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2017年01月24日(火) ■ |
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第三回文アル読書会 |
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お題:芥川龍之介「雛」
いきなりですが、これ、私、昔読んだことがあります。多分、読んだことがあります。 なぜ「多分」なのかというと、詳細なストーリーは全然覚えてなかったのですが、お母さんの面疔、面疔の描写が「あ、あれ!」て、トラウマ掘り起こされる感じで蘇ってきまして。「面疔」という言葉も当時は知らず、謎の怖い病気と認識してガクブルしてた記憶があります。 面疔の描写、痛々しいですよね。 タイトルが「雛」で、ヒロインもひたすら雛人形にこだわってああだこうだ言ってるわけですが、私にとっては「面疔」の話で、お母さんは結局、全然容態良くなりそうにないし、雛を売ったお金で医者にかかれた的な展開も無いし、そのまま悪くなって死んでしまったのかしら、と、改めて「面疔」でガクブルしてしまいました。 断片的に「そののち、こういう時にも」云々、と、お兄さんについての不幸な未来像も描写されてましたが、結局、この話って「死」の影について語っていたのかなぁ?という印象です。
最後に付記のように書かれていた「物語を書くきっかけ」の出来事―――精魂込めて作られ、愛と祝福に迎えられた雛人形も、時代の容赦ない流れに呑まれて無残な姿になってしまう。 そのことを考えると、おもいもかけず願いの叶った夜の光景も、また、蝋燭の消える前の一瞬の炎のゆらめきのように思えます。
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