朝寝坊でころがっている、我が子をみている。
坊主の愛くるしさの残る顔ではなく、めくりてちらりと出ていたわき腹を
上下する
一定の間隔で
これが生きている、ということ
これが生きている、ということ
そして、いつかこの呼吸が止まること、ということ
そして、いつか我の呼吸がとまること、ということ
静かな大広間が広がっていく
生と死を見通す、静寂に包まれている
愛くるしさ、我が子への執着、くすぐりたい気持ち そういう生の衝動から絶縁した大広間
活き活きとした世界に戻ったなら、なるべく優しい言葉を掛けてあげよう
よく頑張っているよ 昨日はすごかったよ 偉いよ 私の誇りだよ
高熱で帰宅して、子供のお迎えを頼んだ。
全身汗びっしょりで、親知らずの痛みまで再燃した。
家族が帰宅をしても、誰も部屋に来ない。
TVを見て、子供の明日の用意をしている。
誰も部屋にこない。
汗びっしょりを着替えるために、よろよろと階段を降りていく。
誰も「大丈夫?」もない。
子供の用意に熱中している。
子供は、聴くふりをして裏で漫画を読みだした。
叱るのは私の役目だ。
役目を果たすと、「最近叱るのが強いよ」という。
けれど、叱らないと裏で漫画を読む、そのことはどこかに言ってしまっている。
朦朧とする頭で叱る。
叱り終わって、布団に倒れ込もうと階段をよろよろと上りだした。