カンラン
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現在のところ、耐えられないほどの暑さはぶり返さず。 どうかこのまま・・・と願い続ける日々。
置き文のお相手より文をいただく。
来月下旬に研修が広島市内(うちの近所といえば近所。チャリ範囲)であるのだそう。 前回の文を読んでまさかとは思ったけれど、この研修所というのが、私がよくぴのきを連れて遊びに行く公園の目の真ん前!びっくりこの上ない。
そんなわけで、来月、久しぶりの再会を果たします。 「BROOCHさんに最初に会ったとき僕は23でした」の一文に思わず何年の付き合いになるのか指折り数えてしまう。そうかあ、そんなになるのかあ。
学校で学ぶことをやめてからの日々は本当に足早で、特にぴのきが生まれてからとなるとばっさばっさとおちる滝のようだよ。 これからも速度を増し続けるのだろうか。 運動オンチで機敏な動きなどしたことのない私がこのようなスピードで駆け抜けている(転げまわっている)のってなんだか不思議だわ。
とにもかくにも、目下一番の楽しみ。 台風シーズン真っ只中かもしれないけど、どうかその日は晴れてくれますように。
韓流師匠のまるこしぃおすすめの『がんばれ!クムスン』に手を出した。
にしてもこれ、150話を超えるおばけドラマ。1話30分にしても相当長いぜ。だってレンタル屋さんの棚の一部がクムスン一色に染まってるんだから。
最初におすすめを受けてから随分経つのになかなか乗り出す気になれなかった私に、まるこしぃ経由でまるこしぃ母(韓流大師匠)からもまさかのゴリ押しが。「一気に観たくなるぐらいおもしろい」らしい・・・150話以上を一気に?本当に??
とりあえず、観てみる。 今、5巻(多分19話目)を観終わったところなんだけど、独特のペースに驚きを隠せないでいる。 主人公のクムスンが妊娠したことから物語ははじまるのだが、お腹が膨れることもなくいきなり子どもに添い寝していたり、軍隊に入った義理の兄があっちゅう間に除隊してきたり(その間2年)、すごい巻き。 150話もあるのに(しつこい)この飛ばし様はなんなんだろう。これから先、どれだけネタがてんこ盛りなのか気になってきているのは、すなわち見事に策にはまったということなのでしょうか。
夏休みは無さそうなわが家。 近所で日々を過ごす母子をかわいそうに思ったのか、つちのこ氏がちょっとした遠出計画を提案してくれる。 その計画は・・・ 安芸津の赤じゃがいもコロッケ経由大久野島行き。
呉で働いていたつちのこ氏が出張の折に職場の人から教えてもらったというコロッケ屋さんは、田舎道にある野菜市に似た感じの店構えで、赤じゃがいもそのものやら果物やらアイスクリームやらいろいろなものを販売していた。
そこにたどり着くまでにもうれつにお腹のすいていたつちのこ氏と私はとにかくコロッケに突進。車で寝ていたぴのきの分を合わせて3つ、それとたこ天を購入してがぶがぶ食べる。 私はもともと赤じゃがいもはそんなに好きではないのだけど、ここのコロッケには感動した。びっくりするほどさくさくしてる。お腹がすいてたせいもあるんだろうけど、いつかまた食べに行きたいぞ。
そこから竹原の町を抜けて忠海へ。 港へ着くと意外にも海水浴やキャンプを楽しもうという人たちが結構いて、しかも島へ渡る船が小さいことに驚く。普段つちのこ氏の実家に帰るのに大きなフェリーに乗り慣れている分、「これは本当にみんな乗れるのか?」などとひそひそと心配するも無事乗船。 謎の愉快な欧米人たち(大柄な人が多かった)にはちょっと狭そうだったが。
大久野島は大戦中に毒ガスを大量生産していた島だ。もちろんこれは当時関係者以外には知られていなかったことで、秘密を守るために地図からも消されていた。敗戦後、毒ガス工場はアメリカ軍によって燃やされ、日本軍が毒ガスを作り、実際に使用していた事実が明るみになったのは80年代になってからのことだった。
現在は国民休暇村が建てられ、海水浴客やキャンプ客、釣り人などでにぎわっている。やしの並木があったりしてちょっと南国っぽい雰囲気が漂う。 ちょうど宮島の鹿と同じように島中にうさぎが跳ね回り(もともとは実験用だったという話を聞いたことがあるのだけど事実かどうかは知らない)、環境保全のため、一般車両はすべて通行禁止となっていて、私にはすごく現実から離れた空間に映った。
毒ガス資料館は思った以上に小さな施設で、静かな展示室に当時の作業服や防ガス服、従事していた人の痛々しい姿を写したパネルや、機密文書が並べられていた。おそらく多くのものは敗戦が濃くなってきた頃に処分されたのだろう。
資料館を出てから自転車を借りて少し走る。 つちのこ氏が行きたがっていた当時の発電所を訪れる。外壁だけが残った廃墟がいまもひっそりと建っている。
立ち入り禁止になっているのに、建物の中には柵のこちら側から見ても読み取れるぐらいにたくさん落書きがしてあって、悲しくて腹が立って仕方なくなる。「どうして」ということばがぐつぐつと湧き上がる。
島内には他にも見ておきたい場所があったのだけど、今回は断念。 でも、またきっと行く。
帰りの船内、ひざの上で眠ってしまったぴのきの頭を撫でながら、当時工場で働いていた人はどんな思いでこの海を渡っていたのだろうかと考えた。 命をけずりながら毒ガス製造に従事せざるをえなかった人、実戦で毒ガスの被害にあった人。すべてが悲しすぎる。
現実から離れた空間だと思ったけど、こんなにも悲しい過去の息遣いが感じられる場所はそんなにないんじゃないか。過去の上に時が降り積もり、現在を成している。 すごくリアルだ。
どうしたことか。 連日の猛暑酷暑が嘘のよう。日中の暑さは少し和らぎ、夕方ぐらいからは扇風機から流れ出る風がクーラーばりにひんやり冷たい。お風呂あがり(ぴのきの世話があるのでしばらくまっ裸)なんて肌寒く感じるほど。
でも、どうせまたいつ熱帯化してもおかしくないのだろうから、あんまり浮かれずにいよう。
・・・秋よ、来い。(心の中で静かに唱える)
人と人との出会いにはそれぞれに意味があるのだと思う。 自分にとっては気にもとめないようなことでも、その縁が遠く離れたところで広がったり繋がったりしてちゃあんと作用しているのだ。
私はここで待ってる。
数日前、年をひとつとった。
ぼちぼち自分が今何歳なのか即答できなくなってきたと思っていたら、ぴのきがあちこちで丁寧に「ままは さんじゅうに さい」と言いふらしてくれるようになり、なんだか恐ろしく遠くまで来てしまったような気にさせられている今日この頃。後戻りはできない旅路だ。
お盆は、弟の帰省にあわせて実家に帰っていた。
羽を伸ばすはずの弟は、とにかくぴのきと伊万里(実家の愛犬。♀)にもみくちゃにされ、その休みを終える。もてる男はつらいよのぅ。
父と弟が煙草を吸いながら専門用語が織り込まれた難しい話をぼそりぼそりとしているのを眺めていると、なんだか妙に頼もしい気持ちになった。私が退屈しているのではないかと気を使って時折相槌を求める父には笑顔を返す。内容はてんでわからないのだけど、話の腰を折ってしまわないように。
最後の夜、眠りにおちたぴのきを置いてつちのこ氏とふたりでバーへ。
ふたりきりでどこかへ行くことなどなかったので、ぴのきが目を覚ましてやしないかと気にはなりながらも、ちびちび飲みつつ楽しいひとときを過ごす。 結婚前、ぴのきが生まれる前はこんな時間が自由に持てていたのだなあ。それがこれほどまでに貴重に思えるようになるとは。 もちろん、反対におもしろい時間も増えたけどね。
つちのこ氏がふと、結婚した時期について、あれはまさにあのときしかなかったのだ、と話す。 言われてみると、たしかにあのままつきあい続けていたとして、今結婚しようとしても難しかったように思う。連日こんなに残業続きじゃ式の準備なんぞできないし、何かともめることが多かったんじゃなかろうか。 それに、おじいちゃんに花嫁姿を見せることもできなかった。ぴのきがお腹にいることがわかって間もなく他界したおじいちゃん。ひ孫ができたことももう伝えられない状態だったけど、ぴのきは本当におじいちゃんによく似てる。
つちのこ氏は、私が暗いトンネルを通り抜けた先で出会った人だ。
あまりにも辛かったり悲しかったりすると記憶が抜け落ちてしまうというのは本当で、つちのこ氏に出会った頃のことは、正直、いまだに靄がかかっている。多くを訊かず、暗がりから出て間もない私の手をとってくれたのがつちのこ氏だった。 縁を切るだの切らないだのという話まで飛び出して穏やかじゃなかった私と家族を繋いでくれたのも、この人だ。本人は知らないだろうけど。
もっともっと感謝しなくては。 トンネルの途中で手を離してしまった人のためにも。
実家の最寄駅すぐそばのビル、階段を下りたところにあるバーは、今月末をもって店を閉めるのだそう。 さみしいな。
8時15分にぴのきとふたりで黙とう。
原爆の日一色なのに、肝心なところで頭が働かず、区役所まで無駄足を踏んでしまう。 そうだ、そうだ、そうだよ。市の関係は今日はお休みなのに、はりきって課税証明をもらいに出かけてしまった。また近いうちに出直さねば。
区役所の駐車場から出るときにぴのきに家の近所のスーパーと大型ショッピングモールどちらに行きたいかと尋ねてみたところ、即答で後者。のぞむところだ、と普段より車の多い道を東へ走る。(ちょっと緊張)
特に目的もなかったので、主導権はほぼぴのきが握る。 スタバでお茶、マクドナルドでお昼(昨夜お手製ハンバーグを食べたばっかりなのに!)、そこにスーパーでの買い物を組み込ませてもらい、さっさと帰ろうとしたところ激しい抵抗をくらう。
ゲームセンターに連れて行け、と言うのだ。UFOキャッチャーはパパじゃないと無理だと言うのに収まらず、店内に戻るはめに。
ぴのきの大好物トミカの景品を狙って三度挑戦するもやっぱり取れず、機嫌を損ねた彼をどうにかこうにか駐車場まで抱えて連れ出す。
UFOキャッチャー、好きじゃないけど、どうして取れないんだよ、取らしてくれよ、などとしつこくぶつぶつ思いながら運転しているうちに、ぴのきはいつの間にか眠ってしまっていた。 UFOキャッチャーめ。
盆に向け、スーパーのおもてにはとうろうがたくさん並んでにぎやかだ。 風が少しでも吹いて金色の飾りをさらさらと揺らせばいいのに。
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