ものかき部

MAILBBS

「 快楽の中の私 」
2009年09月17日(木)



 痙攣、絶頂、忘我、この人生を狂わせるほどの快楽が与えられ
 けれど、どうして最上の最高の永続する、快楽として与えられないのか
 人として、人間として、動物として、どうしてその性が与えられないのか

 この私を作り出した過去の本能の異物たちが、私の快楽でさえも縛り付ける
 隘路の檻から決して出してはくれぬ
 この私の性
 理性のみならず快楽でさえ、絶望、放棄、切断だけは耐えてみせよう

「 梨の秋 」
2009年09月16日(水)




 不思議なものだ
 植物人間、痴呆者、心身障害者のケアの話を聞いた途端に

 不思議ではない
 妻帯者、ホットワーカー、幼馴染などが吹っ飛ぶほどの

 不思議な運命の出会い
 3人の切り小細工を忘れるほどの秋の夕暮れ

「 デバックエラー 」
2009年09月15日(火)




 つまりだ、母乳を欲し、恋を覚え、世界の広さを知る
 そうやってプログラムされた生物としてだ

 つまりだ、安定を欲し、技を覚え、自己の狭さを知る
 そうやってプログラムされた人間としてだ

 つまりだ、幸福を欲し、戒を覚え、社会の曖昧さに打たれる
 そうやってプログラムされてしまった個性としてだ

 つまりだ

 つまりだ
 
 最後に行き着くのは感謝と諦観 絶頂にも似た圧倒的な感覚的世界
 信仰に溺れる道も 智と自由に遊ぶ道も 美が耕作さるる道も 動を一心に傾ける道も たどりつくる

 つまりだ 機械心からの遊離の

 つまりだ 大我へとの同一化の

 最後でさえも
 そうやってプログラムされてしまった私としてだ

 私に負けはなく相手に負けもなく
 ただただ、年代で与えられるプログラムをエラーなく実行できるか否かなのだ

 つまり、だ


注記:「機械心」は荘子を参照下さい 前文の「技を覚え」を直接受けています。間接的には同文を含む前後6文を受けています。
   「大我」は創造神、唯一神、あるいは多神教における多神の神的性質、神秘主義における隠された聖性、預言者の資格を与えうると考えられている性質などを指します。「最後に〜」の2文を間接的に受けています。
   「デバッグ(debug)」は「コンピューターのプログラムを検査し、その誤り(バグ)を訂正すること。」 大辞泉参照

 

「 秋の夜長の恋話 」
2009年09月04日(金)


 夜長の鈴虫の音が穏やかな風とともに四肢を撫でる
 
 気の利く女は言われずとも洗濯物をたたみ、気の利かない女は言われても料理が出来ない
 細目の女は笑うと岡目のようになり、太目の女は泣くと傾国のようになる
 結婚を望む女は過去の女性に嫉妬されると妄想し、結婚した女はどうしても別れられないと自虐に奔る
 浅黒い女はゴムまりのようで多汗に多匂いなのに、白肌の女は体が硬く濡れがたい
 放っておいても大丈夫な女は何回も何回も浅いのに、うさぎのように常に目を掛けてもらいたい女は器具でしかと自己規定する
 英語を原書で読む女は猪突猛進で浮気は全くしないのに、アニメしか見ない腐女子は万引きは止めたけれど浮気は止められない
 目の前で本や勉強が出来る女は将来が見えるが、出来ない女とは将来を迫られても見なかった 

 両人とも大義と国家的視点と容姿に惚れて敬意を払ってくれる
 いばりん坊だから、可愛いと想うのだろうか
 2人とも作ってあげた料理を褒めてくれた

 夜長の鈴虫の音が穏やかな風とともに四肢を撫でる
 

「 Just Be Cafe 」
2009年09月03日(木)




 ありがたい 本があれば
 どこへでも 行ける

 携帯電話よりもはっきりと
 アフリカの貧困 心の奥底 自然の法理

 耳を閉じも 心を塞いでも
 どこへでも 行ける

「 ヤシの実のような貴女 」
2009年09月02日(水)



 深海に沈下していく真理の道を閉ざすのは
 褒めてもらいたい認めてもらいたい
 綺麗になりたい異性にもてたい

 それらをぎゅっと詰め込んだ紫のサテンのスカート
 危機意識をレモンのように香り付けして
 能力以下の環境はピリリと胡椒を振る

 とっても美味しそう
 とってとーっても美味しそう
 海面に浮かぶヤシの実のように海上まで上がらないといけないのだけれど

 けれど、迷うのだよね
 ああ、毎日が暇、暇、暇

「 パターン化された性 」
2009年09月01日(火)



 
 頭を撫でる 接触する言語 肉の褒め合わせ
 パターン化された性

 初対面の緊張が笑顔に変更していくと
 パターン化された性を憎む

 真理より救済 飛翔より住宅 客観化されない神話知
 パターン化された性を憎むのに

 口腔から出る透明の液はなんだ
 老化から出る白濁の香はなんだ
 憎悪する性への想いが近づく人々を敵意に沈めていく
 感謝する人への思いが近づく人々へ愛情を与えられる

 頭を撫でる 接触する言語 肉の褒め合わせ
 パターン化された性 

 孔子のように選別するか 仏陀のように智に棹差すか イエスのように沈下させるか コンスタンティヌスのように利用するか

 パターン化された性
 パターン化されたくないだけの私


BACK INDEX NEXT

複製、無断転載、二次配布等を禁じます。
All Rights Reserved©ものかき部

My追加