箱の日記
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2011年10月29日(土) 冷雨の窓 草むらの雨



色のうすい空き地は

濡れることをおそれない

誰からも

忘れられているので

果たすべき責任だとか義務はなく

しばらく降り続く雨に身をまかせている



ノートを置き

窓枠の冷たさを指先にとると

なにか覚えのある香りが届き

部屋の中から届くラジオのような声

と混ざりあい

音と香りの区別がつかなくなる



昨日の猫はどこかでじっとしているだろうか

目を細くしてうろついていた



雨粒は個々でない

けれど

虫の小声が一定に刻むから

時間が生まれ

草むらはすこしだけ人間の目にも見えるように

老いていく



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