酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年12月30日(火) 酔陽亭の2003これ読んどけ本(ただのオススメです)

 本当は、総括として明日これを書こうと思っていたのですが、少々個人的大事件がありまして、本日先に書くことにいたします。タイトルは「読んどけ」なんて生意気な書き方をしていますが、「よかったら読んでみてくださいね」くらいのニュアンスに受けとめていただければ、これ幸いにございます。

『重力ピエロ』 伊坂幸太郎 新潮社
 今年、仲間内で大ブレイクした伊坂幸太郎さん。『陽気なギャングが地球を回す』も捨てがたいのですが、せつなさが気に入ったのでこちらをオススメ。春を想う父と兄がすごくいいです。(酩酊本処;5月9日)

『神のロジック 人間のマジック』 西澤保彦 文藝春秋
 今年もやっぱり西澤保彦さんに「してやられてしまった」・・・。マモルとその仲間達の世界が崩れた時に見えてきたもの。あれには本当に驚かされました。(酩酊本処;6月5日)

『空を見上げる 古い歌を口ずさむ』 小路幸也 講談社
 装丁の魅力に惹かれた一冊でした。物語りも読んで行くうちに遠いなつかしい昔を思い出させてくれて、心が癒されていくような・・・そんな暖かい物語でした。(酩酊本処;6月19日)

『グロテスク』 桐野夏生 文藝春秋
 これはこれを書いた桐野夏生がグロテスク(超越しているといういい意味で)だと脱帽しました。こんな物語を書ける女性はそうそう出てくるものじゃない。(酩酊本処;7月18日)

『嫌われ松子の一生』 山田宗樹 幻冬舎
 好き嫌いはハッキリ分かれそうな物語ですが、面白かったです。松子という一人の女性が昭和という時代と寝て、平成という時代に殺されてしまう。私にはかなり面白かった。(酩酊本処;8月8日)

『ワイルド・ソウル』 垣根涼介 幻冬舎
 日本という国がおこなった愚かな政策のため、とんでもない人生を歩んだ人たちの復讐物語。暗く重苦しくなりがちな展開をケイというセクシーな男ひとりがパァ〜っと明るくしてしまう。物語の主人公の魅力が読ませた一冊でした。(酩酊本処;9月9日)

『太平洋の薔薇』 笹本稜平 中央公論新社
 船を乗っ取られたキャプテン柚木がおこす奇跡の物語。上のケイとは対照的なキャプテン柚木の人柄の魅力。上下巻ですが、ぐいぐい読ませてくれました。(酩酊本処;9月26日)

『クレオパトラの夢』 恩田陸 双葉社
 オネエ言葉を操る神原恵弥と言う男の追いかけた夢と野望。今年も陸ちゃんやってくれたなーと嬉しくなってしまう。『蛇行する川のほとり』とどちらにするか悩んだのですが、神原恵弥が好きなのでこちらをオススメ。(酩酊本処;11月13日)

『泳げ、唐獅子牡丹』 菊池幸見 祥伝社
 タイトルとイラストに惹かれて読んでみた一冊。背中に刺青を背負ったヤクザが繰り広げる人情ドラマ。軽くて暖かくて泣けます。(酩酊本処;12月20)

『レインレイン・ボウ』 加納朋子 集英社
 かつての仲間の死をめぐり、リンクしていくそれぞれの人生の物語。1年の終わりにこの心に優しい物語が読めてほんわかしあわせになりました。(酩酊本処;12月27日)

 2003年、私はたぶん200冊以上の本を読めたのではないかな。いい読書ができた1年でした。そしてたくさんのいい物語に出会えた1年だったと思います。
 今日、「これ読んどけ本」にあげた本たちは、今年の私の心を鷲づかみにしました。重いものもあれば、軽いものもありました。好き嫌いがハッキリ分かれるだろうなぁ〜という本も。もし気になる本があれば、チャンスを見つけて読んでみて欲しいです。



2003年12月29日(月) 映画『The Ring』 ※ネタバレあります

 一人の少女が謎の突然死をした。参列者に死に顔を見せられない恐怖に歪んだ顔のままで。その時いっしょにいた女友達は心を壊し、病院へ入ってしまった。シアトル・ポスト紙の記者レイチェルは、姪にあたる死んだ少女ケイティの死の謎を追うことになる。レイチェルはケイティの葬式で、ビデオテープをめぐる不吉な噂を耳にした。見た者は7日後に必ず死んでしまうと言うのだが・・・。

 日本が産んだホラー・クィーン‘貞子’が海を渡ると‘サマラ’と言う眠らない少女に生まれ変わっていました。しかも彼女は母親の66回の流産の末に生まれた少女。その娘は生まれながらに呪われていた。苦しみを撒き散らすウィルスそのもののような存在だったのだから・・・。
 面白いですね。日本ならではのホラー「リング」の‘貞子’は増殖し、アメリカへ渡るとアメリカンホラーに変換され、まるでエクソシストの‘リーガン’のようになってしまった。日本には日本の怖さがあり、アメリカにはアメリカの感じる独特のホラーがあるのですねぇ。日本の「リング」ではラストに貞子がテレビから這い出てきて、一瞬の眼力で真田広之を殺しましたが(役名を忘れた)、アメリカのサマラはテレビからの這い出方も違うし、その顔はまるっきりエクソシストなんですもん。サマラの出生の秘密の流産の回数の66はオーメンに通じるし。ホラーの変換が面白いな、なんて感じてしまいました。
 あと、日本の松嶋ななこ(役名もななこの漢字も忘れた)は、息子のために両親に呪いのビデオを見てくれるように泣く泣く頼みます。しかしアメリカのレイチェルは息子に「あなたはだいじょうぶよ」と言って、ビデオを見るほかの誰かを案じる息子の言葉をあえて黙殺します。ここも日本とアメリカの感性の違いだなぁ〜なんて気分で見てました。
 私が一番怖かった「リング」は原作を読む前に、テレビドラマ化された高橋克典さんがやった「リング」でしたね。呪いのビデオを次々に見せて行かなければならないと気付き、愕然と都会の雑踏を彷徨うラストシーン。あれが怖かった。あれを見たから、速攻で原作を買いに走ったのでした。
 あなたはどの「リング」が怖かったですか?



2003年12月28日(日) 映画『OUT』

 ある弁当工場で深夜から夜明けまで流れ作業のパートに従事する女達。雅子は、旦那がリストラされ、息子は口を聞いてくれない家庭内崩壊。師匠(ヨシエ)は、義理の母親の介護。邦子はブランド依存症でカード破産。弥生は妊娠しているが夫の暴力にあっている。人生に疲れ夢も希望もときめきもない女達が、弥生の暴力に耐えかねた夫殺しに端を発し、日常から逸脱する行為を重ね始める。そしてそれは彼女達を生き生きと輝かせ、人として女として再生させたのだった・・・。

 桐野夏生女史の名作『OUT』の映画化作品を観ました。以前はテレビドラマ化されたものも勿論観ていました。テレビドラマでは原作のえぐいまでの行為の数々がさすがに映像化されなかったので、映画ではさぞかし派手にやりまくってくれてるもの!と期待をこめて観たのですが・・・おおいに期待はずれでした。テレビドラマよりもまだソフトな仕上がり。しかもラストがまったく違う。これはがっかりでした。やはりあの原作の桐野夏生ならではの‘ぎらぎらさ’を克明に描写して欲しかったです。残念。
 しかしながら、素晴らしい女優陣でかためた映画ですから、原作にこだわらなければそれなりに楽しめます。中でも室井滋は最高にうまいですねー。いい加減な女の役やらせたら天下一品です。原田美枝子と賠償美津子の交わす熟女同士ならではの卑猥な会話なんてエロくてよかった。
 あの原作に忠実に映像化するには社会的に問題が大きすぎるのかもしれないな、と思いました。請け負って死体の解体作業をする女達。殺し屋との壮絶な戦いとセックスシーン。観たかったなぁ。やはりとても残念。



2003年12月27日(土) 『レインレイン・ボウ』 加納朋子

 片桐陶子は高校時代ソフトボール部のキャプテンだった。卒業して7年。チームメイトはそれぞれの人生を歩んでいた。ある日、チーズと呼ばれていた仲間が病死してしまう。お葬式で再開する仲間たち。しかし、そこにはチーズと一番仲の良かった里穂の姿がなかった。そして里穂の失踪・・・

 かつてのソフトボール部の仲間たち7人の物語がリンクして行く短篇集です。これは、加納朋子さんの『月曜日の水玉模様』の主人公・片桐陶子のまた別のミステリィ。陶子や仲間達の日常や悩みやとまどい怒り希望などがた〜っぷり詰まっています。どの子も決して同じ色合いじゃない。それぞれのカラーがあります。いやぁ、加納朋子さん、うまいですねー。登場人物のひとりに‘陽子’という女性が登場します。これがまた気が強くてわがままな奴で(苦笑)。でも憎めないんですよ!(と、なぜかフォローしてみたり)
 仲間の死をめぐり、謎や疑惑が渦巻きます。それをこんな綺麗な雨上がりに虹を見るような気分におさめてしまう素晴らしさ。ワタクシ絶賛です。すごい。

 そして見えないでいると、つい忘れがちになる。そこに晴れた空や曇った空、夜の星空があることを。降り注いでいる暖かい日差しも、束の間現れる美しい虹も。

『レインレイン・ボウ』 2003.11.30. 加納朋子 集英社



2003年12月26日(金) 『烏女』 海月ルイ

 珠緒は×1の子持ち。京都祇園のホステス相手に‘ハンガー屋’をやっている。店舗を持たず、クラブやバーの店先を借りて洋服を格安に売りさばいている。見る目を持つ珠緒の吊るす洋服はホステスたちに人気が高く、赤字を出すことなく生計はたっている。ある日、世話になった女性から男の行方を捜して欲しいと頼まれる。引き受けた珠緒の行く先々で耳にする‘烏女’の噂。「烏女がでるとな、必ず人が死ぬねんぇ」・・・それはただの都市伝説なのか、それとも・・・。

 『子盗り』『プルミン』と読んできましたが、今回の『烏女』が一番面白かったです。京都祇園を舞台にすると都市伝説も‘烏女’になる。黒いドレスに黒いヴェール。その正体は老婆とも男とも噂されている。その祇園に微妙にマッチしている味付けがよかったです。
 しかし、世の中にはさまざまな商売があるものですね。‘ハンガー屋’なんてはじめて知りました。物語で語られている商売のからくりを読んでいると、やはり商売上手は頭脳勝負なのだなぁとつくづく思います。目の付け所、とでも言いましょうか。女がひとりで(もしくは子供を抱えて)生きて行くと言うことは、やはり根性据えていかねばならないと言うことでしょうねぇ。

 着飾ることと着こなすことは違う。そんなことは、珠緒が一番よく知っている。どんなに高い服も、着こなすだけの中身がなければ、ただ躯に布を巻きつけているのと変わらない。着こなすには、年季と経験、技術が必要なのだ。つまり「洗練」とはそうしたことを重ねていくことをいう。

『烏女』 2003.12.20. 海月ルイ 双葉社



2003年12月25日(木) 『クリスマスローズの殺人』 柴田よしき

 メグは年末支払いのやりくりに行き詰まり、とっぱらいの浮気調査を引き受けた。依頼人が出張してる間の妻の行動監視。メグにはらくな仕事だと監視をはじめたが、妻が消失? そして世間をさわがすクリスマスローズがばらまかれる殺人事件もリンクしてきて・・・。

 Vヴィレッジという吸血一族出身のメグはヴァンパイア探偵。ヴァンパイアだと普通の人間にない能力があります。そこを使ってしまえば、完全犯罪も夢じゃないわよねぇ・・・。

 人が死ぬこと自体はどうしようもない。人とは死ぬものである。
 が、誰かにそれを強制することはできないし、してはならないことなのだ。

『クリスマスローズの殺人』 2003.12.24. 柴田よしき 原書房



2003年12月24日(水) 『月の扉』 石持浅海

 那覇空港でハイジャック発生。犯人の要求は、彼らの「師匠」石嶺孝志を滑走路に‘連れて来る’こと。子供を人質にした三人の男女。飛行機内のトイレと言う閉鎖された密室で起こってしまった殺人事件。誰がどうやって被害者を殺したのか? 師匠は滑走路に現れるのか?

 ほう。このミステリーがすごいにランクインしただけのことはある物語でした。ハイジャック犯がたまたま名指しした‘座間味’くん(ニックネーム)が、素晴らしい推理を展開し、犯人たちに関わってしまう。巻き込まれ探偵でした。密室殺人の犯人はたぶん予想つくだろうけど、その動機と方法の推理はむずかしい、かな?
 ラストがね〜、ミステリーなのに〜と驚かされた感ありありでした。ハイジャックまでしてしまう犯人たちの気持ちを思うと、なんとも言えない気持ちが残りました。私だったらどうしただろう・・・。

 今の世の中、野心のないカリスマほど厄介なものはない

『月の扉』 2003.8.25. 石持浅海 カッパ・ノベルス



2003年12月23日(火) 『姉飼』 遠藤徹

 脂祭りで見世物になっていた串刺しの“姉”たちを見て以来、姉に憑かれてしまった男の物語。

 第10回日本ホラー小説大賞を受賞した作品(ほかの短篇も含む)です。ホラー好きな私がこれほどゲッソリするくらいだから、すごいホラーなのかもしれません。残虐でエロティックな世界ではあるのだろうけど・・・。うーん(悩)。読ませる力はあります。最後までさっさと読んでしまったから。でもラストの落ちは読めます。確信犯なのかもしれないけれど。
 個人的には「姉飼」よりも「キューブ・ガールズ」の方が好き。世にも奇妙な物語に映像化されそうな物語でした。そこそこに残酷だし。

『姉飼』 2003.11.30. 遠藤徹 角川書店



2003年12月22日(月) ジュニア版『十二番目の天使 −小さなチャンピオンー』 オグ・マンティーノ 

 ジョン・ハーディングは仕事で成功し、生まれ故郷へ大きな会社の社長として戻ってきた。この世の春を謳歌するジョンを突然の悲劇が襲う。愛する妻サリーと息子リックを交通事故で失ってしまうのだ。生きる気力も目的も失い、外の世界を断ち切ろうと拳銃自殺をしようとするジョン。そこへかつての親友ビルが己の生死を左右する病気の療養を放り出して飛び込んでくる。寸前でこの世にとどめられたジョン・・・。ジョンはかつてのリトルリーグでいっしょにプレーしていたビルに古巣「エンジェルズ」の監督を依頼される。死にたい“魔の刻”から放たれたジョンはビルの依頼を承諾し、監督をすることに。彼の天使たちの中には野球が下手でも一生懸命なティモシーと言う少年がいた。自分は毎日あらゆる面でよくなっている、絶対にあきらめない!と言う小さなティモシーの口癖はチームをまとめあげ、あきらめないで頑張りぬくチームとなった。
 息子リックに面差しの似たティモシーの一生懸命生きる姿に、“再生”するジョン。ジョンはもう一度生きて行くことを誓うのだった。そしてティモシーが・・・。

 私の可愛い姪からクリスマスプレゼントとしてリクエストされたのが、この物語。小学校6年生の少女が自分で映画でもテレビでもない物語を言葉にしたことに新鮮な興味を抱き、読んでみることにしました。
 読んだ物語は、まるで昔の私へのエールのように思え、泣けて泣けてしかたありませんでした。世の中にはまだまだ読んでいない、こんなに素晴らしい物語がごろごろしているのだろうなぁ・・・。
 愛する人を失う痛みを乗り越えるには、さまざまな偶然や必然や縁が作用します。茫然自失だったり、自暴自棄だったり。でもいつも私を愛してくれる誰かの心が私を生かしてくれました。この『十二番目の天使』のジョンもジョンを愛するたくさんの人たちの愛が彼をこの世にとどめました。小さな少年の頑張りと、彼が守り通した大きな秘密のおかげで・・・。
 読んでください、と言いたい物語です。必ず心がさわやかにしゃきっと前向きになります。

「自己暗示・・・・・・実は強力な、おどろくべき道具です。そのパワー・・・・・・単純なフレーズがもつ神秘なパワー・・・・・・それを信じてとなえつづけるだけで、だれもが奇跡的なことを成しとげられるんです。そうやって、潜在意識に前向きな思いや言葉をおくりこむだけで、私たちのだれもが、人生で奇跡をおこせるんです」

ジュニア版『十二番目の天使』 2002.4.27. オグ・マンティーノ 求龍堂



2003年12月21日(日) 日テレドラマ『共犯者』に思ふ。 ※ネタバレあります

 三上博史さんが気になって録画して見ていた10時間ドラマ『共犯者』。その昔、三上博史さんが多重人格者を演じたドラマ(キョンキョン共演)で女装した姿をまざまざと思い出してみたり。ただの二枚目役に限らず、難しい妙な役をあいかわらずうまく演じていらっしゃいました。
 内容は15年前に親友を殺してしまった女性が、時効目前に精神崩壊して行くお話(だと私は思いました)。物語の途中から、ミサキの人格が分裂したものがマサトなんだろうなーと思いながら見ていたのですが、先ほど最終回を見て人格分裂と言うより、マサトはミサキの妄想だったり、願望だったりしたんだろうなぁ(と私は思いました)。結局ミサトとマサトが行動しているシーンは同時刻ではなく、違った時間軸だったというところがトリックなのかな。謎解き自体はドラマ作りでは重視されていない気がする。と言うか、時間が足りなかったのだと思う。きっと全ての事実や出来事に全部きっちり説明がつくように物語上ではなっているはず。あえてそこを省いて、見る側の知りたい願望を煽っている気がする。
 最終回ではラストだと言う事で、浅野温子さんを演じる三上博史さんが圧巻だった。本当に浅野温子なんだもの。喋り方や動作が。さすがは三上博史だよなぁ。残念だったことは、次なる妄想を抱く女の奥菜ちゃんを三上さんが踏み切りの向こうから手招きをするシーン。あれは最後の最後に持ってきて欲しかった。ベタだけどありがちだけど、その方がマサトはなんだか妙な精神的移動物体?みたいな謎が増長されたと思うんだけど。
 15年前に会社のお金を横領して親友に告発されそうになった。それを阻止するためにかけがえのない親友を殺してしまった。殺した後で気付く。机の上に親友からの手紙と通帳。貯金を全部あげるからいっしょに罪を償って行こうと書いていた親友。その日から生活のカラー色は全て消えうせ、ただ日々を生きる屍となってしまった。大事なものは目先のお金じゃなかった・・・。そして時効を目前に良心と寂しさと後悔から心が砕けていく。愛することも愛されることもなく、自分の中に自分を愛してくれる男を創り上げるしかできなかった女。その男が彼女の心を支えてくれるる共犯者だった。しかし彼女は最後に共犯者を裏切るのだ。そして自由・・・?



2003年12月20日(土) 『泳げ、唐獅子牡丹』 菊池幸見

 黒沢裕次郎は岩手県のレジャー産業会社の社長である。メインは風俗店にゲーム機リース・・・いわゆるヤクザである。五歳の娘、美咲の前では紳士として振舞っているが、賢い美咲はなんとなくうちのパパはちょっと違う、と感じている。裕次郎は昔からの付き合いの中村のスイミングクラブを夜、貸切にしている。なぜならば、背中に背負っている唐獅子牡丹をカタギの皆様に見せることができないから。ある日、中村に泣きつかれ、水泳大会大会に参加することになる。大会では背中の唐獅子牡丹を隠すためにイアン・ソープのスイミングスーツを着用することに。大会で目覚しい泳ぎを見せた裕次郎は東京での水泳大会にまで参加することになるのだが・・・。

 あぁ〜っ(身もだえ)この話たまらなくいいですぅぅぅ。義理と人情と男気。たまりまへんなぁ。だらだらだら(涎)。この本は本屋さんをスルーするたびに私の酔怪アンテナにぴぴぴっと訴えかけてくるものがありました。うーん・・・と思いながらも自分の感性に賭けてみたら大当たりvだった訳です。浅田さんの『プリズン・ホテル』シリーズをお好きな方なら、間違いなく感動するはずです。
 裕次郎は、自分のやんちゃさゆえ、学生時代に水泳から身を引かなければならなくなります。そこからある意味、彼の人生は転落していくのですが、もともと裕次郎の持つ強い運が彼を味方し、新しい人生でも結局は成功者となります。これは裕次郎自身も素敵だし、彼の運命の人・恭子も素敵。出て来る人たちがとてもいいんですよー。
 ラストに裕次郎は、ある事件に巻き込まれた恭子救出に向いますが、そこはもう涙いっぱい流しました。これはかなりオススメしちゃいますvv

 「女房を助けに行かなきゃならねぇんだ。これにて失礼」

『泳げ、唐獅子牡丹』 2003.9.10. 菊池幸見 詳伝社



2003年12月19日(金) 『どっちの料理ショー』 ローストビーフVSローストチキン

 昨日の『どっちの料理ショー』はクリスマス対決で“ローストビーフVSローストチキン”でした。あの進行の仕方はどきどきしますね。うまい展開だわv
 さて、実は昨日のローストチキンの素材に使用された鶏プレノワールは、ワタクシの愛してやまない舎妹、岡山とり姫<の若女将・小百合ちゃんのお父様(姫田育男さん)が心をこめて飼育している鶏なのです。津山市に本店とり姫があります。熱烈なファンが岡山からも足を伸ばすお店です。
 去年、小百合ちゃんがご両親念願の岡山店をOPENしました。ここの鶏は本当に新鮮で美味しい。お刺身でいただける上、肝刺しや玉刺しは絶品なのです。勿論、各種鶏料理も最高!
 私は友遠方より来たる、と津山までへもお連れしていたほどとり姫と小百合ちゃんファミリーファン。お連れした人たちは必ずまた行きたい食べたいと言ってくださいますし、実際リピーターさんが何人もいらっしゃいます。これからも私は自慢の御店として友人・知人・仲間たちをお連れします。
 昨日の『どっちの料理ショー』で、プレノワールを飼育されるさゆパパのお姿には感動してしまいました。あの鶏があそこまで美味しいのは、さゆパパのあの心をこめた飼育に秘密があったのですね。しみじみ。
 岡山大学の畜産科で姫田さん(さゆパパ)の運命は動き、そして今、私は小百合ちゃんととり姫に出会えた。とり姫広報係りその一員としてこれからも日夜努力して参ります。
 岡山においでになったら、是非とり姫へおいでくださいませ。



2003年12月18日(木) 『愛読者』 新津きよみ

 仁科美里は、坂井美佐のペンネーム。駆け出しの推理作家だが、それだけでは食べて行けないので、雨宮麗と言う別の名前でポルノ小説を書いている。美里は、あるエッセイで昔、図書館で知り合った上級生、柚子という女性との出会いが作家へのきっかけだった深く考えずにと書いた。その柚子から連絡が入り、執拗に追いまわされることになる。そして「愛読者」と名乗るいやらしいファンレター。美里の周りで不気味な存在たちがもぞもぞと蠢き始めたのだが・・・。

 これは、何年か前に牧瀬里穂さんと川島なおみさんでドラマ化されたそうです。見逃しているので、ちょっと残念。作家になった女性が、作家になりたかった人間たちにストーカーされる、なかなか不気味な物語。
 作家になった美里に付きまとう柚子の常軌を逸脱した行動はドラマ化でさぞかしおもしろかっただろうなぁ。見ーたーい。もうひとりの愛読者の屈折っぷりは、理由がわかるとその気持ちがわからないではないと思いました。
 ただ・・・いかにホラーであると言えども、最後の落とし方はいかがなものかと。あまりにもさらりと“それ”を持ち出されたので、うーむぅ、と考え込んでしまった。

 みんな、おとなになった。・・・・・・それはそのとおりだった。でも、それは、自分の感情を顔に出さない訓練が身についた、という意味でのおとな、なのかもしれない。

『愛読者』 1998.12.10. 新津きよみ 角川ホラー文庫



2003年12月17日(水) 『LAST』 石田衣良

 タイトルに“ラスト”がつく7つの物語。文字通りラストを描きたいがために、描かれたのかな、と思いました。これは今までの石田衣良テイストとはかなり違います。そのため、受け入れられなかった人の感想も少なからず目にしましたが、私はものすごく好きです。物語の“ラスト”は必ずしもハッピーではありません。残酷だったり、身を刻まれるようだったり、情けなかったりすることもある。それを石田衣良という作家さんの暖かなまなざしで描かれたんだなーと感動しました。どの物語もそれぞれ良かったのですが、その中でも「ラストジョブ」と「ラストコール」はよかったですねー。共感するものがあったりしました。

「ラストジョブ」
 真弓は借金に追われていた。魔が差したように援助交際をやってしまう。旦那と子供には言えない秘密。しかし、真弓は満たされていく自分を発見するのだった・・・。

 セックスは筋肉に似ていた。つかえば、つかうほど、強さとしなやかさを加えていくのだ。

『LAST』 2003.9.25. 石田衣良 講談社



2003年12月16日(火) 『池袋ウエストゲートパーク�検‥纏劼寮院戞\佚聴疥�

 池袋で果物屋をやりながら、コラムを書いているマコト。彼のもとには今でも数々のトラブルが舞い込む。心優しいマコトや池袋の王様タカシは何だかんだ言いながら問題をひとつひとつ解決して行く・・・。

 うーん、す・て・きv やはり、「ぶくろサイコー!」なのです。ドラマ化されてブレイクする前に一番最初の池袋を読んだ時のすがすがしい感動は今も心に残っています。ドラマ化された時、配役に賛否両論あったようですが、私のイメージにはドラマで演じる彼らもばっちりでした。特にクールで危ない王様を演じた窪塚くんとヤクザのサルを演じた妻夫木くんの俳優さんとしての成長は目覚しいものがありました。この�犬皀好撻轡礇襪覆匹任覆�、連続ドラマでやって欲しいものですが、彼らを揃えるのはもう無理かもしれませんね・・・(寂)。
 どの章もとても良かったのですが、「黒いフードの夜」はものすごくどきどきしました。心優しいマコトが最後に少年に裏切られてしまうのではないかと勝手に考えすぎちゃって・・・。ラストがほのぼのしたのでほっとしました。そんなことを言いながら、一番面白かったのはタイトルにもなった「電子の星」なのですが。本当に電脳世界での距離の取り方のまずい人って痛いから、なんだか身につまされてしまいました。電脳世界での社交には気をつけましょう。

 ネットがあまりにダイレクトだから、相手との距離を測れなくなってしまった電子的な距離感喪失症だ。まともな人間関係というのが結べなくなったガキなのだ。

『池袋ウエストゲートパーク�検‥纏劼寮院戞�2003.11.30. 石田衣良 文藝春秋



2003年12月15日(月) 『きみとぼくの壊れた世界』 西尾維新

 櫃内様刻(ひつうちさまとき)は、妹の夜月(よるつき)を溺愛している。夜月もお兄ちゃんが好きで好きでたまらない。このままでは禁断の近親相姦まっしぐら、と言う気配。同級生の迎槻箱彦(むかえつきはこひこ)と琴原りりすは、様刻と数少ない友人。そして保健室ひきこもり天才少女の病院坂黒猫(びょういんざかくろねこ)とは微妙な友好関係にあった。ある日、妹にちょっかいをだしている迎槻の剣道部の後輩を様刻は脅しをかけた。そして発生する学校内での密室殺人事件。様刻は黒猫とともに調査に乗り出すのだが・・・。

 西尾維新くんの新作と言うことで、やはり期待して読みました。むぅー、すごい。まさか近親相姦一歩前の兄妹をメインに据えるとは〜。あいかわらずのパワーで一気に読ませてくださいました。私の大好きな某作家さんも登場人物に妙なお名前をつけられますが、どうやらそれは実在する名前らしいです。西尾維新くんや乙一くんの付ける名前は、きっと今はありっこないのですが、彼ら世代の人たちが親になるころ、こういう名前も出てくるのだろうなぁ。時代は変わる・・・。
 西尾維新くんの物語に登場するキャラクターはいつも奇天烈で強烈。今回は近親相姦まっしぐらな櫃内兄妹と、保健室ひきこもりの病院坂黒猫がすんごいインパクト。参るよなぁ。
 ミステリーとしては、私にも犯人はわかりました。これはミステリーとしてどうとかって言うより、キャラクターが物語を動かしているという感じでした。さらりと楽しめますv

「あまり身ぃ入れて考えるなよ。面白い小説であるのは確かだけど、あくまで娯楽なんだから、楽しむためのもんで、悩むもんじゃないぜ」

『きみとぼくの壊れた世界』 2003.11.5. 西尾維新 講談社ノベルス



2003年12月14日(日) ABC『ひまわり〜桶川ストーカーー殺人事件〜』

 今から4年前、1999年に埼玉県桶川市で女子大生の猪野詩織さんが刺殺されました。当時、マスコミはこぞって彼女をスキャンダラスな女性として扱いました。マスコミの情報に振り回されていた私は、この事件に関心が生まれ、のちに彼女の事件を扱った本などを読むようになりました。そのうちに彼女とご家族の必死の懇願に警察がほとんど動かなかったことや、マスコミに流された彼女のスキャンダラスなイメージは間違っているらしい、と知りました。その上、彼女を執拗に追いまわしていた男は自殺(?)。どうにも心にしこりが残ってしまいました。
 昨日のドラマ化は、主人公役の内山理名さんとストーカー役の金子賢さんがすごかったです。脇を固めたご両親役の渡瀬恒彦さんと戸田恵子さんもさすがの演技でした。詩織さんが刺殺され、スキャンダルに巻き込まれ、警察に見捨てられた父親が、詩織さんは「三度殺された」と言うシーンでは泣けてしまいました。犯人に刺殺され、警察に見殺しにされ、マスコミに人格を破壊された。本当にいったいなんだったのでしょう。
 若くて美しい女子大生の詩織さんが、ちょっと素敵で金回りのいい男に少しばかりときめいたからと言って、高価なプレゼントをもらったからと言って、どうして責められましょう。若い時期の女性は、そういうことに誰だって浮かれる瞬間があります。ただ相手の真実の姿に気付いた時には詩織さんの場合はがんじがらめにからめとられていた。家族と友人とともに必死に闘っても最期は刺殺という究極の暴力に倒れてしまう。こんな現実があるなんて。

 警察の対応についても、警察の見解と猪野さんたちとの言い分とはかなり食い違いがあるようです。もしも警察が威信を守るためだけに、隠蔽しているならば、そんな機構が人を守れるのだろうか、と思います。
 今から数年前に私はある男にストーカー行為を受けました。長年通っていた美容院でお気に入りの美容師(女の子)が辞めてしまい、そこのオーナーだけが完全予約制で続けることになりました。私は、この男が生理的に苦手でマンツーマンシステムの美容室には抵抗がありました。でも長年、通っていたデーターやその男の美容師としての腕は間違いなかったので行くことにしました。個室でふたりっきりで髪をカットされたり、ケアされたり。いつも以上に長く時間をかけられ、ずっと誘われ続けました。その男は妻子持ちでしたし、私には熊がいたから婉曲に断るも、自分に絶大な自信を持っているその男は絶対に引かないのです。熊と別れて自分と付き合った方が私のためだとまで言い出す始末。家庭があるくせに、熊がどんなにいい奴か知らないくせになんなんだ?この男は・・・と怖かった。やっとの思いで美容院から出ることができ二度と行くまいと決心。するとその日から、電話攻撃がはじまりました。着信拒否にしても違う電話から何度もかけてくる。部屋の電話もなり続ける。異常としか言えませんでした。(その男に電話番号を教えたのではなく、以前の担当の女の子の残した資料に残っていたのです)
 それをあるサイトで愚痴ったところ警察に相談するようにすすめられ、思い切って相談にいきました。生活安全課の女性は親身に聞いてくださり、私の言葉を信じてくれました。しかし、相手の男と話したある年配の男性警官はまるで私の狂言のように言いました。はらわたが煮えくり返る気分でした。それなら携帯電話の着信記録を調べて欲しいと申し出ましたが、うやむやに流されてしまいました。
 今回、桶川の事件のドラマ化での警察の対応に私自身の体験が甦りました。なんとか助けて欲しいと訴える人間を警察がどう扱うか、私はそこがとても大きな点だと思っています。

ABC『ひまわり〜桶川女子大生ストーカー殺人事件〜被害者家族の秘話・衝撃のドラマ化 詩織・・・・21歳の君にあの日何が起こったのか』



2003年12月13日(土) 『マタニティ&ブルー』 和田はつ子

 理歩は同郷で幼馴染の白石との交際に行き詰まっていた。精神科医の白石は、いつも患者たちのケアを優先していた。ある日、理歩は仕組まれた運命の出会いにのぼせあがってしまう。花岡という青年実業家である。理歩の心の隙間をくまなく埋め尽くした花岡は、まんまと理歩を射止め、身ごもらせたのだが・・・。

 かくれキリシタン、エクソシスト、悪魔の赤ちゃん・・・まるで私の好きなホラー要素を全部見込んで盛り込んだかのようなホラーでした。理歩の心の揺れ動きとプリティウーマン症候群は痛いほど理解できる。白石と花岡の対決も見もの。
 でも、残念ながら最後のまとめが少々雑だった気がします。そこだけがとても残念。どう終結するにしても、あんなにあっさり終って欲しくなかったです。もっとどろどろに。もっと残酷に。

 ここにいたって神の意思は完全に無視される。

『マタニティ&ブルー』 2002.1.10. 和田はつ子 角川ホラー文庫



2003年12月12日(金) 『顔』 横山秀夫

 平野瑞穂は、かつて似顔絵書きの改竄を拒んだことから、今は鑑識課から広報にまわされている。女性警察官として悩み傷つきながら成長する瑞穂の遭遇する事件たち。

 この『顔』こそが、横山秀夫さん読まずギライになったきっかけの物語でした。ちょうど巷で横山秀夫フィーバー(古いな)が起こり、はじめて読もうとしたのが『顔』だったのです。この物語の中での男性警察官たちの女性警察官への差別やいじめ表現に拒否反応を生んでしまいました。
 今年になって、あまりにも評判が高い『半落ち』を拝読し、横山秀夫さんのすごさを実感し、トラウマとなった『顔』を読んでみることに。テレビ化されていたものを見ていたこともあって、今回はすんなり読み進めることができました。
 まだまだ警察機構での女性の立場は弱いのだろうなぁと思いますが、瑞穂のように負けないで頑張る女性にはエールをおくりたいなと思いました。短篇集なのでさらさら読むことができました。まだまだ横山秀夫さん追っかけは続きます。

 犯罪とはこういうものなのだ。直接の被害者だけでなく、思いも寄らないところにまで不幸の波紋を広げ、多くの大切なものを踏みにじる。人を泣かせ、人を傷つけ、人の一生を狂わせる。

『顔』 2002.10.31. 横山秀夫 徳間書店



2003年12月11日(木) 『2004年度版 このミステリーがすごい!』 宝島社

 本を読むことが好きな私にとって、年末のお楽しみは『このミステリーがすごい!』にランクインした作品をどれだけ読んでいるかと言うこと。ベスト10の感想などつらつらと述べてみたいと思います〜。

第1位『葉桜の季節に君を想うということ』
 この物語はとてもよかったし、ランクインは当然だと予想していましたが、まさか、第1位だとは思いませんでした。西澤保彦さんフェチとしましては、この物語が行くなら、『神のロジック 人間のマジック』が行っちゃってもおかしくないでしょう〜とほほ〜と悔しいばかりなり。遅れて出版された西澤保彦さんに不利でしたね。がくり。歌野晶午さんファンのみなさま、ごめんなさい。この物語が素晴らしいことはキチンと認めていますから、お許しあれ。

参照:酩酊本処11月10日

第2位『終戦のローレライ』
 ただいま積んでいる本の中にありますので、これから読みます。

第3位『重力ピエロ』
 私の予想では、これが第1位だったのです。伊坂さんの作品は6位にもランクインしたので票が割れたと言う事でしょうか。残念。仲間内でも大評判だった伊坂幸太郎さん、ベスト3入りは当然かとv
参照:酩酊本処5月9日

第4位『第三の時効』
 ただいま、遅ればせながら横山秀夫さん追っかけ消化中なので、また読みます。

第5位『グロテスク』
 やりましたね、さすがは桐野女史。この物語のグロテスクさはすごかった。かなり後をひきましたから。桐野夏生にしか描けない世界でしたね。納得のランクイン。
参照:酩酊本処7月8日

第6位『陽気なギャングが地球を回す』
 タイトルも秀逸な伊坂さんちっくコメディ。テンポと言い、言葉の運びと言い、読みやすく面白かったです。でもこれが6位に入るとはすごいなぁ。
参照:酩酊本処5月16日

第7位『クライマーズハイ』
 横山秀夫さんに関しては同上(第4位)

第8位『月の扉』
 『アイルランドの薔薇』でおもしろいなぁと思ったので、ただいま積んでいる本の中にあります。近いうちに読みます。

第9位『流れ星と遊んだころ』
 このシンクロには驚きました〜。タイトルに惹かれて手にした本が、このミスにランクインしていたのですから。物語もとても面白かったです。
参照:酩酊本処12月10日

第10位『ワイルド・ソウル』
 やりましたっ!(私がやったわけではないのですが) この物語は最高に面白いっ!!と無条件に喜んでしまったのです。自分的な今年の本はこれだ!に必ず入れたい物語。ケイをこんなに愛してくれる人たちがいたのかと思うと感動。ランクインして一番驚いて一番嬉しかった作品です。
参照:酩酊本処9月9日


 10冊のうち6冊が既読で、2冊が積んでいる本の中にあり、残り2冊は追いかけたい横山秀夫さん作品という結果になりました。そう言う意味で言うと今年はちゃんとアンテナキャッチしながら読書できていたのかな、と思います。いずれにしてもランクインした作品はやはりどれも面白いのだと思います。特に伊坂幸太郎さんの快挙が嬉しかった。
 残念なことは、女性が桐野女史ただひとりだったことでしょうか。恩田陸さんや宮部みゆきさんが10位に入らなかったことは意外でした。また来年のこの時期が今から楽しみです。



2003年12月10日(水) 『流れ星と遊んだころ』 連城三紀彦

 北上梁一は傲慢大物俳優“花ジン”こと花村陣四郎のマネージャー。花ジンに嫌気がさしていた北上は、酒場で拾った鈴子と、その絡みで秋葉駿作という男と出会う。北上は秋葉駿作を見た瞬間、「こいつこそスターになれる男だ」と直感する。北上は、花ジン失脚を画策し、秋葉を代役にすべく奔走する。そして俳優・秋葉駿作が生まれたのだが・・・。

 驚きました。まずはただタイトルに惹かれて手にしたこの物語が2004のこのミスの堂々第9位にランクインしていたことを読み始めた後で知ったこと。そしてこの物語がとんでもなく(個人的には)面白かったこと。連城三紀彦さんの作品はそんなに読んでいないのですが、こういう物語を書かれる方だったんですねー。感服。
 こういう芸能界を舞台にした男女間、&男男間のスキャンダルを男性が書いたものを読んだのもはじめてでした。女性が書くものは栗本薫さんなどでたまに読んでいましたが。つくづく男性の方が女性よりロマンチストって本当だなぁと思いました。
 この物語は、スターになるため、スターにするため、と言うサクセス・ストーリーとどろどろの愛憎劇に並行して読者を驚かせる企みがあります。私は素直にすっかりだまされました。ひゃーと声がでちゃいました(笑)。面白かったです。

 意地悪いマスコミがそれまで蝶よ花よともちあげ続けたのは、最後に蹴落とすための伏線だったわけだ。好きなんだよ、マスコミも世間も。喝采の裏でこっそり落とし穴掘っておくのが。

『流れ星と遊んだころ』 2003.5.20. 連城三紀彦 双葉社



2003年12月09日(火) 『橋をわたる』 伊島りすと

 早川は、時給のいいアルバイトとして塾の講師をする。文学部なのに急遽算数の授業まで受け持たされてしまい四苦八苦。あるクラスの子供たちにイコールの概念を言葉と文章で教えていた。すると突然ひとりの少女が自分の顔を目玉をシャープペンで突き刺しはじめた・・・。

 “血”をめぐるホラーというものがなぜかとても好きです。血って生命そのののだったり、エロティックだったり、なんだかぞくぞくする。この物語の主人公の早川くんはその血でサイコメトリーできるという不思議な能力を持っています。その力で傷ついた少女や好意を寄せた女性の哀しい体験を知ることになる。この物語の微妙な長さを読みやすかったと捉えるべきか、もっと重厚にするべきだったのにと残念がるべきか判断がつけにくいところ。ラストの少女の起こした奇跡がいいなーと感じたし、タイトルの意味とつけ方なども私的にはなかなか好みの物語でした。

 血を介して他人を知ることは、スリルではあるけれど、また同時に地獄を見ることでもある。

『橋をわたる』 2003.3.10. 伊島りすと 角川ホラー文庫



2003年12月08日(月) 『あそこの席』 山田悠介

 瀬戸加奈は、父の転勤で東京へ引っ越してきた。転校先のクラスに馴染めるかとても不安。新任の市村先生とクラスに入った時に感じた妙な違和感。加奈は孤独と不安でいっぱいになる。だが、帰り道で仲良し三人組と思われるクラスメイトに誘われ、大勢でカラオケに行く。みんなと一気に仲良くなり、楽しくなる加奈。しかし、それは突如はじまった。加奈を執拗に追いまわす不気味なストーカー・・・?

 山田悠介さんは、まだ二十歳過ぎたくらいの青年で(うろ覚えですが)、若年層に爆発的に指示されているそうです。おそらくこのソフトなホラー加減が怖い本を読み始めた若い人たちにちょうどいいのではないかしら。タイトルもテーマも学生さんたちには身近だろうし。
 もう若年層にはさすがに分類してもらえない私には読みやすいホラーで流れてしまいましたけど。夜、寝る前にさぁ〜っと読めてしまって、そう言う意味では手軽なホラーでいいかもしれない。
 内容については、怖いというより、今の若い子たちの心がこんなにも簡単に壊れたり、傷ついたり、キレたりすることが不思議で不気味。これも時代が変わったということなのでしょうか(謎)。

『あそこの席』 2003.11.15. 山田悠介 文芸社



2003年12月07日(日) 『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

 椎名は大学生活突入のため引っ越してきた先で、黒猫に出逢った。次に出逢ったのは黒ずくめの悪魔みたいな美青年、河崎。そしていきなり誘われた。
 「一緒に本屋を襲わないか?」

 むー、うまい。うますぎる。今年のマイナンバー1はやはりこの伊坂幸太郎さんかしら。この伊坂さん作品のおもしろさを教えてくれた私の愛する青年(ぽぽぽ)が、なんとなく椎名とだぶるところもご愛嬌。性格とか話し振りがかなり似てる(大笑)。
 伊坂幸太郎さんは『オーデュポンの祈り』が出てすぐに読みましたが、その時は不思議な話だったなぁ〜くらいでした。そのため仲間同志で話題に上るまでその後の作品を読んでいなかったのです。予言するカカシは気に入っていたのですけどね。
 今回の物語も、ばらばらのピースがだまし絵のようにまとめられた時、ひゃぁ〜と感服しちゃいました。こういう進め方、だまし方は本当にうまい。そして登場人物たちの魅力的なことったら涎もんでした。主要メンバーはみんな好きですが、一番好きなのはやはり麗子さんv 素敵vv 河崎もいいなぁ。
 清冽な静謐な読後感ではありますが、物語にはかならず毒々しい毒もあります。そこが伊坂幸太郎さんなのでしょうね。超オススメです。むっちゃ好き。この物語。

 僕はいかにも自分が主人公であるような気分で生きているけれど、よく考えてみれば、他人の人生の中では脇役に過ぎない。そんなことに、今さらながらに気がついた。

『アヒルと鴨のコインロッカー』 2003.11.25. 伊坂幸太郎 東京創元社



2003年12月06日(土) 『死人花 「彼岸花」異聞』 長坂秀桂

 『彼岸花』の裏話ストーリーでいいのかな。昨日書いた『彼岸花』はゲーム化されて、なんとラストが187通りあるのだそうです。この『死人花』はその187のラストのひとつなのか、まったく違う物語なのかわからないのですが。
 ストーリー自体は、読んだものに沿って進行されるのでつらつらさらさらと読み進めました。ただ、『彼岸花』よりも、よりミステリー色が強い感じがします。『彼岸花』もホラーとミステリーの融合と言う感じでしたが、こちらはバリバリミステリーだった。手が込んでたし。でも個人的好みから言えば、『彼岸花』の方が面白かった。先に読んだからかもしれないけれど。

「ああ、これは彼岸花の花言葉なのだそうでございます。“悲しい思い出”・・・・・・彼岸花は、悲願花・・・・・・この花って、見れば見るほど、悲しい花でございますよねえ・・・・・・」

『死人花 「彼岸花」異聞』 2003.1.10. 長坂秀桂 角川ホラー文庫 



2003年12月05日(金) 『彼岸花』 長坂秀佳

 六条有沙は、遠縁にあたる亨(あきら)と付き合っていたが、彼は1年前に京都で死んでしまった。彼の死には謎が多すぎた。有沙はポストへ直接投げ込まれた京都行きの新幹線チケットに誘われて(挑んで)京都へ向う。その新幹線の中で融(とおる)と菜つみというふたりの少女と出逢う。話すうちに意気投合し、京都での行動を共にする。しかし、三人はだんだんと互いに不信感を抱きあう。行く先々に現れる幽霊。導かれるように三人が辿り着いた場所、そこは・・・。

 ほー。なかなかぎっしりつまった物語で堪能できました。ホラーとミステリーとカニバリズムとおまけにエロチックさがきちんと融合されていました。ホラー路線に流されないように科学的に検証しつつも、どうしてもどこかに漂い続ける不気味な気配。面白かったなぁ。そしてこの物語に登場する<不思議>はありえることだと私は思っています。

「鬼酔い・・・・・・」
「酔うて浮かれます。鬼の精あふれ、鬼の欲情兆し、やがては、人の肌を喰らいたくなると」

『彼岸花』 2002.6.10. 長坂秀桂 角川ホラー文庫



2003年12月03日(水) 『蛇 ジャー』下 柴田よしき

 舞子は旅をする。時空さえ越えて・・・。そして舞子たちは選ばれて旅をさせられたのだった。竜が選んだ現代人へ仕掛けてきたゲームのゆくえは。舞子のかわいい甥の生死は・・・。

 うー。最後、泣きました。柴田よしきさんご自身の暖かさみたいなものが、いっぱーい伝わってきて思わずラスト感涙。いい物語でした。読みやすかったし。
 妖精とか妖怪とかを見たという人は今でもいるようです。有名な妖精の写真もありますよね。この『蛇』を読んでいると、その昔は妖精たちや妖怪たちと共存していたことが本当だったように思えてきます。そうだったらいいな、と思います。
 この物語で旅をする何人かの選ばれた人間たちが、さまざまな旅と出会いによって変化する。私はゲームをしませんが、経験値があがるってこういうことを言うのかもしれないなぁ。娯楽作品です。でも思う存分、柴田ワールドを堪能していただきたい素敵なファンタジーでした。私はかなり好きv
 ちなみにこの上下巻は柴田よしきさんのサイン本を友人がプレゼントしてくれました。宝物となりそうですv またいつか読み返そう。

「歴史が変わっても、出逢う運命の人間は出逢う。僕はそう思います。いつかどこかでまた、僕らは友達になれる。一緒にトカゲを食べる友達に」

『蛇 ジャー』下 2003.11.30. 柴田よしき 徳間書店



2003年12月02日(火) 『蛇 ジャー』上 柴田よしき

 舞子はブラザーコンプレックスだった。大好きなお兄ちゃんのお嫁さんに子供が生まれることが憂鬱でしかたない。ある日、BFの陽一とDATEしている時にボートに乗り、水面に向って赤ちゃんごといなくなってしまえと念じてしまう。だが、いざ子供が生まれてみるとかわいくて愛しくてしょうがないのだった。なのに舞子の目の前で赤ちゃんがさらわれてしまう。舞子に聞こえてきた言葉、<おまえの望みはこれで叶えられた>。舞子の心の迷いを聞きつけ、甥を奪った相手はいったい何者なのか? 舞子の甥を救出するための冒険がはじまった・・・。

 柴田よしきさんならではの壮大な伝奇ファンタジーです。舞子の敵(?)は、琵琶湖を守り続けてきた竜神なのか。どうして舞子の甥を奪ったのか。舞子以外にも竜を追い求めるカメラマンや刑事などなどが登場し、それぞれがそれぞれを呼び寄せあい同じ目的の冒険がはじまります。これはもしかすると都シリーズともリンクするところがあるのかもしれません。都シリーズにも孤独な竜神さまが出てきたはず・・・(確か)。
 柴田よしきさんは、この物語を新聞に掲載するにあたって荒唐無稽で縦横無尽で壮大なファンタジーにしたかったそうです。通勤のほんのひとときを楽しませてあげたいという心憎い心遣い。これを通勤で読めた人はしあわせだったろうなぁ。いいなぁ。
 上巻を読んで思ったことは自然破壊の怖さでした。自然を破壊してしまい、汚し続けた人間たちは、なんらかの報復を受けてしまうのかもしれません。
 下巻を読むのとてもが楽しみですv

 どんな人生にも大なり小なり挫折はつきまとう。でもそこでいちいち絶望しないで前に進もうとするなら、割り切って考えないようにしなければならないことや、無理に忘れてしまわなくてはいけないことも出て来る。それが出来るから人間は前進出来るんだし、生きていけるんだ・・・・・・こんなむちゃくちゃな世の中でもね。

『蛇 ジャー』上 2003.11.30. 柴田よしき 徳間書店 



2003年12月01日(月) 『ゴーストシステム』 長江俊和

 津田楓は頭の良い美少女。しかし憧れだった名門お嬢様学校へ高校受験で入学して、学校では微妙ないじめに遭っていた。ブルジョワのお嬢様がたには庶民で美しく聡明な楓が気に入らないらしい。その上、楓に近頃、おかしなメールが届くようになった。それは受け取ると必ず自殺してしまうというメールだった・・・。

 これはどうやら映像化されたもののノベライズらしいです。受け取ると自殺してしまうメールと言う設定はおおいに好みなのですが、問題のゴーストシステムなるものについては理解不能。そんなむずかしいシステムを登場させなくても、都市伝説系怖さでひっぱれるように思いました。ただ、恋愛関係にあった男に殺されそうになった零子(本当の意味でのヒロインかな)の心情は理解できます。ちょっと零子の結末は気の毒すぎました。

「人はいつか、誰でも死ぬからです。死は誰にでも訪れる。そして、最新の科学を以てしても、“死”は回避することが出来ないし、死後の世界を解明することも出来ない。だから、人間は“幽霊”や“心霊現象”を恐れながらも、それに惹きつけられるんだと思います」

『ゴーストシステム』 2003.11.10. 長江俊和 角川ホラー文庫 



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