酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年03月31日(水) 『殺し屋ですのよ』 星新一(テレビドラマ「世にも奇妙な物語」より)

 特番で楽しみと言えば「世にも奇妙な物語」です。なにが楽しみかと言うと、その元となった話の原作! 今回はいきなり『殺し屋ですのよ』が映像化されていました。「世にも奇妙な物語」では、はずせない星新一さんのショートショート。
 観月ありさ扮する自称殺し屋が、職業上の守秘義務を破り、美貌を利用して男からお金を巻き上げるブラックユーモアあふるるストーリィ。なかでも時代錯誤な喋り口調は、星新一さんだなぁ〜と嬉しくなってしまいました。非現実感がいいのよねv
 「世にも奇妙な物語」での忘れられない星新一さんのショートショートのひとつに『穴』がありました。原作も映像も忘れがたい。しかも、いかりや長介さんが主演だったのですよね。あの時、長さんは役者になったんだと思ったものですが、12年も前の放映でした。吃驚。
 「世にも奇妙な物語」のおかげで知った作家(監督)さんのひとりに飯田譲治さんもいらっしゃいます。『ナイトヘッド』の起源となった「トラブルカフェ」と「常識酒場」のニ作品は、私的に「世にも奇妙な物語」のベストであります。あの衝撃も大きかった。岩井俊二さんの『ルナティックラブ』も豊川さま主演でよかったなー。
 これからも期待しちゃいますv



2004年03月30日(火) WOWOW『妄想代理人』#7 今敏(こんさとし)

#7「MHz」
 ホームレスの老女の証言で、少年バットは月子の妄想で、狐塚は模倣犯だと決め付け尋問をする猪狩。しかし名探偵(?)馬庭は、被害者が追い詰められた時に少年バットが出現することに気付く。そして捜査の暴走をする馬庭は、死んでいる狐塚を発見し、捜査からはずされてしまうのだった。馬庭は趣味の無線で世界中に向って発信する。「少年バットは存在する」と・・・。

 ますます妄想が加速し、謎がいっぱい。狐塚は自殺なのか? 少年バットの犯行なのか?? 追い詰められた人間の前に現れると確信した馬庭が誰よりも追い詰められているのにどうして少年バットは出現しなかったのか? うーん。今週は放送がなかったので悶々としてしまう。いったいどこに落とすのだろう。困惑。



2004年03月29日(月) 『1ポンドの悲しみ』 石田衣良

「ふたりの名前」
 サプリメントの箱の裏とは違い、男の背中には裸になっても恋の有効期限は印刷されていなかった。

「誰かのウェディング」
 でもわたしだってこのままいったら乾いていっちゃうだろうな。そう思うとなんだか怖くて

「十一月のつぼみ」
 あなたはわたしの心がからからに乾いてひび割れそうなときに、たっぷり水分を贈ってくれた。

「声を探しに」
 わたしだって三十をすぎているのだ。男を誘惑する方法だって、いくつかは実践で身につけている。だめなら、押し倒しちゃえばいいのだ。

「昔のボーイフレンド」
 こうした行為は、繰り返していけば自然に正しい形やタイミングが見つかるものである。

「スローガール」
 彼女と話すときは、言葉を選ばなければならないと思った。

「1ポンドの悲しみ」
 この世界や流れる時間をとめるには、きっとまだ自分の悲しみが足りないのだろう。

「デートは本屋で」
 本はひとつひとつが小さな鏡で、読む人間の心の底を映しだす力がある。

「秋の終わりの二週間」
 わたしはたとえ損でも、わたしのことをいつも気にかけてくれる人といっしょにいたい。

「スターティング・オーバー」
 そういうのは、ほんとうにもてるなんていわないんだよね。アルコールやニコチンやブランドものなんかと同じで、ただ男の人に依存しているだけ。


 若さの盛りを過ぎ、おとなになりかけている人たちの小さなささやかな恋愛の物語たちです。石田衣良さんのやわらかな暖かい視線が、10の物語から滲み出ていて心がほんわかしてくるよう・・・。人間は所詮はひとり。とことん孤独な生き物。でも自分が見つけ出した愛する人さえそこにいてくれれば、意外に生きていきやすいものなのかもしれません。ただ存在に依存するだけのインスタントで短命な恋愛でなく、心から慈しみたいと思える人が生きているしあわせを再認識させてくれる本でした。
 しかし、サイン会に登場する作家さんが、きっと石田衣良さん自身のことなのだろうと思えてちょっと笑えました。若作りで気障で優しいのね(笑)v
 とても心に暖かい短篇集です。心が疲れたおとなの方にオススメです。

『1ポンドの悲しみ』 2004.3.10. 石田衣良 集英社



2004年03月28日(日) 映画『殺人の追憶』

 1986年、韓国ソウル近郊の農村で猟奇的強姦殺人事件発生。雨の日にFMから「憂鬱な手紙」が流れると女性が殺されるようになった。手足を女性の衣服で縛り上げ、陵辱の挙句、女性の局部に桃やボールペンなどを残すような犯人だった。しかし手がかりはほとんど残されていない。
 地元の刑事パク・トゥマンは同僚の短気な男チョ・ヨングとともに容疑者を拷問し自白を強要する。ソウル市警から派遣されたソ・テユンは、暴力でねじ伏せようとするふたりに対し、冷静な分析で捜査をすすめる。
 たくさんの容疑者が浮かんでは消えていく。そしてついに有力な容疑者が見つかるのだが・・・。

 人間というものは物事にオチをつけてスッキリしたい生き物なのだなぁとつくづく思います。桐野夏生さんが犯人は誰だかわからないとか、謎は謎のまま終らせるもどかしい物語を書いては私は悶々とさせますが、この映画を見終わった後の壮絶な悶々さは激しかった。あいつは本当に犯人だったのだろうか? そしてこういう終り方で締めくくった監督の勇気にちょっと感動。もどかしさをありがとう。ふ。
 これは実際にあった連続強姦殺人事件をもとに作られているし、現実にも未解決なままだそうです。フィクションに変えていますが、実際にあった生々しい被害者の様子はそのまま表現したとか。また、暴力でねじ伏せようとしたり、証拠を捏造しようとしたりする警察官の姿も恐ろしかった。その恥部をそのままさらけ出した韓国映画の真正直さに唖然としました。そのくせ物語全体を通してユーモアやペーソスまで滲み出ていて・・・なかなかあなどれない映画なのでした。



2004年03月27日(土) 『そして、警官は奔る』 日明恩

 武本正純は、新宿・国際組織犯罪特別捜査隊から警視庁蒲田署刑事課の強行犯係に異動(させられていた)。武本の相棒は、和田弘一。ふたりは組みたくない相方ナンバー1と2らしい。和田のあだ名は冷血。武本のあだ名は鬼畜・・・恐ろしいコンビである(笑)。ある日、武本は幼児虐待の通報を受ける。そこから芋づる式に不法滞在外国人、戸籍のない子どもたちの姿が浮かび上がってくる。そして幼児ポルノ、幼児買春、幼児売買、・・・そんな存在を金に換えようとする組織。とんでもない現実にとまどう武本の前に現れたのは前回の事件で警察を去っていった潮崎だった。潮崎は風貌すら変わっていた・・・。

 ぶっちゃけて言えば、小説版「踊る大捜査線」って感じです。今の警察機構や法律の抱える矛盾に真っ向立ち向かっていて清々しい。登場人物の軸となる武本と潮崎は勿論、過去ゆえに冷血となった和田、温情の小菅など他のキャラクターも素敵です。誰より魅惑的なのはヒロイン羽川のぞみ。頭がよく美しく、やはり過去に囚われた女の心。このシリーズやっぱりいつか映像化だよなー。
 ほんのりしんみりよい小説です。世の中はきれい事ばかりではないけれど、それでも頑張って生きていく武本と潮崎の姿にパワーをもらえます。

「後悔という字は後で悔やむと書く。どうせ悔やむのならば、何もしなかったことを悔やむより、やってしまったことを悔やむ方がましだ。やるだけやって、その結果悔やんだとしたら、二度としなければ良い。泣いても喚いても明日は来る。明日を待つんじゃない、自分から迎えろ」

『そして、警官は奔る』 2004.2.29. 日明恩 講談社



2004年03月26日(金) 『勇気凛々ルリの色』 浅田次郎

 アホや・・・。まずこれが笑いながら言葉になってしまう感想。浅田次郎さんの10年前(1994年)のエッセイ『勇気凛々ルリの色』のことである。汽車で片道2時間ちょいかかるある温泉場までの道中読んだのだが、笑けて笑けて参ってしまった。このへんてこなオッサンが世にも素晴らしい名作『プリズンホテル』シリーズなどを生み出したのだなぁ。このオッサンの人生&性格だからこそ生み出された名作たちなのだなぁ。そう自然に納得できる浅田のオッサンのオバカエッセイ。
 でも10年前の事件やできごとについて浅田のオッサンが語ることは厳しく暖かくアホらしく胸をうつ。こういうものを読むと、やはり文は人なりだと実感する。浅田のオッサンはこんな人だったんだと是非未読の方は感じて欲しい。ますます浅田次郎作品が好きになるはず。

 まさか美貌の女性は、接吻の求めに対して嘔吐で応じるような無礼者がこの世にいようとは考えてもいなかったであろう。

『勇気凛々ルリの色』 1999.7.15. 浅田次郎 講談社文庫



2004年03月22日(月) 『壬生義士伝』下 浅田次郎

 吉村貫一郎は切腹。息子・嘉一郎はたったひとり父のために戦いに参戦する。吉村が守り続けた愛する妻と三人の子ども。嘉一郎だけは大好きな父のため若い命を捧げるのだった・・・。

 吉村貫一郎にかかわったさまざまな人たちから回想を聞くことで、吉村の人生が見えてきます。息子の嘉一郎のまっすぐな短い生き様には涙あふれてとどまることを知りません。愛とは家族とはこういうものなのだなぁと。
 映画で観た「壬生義士伝」は時間と構成の問題から(だと思います)、斎藤一と大野千秋のふたり語りで進められていました。上下巻からなる壮大な物語を短縮するにはうまいやり方でした。映画も原作もそれぞれのよさがあります。ただやはり原作から溢れ出るものの全てを映画では出し切れていない。吉村とその息子、そして吉村の竹馬の友・大野。そういう軸となる人たちの姿は原作でしか感じることはできませんね。
 生きるということを、愛するということを、根底から考えさせる物語でした。

 本物の男てえもんはね、そこがちがうんです。
 どんなにてめえより強え相手に立ち向かうときだって、本物の男はあすこまで気迫を見せることはねえ。本当に力が入るのはね、てめえ自身の心に立ち向かうときなんだ。

『壬生義士伝』下 2000.4.30. 浅田次郎 文藝春秋



2004年03月21日(日) 『壬生義士伝』上 浅田次郎

 慶応四年旧暦一月七日夜更け、大阪・盛岡南部藩蔵屋敷に満身創痍の侍がたどり着いた。侍の名は吉村貫一郎。貧しさゆえ口減らしのため自殺をはかった愛妻しづと子ども達に金を稼ぎ送るためだけに、南部藩を脱藩。人を殺し、殺し、新選組の隊士となった。守銭奴と蔑まれるほど金に執着し、その全てを家族に送っていた。そして、死を目前にしら吉村は命乞いをするのだった。蔵屋敷差配役・大野次郎右衛門は、吉村と竹馬の友。しかし、大野は吉村に「腹ば、切れ」と言い捨てるのだった・・・。

 新選組を違う角度から読んでみるということの面白さを感じました。時代が大きく動いたときに、ただひたすらに家族のためだけに生きた男の物語。全てに秀でた男が、貧しさに命をかけて戦う姿に本当の「誠」を感じます・・・。

 貧と賎と富と貴とが、けっして人間の値打ちを決めはしない。人間たるもの、なかんずく武士たる者、男たる者の価値はひとえに、その者の内なる勇気ときょうだとにかかっているのだ、とね。

『壬生義士伝』上 2000.4.30. 浅田次郎 文藝春秋



2004年03月20日(土) 映画『六月の蛇』

 りん子は電話相談室でさまざまな人の相談に乗っている。ある日、「死のうと思っている」という男の電話を受ける。鼻にかかったセクシーな声でやさしく対応するりん子。しかし、美貌の若妻りん子は潔癖症の夫に触れてもらえない。夫の心がわからない。なのに他人の心は理解している・・・。りん子は自分で自分を慰める。その写真を連写して写され送りつけられた。送り主は死にたいと言った物しか写せないカメラマンだった。一緒に送られてきた携帯電話の指示でりん子は世にも恥ずかしい行為を強いられる。だが、同時にその行為は殻に閉じ込められていたりん子をより美しく解放するのだった・・・。

 すごーくエロいです。そして好みなエロさっぷり。主演の若妻を演じた黒沢あすか(さんだったと思う)がかなりいい。殻に閉じ込められたお堅い女教師ふうもセクシーだし、墜ちていく顔つきの妖艶さたるや生唾もの。なにより声がたまらなくいい。見た目が絶世の美女ではないにもかかわらず、超いい女系です。ぞくぞくぞく。
 この映画は、ベネチア国際映画祭受賞作品であり、イタリアで大絶賛だったそうです。恥辱的行為を強いられ、快感に転じ、解放される。ありそうです。セックスが全てとは言いませんが、とても大事なことだと心も身体も感じています。満たされる行為は必要不可欠。

 六月の雨が世界をを濡らし、欲望の蛇が青い都市に放たれる。



2004年03月18日(木) 映画『毎日が夏休み』

 スギナは中学2年生。ただいま登校拒否中。いじめにあっている友人を助けたら、今度は自分がターゲットにされてしまったのだ。母にお弁当を作ってもらって元気に登校のふり。新興住宅地ならではのエアポケットのような公園で早弁だ。植木の向こうのベンチにナント義父がいた。義父と母は再婚同士。言わばスクラップな家族。エリートまっしぐらな父は会社を辞めていた。優等生の娘の登校拒否とエリート亭主の突然の退職に衝撃を受ける母。しかし、義父とスギナは何でも屋をスタート。エリートな義父のあまりにもなにもできない姿にスギナは俄然親近感を覚える。3人3様に頭を打ち、悩み、認め合い、補い合い、本当の家族になっていく・・・。

 中学2年生の少女が登校拒否のまま大きくなり、成功する・・・。これはファンタジーならではですね(原作はマンガだけど)。エリートの仕事人間の義父が日々の生活で経験することから人間らしさを取り戻していく。ここはとても素敵だと思うのだけど。中学2年の少女が“毎日が夏休み”と生きていくことには抵抗がある。やはり私は常識人なのかしら。うーん(悩)



2004年03月17日(水) WOWOW『妄想代理人』#5、#6 今敏(こん・さとし)

#5「聖戦士」
 巡査部長・蛭川が逮捕した少年バットは小学生ではなく中学生だった。狐塚誠はゲームにはまり、自分を“悪のゴーマと闘う聖戦士”であると妄想していた。脈絡のない空想の世界に猪狩はついていけない。しかし若い馬庭は、話を合わせ狐塚から供述を取っていく。そして最初の事件の鍵を握るホームレスの老婆の存在に気付くのだった・・・。

#6「直撃の不安」
 大型台風が直撃しつつある中、猪狩と馬庭はホームレスの老婆を発見。同時刻、蛭川巡査部長の娘・妙子は台風の中を彷徨っていた。念願のマイホーム。大好きなおとうさん。なのに新しい部屋は父親によって盗撮されていたのだ。
 猪狩と馬庭は老婆から重要な証言を引き出す。月子の事件の時にあたりには誰もいなかったと言うのだ! 妙子は、台風で家を流された父親からの電話に怒り狂い、自分の全存在を否定するのだった。
 猪狩と馬庭に呼び出され、狂言を疑われる月子は・・・。
 病室で父・蛭川に対して妙子は・・・。

 うーむ。そうきますか(悩)。少年バットに襲われた人たちは何かに追い詰められている状況で、襲われたことによって少しだけ安堵しています。しかし存在するはずのない犯人・・・むー、おもしろいv
 少年バットを逮捕した悪徳警官・蛭川は、ホテトル嬢などに「おとうさん」と呼ばせる変態でしたが、愛娘の部屋を盗撮して娘の裸を見ているとは吃驚でした。娘も現実逃避するよなぁ・・・。
 6話まで進みましたが、登場人物たちがなんらかのかかわりを持ち、影響しあっている感じがします。一番気になるのはタイトルバックで地球のあちこちで原爆が落とされていることなんです・・・。うー。最後まで妄想は加速しっぱなしなのかなぁ。

WOWOW『妄想代理人』#5、#6 今敏(こん・さとし)



2004年03月16日(火) WOWOW『恋愛小説』

 宏行は法学部4回生。仲間の卒業旅行の誘いに渋っていた。彼女の浮気が原因で別れたことが原因。彼女も旅行には行けないと言っているらしい。ある日、電車の中で2回生の時、宏行が《透明人間》とあだ名をつけた聡史から声をかけられる。聡史は、宏行に遺言書の作成アルバイトを依頼。豪邸に独りきりで住む聡史のもとへ資産鑑定のため宏行が通い始め、ふたりは少しずつ打ち解けていく。ふと宏行が聡史の恋愛について訊ねた時、聡史は自分の宿命と哀しい恋愛経験を語るのだった・・・。

 小さな頃から、自分が愛する者達が次々と死んでいく。自分を《死神》と呼び、人とのかかわりを一切断った男。そんな男が恋をする。ピュアで美しくやんちゃな女性に。愛しくてしあわせで・・・それでもまた神は彼の手から彼女を奪い去っていく。今度は病死で。そんな哀しすぎる男に友情を感じた男は、彼の企てを阻止する。そして階段から転がり落ちて・・・。
 泣けました。たったひとり愛する人が病死しただけでボロボロだった私には、過酷な宿命を背負った聡史の心がよくわかる。もう誰も愛さない。でもひとりは寂しい。辛い辛い恋愛物語でした。

WOWOW『恋愛小説』



2004年03月15日(月) 『抜頭奇談』 椹野道流

 前回の『海月奇談』で瀕死の状態になった敏生は、エージェント早川さんのプレゼントで愛する森さんと下呂温泉へ湯治に出かけた。ぬかりのない早川の選んだ旅館は最高。後から龍村さんも合流する段取り。しかし、そこには妖魔の骨董屋・辰巳司野が来ていた。司野に助けられた恩のある敏生と森は、否応なく司野の事件に巻き込まれていく・・・。

 ふふふ。ラブラブボブな森さんと敏生は今回は湯治先の温泉でいちゃついています(笑)。しかし、そこはほれお約束。邪魔者が次から次へと(大笑)。人のいい優しい敏生は鈍感にも森さんの嫉妬に気付くこともなく、喜んで事件の渦中へ飛び込みます。そして事件を納めるのはやっぱり苦労人の森さんなのでした。アハハ。
 今回、一番気になったのは前回やはり消滅しかけた森の式・小一郎の復活でした。小一郎の復活にそっと涙。よかったー。

「人間の幸せの形って、きっと人それぞれだと思うんです。でも・・・・・・僕、上手く言えませんけど、人間って、大切な何かに巡り合うことができて、それを守ることができたとき、いちばん幸せなんじゃないかなあって」

『抜頭奇談』 2003.12.5. 椹野道流 講談社X文庫



2004年03月13日(土) 映画『私たちが好きだったこと』

 競争率76倍!の公団マンションに当選したヨシは、友人のロバと共同生活することに。最上階の見晴らしのいいマンションはごきげん。ふたりが祝杯をあげているBARへ美女二人が入ってきた。同席し、盛り上がる4人。酔いに任せてマンションで呑みなおす。そして翌日、美女のヨウコとアイコが引っ越してきた。昨日の宴で4人で住むことになったのだと言う。人のいいヨシくんは渋々奇妙な同居生活をはじめるのだったが、アイコは極度の不安神経症だった。今までヨウコひとりで守ってきたアイコを3人が支えることになる。そしていつしかロバくんとヨウコ、ヨシくんとアイコという組み合わせが生まれたのだが・・・。

 7年前の映画。ほんの7年の間に時代背景が様変わりしていることに驚きます。映画の中では携帯電話はなく、アイコがすがるのは公衆電話。服装もメイクも今とは違う。時代の移り変わりが速いなぁ。
 物語は宮本輝さんの原作で岸谷吾朗さんが気に入って企画したそうです。せつない大人の男女の恋愛映画です。軽妙洒脱な岸谷さんが見せるシリアスな演技がとても好感持てます。
 アイコという美しく精神的に不安定な女性を軸に周りの人間達は生きる。アイコは人の支えなしには生きられないし、周りの人間もアイコを支えていることに依存してしまう。すごくよくわかる・・・。
 アイコの最後の決断は女ならではのいやらしさ・卑怯さが滲み出ているし、それを許す男の優しさ弱さも愛しかったなぁ。いい映画や・・・。



2004年03月12日(金) 『魔女の帽子』 上野歩

 小山奇子(あやこ)と言う少女の中学生から大学卒業の頃までの物語。奇子は日本に住んでいる朝鮮人として、差別され続ける。いったい自分は何者であるのか問いかけながら葛藤しながら生きていく・・・。

 童話を書く人だと思っていたので(タイトルも表紙も童話ちっくだったし)物語の息苦しさに驚いてしまいました。しかもこの物語は作者・上野歩さんの自伝的物語と言うことです。あまりにリアルな描写も納得しました。
 差別はいけないことだと認識していても、大勢がやることに右へ習えしてしまいがちな自分がいます。それは間違っている!と指摘することで今度は自分が除外されるのではないかと言う怖さもある。結局は人が人として基本的に差別や偏見を捨て去らない限り、どうしようもない問題なのかな、と悲しくなりました。

 高橋温子や安田道子のような人間は、自分がもし朝鮮人に生まれていたら、などとは決して考えたりしない。
 それは想像力の欠如だ。相手の身になってものを見ると云う想像力の欠如。

『魔女の帽子』 2004.3.15. 上野歩 新風舎

 



2004年03月11日(木) 『ビッグボーナス』 ハセベバクシンオー

 おれ(東俊哉)は、「トリプルセブン」という会社でパチスロの攻略情報を売っている。ある日、ライバル社「東栄企画」からダーティハリーのネタが流出。試しに買ってみるとこれが本物。このダーティハリーは東がいた会社「ダッシュ電子」の新台だった。東は、このネタを売って売って売りまくるのだが、東栄企画にばれヤクザがしゃしゃり出てくる。絶対絶命のピンチを東は切り抜けることが出来るのか?

 文句なく面白いっ! ギャンブル、しかもパチスロなんてまったく知識は無い私にもじゅうぶん楽しめる物語でした。文章のテンポがすごくいいのですよ。主人公のある人に認めてもらいたい気持ちが切実に伝わってくるし。ギャンブルって怖いなぁ。ギャンブルをネタに稼ぐ人はいいけれど、ギャンブルで稼ごうとはまってしまうと泥沼かもしれない。

 「相談して答えを出してくれなくても、話すことで、頭の中が整理できるって」
 それに人と話していると、自分の中で曖昧だったものがハッキリしたり、意外なアイデアが出たりするときもある。

『ビッグボーナス』 2004.2.27. ハセベバクシンオー 宝島社 



2004年03月10日(水) 映画『壬生義士伝』

 幕末、京都で壬生の狼と呼ばれた《新撰組》が誕生した。腕自慢の男たち。そこへ吉村貫一郎というひとりの風変わりな男が入隊してきた。貧しいなりで、お金と命に執着するさまは新撰組では異質だった。しかし、吉村の剣は何人もの人を斬ってきている、と斉藤一は気付く。斉藤は吉村を毛嫌いしながらも、だんだんと吉村を認めていくのだったが・・・。

 日本アカデミー賞で織田裕二の三度目の正直を阻み、主演男優賞に輝いた人がこの吉村貫一郎を演じた中井貴一さんでした。あの時は、この映画を観ていなかったため、織田裕二もアカデミーに嫌われているんだなぁ・・・などと見当違いな感想を抱いていました。それは大きな間違いで、主演・助演ともにこの『壬生義士伝』のふたりが受賞できたのは当然だった、と映画を観終わってから認識を改めました。
 中井貴一という俳優さんは好みではありません。しかし、この役はハマリ役・当たり役だと思います。愛するものたちのために必死になって生き、稼ごうとする姿は美しい。《新撰組》の男たちの中にあってこそ際立つ美しさと言えるかもしれません。
 邦画も捨てたものではない、最近心からそう感じます。観ていない方は是非にご覧いただきたい。



2004年03月09日(火) 『水底の森』 柴田よしき

 刑事・遠野要は、顔をつぶされた殺人事件に遭遇。その家の主は、高見健児・風子夫妻だったが、死体の男は背丈からして高見ではなさそうである。その部屋ではフランソワーズ・アルディの「もう森へなんか行かない」というシャンソンがエンドレスにかかっていた。遠野が調べるうちに、死体の男は高見健児であるが、風子と暮らしていた高見健児ではないことが判明。いったいこれは・・・。遠野はかつて身体をかわしたことのある風子を追いかけ、ある出来事から風子と逃避行をはじめてしまうのだった・・・。

 遠野が事件を追う過程で、風子という女性の数奇な人生が浮き彫りにされていきます。自分の確固とした意思がなく、ただひたすらに流され、愛されることを求めた女。飛びぬけた美貌を持たぬ風情は男の保護欲をそそり、一度関わると虜になってしまう。こういう魔性の女って言うのは、もしかすると絶世の美女ではないのかもしれないな、と思わされました。
 ここまで事件が起こる女性と言うのは、呪われてる。まぁ結局そこを楽しんで読んだのですけれど・・・。こういう物語は面白いけれどなんだか少し暗さをひきずってしまいます。

 死に別れってのはだめなんだよ、想い出が消えないから。

『水底の森』 2004.2.29. 柴田よしき 集英社



2004年03月08日(月) 『チェーン・メール 《ずっとあなたとつながっていたい》』 石崎洋司

 さわ子は、中学1年生。おじょうさま学校に通うさわ子たちの朝の挨拶は、『ごきげんよう』・・・そんな慣例にさわ子はついていけない。周りからも浮いてしまっている。ある朝、携帯にゆかりという女の子からメールが届いた。タイトルは「虚構の世界でいっしょに遊びませんか」だった。ストーカーに狙われる少女の物語を4人の配役を決めて進めていこう、という内容。さわ子は興味を示し、ヒロインのストーカーに狙われる少女を選ぶ。その名も「さわ子」だ。ストーカー役は、送り主のゆかりに決まっていた。残りふたりさわ子のBFと女刑事も決まり、物語は加速していく。そして現実にも不気味な影が忍び寄ってくる・・・?

 まわりとうまくやっていけない女子中学生たちが、携帯電話を通じて物語を作りあいながら、見知らぬ相手とつながろうと必死になる。寂しい心を抱えた少女達の物語を作ることへの熱中ぶりが痛々しかったです。しかし、おおまかな骨組みを提供して役柄になりきって物語を進めていくって面白い行為だと思いました。なにかでやってみたい、と考えてしまった。
 人と微妙に違っている自分を羞じることはない、と建前では言えます。でもたかだか中学生の少女達にそれを貫けというのは可哀想なことかもしれない。個性を個性と認める状況が必要なのでしょうけど。うーん(悩)。

 みんなで
 お話を作るの。
 知らない人が
 みたら、
 びびっちゃうような
 こわい話にするの。

『チェーン・メール 《ずっとあなたとつながっていたい》』
 2003.12.10. 石崎洋司 講談社  



2004年03月07日(日) 『残虐記』 桐野夏生

 生方景子が失踪した。ある原稿を残して。その原稿には景子が遭遇した25年前の監禁事件について赤裸々に綴られていた。10歳の時に男に誘拐され、監禁された少女のおぞましい戦いの記録だった。しかしラストで語られるもと少女の真実とは・・・。

 まったくもう桐野夏生という人はなんてモン書いてしまったんでしょう。本当にあの図太いまでの創造力には敬服する。たぶんこれは新潟で起きた少女誘拐監禁事件をベースに書かれたのだと思います。最近、桐野さんの小説を読むと自分の想像する力を試されている気がする。読みたくない人、ついてこれない人はそれでいいのよーって感じがパシパシと伝わってくる。空恐ろしいほど強い女性だ。そして私は誘蛾灯に引き寄せられた蛾のように桐野さんの紡ぎだす物語を読まずにはいられない。吸引力はすざまじい・・・。
 物語は、作家へのある男からのファンレターではじまります。無学な男の必死な想いをこめた手紙は背筋が寒くなります。こんな手紙を読まされたら、過去に引き戻されてもしかたない。作家が思い出す薄汚い部屋での男の奇妙な卑しいさまざまな行為。誰にも語らなかった真実を書きはじめたとき、作家の中でなにかが壊れてしまったのだろうか。
 ラストは本当にひどい桐野さんらしく、自分でお考えなさい方式です。ううう。だから私は妄想する。あの作家がどこへ行ったのか。なにをやろうとしているのか・・・。

 私も宮坂も、あの事件に何かを奪われたのだ。それは以前、宮坂が言ったように現実の姿というものだったのかもしれない。私たちは想像に魂を奪われたのだ。

『残虐記』 2004.2.25. 桐野夏生 新潮社



2004年03月06日(土) 『図書館の神様』 瀬尾まいこ

 清(きよ)は、過去にあった出来事のため心に傷を持っている。体育会系ばりばりの人生だったのに、国語講師としてある高校へ赴任した。部員がたったひとりの文芸部で顧問となる。部員の垣内君はスポーツマンタイプなのに文学青年だ。国語教師のくせして文学に興味をまったく持たない清だったが、垣内君とかかわるうち文学に目覚めていく・・・?

 清はある友人の死に負い目を感じていて、逃げるように海辺の町へ引っ越します。そこで付き合っている男性は既婚者。不倫はいけないと思いつつ、寂しさを考えると別れる勇気が出ない。清の優しい弟は週末になると海を見にやってくる。垣内君もちょっとだけ心に傷があり、文学に逃げているかもしれない。清と弟と垣内君がいいです。とても。とても。清の不倫相手は好きにはなれないなぁ。正直だから許されるってもんじゃないだろー(怒)と思ってみたり。
 人の死に関わった時、大なり小なり心に傷は生まれるし、ましてや自分に原因があるかもしれない、なんて思うと苦しくてしょーがないと思う。でも清は垣内君と出会って再生できてよかったなー、ほのぼの。心が温かくなる物語です。

 神様のいる場所はきっとたくさんある。私を救ってくれるものもちゃんとそこにある。しばらく海は見られないけど、違ったものが私を待っている。

『図書館の神様』 2003.12.18. 瀬尾まいこ マガジン・ハウス



2004年03月05日(金) 小説『ゲロッパ!』 井筒和幸

 薬と売春をやらないヤクザの親分、羽原はジェームス・ブラウンが大好き。弟分の金山といつでもどこでも踊りだしてしまうファンキーなヤクザ。そんな羽原は5年間のお勤めに入る数日前、組を解散すると言い出した。大好きな親分のために子分の太郎たちは来日しているジェームズ・ブラウン誘拐を企てる。しかし、太郎たちが拉致してきたJBは、羽原の生き別れの娘かおりが招聘したソックリさんだった。会いたくて会いたくてたまらなかった人、それは娘のかおり。偶然に再会した羽原とかおりは・・・。

 やぁーん(黄色い声)、馬鹿馬鹿しいけど面白いよ〜。好きだなぁ、こういうのv 大好きな常盤貴子が出ていたので観たかった映画『ゲロッパ!』ですが、見逃してしまい、今回小説を読みました。キャスティングを知っているので映像を浮かべながら読んでいたら、たまらなく映画を観たくなってしまった。ううう、レンタルか。西田敏行はこのヤクザの親分をキュートに演じているんだろうなぁ。そしてキッツイ美人のかおりは常盤貴子にぴったりだわ。これはキャスティングの勝利だろうな〜と映画を観ても無いのにそう思うのであった(笑)。観るわよ、絶対に。

 明日を生きろって、明日を見るために、起きろって。

小説『ゲロッパ!』 2003.8.16. 井筒和幸 ソニー・マガジンズ



2004年03月04日(木) 『雪ひらく』 小池真理子

「ほの暗い部屋」
 美枝子は洋服のリフォームや仕立てをして生計を立てている。鬱蒼とした竹のおいしげる、ほの暗い家で。この家に暮らして八年。さまざまな男たちが通り過ぎていった。44歳。友人には男に都合のいい女、と言われようと美枝子はそんな生き方をさりげなく貫いていくのだった・・・。

 6つの恋愛玉手箱、まさにさまざまな女の情念が6つぎっしりみっしり詰まっていました。秘めた関係を断ち、故郷へ帰る女。愛してくれる旦那だけで満足できない女。死ぬ間際まで男との恋愛を繰り返す女。40歳、50歳、60歳、・・・いくつであろうと女は女。恋愛は若い時代の特権ではなく、むしろ年を重ねただけ重く深い恋愛を堪能できるのかもしれません。恋する悦びと哀しみを知り抜いた女たちの恋愛物語は素敵でした。小池真理子さんの物語では一番お気に入りとなりました。

 このひとときが永遠のものであってほしい、と願いながらも、心の底ではそんなことはあり得ないとわかっている、男と女のそんな切なさこそが好きなのだ。好きで好きで、たまらないのだ。

『雪ひらく』 2004.1.10. 小池真理子 文藝春秋



2004年03月03日(水) 映画『エンジェル・アイズ』

 シカゴ警察のシャロンは、交通事故で大破した車の中の男に必死で呼びかける。「Stay with me!」と。そして1年後、あいかわらずシャロンはハードな仕事をこなしていた。外見の美しさとは裏腹な気の強さ。シャロンには心に傷を負っていて、人に心を開くことができないのだった。そんなシャロンの危機を救った男がいた。街をさまよい歩くキャッチ。ふたりは互いに惹かれあい、お互いの心の傷を知る・・・。

 ジェニファー・ロペスがとてもいい役を演じています。父親や家族との確執から心を閉ざした女。しかし、ある男に出逢い、恋をするにつれ、まろみを帯びた優しい表情になっていく。
 恋するふたりがふたりとも過去に大きな荷物を置いています。その荷物をどうするか。ふたりが出逢って愛し合えたとき、奇跡は起こるものなんだなぁ、と感動しました。キャッチを演じるジム・カヴィーゼルは、優しいきれいな瞳の持ち主で、ジェニファー・ロペスが相手役に切望したのもうなづけます。汚いなりした浮浪者同然の男なのに魅力的なんです。
 あまあまなラブ・ストーリィではないところがお気に入り。愛は力を与え、明日を連れてきてくれる。



2004年03月02日(火) オスカーの夜

 WOWOWで独占生中継された76回アカデミー賞を見ました。ビリー・クリスタルがホストに返り咲き。導入のパロディ(アカデミー候補作品の)でビリーがさまざまな役に変身していて見事でした。ゲストにジャック・ニコルソンが出てきて吃驚〜。綺羅星たちの前でコンダクターとなり、歌って踊って笑わせるビリーこそが一番の幸せな俳優なのかもしれません。なんたってミュージカル仕立てでクリント・イーストウッドの膝の上に座っちゃうんだもの。キレイな女優さんたちはみんなビリー・クリスタル夫人だし(大笑)v
 プレゼンターも豪華でした。やはり女優たちのゴージャスないでたちに目が釘付け。私的に一番美しいと感じた女性は二コール・キッドマンでした。凄みを増した美しさでした。次にきらきらしてたのはアンジェリーナ・ジョリーかな。女優って旬の時期が男優より短いから、その年の勢いが歴然とする。一世風靡したジュリア・ロバーツはもうそんなに魅力を感じない(あ、ファンの方、ごめんなさい)。
 さて、圧巻だったのはノミネートされた賞をのきなみさらっていった『ロード・オブ・ザ・リング』でした。ただ俳優さんたちが誰ひとりノミネートされていないのは気の毒だった。まぁ、あれって人間を越えてるから。
 注目は助演男優賞と主演男優賞。『ミスティック・リバー』のティム・ロビンスとショーン・ペンがふたりダブルでオスカーを手にしました。ティムはオスカー象を手にして「Oh,Boy!」と目をうるうる。あのでっかい身体で童顔のティムが可愛らしかったな。感動的だったのは、「暴力の犠牲者は助けを求めて欲しい」と語ったこと。彼が演じた役は虐待(レイプ)を受けた男でしたから。泣けました。そしてショーン・ペンがオスカー、会場はスタンディングオベーションでした。あれってすごい光景だった。あのやんちゃな悪たれショーンがいい男になったもんだ。感動する男っていいねv
 
 スターがスターをリスペクトし讃えあう。そういう光景は何度見ても素晴らしい。だから私はアカデミー賞が好き。
 



2004年03月01日(月) 映画『GOTHiKA(ゴシカ)』

 美人精神科医ミランダは、ある雨の夜、自動車事故(?)で記憶が混濁。気がつくと夫殺しのため、自分が勤めているウッドワード女子刑務所精神科病棟に収容されていた。科学を信じ、霊など信じなかったミランダだが、さまざまな体験をし、戦い、変化していく・・・。

 うー、これは「サイコ・サスペンス・アクション・ホラー」です。この4つの単語が全て詰まっているのですもの〜。CMの恐ろしさは映画ではありません。そういうホラーではないのです。恐いのはいつの世も生きている人間ってことですね。
 どのジャンルとして観るかで感想(もしくは好き嫌い)が分かれてしまうかもしれませんが、融合された出来のよさは感じました。個人的にはとてもとても面白かったですv
 残念だったのは、ペネロペ・クロスの出番が少なかったこと。悪魔にレイプされると訴える囚人なのですが、彼女をもっと出して欲しかったなぁ。ハル・ベリーは脚の姿がよくないから矯正するべきだ。

 Not Alone - ひとりではない。



酔子へろり |酔陽亭酔客BAR
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