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「 愛くるしいわき腹 ー静寂の大広間ー」
2018年06月15日(金)



 朝寝坊でころがっている、我が子をみている。

 坊主の愛くるしさの残る顔ではなく、めくりてちらりと出ていたわき腹を

 上下する

 一定の間隔で

 これが生きている、ということ

 これが生きている、ということ


 そして、いつかこの呼吸が止まること、ということ

 そして、いつか我の呼吸がとまること、ということ

 
 静かな大広間が広がっていく

 生と死を見通す、静寂に包まれている


 愛くるしさ、我が子への執着、くすぐりたい気持ち そういう生の衝動から絶縁した大広間

 活き活きとした世界に戻ったなら、なるべく優しい言葉を掛けてあげよう

 よく頑張っているよ 昨日はすごかったよ 偉いよ 私の誇りだよ

 
 

「 中年の愚痴 −日本男性の日常− 」
2018年06月01日(金)



 
 高熱で帰宅して、子供のお迎えを頼んだ。

 全身汗びっしょりで、親知らずの痛みまで再燃した。

 家族が帰宅をしても、誰も部屋に来ない。

 TVを見て、子供の明日の用意をしている。

 誰も部屋にこない。

 汗びっしょりを着替えるために、よろよろと階段を降りていく。

 誰も「大丈夫?」もない。

 子供の用意に熱中している。

 子供は、聴くふりをして裏で漫画を読みだした。

 叱るのは私の役目だ。

 役目を果たすと、「最近叱るのが強いよ」という。

 けれど、叱らないと裏で漫画を読む、そのことはどこかに言ってしまっている。

 朦朧とする頭で叱る。

 叱り終わって、布団に倒れ込もうと階段をよろよろと上りだした。


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