最初から読まないと駄目なんです! 伏線につぐ伏線で、登場人物の役どころと関係性をしっかり頭に叩き込んでおかなければ面白さを堪能できなから。(ちなみに酔狂写真にメモっぷりをUPしてますv)
 18歳の安藤直樹が直面した現実の過酷さは、彼を“笑わない男”としてしまう。その一番根っこの物語が(安藤直樹における)詰まった一冊。パソコンの中の安藤裕子との会話や、パソコンの中の安藤裕子には今ひとつ気持ちが入らなかったけれど、それ以外はかなり面白かった。この物語で語られた少女の物語が次の作品となるのでありました。それがまたすごいのよ。

 名探偵はー事件の関係者が抱えている悩みや苦悩など考える必要はないのだ。名探偵とは謎を解いて事件を解決する為にしか機能しない存在だ。他人の心の中を土足で踏み躙ってもー名探偵は事件を解決すればそれでいいのだ。それでこそ名探偵なんだ。

『記憶の果て』 1998.2.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月09日(木) 『DEATH NOTE』� 銑ぁ‖臂譴弔阿漾文矯遏法楙�畑健(漫画)

 死神界で退屈に腐っていたリュークは下界(人間界)へ‘デスノート’をわざと落とす。そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ。それを手に入れたのは成績優秀&眉目秀麗(イケメン)高校生・夜神月(やがみ らいと)だった。月はデスノートによって新しい世界の神になろうとする。そしてキラと呼ばれる存在になる。正義の名の元に殺人を繰り広げる月の前に現れたのは、世界で謎の名探偵と言われる“L”。頭脳と頭脳の対決がはじまった・・・

 いやはや、やられましたな。只今絶賛攻略中の作家・浦賀さんが作品の中で手軽な漫画には敵わないことを嘆いていますが、これを読めば確かになぁ・・・。
 大好きな作家さんの西澤保彦さんが面白いと言われていたので、気分転換で買ってみました。絵もかなり好みだったし。しかし、内容までもが無茶苦茶好みで驚いてしまった。私の勝手な感想を言えば、月は蔵馬、Lは飛影、リュークは桑原なんですね(笑)。おーい、幽介どこ行ったぁ〜(苦笑)。さっきさまざまなファンサイトをのぞいたところ一番人気はL。やはり飛影だ。でも遊幽白書でも実は一番のお気に入りは桑原だったように、死神リュークが大好きデス。お茶目だしv
 月とLの頭脳合戦は漫画で読むとわかりやすくて面白い。これは今年ダントツ人気の漫画だったはずだよなぁと納得。ジャンプ買おうかなぁ〜。




2004年12月08日(水) 『こわれもの』 浦賀和宏

 陣内は売れっ子漫画家。仕事は絶好調で婚約者の里美とはラブラブ。幸福の絶頂にいた陣内だったが、ある朝、自分が買ってプレゼントした車で里美が交通事故死してしまう。ショックから立ち直れない陣内は、絶大な人気を誇るヒロインを作中で唐突に殺してしまう。そして周りからの抗議の嵐。その中に里美の事故死を予言するような手紙が紛れ込んでいた・・・

 うーむ。浦賀和宏さんってのは、一筋縄では終らせないとこが憎い。ころりんころりんころころりんっと物語が二転三転し、こう終るだろうという予測をもうひとつ裏切ってくれる。いやー、好きですわ。詐欺のような浦賀和宏節が(笑)

 未来は決まっていない。明日は自由だ。たとえ、予めストーリーが組まれていたって、そんなものは、こわして、また新しく作りあげればいい。まだ存在していない未来の粗筋なんて、こわれもののガラス細工のように、もろいもののはずだから。

『こわれもの』 2002.4.30. 浦賀和宏 徳間書店



2004年12月07日(火) 『眠りの牢獄』 浦賀和宏

 浦賀は作家。愛する亜矢子と結ばれた翌朝、階段から落ちて(?)しまう。一緒に落ちてしまった亜矢子は昏睡状態。その日は仲間の吉野と北澤も泊まっていた。
 5年後、浦賀は吉野と北澤とともに亜矢子の兄に呼び寄せられ、核シェルターに監禁されてしまう。あの日、亜矢子を突き落としたのは3人のうちの誰なのか? そして3人のうちのひとりが死んでしまい・・・

 物語の中で同時進行する交換殺人のメールのやりとりも最後にはひとつの物語として集結する。いやー、ずるいなぁ(大笑)。でも浦賀和宏さんのこのテイストは個人的にはかなり好み。薄いし、さらりとオススメ・・・かな。ダークOKな方には是非是非。

「浦賀ー。お前も喰え」

『眠りの牢獄』 2001.5.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月06日(月) 『アイムソーリー、ママ』 桐野夏生

 星の子学園の保育士だった美佐江は、お気に入りの稔が18になり卒園したのを機に同棲に誘い込む。美佐江は44歳だった。そして今、稔は42、美佐江は67になっていた。ふたりで焼肉を食べに行き、かつて星の子学園にいた女に出会う。松島アイ子。娼婦の置屋で育った奇妙な少女だった。アイ子に再会したばっかりにふたりは・・・

 松島アイ子という女と彼女に巻き込まれる人間達の物語。生まれ育った環境のせいか、生まれ持った性質なのか、アイ子はとんでもない思考回路の持ち主。その場しのぎで生き、罪の意識を持たない。アイ子なりの生きる智恵だったのかもしれない。ただ否応なく巻き込まれる人間たちは運が悪かったとしか言いようがないのだろうか。アイ子の極悪非道さが不気味に小気味いいほどだったけど、運が尽きたとき、面白さ半減。悪ならとことん悪を! 桐野さんにしては甘い終り方でした。桐野さんならばもっと残虐に終れたはずなのに・・・残念!

 「畜生!」。アイ子は吼え、紙を投げ捨てた。裏切り者は近くにいたのだ。

『アイムソーリー、ママ』 2004.11.30. 桐野夏生 集英社



2004年12月05日(日) 『BG、あるいは死せるカイニス』 石持浅海

 遥は、姉・優子さんの通夜でぞくりと寒気がするほどの美女を見かけた。彼女は遥を見て、微笑み手を振った。彼女は何者? 姉を殺した犯人にかかわりがあるのか?

 『水の迷宮』から一転、不思議な世界が舞台。論理で事件を解いていく持ち味は変わらないのですが。男性化することがエリート街道まっしぐらと言う、なかなか大胆な導入。その男性化について、読んでいくうちに色々と考えさせられるのでありますが。犯人はわかってしまったけど、石持さんがこういう設定を持ってくるってとこに拍手。西澤保彦さんをお好きなだけのことはあります、石持さん(笑)v

「おまえにはわかるはずだ。手掛かりは常に身近に転がっている。もう一度よく考えてみろ」

『BG、あるいは死せるカイニス』 2004.11.30. 石持浅海 東京創元社
 



2004年12月02日(木) 『そこへ届くのは僕たちの声』 小路幸也

 新聞記者の辻谷は、友人の真山が書いた生活記録を読み泣いた。不慮の事故で植物状態になってしまった妻が奇跡的に回復し、家に帰ってきたことを記したものだった。そして辻谷と真山は不思議な誘拐事件を追いかけ、そのうちに<ハヤブサ>と言う存在を知る事になる。<ハヤブサ>は植物人間を覚醒させる能力を持っていると言うのだが・・・

 号泣する準備は出来ていませんでした。あるページから涙がはらはらこぼれてこぼれて読み終わるまでたくさん泣きました。この物語はたぶん私にとって2004年の心のBEST1に違いなくて、人生の宝物になった気がします。
 『空を見上げる古い歌を口ずさむ』と巡り合い、小路幸也さんの描かれる優しくせつなく懐かしい物語に魅了されました。この出会いを感謝したい。<ハヤブサ>たちのことを私は心のビタミン剤にして生きていける気がしました。
 この奇蹟の物語を読んで欲しい。この物語を好きな貴方を私はきっととても好きになれると思うから。きっと何度も何度も読み返すわ。

 真山もオレも<事実>ってやつを追う職業の人間だ。その経験上、ある種の偶然ってのは決して偶然ではなく必然のように繋がっていくことが多い。まるで運命としか言いようのない形で。

『そこへ届くのは僕たちの声』 2004.11.25. 小路幸也 新潮社



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