カンラン
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2011年04月28日(木) 王冠、そしてタイムスリップ

昨日はびっくりするほど激しい雷雨が昼過ぎになってやってきた。うわー、こんな中お迎えに行くのか・・・とぴのきに着せるレインコートやらあれこれ用意して腹をくくって家を出た。
園に着いたとたん、担任の先生が「ぴのきくんが、「かみなり!こんなかみなり!どうしよう!ママが心配だよう!どうしよううううう!」とそれはもうものすごい興奮&取り乱しようで・・・」と苦笑しながら教えてくださった。すごく想像がつく。くくく。
先日もミシンの針で指先をぶっ刺してしまい(結構ざくっといってしまったが、表皮部分だったので出血もなくぎりぎりのところでセーフ)、「ママ!あぶないことはふたりで一緒にいるときにしてよ。幼稚園にいるときだったら助けてあげられないじゃない!」とご指導いただいたばかりでした。

今日は4月生まれさんたちの誕生日会。事前に先生からご招待いただいていたので、カメラ片手に行ってきました。ぴのきはクラスでただ一人の4月生まれ(入園の翌々日には5歳になった)。園全体でもたった4人しかいなくてびっくり。広いステージに金ぴかのかぶせものを施した椅子が4つだけちょこんと置かれていた。

司会は年長組のみんなが担当。音楽とみんなの拍手に合わせて楽しげに入場するぴのき、インタビューに答えるぴのき、そしてなんとお遊戯するぴのき。どれもこれも私の知らない一面でした。入園前のひろばでは歌って踊ることをあれほど嫌がっていたのに、数日前から練習してきた「ばななんばななんばなな」をさいしょっから最後まで上手にかつ楽しげにこなしていた。
夜帰宅したつちのこ氏にもこの映像を見せたところ、「信じられない・・・」とつぶやいていたよ。
ちなみに、ぴのきが私に自分がもらった王冠をかぶせて撮ってくれた写真を見て「BROOCHさんはこういうのが誰よりも似合う」というコメントも。どうなんでしょう、それは。




お昼前から市内へ薬を買いに出かけた。なかなか取り扱っているお店がなくて、普段はあまり立ち入る機会のない流川界隈(歓楽街)をネットで調べた地図を思い出しつつふらふらと歩く。

あった、と思ったらシャッターが閉まっていて呆然とする。昼は死んでる街だもんなあと戻りかけたところ、ななめ向かいに一軒の薬局を発見。だめもとで入店して薬があるかどうか尋ねてみるも、やはり取り扱いなし。
すると、お店のおばさんが、向かいの店(さきほどシャッターの閉まっていたところ)ならあるだろうからちょっと待ってなさいと電話をかけてくれた。
結果、普段は午後1時からしか開かないお店を開けていただいて、目当ての品を買うことができた。

電話でわざわざ他所のお店に問い合わせてくださったおばちゃんも、お店を開けて商品を売ってくださったおばあちゃんも、すごく親切であたたかかった。古めかしい店内の雰囲気も手伝ってか、どこかにタイムスリップしたかのようなほんわか不思議な気分。
にしても、すぐにお店を開けてくれたということは、そこに住んでるんだろうなあ。歓楽街にて、夜は11時まで開けてるとのこと。宵っ張りのおばあちゃん。夜はきらびやかなお客さんも多かろう。
帰り際、20枚集めたらいいことがあるという券を2枚もらい、郊外にある他の取扱店を教えてくださった(残念ながらうちからは不便な場所だったが)。

久しぶりにおばあちゃんがいた頃のことを少し、思い出した。


2011年04月22日(金) 春の日々

今年のさくらは、なんだろう、くもりガラス一枚隔ててぼんやりと見ていたような感じだった。まだ硬いつぼみのついた枝を見上げて「早く咲かないかな」と心待ちにしていたこともなければ、可憐な花を愛でるべく遠くまで出かけることもなく。
ただ、ぼんやりとしていた。でも、そういった心のありようも含めて、今年のさくらの時期を忘れることはないように思う。

地震の日から、自分の中に閉ざされたところがあり、それがいまだに開けないでいる。

テレビに映る映像に愕然とし、目を離せない日々が続いた。
なんてひどい状態なのだろうかとあれだけ悲しい気持ちになっていたのに、今日になって文通相手さんから「実は自分が文通していた東北の人が今回の津波で亡くなった(新聞で名前を確認した)」という手紙が届いたことで頭をがんと叩かれたような衝撃を覚えた。
直接の知り合いではないけれど、これで私と現地がようやく繋がったような気がした。わかっている、理解しているつもりだったのに、あの惨状も私はくもりガラス越しにぼんやりみていたのかと思い、悲しくなる。




4月11日より、ぴのきが幼稚園に通い始めた。
いまどきの幼稚園とは違って、親といっしょに通園し、お昼は持参のお弁当を食べる。園庭がものすごく広いとか、なんだか素晴らしいカリキュラムがあるとか、そういったのは皆無。ちょうどその昔私が通った幼稚園のよう。私も毎日お母さんに連れられて幼稚園と家を往復し、お母さんの作るお弁当を食べた。その、同じ感じに何よりも惹かれている。
早起きもお弁当づくりも慣れないことばかりだけど、おんなじようにやってあげたいと思うのだ。(弱気になりそうなときには「私にだってできるはず!」と呪文のように唱えている)

二週目のある日、おむかえに行くとぴのきが遠目に見ても明らかに負傷している。顔面右側に引っかき傷と青あざ。先生から「(ままごとの)ハンバーグの取り合いになりまして・・・気づいて引き離したときにはもう・・・」と説明を受ける。哀れ、ぴのき。これからこんなことも何度かあるのだろうなあ。
しかし、相手に対して手を出さないのはこの子のいいところだと思う。これは習い事のお教室の先生にも言われたこと。小学校のとき、クラスの男子に対して手を上げてしまった経験を持つ母は本当にそう思うのだよ。こんな母をどんどん超えていってほしい。

ところで、普段絶え間なく喋り続けている彼が、こと幼稚園での出来事に関しては多くを語りたがらないのは予想外の展開。よそのお母さんから聞いて「ほう、そんなことがあったのか」などと驚いたり、笑ったりしている。


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