老いてきたからだろう、布団に横たわると、ドロリとした肉体が流れるように感じるようになった
硫黄島の英霊の皆様、英霊の皆様、ご先祖様、
皆様のお陰で、今日という二度とない一日を頂けました、有り難う御座います
とことばを続けようにも、何もかも、流れ出してしまったようになる
えーっと・・・何だったか、そうだ、いおうとうの・・・
今日生きていることが奇跡なのだ
生きているのではなく、生かされているのだ
そうやって自分を鼓舞しようとも、こっそりと忍び寄る戦慄(せんりつ)
流れ出したドロリを一瞬で埋めてしまう
この詩を書かせようと、肉体を埋めて、そして私を立たせる
しかしながら、
何時かは人類は滅びる この文字の塊も全くなくなる 私が居た証も、私を覚えている人も、私の血縁も、私の全てが、無くなる
一切が虚無へと落ちる
そのようにこの生命は仕組まれている
だから、いまを、この今を一所懸命活きよう
いつでも同じ結論である
横で寝ている子供達は、あと数年で一緒に寝なくなるでしょう
横で寝息を立てる人も、ある数十年で居なくなるでしょう
それでも、それでも
この詩を書き終えたのなら、寝る前のことばを繰り返し、明日のミニバスの練習試合のために体を横たえよう
何気ない日常が、虚無の恐怖を打ち捨てる希望なのだから
絶望を超える絶望という意味の希望なのだから
なぜなら、何気ない日常の先に、確実に虚無が潜んでいるのだから
今日も何人でご飯を食べることができます、有り難う御座います
おいしいご飯を頂けます、 有り難う御座います
皆様の命を頂きます、 有り難う御座います
皆様の命を頂いて、私は今日、動くことができます
今日、命をつなぐことが出来ます、 有り難う御座います
毎朝ならぬ、毎食のことば
硫黄島の英霊の皆様、英霊の皆様、ご先祖様、
皆様のお陰で、今日という二度とない一日を頂けました、有り難う御座います
八百万の神様、この世の全ての存在者たち、
皆様のお陰で、今日一日を無事過ごすことが出来ました、有り難う御座います
皆様のお陰で、体を横たえ、空気を吸い、ご飯を食べることが出来ました
(家族の名前を1人ずつあげる) 皆が元気でした、 有り難う御座います
今日もこうして温かい布団で寝ることが出来ます、 有り難う御座います
今日もこうして雨風をしのげる建物の中で寝れます、 有り難う御座います
今日も腹いっぱいご飯を食べることが出来ました、 有り難う御座います
毎朝ならぬ、毎夜のことば
心が老いて、不安になるのを鎮めることば