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2010年12月07日(火) ■ |
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東京都の青少年育成条例改正案の問題点を考える |
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シンポジウムに行ってきました。 「考える」って言っても、ほぼパネリストさんたちの発言で終わっちゃいましたけどね。あと、ゲストさん達のご挨拶。
でも、おかげさまで、問題の要点が見えてきました。 現在の都の「青少年の健全な育成」に関する権限って、警察の「治安対策本部」が持ってるんですってね!? ええ!? 警察が青少年を育成するの!? 青少年の育成に実地で関わってるのは、保護者と教育者と児童福祉関連のお仕事されてる方達でしょ? 警察のお仕事って子育てじゃないじゃん。何この、畑違い感。 あのね、どうも世間一般に勘違いされてる気がするのだけど、「子供を叱る」のは、特定の人に許された「権利」なの。教師だって免許商売でしょ? 教員免状持ってない人が先生として子供に接することはできないでしょ? 痛みを伴う権利だけれど、これ、義務じゃなくて権利なんだよ? 選挙権を持った人が投票に行けるのと同じ。 行政に「うちの子の躾お願いします」って言うのは、棄権するのと一緒なんだよ? しかも治安対策本部って、教育に関してはまるで門外漢。 「がんじがらめに縛って楽にしてやるから、お前が持ってるその権利よこしな」と言われてるようなもんだよ? その口車に乗っちゃダメですよ! お母さん! お父さんも! 教職員の皆さんも! 児童福祉のお仕事されてる方も!! 「それは、私たちの権利だから取り上げないで!!」って声を大にして言わなきゃ。
それとね、「こんな物はあんたの為にならないから」って、有無を言わさず子供から取り上げるのって、最終的には「健全な育成」の為にならないと思うな。 というのも、私の知ってる事例でこんなのがあってね―――。 昔々、漫画が大嫌いな親のもとに生まれた漫画が大好きな子供が居ました。子供がなけなしの小遣いで買った漫画は、見つかるや全て破り捨てられました。子供が泣き叫んで止めてと懇願しても破り捨てられました。子供は自分の大事なものは漫画に限らず、親の目から隠すようになりました。親との信頼関係に大きく深い罅が入ったのです。 そして月日が経ち、大人になった子供は、立派な漫画オタになり、アニオタになり、三食をもやしにかえても浮かせたお金で漫画は元より、アニメDVDや情報誌やグッズを買い漁るようになってしまったのです。 つまり、子供を漫画から遠ざけようとした親の意図は全く実らなかった。むしろ、逆効果だったかもしれない。 って、自分の話なんですけどね。 今思い返してもあれは恨めしかったな。 私の為を思って、というのは理解してるけれども「他に方法は無かったのかしら」と思っちゃうな。
ただ、信頼関係に罅が入っても、親子関係が完全に断絶しなかったのは、今にして思うに、うちの親は私を叱る時に他人を介入させなかった。常に、親VS私で、正面から対決してくれた。「この子から漫画を取り上げてください」なんて行政にお願いしたりしなかった。 だからだと思いますよ。
子供ってね、親がちゃんと自分を見ていてくれてるか、気づいてるんです。 親が自分の方を向いてくれない、自分のことを他人任せにしてしまう、そんなことされたら、親を愛せなくなってしまう。 子育てってバトルだから、親御さんからしたら心理的にも肉体的にもキッツいんだろうな、と同情はするんですけど、戦わないで育つ親子関係ってありません。 子供と「他人」になってしまいたくなかったら、向き合わなきゃ。 他の人に子育て丸投げしちゃったらダメですよ。 あと、悪さしない子供は居ないので、よっぽど社会に迷惑をかけることでなければ、「うちの子はおかしいんだろうか?」とか、「自分の育て方に問題があるのかしら?」とか、心配しすぎないでくださいね。反抗期もあるし、口ごたえするとか普通ですから、動揺しすぎないでくださいね。叱るのは親の権利なんだから、子供が悪さしたらその都度、その権利を行使してくださいね。ま、ものの程度というのもありますが。
多分、今は、赤の他人が全く子育てに関われない(他人の子供に声かけると犯罪者扱いされちゃいますからね)時代なので、特にお母さん方は孤立しちゃって孤独なんだと思います。核家族化、もあるけど、地域社会もなんだかバラバラになっちゃってますし。 気楽に相談できる窓口があったら、きっともっと子育てしやすくなるし、たかが漫画のことなんかでピリピリせずに済むようになるんじゃないかしら。 そうっすよ。 「たかが漫画」ですよ。 子供にだって理性あるんですから、漫画に描いてあることまんま真似したりしませんよ。 ちゃんと愛情と良識を持って育てられた子供は、そんな馬鹿なことしません。 漫画なんかより、絵空事より、現実の方がよっぽど影響力大きいんですから!
私、思うんですけど、「強化」しなきゃならないのは「規制」じゃなくて、親御さん達のフォローや心のケアですよね? でも、何故か、行政はそっちに力入れようとしないんですよね。 「真面目に仕事してください!」と申し上げたいです。 綺麗事ばっかり仰るけれども、ほんとに「青少年の健全な育成」について真剣に考えてらっしゃるんですか!?(いや、考えてないんじゃないかな〜)
ともかく、短慮は起こさないでください、と親御さん達には言いたいです。子供を持ってない身で「勝手なことを」と思われるかもしれないけれど…かつて「子供」だった身としてのお願いです。 「重い荷物」と思ってらっしゃるそれは「かけがえのない権利」なんですから、安易に手放さないで。子供たちを手放さないで。
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