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「 シベリアの引き鶴 」
2017年12月15日(金)


 2億8万年後に、日本列島がなくなるというニュースに触れた。

 「私は結局誰にも覚えつづけてもらえず、死骸を埋めるであろう日本国土もなくなってしまう」

 と想う。

 何気なく、ふーん、とニュースを流せない。
 
 己の生きた証をなんとかして残したい。

 けれど、その出口はふさがれている。

 これが地球の地盤が動く、という自然の摂理だ、

 これが人間という個性のあり方、という哲学の原理だ、

 これがお前の努力が足りない、という道徳の視点だ、

 と切り捨てることなどできやしない。


 引き鶴。 冬に到来して春にシベリアに帰っていく鶴をいう。

 いつか、私は肉体の老化などによって、引き鶴のように、引きよせられるであろう。

 永劫回帰しない、その暗闇に。

「 死にゆくものを受け入れる 」
2017年12月01日(金)



 死にゆくもの

 寝起きの屁がくさい

 寝起きの口臭は自分でも嫌になるほどだ

 寝起きの股がぬめり過ぎてベトベト、べとべと

 二十代までは決してなかった体の変化

 自然な体の変化の先に、死があるはボンヤリとしている

 
 死にゆくもの

 屁がくさくて逃げ惑う同居人がいる

 くさい屁を、がはは、と笑い飛ばすのは独りではないから

 うわぁ〜と逃げ惑う声を聴いて、

 体の変化を、やっと受け入れられるようになった

 


 


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