カンラン
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いま、この季節が一番いいのかな。
外を歩いているとき、自転車でぴゅうと坂を下っているとき、ぴのきを寝かせたあとのひとときを過ごしているとき、確認作業をしている。 そうでもしないと、早足で移りゆく季節のしっぽさえ掴むことができずに、気づけば寒い寒いと言って一枚また一枚と重ね着することになりそうだもの。
夕方からせっせと料理。
台所に所狭しと並んだ作りたてのおかずやら食材。つちのこ氏が飲み会で不在の日にちゃきちゃきと普段より多くの品数をこさえているではないか。
明日はお弁当箱に詰め込んで出かけます。 この一番いい季節に。
なにやらかきーんと暑い日が続いている。 見る見る腕を焦がす勢いの太陽光線に負けてしまいそうだよ。
ヘンプコードを編んでつくった指輪に刺繍をほどこしたものを友人に送る。 封筒のぼこっとしたふくらみを触った郵便局の若いお姉さんに「これは何が入っているのですか?」と訊かれ、なんとなく恥ずかしくなってもじもじする。 「ヘンプコードを編んでつくった指輪に刺繍をほどこした」そのものが恥ずかしいのか、はたまた「ヘンプコードを編んでつくった指輪に刺繍をほどこしたもの」だと詳しく説明するのが恥ずかしいのかいまだによくわからないが、窓口であわわわわしてしまった。 そんなときにしれっと適当な返しができる人間になりたい。
同封した手紙を書いていて思ったのだけれど、私の書く文字が少し落ち着いてきた。もともと達筆ではない上に、専業主婦となってからは文字を書く機会が激減し、どことなく不慣れな印象が感じられる文字たち。 私とともに年を取ったということなのだろう。
大学時代の書道の先生が、字はその人をあらわすものなのだと言っていたのをふと思い出す。その人をあらわし続けるために文字も変化していく。
便箋に並んだ不恰好な文字たちにもう一度目を通してから封をした。
連休は勢いで四国へ一泊旅行。 メインイベントであったはずの直島は、子連れで時間のない我々には不発。一旦フェリーで宇野港(岡山)へ戻り、あらためて瀬戸大橋を渡って香川入りする。
前日深夜にネットで予約した丸亀のホテルを拠点にして、お約束の骨付鶏やらうどんを満喫。さすがに連休というだけあってどちらも並んだけど、待ってでも食べる価値あり。 こうやって振り返りつつ日記書いてるそばからまた出かけたくなってきたよ。
くるりを聴く。 ベストアルバムは京都の写真だらけで、それだけでちょいタイムスリップしちゃう。最後の2年間暮らした堀川通りや、ぼーっと時間を過ごした鴨川の川原、極めつけは烏丸今出川の交差点!濃ゆい、濃ゆすぎる。
今思うとなんて贅沢な時間だったろう。 楽しかった、のだろうけど、それでいて結構しんどかったな。
現在の生活とはまったく違っていても、今こうして生きてるのは、あの時間の続き。
体調がすぐれない日が続く。 食欲が減退し、吐き気というまではいかないものの胸がむかむかして、なんともすっきりしない状態。地味にしんどい。 ぴのきを外遊びに連れて行ったり、連れて行かなかったりして、どうにか今週をやり過ごしたぞ。 夏バテがやってきたのかな。
非常にきつかったのは2日ほど。 それを乗り越えてからは、様子を見ながらちょこまかと編み物やDVD鑑賞したりと普段通りの生活に戻った。
編み物は、先週だったかな、時間調整のためたまたま立ち寄った書店で衝撃的な出会いがあったのだ。
「インスタント ニット」という教本で、他の教本とおんなじようにしれっと棚に収まっていたくせに、これがなんとまあすごい本で。ぱらぱらとページをめくる指先に電流が走りましたです。 スイムウェア風ニット(!)やら、ヘッドフォン・カバー(?)やら、他ではお目にかかれないような作品が載っていたり、「はじめてならとりあえず10号と15号の針を買え」みたいなことが書いてあって恐れおののく。そして、虜になる。
すごいよ、これ。 しかも普通に雄鶏社から出てるし・・・。
そんなわけで多少ぼうっとした頭でお会計を済ませ、無事家に連れ帰った「インスタント ニット」。まだ大々的には手を出せずにいるけど、手始めに指輪を作ってみた。 手始めに教本通りにドクロの刺繍のをひとつ作ったものの、なんか自分の感じではないので、もうひとつ細めなものを作って名前を入れてみた。なかなか気に入ってます。
DVDの方は、ちょうど話が佳境に入ったあたりで体調を崩してストップしていたこともあって、その後なかなか再スタートを切れずにいた。
本にしてもDVDにしても、私はちょっと終盤恐怖症気味なところがある。簡単にいうと、終わってしまうのがさみしいのだ。 本であれば残りページの厚みを指で確かめ、あとがきのはじまりを探す。DVDであればちらりちらりと時計の針を気にしたり(でもはっきりとは知りたくないので、しゃしゃっと見る程度)。そんないやらしい癖がありんす。 映画なら一気に見ちゃうけど、何巻にもわたるドラマだったらなおさら足踏みしてしまう。特に最近はまっている韓国のドラマに至っては、ラストがいまいちなことも多いし。
で、今宵、腹をくくってひとつ完結させました。つちのこ氏が飲み会で遅くなるというので、これは絶好のチャンスとばかりにお酒までスタンバイさせて。
はー、すっきりした。 でもお酒はやめときゃよかったかも。すっきりした思いとはうらはらに、むかつく胸。
あらかじめ夕食の支度はできていたにもかかわらず、いきなりパプリカのパスタを作り出す。私にもこんな衝動があったのだなあ。
料理本には自分との相性というものがある。 おんなじ人間がいつもとおんなじように目分量で作っても、いつもおいしく作れる本とそうじゃない本とがある。もしかすると、いや、きっと、いつもきちんと計ればいつもうまくいくのだろう。 でもそれじゃ続かないぜ。
で、このパプリカのパスタのレシピは、私との相性がいまいちな本に載っていたもの。島に帰ったときにもらったパプリカがひとつだけ残っていたので、気になっていたのだ。
うちにはフードプロセッサーなどというものはないので、地道におろして残った部分は包丁でたたく。ぴのきの離乳食を思い出すよ。・・・あんまりまじめに作らなかったくせに。
できあがりはまずまず。 この本どおりに作ると味がなんだかぼやけ気味になるので、心もち、ほんの心もちしっかりめに味をつけて正解。(うちはケンタロウさん系のしっかりがっつりな感じがお好み)
おいしかったけど、今日はこれ、私とぴのきの分だけ。つちのこ氏にはもうすでに別メニューを用意しているので。 野菜嫌いなぴのきもよーく食べてくれた。ついでに言うと、実はパプリカがあんまり得意じゃない私もおいしく食べられた。
おし、次回は3人前作るぞ!
何の脈絡もなく、とある人が浮き上がってきた。私の記憶の深い深いところから。 その人は、私が自分の意思で関係を断ち切った唯一の人だ。(付き合っていて別れた相手などではなく)
はて、なぜ今頃浮き上がってきたのか。もう随分時間も経っているし、絶交の理由すらとうに風に散っている。 ただ、もう一度縁があって出会うことがあったとしても、再び親しくなろうとは思わない。
今になってはじめて、その人ってかわいそうな人だったのかなあとも思った。当時の自分にはそんなことまったく思えなかったのだけど。
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