酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年01月31日(土) |
『約束の地』 平谷美樹 |
フリーライターの高木琢己は、新城邦明という青年の訪問を受ける。かつて琢己が書いた《超能力者たちの日常》のデータ収拾をしていたウェブサイト《超能力同盟》に書き込みをしていたひとりだった。邦明は本物のサイキック。そして《超能力同盟》に参加していたメンバーの中の本物のサイキックを琢己に探し出して欲しいと依頼する。過去におこした過ちの贖罪と好奇心から、琢己はそれを引き受ける。ひとり、またひとり、と邦明のもとに集まるサイキックたち。しかしながら、人間を卓越した能力を持つ彼らと普通の人間達の間にある溝は深かった。邦明たちは自分達が自分達らしく生きることのできる“約束の地”へたどり着くことができるのだろうか?
久々に血がたぎり、燃えましたねー。すっごい面白かったです。人間の瑣末さと言うか、愚かさと言うか、小さいなぁと恥ずかしくなりました・・・。 超能力の物語は、古くは小松左京さんの『エスパイ』、筒井康隆さんの『七瀬シリーズ』、宮部みゆきさんの『龍は眠る』、大好きな飯田譲治さんの『ナイトヘッドシリーズ』や『アナン』などが心に残っています。マンガで言えば一条ゆかりさんの『こいきなやつらシリーズ』も好きだなぁ。映画では『キャリー』、最近では大ブレイクした貞子ちゃんの『リングシリーズ』もありますねー。おお、忘れちゃいけない『グリーンマイル』! でも、どの物語でもサイキックたちは迫害され、苦労しています。出る杭は打たれる、ってことなのでしょうか。 普通の人間には計り知れない能力。例えば心を読まれ、物を動かし、未来を予知し、時間旅行さえしてしまう。そういう卓越した存在を恐れ、抹殺しようとする。それは結局ホラーにも通じると思うのですが、“理解できない恐怖”ゆえだと思うのです。人間って自分に認識できること理解できることを越えると、それに畏怖し、排除しようとする。 この『約束の未来』も、人間との共存はなく、破滅(戦い)へと向います。これって仕方ない気もしますが、あまりにも辛すぎる。もしもサイキックが存在するとしたら、やはり息をひそめ、静かに埋没するように生きているのだろうなぁ。面白い!と思いながら読みすすめ、最後にせつなくなる。そんな物語でした。
「未来は変えられる。過去は引きずって行くしかない・・・・・・か」
『約束の地』 2003.6.8. 平谷美樹 角川春樹事務所
| 2004年01月29日(木) |
『EXIT』 雨宮処凛(かりん) |
リスカ、アムカ・・・リストカットにアームカットなど自傷行為を自らのホームページで赤裸々に綴る少女・恵。BBSやジジョ(自助)で暴走していく人人人。恵のEXIT(出口)はいったいどこにあったのだろう・・・。
新潮ケータイ文庫でアクセスナンバーワンを続けた小説だそうです。著者の雨宮処凛(かりん)さんは、『生き地獄天国』や『自殺のコスト』などで自分の人生をあっけらかんと書いているそうです。(私は未読なのですが) 日常で狂気と冷静さの間に苦しむ少女達の苦しみは痛々しいほど伝わってきます。なんて言えばいいのか・・・ここまでどろどろ苦しむ若い人たちがいるってことが私にとっては狂気。現実の自分を見つけて欲しいと思いました・・・。心の痛みに体の痛みにEXIT(出口)を見つけられますように。
生身の人間の言葉には、どうしてもその裏の裏にあるものを読んでしまう。どうしても言葉にある刺を意識してしまう。
『EXIT』 2003.11.25. 雨宮処凛 新潮社
| 2004年01月28日(水) |
『破壊する男』(コールドスリープより) 飯田譲治 梓河人 |
若葉夕里子はモデルルームのようなマンションを手に入れた。口の悪い親友・山口令子はずけずけとバカにするが、夕里子は意に介さない。愛する優しい旦那さま光一と新居。まさに幸せいっぱいの結婚生活だった。しかし、1点だけ光一に不満があった。それは光一の変わったアンティークコレクション。光一がうっとりと愛でる人形は古く真っ黒で体中に何十本もの釘が刺さっているようなシロモノだった。ある日突然、夕里子の承諾なしに光一はホビールームを作り始めた。業者の男ふたりはうさんくさい。そして夕里子の悪夢がはじまった・・・。
おっもしっろーい! 飯田譲治&梓河人ばんざーい!! 思い起こせば、テレビドラマ『世にも奇妙な物語』で「トラブルカフェ」と「常識酒場」が飯田譲治さんとの出逢いでした。のちにそれは『ナイトヘッド』となり、ますます私の心をつかみ、『アナザヘブン』や『アナン』でとりこにされたのでした。長い付き合いだなぁ。 この『破壊する男』は、ダークサイドに惹きつけられ、周りも自分も破壊していく男の物語です。『アナザヘブン』がそうだったように、人間は善なるものに対してだけではなく、悪なるものにも惹かれてしまう。私自身、ホラーやサイコに惹きつけられる。だからこういうダークな物語を描かせたら、このコンビは天下一品ですね。人ってねたみもすれば恨みもする。哀しいけれど、それもまた人。
人の心とは、この世のなによりも恐ろしい。
『破壊する男』(コールドスリープより) 飯田譲治 梓河人 角川ホラー文庫
| 2004年01月27日(火) |
『イリヤの空、UFOの夏』その2〜その4 秋山瑞人 |
尾行されながら、初デートにどぎまぎな浅羽とイリヤ。迫り来る文化祭でフォークダンスをふたりは踊ることができるのか?(2巻) 浅羽を巡り、恋の火花を散らすイリヤと晶穂。いつしか大食い対決となり、「鉄人定食」なるとんでもないシロモノで死闘を尽くす。そしていつしか芽生えるそこはかとない友情?(3巻) イリヤの正体と宿命を知り、イリヤをつれ逃げ出す浅羽。小さな恋の逃避行。しかし、たかだが中学生の浅羽には荷が重く、イリヤの依存に爆発してしまう。そして壊れてしまうイリヤの心。ふたりの夏は終っていく・・・(4巻)
ボーイミーツガール。そんなありきたりな恋であったなら、こんなせつない読後感は抱かない。なんとも涙がほろほろ伝ってしまうラストでしたわ。辛かった。 でも面白いです。確実にいい物語だと思った。ただ個人的に言えば、その生い立ちゆえとは言えども、イリヤの浅羽への依存と執着はちょっとどうだろう。常軌を逸脱している気がする。幼いから、初めてだから、一生一度の恋だから。そうなのかなぁ・・・。 イリヤの受け入れたラストシーンは、あまりにも、あまりにも。
『イリヤの空、UFOの夏』 秋山瑞人 電撃文庫
| 2004年01月26日(月) |
舞台『こどもの一生』 |
1月10日の酩酊本処で読んだ中島らもさんの『こどもの一生』は、もともとこちらの舞台が先にありきだそうで、お友達に貸してもらって舞台を観ることができました。うーん、やっぱり舞台の方が小説より絶対に面白い。あの舞台ならではの空気がいいですねー。コメディから一気にホラーに転じるって舞台にしかできない感じがしました。 わがまま社長を演じる生瀬勝久さんはうまいなぁ。先日見た舞台『人間風車』でもすごくいい味出されてましたが、いやな役の方が合ってる(失礼かしら)! 私は悪役がうまい人って好きなので誉め言葉ですv 見どころは芳本美代子演じるモトアイドルと踊るオールキャストたちのダンスでしたね。ダンスの振り付けはもと米米クラブの宏太郎さん。切れ味ナイスなダンスでした。 山田のおじさんを演じた古田さんは怖かったなぁ。古田さんの外見やイメージを軸に山田のおじさんができあがったんじゃないかってくらい。この役者さんも最近よくテレビで見ますが、こうして舞台で力があればこそテレビからひっぱりだこになるんでしょうねぇ。小説より舞台です!
| 2004年01月25日(日) |
『そのケータイはXX(エクスクロス)で』 上甲宣之 |
しよりは失恋旅行で兵庫県と岡山県の派境にある温泉に流れ着いた。同行者の愛子の気まぐれに付き合わされた形で。不気味で排他的な村人たち。旅館でしよりはある携帯電話を手にする。その電話が鳴り、しよりに危険を知らせるモノノベという謎の男。しよりと愛子は別々に行動し、命を守るべく闘うのだが・・・。
岡山って横溝正史のイメージ(最近では岩井志麻子)でおどろおどろしい風習の残るホラーな土地って気がする(苦笑)。 この物語は『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に残り、宝島社さんが隠し玉として出版されたそうです。ふたつの恐怖の物語が同時進行するジャパニーズ・スプラッタ・ホラー?かな(笑)。面白いのですが、おおざっぱな感じがするのはどうしてだろう。もっと緻密に書き上げてくれればもっと怖かっただろうに。ちょっと残念。 XX(エクスクロス)は、ふたりの物語がどこかで交差していたことを表しているようです。タイトルは確かに魅力的だけど、無理にふたつの物語を交差させなくてもよかったのでは。交差させるために省いたそれぞれの物語がおおざっぱ感を与えたのかもしれません。
自分には理解できない、正体が知れないという単純な現象が、恐怖のさざ波をもたらすということを、わたしは身に染みて味わっていた。
『そのケータイはXX(エクスクロス)で』 2003.5.22. 上甲宣之 宝島社
| 2004年01月24日(土) |
『アクセス』 誉田哲也 |
雪乃は美しい女子高生。自分の魅力を知り尽くしている。家庭の事情で家を出てさまざまな友人の家を渡り歩いている。イケメン翔矢とは持ちつ持たれつの間柄。ふたりでいると美しい一服の絵画のようだ。雪乃は従姉妹の可奈子から教えてもらった、インターネットと携帯が使い放題ただになるプロバイダに登録する。自分が登録して、自分が紹介した人間が登録した時点でただになるというシステム。登録した彼らの周りで自殺・殺人が相次ぐ。みなプロバイダに登録したものばかり。彼らに忍び寄る幽鬼の手・手・手。彼らが墜ちた魔界の連鎖から脱出することはできるのだろうか?
面白い。第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作で、選考委員の間で雪乃ファンが生まれたというくらい雪乃は妖しく美しいです。私も好きv この物語で契約するとただになると言う、大人であればなにか裏があると疑り、加入はしないでしょう。しかし、そこはまだまだお金の足りない高校生達のこと。友達が加入して実際ただになると知るや、どんどん加入していきます。この連鎖は若者心理でしょうねー。 ネットの向こうにどろどろした悪意や嫉妬や邪悪な世界も広がっていると言う設定は、笑い飛ばせない気がしました。怖くてしかたないホラーではないけれど、青春アクションホラーと言うか、あっさり楽しめる物語でした。
『アクセス』 2004.1.15. 誉田哲也 新潮社
まだ本を一冊も出版できていない童話作家・平川は、公園で子ども達相手にお話を聞かせている。平川の童話は落ちが残酷なものばかりで、子ども親たちに訴えられそうになっていた。友人の童話作家・国尾はそこそこに生活が成り立っている。平川と国尾の友人の小杉はテレビ局のプロデューサー。女優のアキラをくどいているが相手にされない。国尾がテレビ出演をすることになり、平川は見学に行く。そこで出逢う平川とアキラ。そしてふたりの心は接近していく。アキラとの恋の影響で平川は今まで描いたことのない素晴らしい物語を完成させる。感動する国尾。 アキラが平川の部屋に遊びに来た。舞い上がる平川は自分に妙なファンがいることをアキラに話す。そのファンは30過ぎだが、知能が子どものままらしく、平川が語った物語を翌日にはそのまんま表現する。平川が少し小ばかにしたそのファンはアキラ自身が小さい頃あやまって頭を怪我させてしまった弟だった。平川の言葉に傷つき、もう会わないと去っていくアキラ。しかも、権威ある賞に応募した平川の童話は国尾によって出版されてしまった。平川は、友人ふたりの嫉妬と裏切りで破滅していく・・・。
うわー、面白かったです〜。後藤ひろひとさん作の『人間風車』の舞台ビデオ。どうしてこんなタイトルなんだろう、と不思議だったのですが、プロレスの技の名前なのですね。通りで舞台の中でプロレスラーの物真似がしばしば登場するはずです(笑)。これは友人が、中島らもさんの『こども一生』といっしょに貸してくれたビデオなのです。舞台でここまでホラー化が可能なんですねぇ。感動しちゃいましたよ。とにかく見事だったのは、知能の遅れた30男を演じる阿部サダヲに尽きました。あのひと一人でぶっちぎりホラーに仕上げていましたもん。脇を固める(いや主人公は生瀬勝久さんなのですが)役者さんたちも達者でしたわ。2時間半の舞台を食い入るように観ました。すごい。すごい。あぁ、ナマで観たいなぁ。コレ。
由美は、合コンで穴をのぞくことに恐怖するトラウマを指摘される。遅れてやってきた友人・陽子の携帯が本人の聞き覚えのない着信音で鳴る。「着信アリ」のメッセージには、陽子本人らしき悲鳴が残っていた。着信時刻は3日後。そして3日後、陽子は由美に電話をかけながら不審な死をとげる。その後、合コンで携帯のナンバーを交換し合った人間が次々と本人からの「着信アリ」の電話を受け取り死んでいく。ついに由美にもかかってきた由美自身からの着信アリ・・・。
うーん。なんとも感想に困るホラーです。まず、感じたことが物語が映画『リング』や小説『鬼子母神』などがごった煮されているように感じたから。ホラーも出尽くしたから、どうしてもそういうミックスになっていくのかもしれませんね。 映像は綺麗で怖いです。ビデオシリーズ呪怨ほど生理的に怖くて怖くて仕方ないと思わなかったのは、輝くばかりの柴咲コウの美しさ(特に伸びやかな足の美しさは垂涎)と怖さの根源がなんとなく理解できるからではないかと思います。 私的な見どころ(オススメ)は岸谷五朗が演じた死体写真コレクターの葬儀屋さんです。ほんのちょい役なのですが、最高級に笑えます。ホラーだから笑えてはいけないのですが、怪演に笑えます。ほんとv いや・・・もしかするとアレが一番ホラーなのかもしれません。 映画のラストをどう受けとめていいものやらわからなかったので、観終わった後に本屋さんでノベライズを立ち読みしてきて納得しました。映像の終り方よりノベライズの終り方のほうがかなり怖いようなんだけどなぁ。
| 2004年01月21日(水) |
『生存者、一名』 歌野晶午 |
真の道福音教会は新興宗教。カルトである。人類を覚醒させるための福音の(非常)ベルと冠し、テロ行為を行った。死者13名。実行犯4人の男女は幹部ふたりに導かれ、無人島・屍島へ逃走。神に役立ったのだと喜び、祝杯をあげる6人。翌日、幹部のひとりがクルーザーとともに消えていた。残った幹部から4人は初めから捨石(スケープゴート)だったと聞かされる。信じていた教会に裏切られた5人。そして殺戮がはじまった・・・。
タイトルどおり、生存者は“一名”です。短いし、読みやすいし、内容もなかなか面白くて、この“一名”の謎がうまいです。長くても短くても歌野さんはうまいものだなぁ。 この詳伝社さんの400円文庫の中のテーマ競作「無人島」の一冊です。このテーマでは、愛する西澤保彦さん・恩田陸ちゃん・近藤史恵さんのものもありました。西澤先生の[なつこシリーズ]も面白かったなぁ。エロエロで(笑)
行くも地獄、とどまるも地獄、どうしていいかわからない。
『生存者、一名』 2000.11.10. 歌野晶午 詳伝社文庫
| 2004年01月20日(火) |
『化生の海』 内田康夫 |
北海道余市町に住む男が、橋立港内で死体となって発見された。いったいなぜこの男はそんな遠くで死ななければならなかったのか? 友人から依頼された浅見光彦は5年前の迷宮入り目前の事件を追うのだが・・・。
「シリーズ最大のスケール」と帯に惹句がありました。今回の浅見光彦くんは大変です。北海道から北陸、はては北九州まで日本海側を愛車ソアラで走りまくります(笑)。疲れただろうなぁ。 親に捨てられた男とその妻と娘。男は娘のために動き殺される。なんだか哀しい事件でしたよ。最近の光彦くんオチは警察を敵に回す落とし方が多いのですが、フィクションだからあってよいと、私は思います。警察が全てを明らかにすればよいというものでもない事件もあるような気がしますよ。被害者なのに生活をずたずたにされてみたり・・・。事件っていうのは関係者にとって残酷な現実の続きを強いるのですね。うーん。 内田康夫さんが、あまりにも浅見光彦を溺愛していることがよーくわかるこのシリーズ。賛否両論あるようですが、内田康夫さんの文はいいですよ。私は好きです。
誰かのためになにかをして上げられるというのは、幸せなことかもしれない。
『化生の海』 2003.11.20. 内田康夫 新潮社
| 2004年01月19日(月) |
『愛妻日記』 重松清 |
‘奥様には隠れて読んで欲しいのです’というキャッチコピー。これは重松清さんが、「匿名で官能小説を書いてください」という小説現代の注文を承けて書かれ、一作限りのつもりがはまってしまわれたのだそうです。まったく男って生き物は(笑)。家族の物語を書き続けていきたいから、夫婦の性から逃げたくなかったという重松さんのお気持ちはわかります。ある意味、とても真剣に取り組まれたであろうことには敬意を表します。 でも物語としては、読後感かなり悪いです。重松節は健在だし、どこかに哀愁があり、優しさがある。だけど・・・エロビデオを見た後のなんとも言えない寂寞感ばかりが残っていました。 私は成熟したひとりの女だし、物語に出てくるあんなことやこんなことにはそう驚きはしませんでした。あ、輪姦プレイだけは反吐が出そうでしたね。生理的に拒否します。これはキャッチコピーどおり、男性が読むべき物語なのかもしれません。私としては女性にはオススメしません。 セックスには相性や冒険があっていいと思うので、物語の中で淫らに奔放に殻を突き破っていく夫婦達にはエールを送りたいです。女性もどこまでも貪欲になればいい。お互いが気持ちよいのがセックスだと思う。そこに本当の愛があれば、尚最高。 感想をひとことで言うなら「げっぷが出そう」でしょうかねぇ・・・(苦笑)
他人のことなど、誰も気にしていない。寂しい街です。寂しい時代です。そんな寂しさのなか、わたしたちは身を寄せ合って生きていくのです。愛したい。もっともっと愛してあげたい。この世でただひとりの、かけがえのないわたしの妻を。
『愛妻日記』 2003.12.18. 重松清 講談社
| 2004年01月18日(日) |
『世界がもし100人の村だったら』 C.ダグラス・スミス |
このインターネット民話とも言うべき『世界がもし100人の村だったら』は、いろんなところで目にしてきました。今回、とある人から本をいただきまして、現物をナマで読んだのは初体験と言うことになります。あまりにも賞賛の嵐を目にしていたので、心に手垢がついていたのですが、実際に読んでみると「なるほど、ひろまったはずだよなぁ」と思いました。これをeメールで誰かからいただいていたら、私は転送しただろうか?としばし考え込んでしまいました。チェーンメールであるけれど、受け取った人が不愉快にはならないかもしれない。うーん。 一番おもしろいと感じたことは、eメールが飛び交ううちに、受け取った人の感性が加味されていったという点です。まさに現代のフォークロアですね。不安で見通しが立ちにくい今の世だからこそ、爆発的に広まったのでしょう。もっと素直で新鮮な目と心で触れられたらよかったのになぁ。それだけが残念。
もしもこのメールを読めたなら、 この瞬間、あなたの幸せは 2倍にも3倍にもなります なぜならあなたには あなたのことを思って これを送った 誰かがいるだけでなく 文字も読めるからです
けれどなにより あなたは 生きているからです
『世界がもし100人の村だったら』 2001.12.11. C.ダグラス・スミス マガジンハウス
| 2004年01月17日(土) |
映画『タイムマシン』 ※ネタバレあります |
1899年、コロンビア大学アレクサンダー・ハーデゲン博士(アレックス)は、誰も彼も被っている山高帽を批判している(笑)。きっちり山高帽を被る親友フィルビーに紹介された女性エマに首ったけ(古いな)。プロポーズの夜、エマは贈られたムーンストーンの指輪を守ろうとして強盗に殺されてしまう。その後、4年間アレックスは寝食を忘れ研究に没頭する。そしてついにタイムマシーンを完成させ、エマを強盗から守ったのだが、今度はエマは馬車にひき殺されてしまう。起きてしまったことは変えられない。しかし、変えてみせると誓うアレックスは未来へ飛ぶ。2037年で月が崩壊し、地球へ落ちてくる場面に遭遇。気を失ったままアレックスは80万年後に飛んでしまう。そこは、月が落ちたためほとんどの生物が滅び、かろうじて生き残った者達が地上と地下に分かれて生きていた。そして地上に住む者達は地下のモーロックたちの食糧だった。アレックスは自分を助けてくれたマーラを救うべく単身地下へのりこみ、モーロックたちと闘うのだが・・・。
H.G.ウェルズの不朽のSF文学を、そのひ孫であるサイモン・ウェルズが監督した作品だそうです。原作を読んでいないのですが、やはりかなり設定をいじっているらしいです。 80万年先に飛ばされるアレックスのタイムマシンの外の世界は、文明の栄枯盛衰が描かれています。映画ってすごいよなぁと思わされるシーンでした。未来の原始社会ではまさに弱肉強食。カニバリズムは永遠のテーマかもしれませんねぇ。 アレックスは、殺された恋人(愛)を取り戻すために時間旅行を繰り返しますが、どうしても過去は変えられません。そんなアレックスの前に現れたエロイ族のマーラはは過去を引きずらないが、心には刻むと言います。このあたり結構胸にじーんときました。そしてアレックスは新しい愛を手に入れます。 ラストシーンで、親友のフィルビーが、「アレックスは幸せになる場所を見つけたんだ」と言います。そして窓の向こうからあの山高帽をぽーんっと投げ捨てる。このシーンよかったぁ。 もしも・・・と言う言葉は、恋旦那を亡くした私には痛い痛い言葉なのです。でも何度あの時に戻っても私は必ず旦那に恋をする。確信してそう言いきれます。
「80万年前の人間にとやかく言われる筋合いはない」
| 2004年01月16日(金) |
『烈火の月』 野沢尚 |
我妻諒介42歳。贅肉はまったくない。ジムなどで鍛えなくとも日々、靴底をすり減らしできあがった肉体である。この男、「微笑んだ次の瞬間、凶暴になれる」と恐れられる愛高署の刑事である。千葉県湾岸(架空都市)愛高で、我妻と “女マトリ”烏丸瑛子が麻薬密輸業者と闘う。我妻は月。よどんだ欲望や悪意を受けて輝く月なのだった・・・。
作家さんにはカラーがあると思います。似合うか、似合わないか。でも時々、殻を破ろうと意外な物語を書いてみたりする。それが大当たりすることもあれば、往々にして大きく外れることが多い気がします。作家さんの路線やカラーと言うものは、読み手にとってとても大切なものだと思うのですが・・・。 この『烈火の月』は、ハードボイルドとして読むにはとても面白かったです。力量のある作家さんが書かれたのだから当然ですね。でも野沢尚さんの物語と意識して読むと、途端に色褪せてしまう。野沢尚さんに似合う物語とは思えなかったのです。こういうハードボイルドは大沢親分にお任せvと思ったのが素直な感想です。 ただ、野沢さんがこういう物語を書こうと決意した思いはよくわかりました。亡くなった深作監督に映画化していただきたかったのだそうです。だから、バイオレンス。
ヘロイン中毒者の治療に特効薬はない。凶暴性の厚い殻を破って、魂が自力で浮かぶあがってくるのを待つしかない。
『烈火の月』 2004.1.12. 野沢尚 小学館
| 2004年01月15日(木) |
THE AMAZING ADVENTURES OF SPIDAERMAN THE RIDE |
私達ゲストは、ピーター・パーカー(スパイダーマン)が勤める新聞社の見学に行きます。社員たちの机の上のものが雑然としていて気になる雑貨がいっぱい。ピーターの机の上を見ると、ヒーローの普通の姿を垣間見ることができます。突然、臨時ニュースがとどろきます。編集長の大声で「ゲストとピーター・パーカーは、今すぐ集まるように!!」と叫ばれます。編集長は見学は中止。しかも私達ゲストにスクープを追えと言い出す始末。事件は、スパイダーマンの宿敵、Dr.オクトパス率いるシニスター・シンジケートが、新兵器を使ってとんでもない事件を引き起こしているらしいというもの。私達ゲストはゴーカードのような乗り物に乗って事件を追いかけますが・・・。
USJの新しいアトラクション、スパイダーマンを体験してきました。無条件にひたすら面白かった! テンポの速さと言い、展開と言い、最高にエキサイティングしました。この1月23日から本格OPENです。今までのアトラクション以上に楽しいこと請合います。是非、ご体験を。
| 2004年01月13日(火) |
『おおきくなりません』 白倉由美 |
平野月哉は42歳の‘一応’ミステリー作家。はっきり言えば売れていない。月哉は、7歳年下でもと漫画家の篠野麻巳美と一緒に暮らしている。月哉は優秀な頭脳を持つ[読書障害]。物語としてのお話を読んで理解することができない。神経症で変人の精神科医から抗精神薬をたんまり処方させている。 麻巳美は外見は35歳に見えないのをいいことに突如大学へ入学する。18歳でまかり通ってしまう不思議な女性。授業や試験に追われながら、ひょんなことから本を書くことになってしまう。 そして現れる月哉と麻巳美のドッペルゲンガー。ふたりがどこかに置き忘れてきた影なのだろうか。ふたりはおおきくなれるのだろうか。
うーん。すっごく不思議な物語でしたねー。作者の白倉由美さんは本当にもと漫画家さんだったそうです。私はまったく作品を知らないのですが。これは私小説なのかなぁと思います。 おとなになりきれない自分。そういう人間ってけっこう多く存在する気がします。今年の成人式でまた荒れる成人たちの姿を見ましたが、あぁいう人たちはまさにおおきくなれていませんね。体だけが大きな子供だ。自分についてはどうでしょう。対外的にはおとなのふりはできている気がします。でも内実共におとなかと言えば、疑問ですね。 だからこの物語は読んだ人の心を捉えるのではないでしょうか。私は惹きつけられています。月哉はともかく、麻巳美の成長をまだまだ読んでいたいと思います。 オススメですv
人はいつまでも子どものままでいてはいけない。 大人の役割を、世界を受け入れて、無償のやさしさを、皆にそして最愛の誰かにわけてあげなければならない。
『おおきくなりません』 2002.10.15. 白倉由美 講談社
| 2004年01月12日(月) |
『ふたり −鏡の中のもう一人の私』 根古環 |
篤子は出版社で働くOL。おせっかいな叔母さんからまた見合い写真が持ち込まれた。仕方なく写真を見て驚く篤子。それは、初めて付き合った男だった。その男は篤子の友人と付き合っていたが、別れるから付き合ってくれと篤子を強引に自分のモノにする。しかし、それが美人でプライドの高い友人にばれてしまい、男は篤子から誘惑されたと嘘をついた。初めて付き合った男に躓いてしまった傷つきやすい女性の心の闇と苦悩。彼女は救われるのだろうか?
作者の根古環さんは、子供の教育に携わる方だそうです。ある日、鏡を「安心感」のよりどころにしているらしい子供に出会ったことから、このフィクションが生まれたそうです。 多重人格ものとはちょっと違うのですが、鏡の中の自分と対話する姿は類似している気もします。主人公の女性が、友人の男に誘惑されてあっさり陥落される。はっきり言って、そういうところに全ての問題が集約されていると私なんぞは思うのですが。それって人のものが欲しい症候群なのではないかしら。私が関わってきた人の中にも人のものばかり良く見えて欲しがる人がいました。そういうタイプの人とは付き合いませんけど。 物語としては面白かったです。心の闇に飲み込まれてしまった主人公が、相手によって人格を変えてしまうところなんて映像化向きかもしれません。
不安だらけの世の中に生きていると、結果として得られるほんの小さな「安心感」さえも、生きることにとってかけがえのないものになっていく。それを喪失したとき、また、自分がそれを持っていないことに気付かされたとき、人は危険な領域に足を踏み入れることがある。
『ふたり −鏡の中のもう一人の私』 2003.8.20. 根古環 きこ書房
福祉センターでホームヘルパーのボランティアをしている理佳は、担当者と連絡が取れなくて困っていると無理矢理に徳永家へ派遣される。郊外にあるその家周辺にはよどんだ空気が漂っていた。理佳は、おそるおそる家に入り、荒廃しきった部屋で放心している老婆を見つけ、介護する。そして物音がした2階へ導かれ、ガムテープで封印された押入れをあけるのだが・・・。
ううーむぅ。発禁寸前になった伝説のホラービデオ呪怨の映画化。まさかここまで話をすすめているとは想像もしていませんでした。だからこの映画を観るには、ビデオの呪怨を見て、佐伯伽耶子という存在を知らないと怖さは半減するかもしれません。それだけでもひたすらビデオの怖さはダントツですね。 この映画も勿論怖かったし、面白かったです。まったく関係のない人間すら取り込んでしまう暴走する伽耶子の呪怨の増殖っぷりはすざまじい。これが映画『呪怨2』へ続くのでしょう。 人間という生き物は、自分の理解を超えるものに恐怖すると思うのです。この呪怨の怖さは理不尽な撒き散らされる悪意にあります。夫に殺された伽耶子の残した想念がこんなに解読不能に育って行くなんて。怖すぎる。 しかし、理佳を演じた奥菜恵は素晴らしいなぁ。今までは富江を演じた管野美穂を絶賛していたのですが、新しいホラークィーンが登場しました。奥菜恵のラストあたりの顔は、浜崎あゆみソックリだったり(笑)。あのふたりがあんなに似ているとはじめて気付きました。
映画『呪怨』
| 2004年01月10日(土) |
『こどもの一生』 中島らも |
瀬戸内海に浮かぶ小さな島、亀島。そこにMMMというセラピー施設があった。ストレスで心を病んだ5人の‘クライアント’が治療に集まった。施設での治療として彼らは10歳に退行する。5人の‘こども’たちの中で芽生える力関係といじめ。その狡猾ないじめが現実化してきて・・・。
物語の中で歌われるCD付きの本。ただいまCDを聞きながら感想を書いています。このCDが一番のホラーかもしれない(苦笑)。 中島らもさんの物語を読んだのはこれがはじめて。舞台化されていたもののノベライズと言うことですが、これはきっと舞台のほうが面白いだろうなぁ。見てみたいです。 物語はあとがきでらもさんご自身が述べておいでの通り、かなりのB級ホラーです。オチが私には物足りなかったかしら。願わくば、より残酷に。よりグロテスクに。ふふふふふ・・・
世の中じゃ誰もがストレス、ストレスと騒いでいる。
『こどもの一生』 2003.12.20. 中島らも 集英社
| 2004年01月09日(金) |
『20世紀少年』15巻 浦沢直樹 |
2015年、ローマ。もとストリートギャングだったルチアーノ神父は、恩師ペリン神父の研究を引き継ぐ。ペリン神父は偽造古文書を熱心に調べていたらしい。ルチアーノ神父はペリン神父の調べていたことを探るうちに、偽造古文書をペリン神父が信じ、2015年に世界が終ると思っていたらしいことに気付く。その偽造古文書は、大金を積んだ日本人に依頼されたことを突き止め、日本へ飛ぶのだが・・・。
すごい。今回の15巻‘ばんぱくばんざい’の展開はまたまた度肝を抜かれました。浦沢直樹と言う人の頭の中はいったいどうなっているのだろう。気になる。 死んだはずの‘ともだち’。死んだはずの‘ケンヂ’。ふたりは果たして本当に死んだのだろうか? こんなに面白いマンガにもなかなか巡り合えないと思います。リアルタイムにこのマンガを読める幸せに乾杯!
奴は、永遠の命を与えられたどころか・・・・・・ 本当の神になった・・・・・・
『20世紀少年』15巻 2004.2.1. 浦沢直樹 小学館
| 2004年01月08日(木) |
『イリヤの空、UFOの夏 その1』 秋山瑞人 |
6月24日は全世界的にUFOの日。黙っていればいい男・水前寺邦博とともに浅羽直之のUFOの夏が始まった。水前寺とともに、UFO張り込みに裏山の張り込みに夏休みすべてを費やした。最後の日、夜の学校のプールに忍び込むとそこに先客がいた。その少女は、手首に金属球を埋め込んだ「いりや」だった・・・。
どうやらこの物語の舞台は現代日本ではなく、戦争もおきているのかな。でも浅羽くんたちは普通の学生生活を送っている。まだ登場人物紹介の段階のようで、これからどうなっていくのでしょう。どきどき。こういう物語はキャラクター勝負だと思いますが、水前寺くんと保健室の椎名真由美でじゅうぶんキャラ勝ちしています(笑)。さて巷で噂のこの物語はどう動いて行きますことやら。
この人はエネルギーの使い方を生まれつき間違ってるんだよな、と浅羽はいつも思う。 なにしろ、進路調査表の第一志望に本気で「CIA」と書く男である。
『イリヤの空、UFOの夏 その1』 2001.10.25. 秋山瑞人 メディアワークス
これは別冊文藝春秋に‘私鉄沿線’と言うタイトルで連載されていたそうです。『送り火』よりも『私鉄沿線』の方に一票です。帯にアーバン・ホラーとありましたが、そうなんですよ。いつもの切っても切っても金太郎飴な重松清節の中にそこはかとなくホラーテイストが混じっていて、ちょっと新鮮でした。重松清さんの物語は、読んだからってなにひとつ問題は解決しないのだけど、それでもやっぱり「もうちょっとだけ頑張ってみようかな」と思わせてくれる不思議な力強さがとても好き。 武蔵電鉄富士見線沿線で起きる不思議な物語たち。私が気に入ったのは、都市伝説をテーマにした「ハードラック・ウーマン」と、このHPを読ませて欲しいと切望してしまった「よーそろ」でした。このふたつは、今まで読んだ重松さん作品の中でもかなり気に入りました。 「ハードラック・ウーマン」は、フリーのライターが街の噂を必死で拾い集めているうちに自分で噂を生み出してしまう。その作り出した噂の真相にライター自身が誰より背筋を寒くします。これは重松さんが一枚上手だった。ありそうでかなり怖い。これは長編ホラーいけるんじゃないかなぁ。 「よーそろ」は、現場から離れない駅員さんのお話。彼は自殺志願者を見抜き、助け続けている。そしてそっと秘密のHPのURLを教えてくれる。これが、いいんですわ。HPなんて、ある部分フィクションと言うか、架空の部分あっていいと私は思っているので、これはこれで大賛成って感じですね。こんなHPあったら日参します。
世の中には「いい奴」もおるし、「嫌な奴」もおる。それが現実や。自分は「いい奴」としか出会いとうない? アホか、ずうずうしいにもほどがあるわ。 逆に言うたら、「嫌な奴」に出くわしても、そんなに落ち込むなや。なあ。丁半博打と同じや。たまたま裏目の奴と会うただけのことやないけ。
『送り火』 2003.11.15. 重松清 文藝春秋
| 2004年01月06日(火) |
『Gift』 飯田譲治+梓河人 |
早坂由紀夫は、真っ裸であるマンションのクローゼットから生まれた。記憶をまったく無くした状態で。記憶を無くす前の彼は、51億3千8百20万という金の行方の鍵を握っていたらしい。彼を取り巻くうさんくさいが心優しい人間達は、彼を運び屋として働かせ記憶を取り戻させようとする。どうやら彼は、誰かに何かを運ぶという行為になんらかの意味を持っているようだ。彼はさまざまなものを運ぶようになる。果たして彼は記憶を取り戻すことができるのか? 彼は運ばなければならない何かを誰かの元へ運ぶことができるのか?
なつかしいですねー。数年前のキムサマ主演のドラマのノベライズです。飯田譲治+梓河人さんコンビの描く世界は大好きなので、ついつい夢中で読んでしまいました。当時のドラマもフラッシュバックのように思い出して、そう言えばキムサマがバタフライナイフを上手に扱って、若者がまねして困ったんだっけ〜なんてことまで思い出してしまいました。 由紀夫の記憶喪失は、彼が過去の自分から生まれ変わるための神様からの‘Gift’でした。人間はほんのささいな別れ道の選び方を間違ってしまうと、腐った人間に落ちることもあれば、その人の才能をうまく伸ばして生きていけることもある。この小説はそれをわかりやすく教えてくれますね。 ちなみに飯田譲治+梓河人さんコンビの小説では『アナン』が最高です。こちらの方を熱烈オススメします。
そう、俺だって。どんなに逃げようとしても追いかけてくる過去の俺。それは誰でもない、俺が自分でつくった俺なのだ。
『Gift』 1997.6.25. 飯田譲治+梓河人 角川書店
| 2004年01月05日(月) |
映画『必殺!』シリーズ�機銑� |
この年末年始の最大のお楽しみとして、WOWOWで放映される映画『必殺!』シリーズ全作(中村主水の必殺シリーズに限る)を観れることvでした。幼いころ、おぼろげながらあのチャララーン♪という音楽に心ときめいたことを今でも覚えています。が、しかし、記憶と言うのは本当に曖昧なもので、テレビドラマと映画の記憶がごちゃまぜになっていたし、今回観ていない映画が何作かあったことにも驚きました。そして映画でいつのまにか登場しなくなったキャラクターはドラマの方で死んでしまったのか?という疑問も残りました。そういうキャラもいたような気がします。郷愁誘う我が愛する必殺。やはり、中村主水は永遠です。 �機銑困泙把未靴憧僂董�映画として素晴らしいのは後のニ作品でした。中でもやはり『必殺! 主水死す』はピンの映画としても最高に面白かったですね。残念なことは、死んでしまったのか、時間が経ちすぎて配役設定が難しかったのか、何でも屋の加代や、主水の上司口うるさい田中さまが出てこないこと。このふたりも必殺シリーズの顔だと思うんですよね〜。仕事人は死んじゃった人が多いので、組み紐屋の竜さんや花屋のマサさんが出れないのは仕方ないのだけど。(まぁ、加代さんも仕事人だし、おそらく死んじゃったのでしょうけど) この『主水死す』は、主演の藤田まことさんが当たり役の中村主水と別れたいが故に作った映画のような気がします(いや個人的に勝手に)。思いっきりネタバレですが、子供のできない主水さんがかつて子供ができていた!?という謎なんか出てきて興味深かったですねー。ただあぁいうラストなら、対比として最後の最後に絶対的変わらない中村家のおふたりを出して欲しかった。「婿殿はお戻りが遅いわね〜」とか言い合って待ち続けて欲しかった・・・。いやっ!終って欲しくなかったよう〜(滂沱) なんにしてもとても楽しい映画鑑賞を家でできたことがしあわせでした。でもおかげでドラマシリーズも全部見てみたい欲求がふつふつと沸いて困っています。
| 2004年01月03日(土) |
『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 大沢在昌 |
西暦2023年、多民族化した東京。刑事部捜査第四課・櫟涼子は合成麻薬「ブラックボール」情報収集のため、麻薬組織に潜入捜査を命じられる。恵まれた美貌ゆえ傷ついた過去を持つ涼子は、孤高を保ち闘っていくが・・・。
久しぶりに大沢親分のハードボイルドを読みました。美貌の女が怪しげな組織に潜入し、身の危険を顧みず闘うさまは少々病的。そしてそこには訳がある。そのトラウマがなんともねぇ・・・。最後に鮫が出てきたのはすっごく驚きました。
「私にはわからない。だがこれだけはいえる。たとえ忘れてしまったとしても、起きたできごとが消えるわけではない。本当にそれが重要なできごとなら、必ずこれからのお前の人生にかかわってくる。そのとき、過去と対決する気持さえもっていれば、きっとやり抜ける筈だ」
『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 1999.6.5. 大沢在昌 光文社
| 2004年01月02日(金) |
『黒の貴婦人』 西澤保彦 |
なにがなんでもタカチ(とその僕たち)シリーズの短篇集です。年末に西澤保彦さんがファンクラブ閉鎖を宣言され、傷心で読み始めた『黒の貴婦人』でしたが、読んでいるうちに心が癒されました。あの4人が西澤先生の作品で登場する限り、なんだかだいじょうぶな気がしてきたのです。まぁ、勝手な思い込みですけどね。 この『黒の貴婦人』での事件や出来事は、どうやら『スコッチ・ゲーム』と『依存』の間に時間軸がある模様。あ。もっとおとなになってからのものもありますか。あとがきで西澤先生がさまざまな作品にリンクしていると書かれていましたが、それもなんとなしに「あ、あのことかー」とわかる仕組みになっていました。さすがだわ。 タカチ大好き人間としては、タックとタカチの関係が気になるところなのですが、この短編集で結構タカチの心情がわかります。ふたりがおとなになってどういう関係でスタンスでいるのかも。特に「黒の貴婦人」では、ウサコの洞察したタカチの内面がいじらしくも愛しくて・・・タックにくたらしーとつぶやいてしまった(笑)。西澤先生はウサコだったんだ。うん。 私が出会った愛すべき酔っぱらい探偵の4人の物語を、いつまでも読むことができますようにと願ってやみません。やはり西澤保彦さんは面白いです。最高v
相手の事情に必要以上に踏み込まないーその暗黙の了解こそが、あたしたちの絆なのだ。
『黒の貴婦人』 2003.11.25. 西澤保彦 幻冬舎
| 2004年01月01日(木) |
『日曜日たち』 吉田修一 |
日曜日、明日からまた仕事・・・。そんな微妙な空間は寂しさややるせなさをふいっと運んでくる。時々なにもかもから逃げ出したくなるような、日曜日には出たくない、なんて引きこもってしまうような。私にとっての日曜日は、また明日からを生きるための休息になっているかもしれない。 この『日曜日たち』には、さまざまな人間のそれぞれの日曜日が描かれています。都会の片隅にそれぞれの想いを抱えて生きていく人たち。そんな彼らになんらかの形で関わる幼い兄弟。必死で弟を守りながらなにかを探しているような兄の姿は、登場する人たち全てに共通するなにかを感じさせます。だからみんな大なり小なり兄弟にやさしくしてしまう。 明けない夜なんて決してないから、素直に前向きに頑張ってみようよ。私はやはりそう思いながらいつも日曜日の夜を迎えています。そして必ず次の日はやってくる。
「いや、だからさ、お前のように生きても一生。俺みたいに生きても一生だと思ってさ・・・・・・」
『日曜日たち』 2003.8.29. 吉田修一 講談社
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