酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年10月31日(日) |
映画『HALLOWEEN�掘)盻�の季節』1983 |
カリフォルニア州北部。逃げる男が残した言葉は「ヤツらが来るぞ」だった。小さなおもちゃ屋を営んでいた男が残したものは、シルバー・シャムロック社のハロウィンの被り物(ジャック)だった。男の最期を看取った医師とその娘は謎の究明にシルバー・シャムロックのお面工場へ向うのだが・・・
えーっと、マイケルはどこへ行ったの? マイケルはいつ出てくるのかドキドキしながら(嘘)待っていたのに、話はSFなのか狂信宗教ものなのかよくわからないごった煮でした。前2作とはまったく違う物語だったのね、と気づいたのは見終わった後でした。マイケルを待っていたのに(笑)。 子供たちに被らせるハロウィンのお面で世界を滅ぼす? よくわからないところが(滅ぼすならもっと確実な方法がありそう)怖さということ・・・なのかもしれません。いやはや、それでも今回もありました! 出会ったばかりの男と女が謎を究明に同じ部屋に泊まり、いきなりセックス。いいのか、それで(大笑) まだまだこのシリーズは続くらしいのですが、どうしてここでするの?と思わせるセックス・シーンばかり異様に際立っていました。変なのー。
| 2004年10月30日(土) |
映画『HALLOWEEN�供.屮�ーマン』1981 |
前作『HALLOWEEN』のラスト・シーンから物語りはスタート。前作のラストでばかばか撃たれたマイケル(=ブギーマンになってしまった)は、何故だか血痕を残したまま消えていた。そして病院に連れて行かれたローリーをまたもや付け狙うのだが・・・
前作のラストの夜から話は続いていて、まさに続編だーと妙に納得してしまった。心が無いマイケルはブギーマンに変身し、撃たれても死なないし、心が無い割にはローリーに執着する。ハロウィンの起源のケルト語のサムハンという言葉が出てくるあたりが、ちょっとだけワンポイントレッスンかしら。サムハインとは死者の王という意味らしい。要するにハロウィン・ナイトは境界線が無くなってしまうから、生者も死者もいっしょくたなのですねー(たぶん)。 しかし、今回は職場(病院)でセックスしているカップルがいる(大笑)。まぁ、これは日本でもありかもしれない。人様のお宅でのセックスは受け入れられないが、職場ならありえるかもと思うってのは人としてどうなのだろう。 あ、マイケルくんは一応焼き殺されました。死んだかどうかはわかりません。
| 2004年10月29日(金) |
映画『HALLOWEEN』1978 |
1963年イリノイ州、ハロウィーンの夜、BFを招きいれ情事を楽しんだ後の姉を少年マイケルは刺殺する。病院へ収容されたマイケルは15年間ひとことも喋らず、突如脱走し、故郷へ帰る。Doctorルーミスはマイケルに心が無いからっぽで邪悪だと診断していた。ルーミスは単身マイケルを追いかける。1978年のハロウィン、若者達は親の目を盗み、恋人との時間を謳歌しようと必死。そんな中、ローリーはベビーシッターのアルバイトをしていたのだが・・・
ジョン・カーペンターの出世作とは聞いていましたが、これはもはや古典。電話がダイヤル式であることに新鮮に驚きました。日常生活のものってハッキリ時代を浮きあがせる道具だと痛感したくらい。 この映画の後に13日の金曜日シリーズなどができたそうなので、影響力はあったのでしょう。怖いかと問われれば、昨今のホラー慣れしている私にはさほどではないです。ただマイケルがどうしてローリーを付回すのか、最後にその理由のような事実が発覚するけど、でもどうして?・・・うーん(悩) それより、ベビーシッターのアルバイト先の家庭で平気でセックスしたり、ビールを呑んだりする感性の方がよっぽど怖くて信じられないよ、のことでありました。
| 2004年10月27日(水) |
『淫らな罰』 岩井志麻子 |
「隣の花は黒い」 陽子は一人息子と夫と三人暮らし。仕事でも子供の幼稚園のママ仲間でも悪口を面白く仕立てて吹聴し、人気があると錯覚している。幼稚園ママ仲間の有名人の美咲は美人で過去の自慢話ばかり。陽子は美咲の過去を探り当て、アイドルMとあだ名をつけ、またまたみんなに触れ回ろうと興奮気味。ただ隣に引っ越してきた女がちょっと妙なことが気にかかる・・・
さすがに女同士のいやな張り合いや悪意を描かせたらうまいじゃないか、岩井志麻子!(これは誉め言葉と言う事でひとつv) 隣の芝生は青い。どうしてもよく見えてしまう、そういうタイプの人って不幸だと思う。そういうタイプの人たちの哀れな悪意の物語が5つ。 どの物語も面白かったのですが、取り上げた「隣の花は黒い」は特に面白かった。ただ馬鹿な主人公が自分と同じ名前ってなんだかやな感じ〜。読んでいて陽子のあまりのオバカっぷりに辟易したくらい。とほほ。口は災いの元。ご用心。ご用心。
「すべての人に『良き隣人』でいてほしかったら、距離は保つことよ」
『淫らな罰』 2004.5.25. 岩井志麻子 光文社
| 2004年10月26日(火) |
『百鬼夜行抄12』 今市子 |
妖魔と共存する飯島ファミリーの新刊ですv 今回は、律の司への微妙な気持ちがわかってものすごーくいい。尾白と尾黒は相変わらず妙で落ち着かなくてソワソワっぷりが可愛いしー。あんなペット欲しい〜。一緒に夜毎酒を呑んでどんちゃんやりたいー。 とにかくキャラクターたちが好きな人(妖魔)ばかりでありますが、誰より愛しているのは律のおかぁちゃんです。いやーこんな母親って最高ですね。すっごい変な人だ。でも器が違うと言うか、大きな温かい存在だなぁと思うのです。あ、そう言えば今回は、ばぁちゃんがあんまり登場しなかったな。あのばぁちゃんも好き。 また主人公にして描いて欲しいのは男殺しの異名を持つ晶ちゃんかな。
なんで来たの? 司ちゃん ・・・お酒が飲み放題だって連絡がきたから
『百鬼夜行抄12』 2004.10.30. 今市子 朝日ソノラマ
| 2004年10月24日(日) |
『パンドラの火花』 黒武洋 |
死刑囚が過去に戻り、犯罪を未然に防ぐプロジェクト。番号で呼ばれる謎の政府のエリートともに。犯罪者は過ちを悔いて、過去の自分を説得できるのか?
いや、ものすごく簡単な説明になってしまいますが、だって書くの難しいんだもん。書きすぎるとネタばればれになっちゃうし。<時間もの>はどう描かれようとも突っ込みどころ満載なのだとは感じます。過去に戻ったときに、自分と出会っていいのか、どうか。そこが一番の問題ですよね。でもこの物語では過去の自分を説得すると言う使命を抱えている。はじめっからパラドックスは考えていない設定。 死刑囚と番号エリートは3組登場します。3パターンの過去の犯罪が描かれていて、「その後はどうなったの〜(涙)」と言うもどかしい蛇の生殺し状態も楽しめます(笑)。 結局、時間の前で人間は平等なんですよね。何度も書いてきていることですが。取り戻せない。やり直せない。だから目の前の時間を慈しむように生きようと前向きに考えたりしますです。あい。
人生は、つまりは本人の心掛け一つで実はどうにでもなるものであって、そしてその全部が、本人へと直接跳ね返ってくる。
『パンドラの火花』 2004.9.30. 黒武洋 新潮社
| 2004年10月23日(土) |
『マスカット・エレジー』 山崎洋子 |
有吉葡萄はノンフィクションを書きたいと思いつつ、日銭を稼ぐためなんでも書いている毎日。30半ば過ぎて独身そして埴輪顔。この埴輪顔と失礼な表現をするのは同居人の鮎子さん。年齢不詳の色っぽい女性。今は亡き父が映画を見に行った帰りに「ついてきた」、そしてそのまま居着いてしまった。引っ込み思案で時代遅れの葡萄と年の割にはアクティブすぎる鮎子さんが遭遇するさまざまな事件たち。
文庫のカバーイラストが北見隆さんだったので、思わず手にとりました。北見さんのイラストで読まされた(笑)本ってものすごーく多い気がします。おそるべし、北見隆! この『マスカット・エレジー』は直訳すれば葡萄哀歌ってとこでしょうか。主人公の葡萄が哀しい現実に出会うから、合ってるタイトルかもしれません。鮎子さんが初老のおばぁちゃんなのに色艶はよいし、行動的。人というものは生き様や性格が滲み出るものなのだとつくづく思います。ちょっと困ったちゃんですが、鮎子さんは魅力的だもの。 私が一番面白かったエピソードは「ネット潜入」でした。近親相姦のサイトに入り込んでいた人物になりすましてオフ会に潜入しレポを書くという仕事を葡萄が引き受けてしまうのですが、葡萄の署名入り記事が世に出てしまい大騒ぎ。しかも、そのレポは葡萄が書いたものとは全く違い、近親相姦オフを面白可笑しく煽情的に書いているシロモノ。ネットにさえ疎い葡萄の危機を救ったのが、自力でパソコンを身につけた鮎子さんだった?という流れ。意欲があれば年齢は関係なく、パソコンだってなんだってできちゃうものですね。 葡萄と鮎子さんの本当の関係も最後まで謎として残りますが、まぁそれはそれでいいかな。通勤のお供にちょうどいい文庫なのでした。
気にしちゃ、駄目よ、こんなバカの言うこと、と言うように、ちらりと微笑を送ってくれる。厭味な男一万人より、気の利いた女一人のほうが、どれほど世のため人のためになることかー。
『マスカット・エレジー』 2004.2.20. 山崎洋子 光文社文庫
| 2004年10月22日(金) |
『ノルンの永い夢』 平谷美樹 |
兜坂亮(とさかりょう)は、育ての親とも言うべき老医師・鳴滝弘一の反対を振り切り、SF新人賞受賞のため岩手から東京へ向う。授賞式でさまざまな人と出会い、帰ってみると置手紙だけを残し、鳴滝の姿はなかった。寂しさを執筆で紛らわせようと亮は、ある出版社からの提案の実在した本間鐡太郎という天才数学者のことを小説にしようと動き出す。そして本間鐡太郎のことを調べていくうちに、亮の周囲で不穏なできごとがはじまり・・・
<時間>を自由に行き来できたら、と言う人間の願い(欲望かも)は昔から変わらない。でも可能だとしたら、どうしてもひずみは生まれるだろうし、やはりタイムトラベラーは悲しいものかもしれない。さまざまな<時間もの>を読んだけれど、この『ノルンの永い夢』はとても良かった。ラストに近くなると展開についていくだけで必死。パパパパパッと場面や時間や視点が揺らぎ、そこが魅力だと読了後に感じた。自分も時間を移動したかのように疲れてしまうけれど(哀)・・・
本当はそんなことじゃない。自分さえも知らない何かが、この衝動の中には隠されているような気がする。 自分の意志としてカムフラージュされた衝動なのか? そうだとすれば、それは誰の意志なのだ?
『ノルンの永い夢』 2003.11.30. 平谷美樹 早川書房
| 2004年10月21日(木) |
『誰もわたしを倒せない』 伯方雪日 |
後楽園ゆうえんちの掃除夫が園外のゴミ捨て場で刺殺死体を発見。富坂署の刑事課の三瓶は、現場に既に来ている若い城島に頬をゆるめる。格闘技マニアの城島は、三瓶に後楽園ホールを「聖地」であると力説。プロレスと格闘技ファンにとっての聖地という意味らしい。城島は、刺殺死体の体つきからマスクマンのカタナではないかと気づく。カタナは、ルチャ・リブレ(プロレス)からヴァーリ・トゥードまで幅広くこなす天才だった。そしてカタナの素顔は誰ひとりと知らないのだった・・・
これは格闘技ファンではない私にとって非常に面白い物語でした。謎のマスクマン・カタナの正体や、城島と因縁ができるカリスマのある男・犬飼のプロレス探偵ぶり。物語は過去と現在を行き来し、謎が謎を呼び、意外な展開に。話の運び方や格闘技の裏側まで楽しみどころ満載でした。格闘技を愛する城島の存在が優しさと救いを与えてくれる。城島と犬飼の間に流れる友情らしき絆も素敵。悲しいまでに強さを求めた人間達の心の叫びが伝わってきました。かなりオススメv
真剣勝負(ガチンコ)、八百長(フェイク)、彼がそんな言葉を知るのはまだ先だった。
『誰もわたしを倒せない』 2004.5.10. 伯方雪日 東京創元社
ベンはNY郊外の高校生で、水泳部のスター。次の大会では大学からスカウトが見にくることになっていて、未来は保証されたも同然。美しい恋人のエイミーともラブラブ。そこに禍々しい美貌の転入生がやってきた。マディソンという大人の色気をぷんぷん撒き散らすタイプに男どもは騒然。ベンもなんとなくマディソンが気にかかる。マディソンの巧妙なアプローチでベンは毒牙にかかってしまう。神聖なプールでの情事。マディソンに嘘でもいいから愛していると言ってと囁かれ、その場の気分でつい「愛している」と言ったばかりに・・・・
‘思わぬヒット’(笑)をしたと漏れ聞いていた高校生版危険な情事とも言うべき映画『プール』を観ました。将来を約束されたも同然の高校生が陥ってしまう危険な美女の誘惑。うーん、あれはウブな男の子ならコロリンだよなーと思いながら観ていました(笑)。色気したたる悪女ってのには抗えないわー。でもこの映画では、ベンの恋人役のエイミーがとても良かったです。普通この手の物語ならば悪女の方に軍配をあげちゃうのですが、今回は清純派に一票v こういう過ちはありがちだけど、相手が悪かったね、ベン。浮気とか遊びなんてもんは誰にも気づかれないでやらなきゃあかんのです。まだまだ子供ってことだよね。あ、危険な情事は大人でも失敗するんだった(大笑)v
| 2004年10月19日(火) |
『尋牛奇談』 椹野道流 |
天本森(あまもとしん)は物置で探し物をしていて、父トマスが手紙や書類を保管していた美しい箱を見つける。箱の美しさゆえ、破壊して箱を開けることに躊躇していたが、妖魔・司野によって箱は損なわれることなく開けられた。その中に入っていたものは・・・
椹野道流さんのバリバリボブな物語から司野と正路が出張ってきます。ふたりに煽られて森と敏生にも発展が見られるか? 今回は、‘十牛図’を御題にもってきたあたり、うまいなぁと思いました。まさに森さん版の過酷な自分探しがはじまってしまいました。十はポイントをクリアしないとたどり着けないと言う事なのかな? いったいいつまで続くんだ。このシリーズは(笑)。 椹野道流さんのシリーズものでは、やはり鬼籍通覧シリーズと奇談シリーズまでが許容範囲内と言う気がします。バリバリボブな物語はあんまり再々読みたいとは思えないです。
「ああ。過去のすべてに蓋をして、未来だけ見て生きていけるんじゃないかと思ったこともある。だが、そうしようとしても、やはり俺の知らない自分自身の出生にまつわることや、父と母の関係、それに姉の死・・・・・・すべての過去が、あとからついてくる。迫ってくる影を感じながら死ぬまで逃げ続けるくらいなら、すべてを知ることへの恐怖に立ち向かう方がマシだ」
『尋牛奇談』 2004.4.5. 椹野道流 講談社X文庫
| 2004年10月18日(月) |
『カタコンベ』 神山裕右 |
東馬亮(とうまりょう)は、過去の失敗を胸に抱えケイブダイバーを続けていた。ケイブダイバーとは、洞窟での潜水を専門に行うダイバーのことであり、洞窟潜水は地球上でもっとも危険なダイビング。東馬は、恩人の娘を救うために洞窟に閉じ込められた調査隊を救いに単身行動するのだが・・・
第50回江戸川乱歩賞受賞作品。作者は24歳。史上最年少で受賞だそうです。物語は舞台が洞窟という閉ざされた空間。テンポがよくて面白かったです。まぁ、最後に大御所たちが辛口批評をのっけられているように、B級ハリウッド映画的っていうのは言いえて妙なのですが(苦笑)、どうなるんだろう?と思わせながら最後までひっぱっていくだけで立派だと思いました。・・・と言うか、賞を与える側がはじめっから映像を頭に選んでいる気がします。この作品の映像化を見てみたいし。
あのときのことは、今も弥生の胸に深い傷跡を残している。たとえそこに時間という名の瘡蓋が貼られたとしても、決して癒えるはずのない傷は、今もこの胸に確かに疼いているのだから。
『カタコンベ』 2004.8.6. 神山裕右 講談社
| 2004年10月16日(土) |
『PLUTO』 浦沢直樹 |
近未来。ロボットは人間と共に暮らしている。ヨーロッパのロボット刑事ゲジヒトは、スイスの人気者モンブラン(ロボット)破壊事件とランケというロボット擁護団体の殺人事件を追っていた。ゲジヒトは謎解明のために8年前に人を殺したロボットに会いに行く。そこで聞いた情報はローマ神話の冥王プルートウのことだったが・・・
すごいです。鳥肌が立つくらいに面白かった。鉄腕アトムの『地上最大のロボット』を下敷きにされていますが、このアトムのエピソードは<国を追われた権力者が、百万馬力のロボットプルートウを作らせ、世界の7大ロボットに挑戦させる>というもので、鉄腕アトムでも一番人気のエピソードとか。(アトムはテレビで放送されたものを小さい頃になんとなく見たくらいなので、このエピソードについては調べました) 浦沢直樹さんが挑むアトムはこうなる。1巻の最後にゲジヒトは日本へ赴き、少年アトムに出逢って終ります。ううう、こんな蛇の生殺し状態でいったいどれくらい2巻を待たなければならないのだろう。アトムが可愛いんですよう。はぁ(惚れ惚れ)v ‘今’は、ゲジヒトが主役ですが、これからいったいどうなることやら。浦沢直樹さんの今後の料理の仕方が楽しみでたまりません〜。1巻は、愛されたロボット破壊事件を追うゲジヒトが会いに行く殺人ロボットが強烈です・・・。
私が犯人を捜します。 ロボットだろうと、 人間だろうと。 そいつには・・・・・・ 悪魔がやどっています。
『PLUTO1』 2004.11.1. 浦沢直樹 小学館
| 2004年10月15日(金) |
『バラ色の怪物』 笹生陽子 |
中学2年生の遠藤は始業式で貧血を起こしてしまう。奇人で有名な吉川ミチルが屋上で派手なパフォーマンスをした直後の事だった。遠藤は母子家庭。母の自転車が紛失したので真夜中過ぎまで探したゆえの寝不足のためだった。遠藤は倒れた時に眼鏡を割ってしまい、母に迷惑をかけずに自分でなんとかしようとアルバイトをはじめるのだが・・・
ほんの中学2年生の少年が体験する闇の世界。小さいながらも悪は存在するし、遠藤はいろんなものを見て考えて学び取っているのだと思う。ただ珍しく読後感が重苦しい感じがして意外でした。もう少し吉川ミチルにフォーカスあわせて欲しかった気がすることも残念。
闇を嫌って光を求める人の心はもろくて弱い。醜いものや不愉快なものに恐れおののく人々は、自分自身の醜さや愚かさを知ることもない。吉川はそれを知ったのだ。あの遊歩道で、はっきりと。目をそむけたくなるものたちから目をそらしてはいけない、と。
『バラ色の怪物』 2004.7.20. 笹生陽子 講談社
| 2004年10月14日(木) |
『あなたの石』 関口尚 |
桜井修二は盛岡市の石の花という店でアルバイトをしている。鉱物を扱うマニアックな店。修二はこの店でさまざまな人と関わり、恋愛をし、失恋をし、成長していく。
爽やかな青春純愛(?)小説です。読んでいて心が痛い所もあるけれど、それを乗り越えた先に爽快感があります。桜井修二という男性のまっすぐさや不器用さが心に温かく沁みこんでくるようです。
石の美しさが、少しだけ理解できたように思えた。見た目だけではない美しさが、石にはあるのだ。それはまるで人間の心の美しさや、生き方の美しさに似ているように。
『あなたの石』 2004.8.10. 関口尚 集英社
| 2004年10月13日(水) |
映画『スタンド・バイ・ミー』 |
1959年、オレゴンの小さな町の夏。もうすぐ中学生になる12歳の4人の少年の冒険と友情を描いた最高傑作。行方不明になっている少年が、列車に轢かれ死んでいるという情報をもとに、少年の死体を捜しに遠出する。ほんの2日間の冒険は少年達の心に忘れえぬ想いを残し、少年達はおとなに近づいた・・・
リチャード・ドレイファスが少年時代を回想する・・・。リチャード・ドレイファスは似た様な映画に出演していますね(笑)。あちらは少し大人版(アメリカン・グラフティ)ですが、あれもいい映画です。 この『STAND BY ME』の原作はスティーブン・キング。恐怖の大王のようなキングですが、『STAND BY ME』のほかに『ショーシャンクの空に』も素晴らしい。優れた書き手はジャンルを問わないということでしょう。 少年のほろ苦い想い出ものには弱くて。特にこの映画でクリスを演じたリバー・フェニックスがオーバードラッグで死亡したことも衝撃でした。リバー・フェニックスが23才のハロウィン(10月31日)のことでした。惜しい俳優さんを亡くしたものですね・・・。 ベン・E・キングが歌う主題歌『スタンド・バイ・ミー』は心せつなくさせる。泣けてくる。この季節に観たくなる映画なのです・・・。
| 2004年10月12日(火) |
『イタリア幻想曲 貴賓室の怪人�供戞‘眦長�夫 |
豪華客船‘飛鳥’で世界一周クルーズに参加している浅見光彦は、奇妙な因縁(兄・陽一郎が絡む)から、イタリア・トスカーナ地方にあるカッシアーナ・アルタという田舎町に赴く。若狭優子という女性が嫁ぎ、経営しているヴィラ・オルシーニを舞台に事件が起こった・・・
私が内田康夫さんを読む訳は、内田康夫さんを小説界の久米宏と認識しているからです。要するに知らずにいたニュースをわかりやすく題材に取り入れてくれて、「えーっ、こんなことが!?」と興味を抱かせてくれる。そして自分なりに調べてみる、という図式。 ご存知ですか? 聖骸布のことを。キリストの骸を巻いていたと言われる布。その布にキリストの姿が浮かび上がっていると言われるもの。これと言った宗教を持たない自分が圧倒されるほどのシロモノであります。このことを少し調べたことが今回の収獲でありました。 またヨーロッパは無尽蔵とも言える大理石による石の文化。対照的に日本は森林資源による木の文化。これが精神風土にも影響を及ばしたのではないかというくだりには大きく頷けます。パッと咲いてパッと散る潔い桜を愛する日本人の心はここからきているのかもしれませんね・・・。などとあれこれ考えさせられる内田康夫作品なのでありました。
信仰心のある者とない者とのあいだには、絶対的に相容れない距離があるらしい。
『イタリア幻想曲 貴賓室の怪人�供戞�2004.3.30. 内田康夫 角川書店
| 2004年10月11日(月) |
映画『メイド・イン・マンハッタン』 |
マンハッタンの五つ星ホテルで客室係りとして働くマリサ。お茶目な仲間にそそのかされ、お客様のドルチェ&ガッバーナの純白のスーツを着てしまう。その姿で時期大統領候補のクリスと出逢ってしまう。マリサのあまりの美しさと物怖じしない意見を言う姿に夢中になるクリス。しかし、マリサは本当の姿を知ったときクリスは・・・
『プリティ・ウーマン』の現代版ですね。ジャニファー・ロペス大好きっ。どうしようもない美形ではないところが特に好き(笑)v 階級というのはやはりどうしても存在していて、出逢うはずの無いふたりが出逢った時に恋の奇蹟が起こる。あまあまなラブストーリィは好きじゃないけれど、こういうサクセス・ストーリーみたいなラブストーリィは観ていて気分爽快。人恋しい秋にオススメです。
| 2004年10月10日(日) |
映画『フレディ vs ジェイソン』 |
エルム街の悪夢・・・殺人鬼フレディは、おとなたちの努力(隠匿)によって記憶から消えつつあった。悪夢を拠点に暗躍するフレディはこのままでは復活できない。地獄で悩みながら(笑)、フレディは気がついた。ジェイソンの悪夢に紛れ込み、こいつを操り、エルム街へ送り込むのだ。そうすればあそこの住人オレサマのことを思い出すはず。そして悪夢が繰り返し、フレディは好きなだけ人々に恐怖を与え続ける事ができるはず。しかし、ジェイソンがフレディの手を離れ、勝手に殺戮をはじめてしまった。慌てたフレディはジェイソンと対決する事になるのだが・・・。
わっはっは。おおいに笑かせていただきました。ふたり(?)のホラーキングに拍手。拍手。私は『エルム街の悪夢』シリーズが大好きでした。ホラーなのにコミカルだったりしたので。色合いも独特で楽しめた。かたや『13日の金曜日』シリーズは、おそらく一番はじめのものしか観ていません。闇雲に嬲り殺すタイプは好みではないのですじゃ。 世界を震撼させた2大殺人鬼の殺しい。勝つのはどっちだ?(笑) ただ、フレディとジョンソンのバトルは意外に生々しくて妙だった。不死身なのなら、あんなに傷つくものかいなぁ。でもおおいに楽しめましたv
| 2004年10月09日(土) |
『モザイク』 田口ランディ |
ミミは、移送屋。心のトラブルで引きこもっている人間を説得し、病院へ移送するという仕事。14歳の正也はいろんな情報を受信し過ぎるため混乱し、引きこもっていた。正也と知り合い、関わり、移送中に逃亡されてしまうミミ。「渋谷の底が抜ける」・・・人には聞こえない声を聴く正也が残した言葉だった。
盗作問題は詳しく知らないので、それは置いておくとして。こういう田口ランディの危ない話はいやになるくらい好き。こう言うと電波系と思われてしまうのかしら。決して猟奇的な犯罪を容認するわけではないけれど、壊れた心の持ち主の表現が妙にフィットする。ミミのようにアースとなる存在は現実にもいそうな気がするし。好き嫌いはバッツリ分かれるに違いないでしょうけど、それは仕方ない。内容が内容だもの。ヘンな世界だ。あいかわらず。
「救い? そんなもんはどこにもない。誰かが与えてやれる救いなど、どこにもない」
『モザイク』 2001.4.30. 田口ランディ 幻冬舎
| 2004年10月07日(木) |
USJ ビートル・ジュースのHAUNTED BEAT |
10月になるとハロウィーン気分でうきうき。やっと日本にも定着してきた悪霊たちのお祭り。去年に引き続き今年もUSJの HALLYWOOD HALLOWEENへ。狙いは勿論ビートル・ジュースのダンス・パフォーマンス。ニューヨーク・エリアにあるパークは、この時期ハロウィーンヴァージョンで不気味たるやこのうえなし。すっごく素敵。写真ここだけで撮りまくりん。ビートの利いた音楽とともに悪霊たちの大行進! ビートル・ジュースの声はどこから聞こえるのだろうと思っていたら、パークの天辺に発見(笑)。どのキャラクターも不気味でコミカル。中でも伯爵(吸血鬼だろうなぁ)がたまたま目の前で華麗にダンシング。これまた写真を撮りまくりん。3回角度を変えて見たけれど楽しかった! オススメは最終パレード。USJは宵闇に包まれ、ほろ酔い気分で悪霊たちとダンシング。また来年も絶対に行きたいv
| 2004年10月06日(水) |
WOWOW舞台『浪人街』 |
舞台は幕末。京都では新撰組が大暴れしている頃、江戸は荒れていた。浪人の荒牧源内は、自分の女(お新)に巾着切りをさせ盗ませたお金で気楽に遊び暮らしていた。美しいお新に惚れている浪人の権兵衛は、お新の働く居酒屋に、やはり浪人の赤牛と通い詰めていた。居酒屋の親父はお新の後見人。お新には遊び人の源内より、誠実な権兵衛と所帯を持って欲しいと願っている。 江戸の町では夜鷹が連続して切り殺されていた。その事件を目撃した居酒屋の親父が殺され、お新は仇討ちに向うが逆に囚われてしまう。心がない、気持ちがない、誠意がない、・・・ないないづくしの源内は果たしてお新を助けに行くのだろうか。
これは生で観たかった舞台です。キャストは豪華にも主演に唐沢寿明と松たか子。脇を伊原剛志と中村獅童が固めます。そして悪役に升毅、鈴木一真。源内を演じる唐沢くんを仇と狙う若武者に成宮寛貴くん。まぁ、よくもここまですごい顔ぶれのスケジュールを抑えたものです。 舞台はうまい役者さんばかりなので見ごたえ十分。あまり松たか子は好きではありませんが、役者さんとしてはうまい! 三人の主演級の男性陣のうまさは言うに及ばず。泣かせて笑わせて興奮させる舞台でした。アンコールの挨拶で「成宮くぅ〜ん」と黄色い声が飛んだときの、唐沢くんの反応がむっちゃらしくて面白かったです。うう、生で観たかった。
| 2004年10月05日(火) |
『妖魔なオレ様と下僕な僕』1〜3 椹野道流 |
三浪決定した正路はひき逃げに遭遇。とことんツイテイナイと思っていたら、あらら、僕ってば死にかけているようだ。足音が聞こえ、助かった!と思ったが、僕を見下ろす超美形は助けてやる代わりに僕になれと言う。その男(の姿をしたもの)はナント妖魔だった。ある方法で正路は‘気’を妖魔・司野に吸い取られながら、骨董屋《忘暁堂》にアルバイト兼居候となるのだが・・・
椹野道流さんのバリバリなボブ(ボーイズラブ)の物語です。奇談シリーズのアノふたりの展開はもどかしいほど遅いのに、こちらのふたりってばあっ!ちゅう間ですわ(大笑)。この司野は奇談シリーズにも出張ってます。鬼籍通覧シリーズの龍村さんも奇談シリーズに出張っているし、そういうリンクを楽しめてグー。いや、でも、しかし、これってあまりにアダルトにボブなので、そういうの好きな人にしか薦められないです。3巻通して読みましたが(現在4巻まで出ているはず)正路のある言葉をピックアップしておしまいv
「ううう。もう、お酒なんか絶対飲まない。一生飲まない」
『妖魔なオレ様と下僕な僕』1〜3 椹野道流 イースト・プレス
| 2004年10月04日(月) |
『黒を纏う紫』 五條瑛 |
近未来の東京は移民で溢れかえっていた。夜の繁栄をささえるためのエネルギー特殊物質を運ぶ運転手・鶴見。彼は特殊物質を運ぶ男たちに関するある噂におびえていた。ある夜に出逢った女とともに特殊物質をめぐる大きな陰謀に巻き込まれていくのだが・・・。
女性でここまでのノアールっぷりを描けるのは桐野夏生か、五條瑛かと言う感じですね。壮大な悪。どこまでやってしまうのと思わせる残虐さ。それでいてスマート。男性が書く性描写のえぐさが女性だと少ないからかもしれません。おもしろかったですv
「だがな、世の中ってのは、何でもそんなふうに思い通りにはいかないんだ」
『黒を纏う紫』 2004.2.29. 五條瑛 徳間書店
東急田園都市線の三軒茶屋駅から路地を縫うように歩くこと五分あまり。そこにその店がある。美味しいフードと美味しいお酒を出しながら、訪れた者の心に燻るわだかまりを綺麗に溶かしてくれる・・・《香菜里屋》が。
今回もマスター工藤の作る酒の肴に涎が出そうでした。そして図らずも涙までもが、だだだだーっとものすごい勢いで出てしまいました。それはタイトルにもなっている「蛍坂」でした。テーマは自分勝手に‘消えない昔の恋心’だと思ってしまいました。あぐあぐと泣けてしまった。ロックスタイルで呑むビールとともに私の心に残る消えない恋心も綺麗に昇華したいわ・・・。
「ええ。でも十六年の年月は、どれほどつらい思い出をもセピア色に変えてくれるだろう。なによりも、奈津実さんがすでにこの世にいないのだから、と」
『蛍坂』 2004.9.21. 北森鴻 講談社
| 2004年10月02日(土) |
『夏の名残りの薔薇』 恩田陸 |
沢渡家三姉妹(伊茅子・丹伽子・未州子)は、毎年秋になると山にある沢渡家所有ホテルへ特定の選んだ人間達を招待する。選ばれた招待客たちは三姉妹が個別に主催するお茶会に招かれたり、ディナーでは三人揃って恒例のかけあい物語を拝聴しなければならない。口を挟むなどもってのほか。残酷でグロテスクな彼女達の物語は、いったい本当なのか。嘘なのか・・・?
いやはや、進化する恩田陸。とんでもない話でしたー(かなり面白いv)! 陸ちゃんの好むクローズドな世界で起こる人間同士の葛藤は読んでいて唸りますよ。そして視点が次々と変わっていくから、また惑わされてしまう。うまい。視点が変わると主人公と脇役も代わるのだけれど、それでも魅力的な桜子。素敵(ため息)。 読み終わって感じたことは、現実というのは自分にとっては目の前のたったひとつなのだけれども、視点が変わればパラレルになってしまうってこと。あと記憶の曖昧さですかね。記憶は捏造され、改竄されていく。だから生きていきやすいのかもしれないな、なんて。
「だけど、終わりというのは始まりでもあるから」
『夏の名残りの薔薇』 2004.9.30. 恩田陸 文藝春秋
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