[ 天河砂粒-Diary? ]

2006年01月29日(日) バトンとか?

眠いんだか、眠くないんだか、もうなんだかわかりません(笑)
そんな、日曜日の午前4時です。
ちらほらバトンを頂いていて、ちらほら止めていて、そろそろ何が何だか忘れてきているのですが(汗)
ひとまず、最近頂いて気付いているものから答えてみようかなと思う今この瞬間です。

◆ソフトウェアバトン◆
常葉さんと、雁乃さんから頂きました!
常葉さんからは、「実はソフト詳しくないですか?(笑)」というお言葉とともに回していただいたのですが。
……実は全然詳しくないのでありました(笑)

1.お名前は?
 三紀藍生です。みきあおいと読みます。
 さんきさん。と、裏で呼ばれていることが時々あります(笑)

2.パソコン使用時に日常的に使うソフトの数はいくつですか?
 日常的に……。5つか6つくらいでしょうか。

3.その中でも「特にこれは欠かせない!」というソフトを最大5つ挙げてください。(ここではブラウザは除く)

・Microsoft Excel
 貧乏で貧乏で仕方がないので、節約のために毎月の予算計画(笑)と家計簿をこれでつけていたりします。計算苦手子さんには便利。
 あと、お仕事ではよく使います。ワードの代わりに。

・一太郎11

 執筆はこれで行います。一太郎さん大好き。昔はWordでしたが……。

・IBMホームページビルダー V6.5
 サイトの作製はすべてこれで行っております。
 ……ほとんどサイトの更新を行っていない状況に置いて「日常的」と言えるかどうかについては甚だ疑問ですが!(笑)
 しかし、ドリキャスでHP作っていた時代に覚えたタグなどはもう忘れましたので、これがないと、サイトの更新は何もできません。

・Outlook Express

 メールは会社でも家でもこれですので、これがないと微妙に困るかも。
 でも、サイト運営関係で使っているのはヤフーなので、実は困らないのかも。(どっち?)

・窓の中の物語
 日常的には使いませんが、長編を読む時とか、すぐに読んで返事を渡したい時とか、自分の小説を読み返す時などに使います。便利です。

あ! ……私、今、すごくがんばって5つ絞り出したのに。
質問読み返したら「最大5つ」でしたよ。
なんだー。がんばる必要なかったなー(笑)

4.フリーソフトは利用しますか? また、主にどこで探してきますか?
 「使うぞー!」と思って使うことはあまりないかも。
 PCのスペックに常に不安を抱いているので(笑)、あまりインストールはしたくない。というのが根底にあるのかもしれません。

5.使用ソフトにバグや要望があった場合、それを作者の方に伝えたりしますか?
 うーん。多分、伝えてないと思います。
 というか、そもそも要望が沸くほど使わないし、バグには気付かないと思います(笑)

6.バージョンアップするたびに入れ直し・上書きなどはしたりしますか?
 面倒なので、余程困らない限りはしません。
 ……最近、アドビリーダーはヴァージョンアップしました。困ったので!(笑)

7.ブラウザは主に何をお使いですか?
 IEです。家では常にIEです。
 家以外だと、以前雁乃さんが紹介されていた「ほぼテキストブラウザー」を使います。色々と、差し障りがなくて便利です(笑)
 新人賞に知り合いがたくさん参戦している時などは、新人賞スレッドを見るために、古い「かちゅ〜しゃ」を使ったりもします。

8.自分のサイトのチェックに使っているブラウザをすべて挙げてください。
 IEのみです!(笑)
 大丈夫。そんな高度なタグは使用してません。
 (正確には、使用できません)

9.メインブラウザでとあるサイトの表示が崩れていた場合、どう対処しますか?
 知り合いのサイトなら、知らせます。IEで崩れるのは困ると思うのです。
 それ以外なら、気にしないで見るか、余程見にくいようならすぐに諦めます。
 ……でも、WinでIEだから。そんなに気になるような崩れは無いです。
 Macで作っている人のサイトを、実家に帰った時にMacで見て、「おお! なんと、Macで見るとこんなにスタイリッシュなデザインになるのか!」と感動することは実はままあります(笑)

10.価値あるソフトはお金を払ってでも使いたいと思いますか? それともタダより安いものはありませんか?
 タダより安いものはないと思います!!
 でも今のところ、タダでも有料でも、特別欲しいと思うソフトは……
 あ、ありました。簡単に使えるアウトラインプロセッサが欲しいです。
 ……フリーのソフトをダウンロードしたのですが、重すぎて使えなかったり、私の知識が足りなくて使えなかったりで。
 結局、普段は、「メモ帳」にプロットを書き、それを縦長にして左に置き、右側で一太郎を立ち上げて執筆をし、必要であれば窓を切り替えて資料を見。という方法を取っています。……あまり困らなくなってきました。

11.最後、バトンを回したい人を最大5人お願いします。
こーとさんは親切だなぁ。「最大5人」ですもんね。
無理矢理回せとは言わない大人っぷり。
というわけで、回すのがめなのでここまで!!(笑)


◆私信など◆
・すみません。メールのお返事がほとんどできておりません。
 今日、目が覚めたら行います。遅くなってごめんなさい。

・エンピツ日記で不定期連載していた「春風は〜」を、小説ページに移しました。

・来週くらいから、週一連載を開始できたらいいなぁと思って、今、誠意プロット中です。がんばります! 悲恋です!

・でも仕事が今、一番の山場なので、ちょっと自信がありません。

・というか、色々やり漏れている気がします。「あれどーなったの?」と、お気づきの点がある方は、そっとご指摘いただけると助かります。

・エンピツ日記下部のメールフォームを、今までのエンピツフォームから、サイトトップと同じタイプのCGIフォームに変更しました! これでメールアドレスなくても送信できます。
 なので、メッセージください。(催促)
 週一連載を始めれば、その都度報告をここにいたしますので、フォームから頂いたメッセージに対するお返事も、まめにできると思います!!

 ……がんばります。



2006年01月28日(土) 【春色は、青だと四月の風は言う】 第5話-02

第5話 祐希の日記02-02

――――――――――――――――――――――――――――−・
 7月6日(水)
 盗まれたスクール水着を捜し出せたら、そいつが犯人ってことにしておこう。
――――――――――――――――――――――――――――−・

 日に日に小島が暗くなっていくので、それに伴って俺は日に日に八方ふさがっていく訳である。
 どーすりゃいいんだ。今更見つけたとは、言えるはずもない。
 教室にいても、ついついため息が出てしまう日々だ。あーもー。
 授業中から休み時間に至るまで、心休まる時がない!
 どうしようどうしようどうしようどうすれば!?
 思い悩んでいる俺の横で、クラスの女子が何やら騒ぎ出した。
 気が散るから騒ぐのはよそでやってくれ。と、正直思ったりもしたが、その表情が想像以上に深刻そうだったので、ちょっと気になって耳を傾けてみた。
「確かに持ってきたのに……」
「うん。だって朝持ってたよね、私見たもん」
 ロッカーを漁ったりしているところをみると、何かが無くなったようだ。
 なんだろうかと思っていると、いつも大抵無表情で、何考えてんのかその言動からもさっぱり読めない篠田が、小島とともに僅かに眉をひそめて立っていた。
「どした?」
 小島だけでなく、なんで篠田までテンション下がってんだ。
「水着が無いわ」
「あ?」
「また盗まれたわ」
 確かにさっきの時間の数学は移動教室で、この教室には誰もいなかった。盗まれていたとしても不思議はない。が。
「また?」
 またってなんだ。初めてじゃないのか?
「結構頻繁に無くなるのよ」
 ……そんなことを無表情で言われてもなぁ。
「落としてきたとか、家に忘れてきたとかじゃねーの?」
「スカーフを? 使いかけのノートを?」
「……盗られてんのか」
「だと思うわ」
 それって結構一大事なんじゃねーの?
 先ほど横で騒いでいた女子にきいてみると、買ったばかりの色つきリップが無くなったのだという。その前はバレッタとかいうものが無くなったらしい。響きが武器っぽいけど、さすがに武器は持ってきてないだろうから、俺の知らない何かだろうと思う。
 さらにその前には、お気に入りのシャーペンも無くなっているのだとか。はじめはどこかでなくしたのかと思っていたが、こう頻繁だと盗られているとしか思えないのだという。
「篠田も?」
「そうね。スカーフに、ノートに、今回は水着。小島さんは、体操服と……」
「体操服!? 言えよ、そういうことは」
「……だって、勘違いかもしれないし」
 小島の言葉に、「ねー?」と、クラスの女子が賛同する。
「だいたい、盗る理由がわかんないし」
「変質者とか?」
「やだ、きもーい!」
 耳に響く高い声がはもる。……正直、うるさい。
「でもそれだけ多種多様に渡って被害があるってことは、変質者というよりは、あれかも」
 いつのまにか隣に立っていた沢木が、何か考えるように呟いた。
「あれ?」
「ネットオークション」
 なるほど。じょしこーせーぐっずか。可能性としては確かにありそうだ。
 話を聞いてみると、今日はうちのクラスで水着が2着消えているらしい。体操服や水着が消えるようになったのは最近のことらしいから、小物で味をしめた犯人が、大物に手を出し始めたと考えるのが、確かに妥当かも知れない。
 ……ふん。盗めそうな人間で、妖しい人間、か。
 俺の脳裏に、とある人物の顔が過ぎった。
 ついでに妙案も過ぎった。
「どこ行くの?」
 教室の出口に向かう俺に、沢木が驚いて声をかける。
「犯人探してくる」
「心当たりでもあるの?」
「ある」
 あの、小島にぶつかった挙動不審の3年生だ。
 3年生なら、既に受験カリキュラムで動いているから、講座の取り方によっては授業中の犯行が可能なはずである。……それにあの紙袋も妖しい。
「……授業は?」
「さぼる」
「随分とやる気満々だね?」
「渡りに舟だからな」
「は?」
「気にするな」
 顔を疑問符で覆っている沢木に、とにかく先生には適当に言い訳よろしくと言い置いて、俺は一路、社会科準備室を目指した。
 そうだ。渡りに舟なのだ。
 小島の手帳も、盗まれたことにするのだ。
 俺は決意する。
 盗まれたスクール水着を捜し出せたら、そいつが犯人ってことにしておこう。
 濡れ衣だと言うかも知れないが、そんなことは、俺の知ったことではない!!
 階段を駆け下り、チャイムを無視して図書室の方へ走る。と、なんとタイミングの良いことか、例の挙動不審男が、紙袋をかかえて、やっぱり挙動不審な様子で社会科研究室に入っていく所だった。
 息を潜め、足音を抑え、影が磨りガラスに映らないようにかがんで、扉から中をうかがう。
 中には一見真面目そうな生徒が4人。そのうちの一人が、挙動不審男である。
 一人の生徒が挙動不審から紙袋をひったくるように受け取って、中身を広げる。
 大当たりだ。水着が数着と、小物が色々出てきた。
 両サイドで見守っていた残りの二人が、途端に目の色を変えて、「篠田のを俺に!」「おれはこっちを、二千円で!」などと騒ぎ出す。
 ……コレが同じ学校の先輩だと思うと、ちょっと頭が痛くなる。
 が、しかし。コレこそまさに、渡りに舟、渡りに舟!!
「これはダメだ。ネットに流す。その方が、あがりが良いだろ?」
 リーダーらしき男が言い切って、ノートパソコンに指を走らせる。
 渡りに舟、渡りに舟。っつーかこれはもう、紛れもない現行犯だろう!
 思わず漏れる笑いとともに、豪快に扉を開けて教室へと飛び込んだ。
 言っとくけど、俺は、見た目通り、ケンカは強いぜ?
 蹴散らせ、殴り飛ばせ、半殺せ!
 一撃で鳩尾につま先蹴りと、軽くステップで切り返して金的とで、雑魚二人を撃沈させたら、テンションが高くなってきた。
 逃げ出す挙動不審は無視して、リーダー格の男に飛びかかる。
 最近の頭脳派ってのは、ほんと、筋肉をないがしろにしすぎだぜ。
 軽く引き倒して、うつぶせに転がし、腕を背中までひねってその上から踏みつける。
「肩の骨、鳴らしてやろーか? ボキって言うぜ。ボキボキって」
 泣いて許しを請う様を見下ろして、力入れちゃおっかなーと、ちょっと凶暴な気持ちになったところで、タイミング良く携帯が鳴った。
 沢木だった。言い訳ではなく、盗難の被害届を先生にしたのだそうだ。で、今どこにいるんだ、という内容だった。
 素直に場所を告げて、ぐったりしている3年生たちをさらに締め上げて、そうこうしているうちに、教師やってきた。
 教師に連れていかれる3年生達を見送りながら教室へ向かうと、沢木達が心配そうな顔で俺を出迎えた。
「犯人、殺してない?」
 そんなへまはしない。
 冗談っぽくたずねる沢木に笑って答えながら、思い出して小島に声をかける。
 そうそう。渡りに舟渡りに舟。
「これ、お前の? さっきの教室に落ちてたけど」
 とかなんとか、それっぽいことを言いながら小島に手渡すと。
「それ、すごくすごく探してたの! ――ありがとう!!」
 ものっすごく感謝された。
 ……ものっすごく、良心が痛んだ。
 でも、まあ、いいんだ。中は見てないし、悪いことはしてないはずだ。
 これで、小島も元気になるだろう。
 ほんと、手帳ってやっかいなものだよな。
 俺は、多分、一生手帳なんて付けようと思わないだろう。
 小島の安心した横顔を見下ろしながら、強く強くそう思った。
 

→ 06.そもそも夏休みとか気の抜けている期間に大量の課題をやれというのが、間違っているのだと叫びます。 へ続く。



2006年01月09日(月) 【雑記】ブランクって恐ろしい!

んヶ月ぶりに、『春風は青だと四月の風はいう』の第5話を更新したのです。昨晩。
そして、満足して眠りにつき、朝起きて読み直しておりました。
私は基本的に、自分の書いた文章を読み返す行為が大好きです。
自分の文章大好き。もちろん、書くお話も大好き。だって私、自分大好き!(ひのさんっぽく)
でも、読み返して「……やっべー」と思ったのは初めてです。
やっべー……。たった原稿用紙9枚なのに、あちこちつじつま合ってないよ!!(汗)
具体的には、致命的なことに時系列があってない!
「ことの始まりは、二日前にさかのぼる。」って書き出してるのに。
ラストで「気づいたのは3日目」「さらに1日たってしまった」とか書いている昨日の自分にびっくり!
それ、2日前じゃないじゃん。4日前じゃん。ぜんぜん違うじゃん!!!
そかも「俺は置勉派だ」という設定なのに、図書室から戻ってきてからのこの人は、ロッカーから鞄出して、教科書しまってるし!
この行動はまだ、「ロッカーから鞄を出して(かわりに、ロッカーに)教科書をしまった」に違いない。と、読みながらがんばって脳内補正を行えなくも無い感じですが。日にち、日にちは致命的!!!
……というわけで、後でこっそり直しておこうと思います。
ことの起こりは2日前ですから。1日忘れて、翌日気づいたってことに。「昨日小島が落ち込んでたっぽいのはこれか!」みたいな感じですよ、本当は。
少なくとも、下書きを書いた去年の11月頃には、そう思っていたはずですよ。だから「ことの起こりは2日前」なのですよ。わかりましたか? 藍生さん。はい、すみません。
時間的ブランクがあると、色々忘れるのね。怖いね。というお話でした。
……それにしても、年明け1月に、やっと昨年7月の日記かぁ。
予定では月1更新して、3月に完結だったのだけれど、はてさて、どうなることやら……?
(というか、3月に終われなかったら、タイトルに繋がらないんですけど、どうしたら!?)


ところで、あけおめことよろに続く、短縮新春挨拶は「あけおめ せわあり ことよろ」でいこう! と、相成りましたので、皆様ご協力をお願い致します。
でもせわありってローマ字入力の人には少し打ちにくいよねだって左手に偏るもの。
というわけで。
エンピツ仲間の想さん。お年賀ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。
メェさんからもお年賀頂いておりますので、近々(そうね年内には)頂き物ページを完成させたいと思います。

そして、私の永遠の思い人ぐりさん! 今年もよろしくお願いします。メッセージも感想もありがとうございます。
きちんとメールさせていただきたいので、今しばらくお待ちください。

去年の話だけど、私は三木さんにもメールしたいしたいと思ってできてないのでした。ごめんなさい。そろそろ半年たっちゃうかも(涙)

あとは、しあんさんにも最近お会いできてないのでご挨拶したいなぁ!

それから、ええと、今年は達成目標2mmnで行けるようにがんばりたいです。
1年は365日だから、2mmnってことは、700枚ちょっとだね! 長編2本分だね★
あちこち会わせて2mmnですから、サイトの更新に直結するとは限りませんが!
がんばるぞー!!(やっと新年らしい心持になって参りました)

最後に。
カシマシブログができました。
2006年の帝國カシマシーズを余すところありまくりでお伝えできればと思います。
……飽きたら終わりますけど。3人いるから、きっと大丈夫。
(ソレハドウカナ?)

書き残しは無いかしら?
次回は「春風〜 第5話-02」でお会いしましょう! たぶん……。



2006年01月08日(日) 【春色は、青だと四月の風は言う】 第5話-01

第5話 祐希の日記02-01

――――――――――――――――――――――――――――−・
 7月4日(月)
 盗まれたスクール水着を捜し出せたら、そいつが犯人ってことにしておこう。
――――――――――――――――――――――――――――−・

 正直俺は困っていた。
 PC横に置いてある、柔らかな桜色の布カバーが掛かった小さな手帳。これが、俺の悩みの種だ。
 ことの始まりは、木曜日にさかのぼる。
 俺と小島は、図書室での調べ物を終え、教室に戻るところだった。
 社会科の授業で宿題が出たのだ。夏休みの宿題が。……気の早い話だ。
 気の早い話だが、早々に出た物は片付けておくのが吉。というわけで、小島と協議した結果、放課後にやっていくことになった訳だ。
 で、まだまだ日の差し込む暑苦しい廊下を、教室に向かって歩いていた。
 もう少しで教室だなぁと思っていたら、向こうから猛スピードで走ってくる男子生徒がいた。俺たちは廊下の右側を歩いていたし、廊下だってそんなに狭い訳じゃない。すれ違いも余裕だろう。と、気にせず歩いていたのだが。
 ……その男子生徒は何をどう目測を誤ったのか、小島に激しくぶつかって、その反動で躓いて、激しくすっころんだ。
 ビターンと、バサっという二種類の派手な音を立てて、つぶれた蛙よろしく廊下に伸びたそいつは、しかしすぐさま立ち上がると、前方に放り投げた紙袋(でかでかと店名のロゴが入っているのはどうかと思う)を拾い上げると、一瞬だけ挙動不審な感じで(まあ、無理もないか?)こちらを盗み見てから、すれ違う前以上の猛スピードで走り去っていった。
「……痛そうだったな」
「音だけだと良いね……」
 そんなことを言いながら教室に入る。小島は体育の時間に使った水着を取りに。俺は、持っていくのが面倒だったから置いていった鞄を取りに。自分のロッカーから鞄を出して、持っていた教科書をしまおうとして。
「あ。俺、図書室に筆箱忘れてきた。取ってくる」
「一緒に行く?」
「いや、下駄箱反対側だからいい。ちょっとひとっ走りして取ってくる」
 言い置いて、図書室に向かって走り出した。図書室は二階。一年の教室は何故か三階。昇降口は当たり前だが一階なので、鞄を持って行けば、そこまでの無駄はない。
 派手に転んだ誰かさんの記憶はまだ新しいので、もちろん、足下には最新の注意を払って走る。
 すると。だ。
 手帳が落ちていた訳だ。廊下に。そう。後々、悩みの種になる手帳だ。
 可愛い色合いだったが、さっき誰かが派手に転けた辺りだったので、その人物のものかと思って拾い上げて、名前が書いてありそうな裏表紙をちらりと捲ってみたら、見慣れた丁寧な字で「N.Kojima」と書いてあった。
「小島のか」
 はた迷惑な男子生徒とぶつかった時に落ちたんだな。と納得して、変な誘惑がわき起こる前に鞄の中にしまった。
 ……思い返してみると、失敗の原因はこれだったんじゃないかと思う。
 開襟シャツの胸ポケットに入れとけば良かったんだ。そうすれば、もし俺が忘れていても、小島自身が気付いたはずだ。
 でも、その時はまさか、俺が小島にその手帳を渡し忘れるなんて思いもしなかったし、下手に目の付くところに持っていたばっかりにうっかり中身を読んでしまったなんていう事態だけは避けねばなるまい人として。と、思ったのだ。だって、見られたら、困ることだって、書くんだろう? 女子ってものは。よくわかんねーけどさ。
 というか、俺に言わせれば、そもそもまめにスケジュール帳だとか日記だとかを書いている人間の気持ちも、実は分からない。仕事柄、約束事の多いサラリーマンなら話は別だが、俺にはメモして置かないと忘れるような込み入った予定は存在しないし、こんなありふれた毎日で、わざわざ書き残すような日々も送っていないのだ。
 とはいえ、想像することはできる。人間、想像力というものは大切だ。
 俺は日記を書かないけれど、もし俺が日記を書いていたとしたら。……やっぱり他人に見られるのはごめんだ。スケジュールだってばれたくない。だってうっかり血迷って「エロ雑誌発売日」とか書いてないとも限らないだろう?
 ……で? 何だっけ?
 そう。だから、その小島の手帳を、うっかり読まないように鞄にしまって、図書室に行った訳だ。目的の筆箱は、俺たちが調べものをしていた机にきちんとあった。小島を下駄箱に待たせているので、早々に鞄にしまって(どうしてこの時気付かなかったのかと、思い返すと悔やまれる。くそ)図書室を出たところで、例の、派手な音を立てて転んだ男子生徒を見かけた。図書室の隣には司書室があって、その隣には社会科準備室がある。地図とか地球儀とかが置いてある部屋だ。多分、そこから出てきたんじゃないだろうか。やっけに周囲をきょろきょろと見回して、挙動不審なことこの上なく、妙に目にはついたが、まあ俺には関係の無いことだ。その後は特に気になることもなく、下駄箱で待っていた小島と合流して家まで帰った。
 ……何事もなく。そう。手帳を返すのを、すっかり忘れて。
 ところで、俺は基本的に置勉派である。
 教科書は重たいから教室に置きっぱなしで、家には持って帰らない。
 教科書を持って帰らないと言うことはどういうことか。
 家ではまず鞄を開けない、ということだ。
 水泳で使った水着は、濡れたタオルなどと一緒に専用の袋に入っているし、昼はパンを買うことが多いから、鞄の中身には用がないのだ。
 そして、当然ながら、学校でもまず、開けることはない。筆箱は出すけれど、いちいち中をのぞいたりはしない。
 ……だらだらと言い訳がましいこと書いて何が言いたいかというと。
 手帳のことを、本当に見事に、綺麗さっぱり忘れていたのである。
 次の日も、俺は手帳が鞄に入っていることを思い出さなかった。
 小島は、手帳を探していたのだろう。その日は明らかに元気が無かった。今ならわかる。手帳が見つからなくて困っていたのだ。
 が。小島は俺が「元気ないけどどうした?」って聞いても、曖昧に笑うだけで、手帳のことは言わなかったし、情けないことに、俺も手帳のことを思い出せなかった。
 そしてそのまま土日が過ぎて。気が付いたのは今日だ。珍しく母親が弁当を作った。それを鞄に入れようとして、見慣れない桜色の物体と再会したと言うわけだ。
 ……気付くのがおせぇんだよ! 今更どの面下げて返せばいいってんだよ!
 そんな、4日も経ってから返すなんて、明らかにおかしいじゃないか。
 中は読んでない。断じて読んでない。マギー審司に誓ってもいい。
 けど、誰がそれを信じる?
 かといって、今日偶然見つけたなんて、そんな言い訳も不自然過ぎる。
 どーしたらいいんだ。

 で、俺は今、困りまくって途方に暮れている訳である。
 ……マジで、どーしたもんかね?


→ 祐希の日記02-02 へつづく



2006年01月02日(月) お正月掌編

 この世界には、可視分光の数だけ世界があるらしい。
 レディ・ダァリアが歌う彼方。光の船がたどり着く先。
 あまたある可視分光を仮に七色分光と定め、光の船で、無数に分けられた並行世界を巡る旅人のことを、我々は虹渡りと呼ぶ。

 目の前を、色とりどりのコートに身を包んだ子供達が駆け抜けていく。
 白く雪に覆われた森に、船を隠してきた私は、その子供達のあとを追うように、ゆっくりと街の中央に向かって足を進めた。
 屋根も、街も、空さえも、雪に白く埋め尽くされている。薄暗い夜の街。
 所狭しと、肩を寄せ合うように列んだ小さな家の群れ。その家々の窓からは、暖かな光が漏れている。
 街灯に浮かび上がる子供達が残したであろう足跡を目印に、十字路を右へ曲がると、不意に視界が開けた。
 広場だった。
 真ん中に高い柱が立てられ、そのてっぺんにはランタンがゆらゆらと火を抱きしめている。
 その柱を取り囲むように立ち、少年達はお喋りに花を咲かせていた。
 ランタンの火が、少年達の影を白い地面のスクリーンに映す。
 放射線状に広がる影は、まるで、私が旅する可視分光を思わせる。
 ふと、その中の影がひとつ、輪から飛び出した。
「おじさん、誰?」
 紺色のニット帽を目深に被って、白い手袋をはめた少年が、私を見上げる。
「虹渡りだよ」
「虹渡り? 何それ、曲芸師かなんか?」
「似たような物だ」
「ふーん」
 よくわからないというように首をかしげたが、それ以上の興味はわかなかったらしく、すぐに視線を戻した。
「君たちはここで、何をしているんだい?」
 問いかけると、何を当たり前なことを聞くのだろうといわんばかりの表情で、
「花火を待ってるに決まっているじゃないか」
「花火? 花火はしかし、夏の物だろう?」
 考えて首をひねる私に、少年はますますあきれた顔をする。
「何を言ってるんだおじさん。新年と言えば花火。花火は冬の風物詩じゃないか!」
 少年は自信を持って言い切った。
「ほら、魔法使いがやってくる」
 少年の言葉に視線をあげる。
 広場の片隅。なだらかな上り坂の上から、金と銀の髪を持つ少年が二人、ゆっくりと広場に向かって降りてくるのが見える。
「ゴルダとシルヴィーだ!」
 ランタンを取り囲んでいた少年達が、口々に歓声を上げた。
 金色の髪に、前髪の一房だけを赤に染めた少年が笑顔でその歓声に応える。
 銀色の髪に、前髪の一房だけを青に染めた少年が、無表情のまま、軽く手を挙げる。
 その姿に、私は昔耳にしたおとぎ話を思い出した。

 遙か昔。そう、私と同じ虹渡りに聞いた話。
 火薬が胡椒に変わってしまう魔法を掛けられた世界で。
 その魔法をかけた魔法使いに、花火だけは例外にして欲しいと頼み込んだ少年達がいたという。
 彼らの熱意に魔法使いは応え、彼らに打ち上げ花火を与えた。
 けれども貴重な花火はやがて、心ない金持ちの大人に取り上げられて、空に打ち上げられることなく、屋敷の奥へとしまい込まれてしまった。ひとつしかない花火は、打ち上げたら無くなってしまうからという理由で。
 少年達は、やがて大人になり、年を取り、そして、結局花火を見ることなくその生涯を閉じる。
 けれども、その少年達の子供は、花火を決して諦めなかった。その子供も、そのまた子供も、花火を求め、やがて何代後かの少年達が、強突張りな金持ちの屋敷から花火を盗み出してきたのだ。
 それは雪の降る年の瀬のこと。
 傷まみれになりながらも、大切に大切に花火を運んできた少年達は、しかし、花火の打ち上げ方がわからない。
 悩んだ少年達は再び、魔法使いに願う。
 花火とは、空で咲いてこそ花であろうと。
 そして魔法使いは、年に一度だけ、花火を作り、空に打ち上げる約束をしたのだという。

 そんな昔の冒険譚。
 その魔法使いは双子で。金と銀の髪を持っている。
 金の髪に、一房の赤。銀の髪に、一房の青。
 彼らこそ、世界から火薬を無くす魔法を掛け、年に一度だけ花火を打ち上げる魔法使いに違いなかった。

 金の髪の少年が、ゆっくりと、天を指し示す。
 銀の髪の少年は、両手をコートのポケットに突っ込み、空を見上げる。
 その指先と、視線に促されるように見上げた空に。
 まぶしいほど色彩豊かにきらめく大輪の花が、大きな破裂音と共に、冬の空を埋め尽くした。

「ハッピーニューイヤー!!」
「ハッピーニューイヤー!!」
 少年達が手をたたきながら口々に笑顔で叫ぶ。
 そうか。新年であった。
 虹渡りをしていると、季節の感覚というものがなくなってくるのだ。
 そうか。また、新しい年が始まるのだ。
 新しい世界を始める時が巡るのだ。
 魔法使いから、花火をもらった少年達のように。
 その花火を盗み出し、街に花を咲かせた少年達のように。
 ここに集まった少年達もまた、自らの手で何かを変えていくのだろう。
 白く雪に満たされた世界の中で、私はランタンの火を、胸にともされたような感覚を抱いた。

 空は瞬く間に静寂を取り戻す。
 きらきらと、空に残像を残す花火の跡を見つめながら。
 ふと視線を下ろすと、金と銀の魔法使いと目があった。
 意味深に見つめる瞳には、私と同じ色を見る。
 移りゆく世界の中、悠久に流れ続ける時の中で、立ち止まって空から眺めるものの瞳。
 彼らもきっと、おそらくは。
 金色の笑顔と、澄ました銀色の瞳に見送られながら、私はそっと、きびすを返した。
 いつの日かまた、この世界の未来へとたどり着くこともあるだろう。
 その時には、彼らと話をしてみるのもいいかもしれない。

 この世界には、可視分光の数だけ世界があるらしい。
 レディ・ダァリアが歌う彼方。光の船がたどり着く先。
 あまたある可視分光を仮に七色分光と定め、光の船で、無数に分けられた並行世界を巡る旅人。
 そう、我々のことを人は虹渡りと呼ぶ。



2006年01月01日(日) 初春のお喜びを申し上げます。

新年、あけましておめでとうございます。
ほとんど更新されていないサイトの、はたまたほとんど更新されることのないエンピツ日記でご挨拶したところで、きっと、マイエンピツの方くらいにしか挨拶できないだろうと自虐的な気分になりながら(涙)

そんな。実家で正月掌編なんて、書けるはずがないじゃない?
(実家でなくたって書いて無いじゃない?)
といういいわけにならないいいわけとともに、新年のご挨拶をさせていただきたく思います……。るるる。

2006年こそは、もっと、サイトを更新できるといいなぁ!!!
オフラインの午後カフェの方は、お金がないから当分お休みさせていただいて。
どうぶつの森で遊んだり、仲魔と一緒に地下水道に潜ったり、スライム仲間を助けに行ってみたりしながらも、一日3枚くらいは執筆できたらいいなぁと思います。
PCの電源不調も直ったことだし……。

ということで。
実家から戻ったら、何か更新したいなぁと、淡い希望を胸に。
こたつでみかんを食べに行って参ります……。


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