甘えだ
全く持ってその不満の不安の根源は甘えだ
指摘しても全く頭に入らないばかりか、全然理解しない
どうして、せめて、そして
赤子や老体ではない時に自覚しようとしないのか
甘えを自らこねくり回し苦しみの種を造り
甘えを外にひねくり出し争いの木を育てる
どうして、せめて、そして
他者のためではなく自分のためだけに関わりを絶てないのか
なぜなら、ゆえに、ただし
それが一般的に生きると与えられたのを受け入れたからだ
またも甘えが
またも甘えか
一緒に死んでいこう、その甘えたちと共に、その甘えた血と共に
一緒に死んでいくことさえ見つめない甘えと共に
追記:「 正しさのもどかしさ 」を直ぐに改題しました
絶望してはならぬ 大衆とはそういうものなのだ
卑下してはならぬ 君子とはそういうものなのだ
荒廃してはならぬ 意志とはそういうものなのだ
搾取してはならぬ 道徳とはそういうものなのだ
分裂してはならぬ 思想とはそういうものなのだ
堕落してはならぬ 真実とはそういうものなのだ
五才してはならぬ 十過とはそういうものなのだ
希望し自尊し充実し布施し統合し崇高し修養し強奪し圧制し虚言し差別し厳峻し選別し満足させなければならないのだ
また、転がり落ちる純白
営々と築かれてきてこの肉体に結実した本能の涙
また、すべり落ちる漆黒
汲々と排除してきたこの精神に結実する全能の垢
いくらこの四肢をかきむしろうとも いくらこの胸中を厳粛に律しようとも
この身体から水分子を排除するのは この心神から一般性を削除するのは
また、眼から飛び出そうとする水分子
また、心から溢れ出そうとする一般性
広い額と狭い眼鏡と不細工な頬と厚ぼったい唇を老いた両手でふさぐしか出来ないのか
広い目と狭い視点と不細工な魂と厚ぼったい欲を老いた矛盾でふさぐしか出来ないのか
クリリとした瞳をぐっと抱き寄せたい
年齢も地位もかなぐり捨てて、もうどっかに放り投げてしまって
テレレとした頬をぐっと舐め捲りたい
名言や箴言をおっぽり出して、もうどこにも戻れなくなるほどに
ああ、あなたの尊敬の眼差しは、私の仮面と格好付けた言葉を信じているからですね
ああ、あなたの敬愛の心持ちは、私の寛容と穏当な立ち居振る舞いを見ているからなのですね
あなたの心の闇がはっきりと観えて来ました
私の心の闇とはっきりと同じだと判りました
あなたの心の支えをちゃんと教えてもらいました
私の心の支えと完全に共通していると判りました
上手くいきっこないのも判っているのです
もう何度も私の全てを投げ出してきたのですから
上手くいくこともちゃんと判っているのです
もう何回も2人の全てを見尽くしてきたのですから
もう、時間がやってきてしまったようです
徐々に目蓋のない魚の瞳がギョロリギョロリと私を引き付けだしました
もう、病気がやってきてしまったようです
ドアノブでさえ魚の瞳のように私の意識を捉えて放さなくなってきました
私たちは何時の間にか核兵器の死滅に慣れてしまった
宗教家たちや哲学者たちが言うように理性を信じられないのだとしたら
私たちは何時の間にか化学物質の害悪に慣れてしまった
啓蒙家や社会運動家たちが言うように肉体を信じられないのだとしたら
拳銃でバンと一発打たれたらこの肉体はいとも簡単に砕け散っていく
いくら筋肉を鍛え、体術を極め武器に精通し格闘大会で優勝しようとも
バンと一発
過去では考えられなかったバンと一発で
危機にさらされ過ぎて危機を侮るようになり科学盲信へと
危機にさらされ過ぎて危機意識だけが暴発し科学不信へと
何れにせよバンと一発、どかんと一発は変わらない
その一発の前に過去とは異なる命のあり方が現れ出した
核兵器は全人類のあり方を変えただけではなく1人1人の個性をも無個性へと
それはまるで銃器がアメリカ大陸の征服に使われ全人類のあり方を変えたように
個性が徐々に肉体からしか発しなくなってきた
私の肉体が唯一の私の個性の発生源のように全人類の意識を改変し続けている
もう、全人類はたとえ宗教者であったとしても過去の預言者のように神の声は聞こえないだろう
もう、全人類はたとえ神託者であったとしても古来の巫女達のように神の境地へ入れないだろう
近代合理主義の思想が啓蒙化されたからではない
物質的な自然科学と工学技術が発展したから個性が無個性へと向かっていく
そして私たちはますます人間や個性について悩まなくなるのだ
そして私たちはますます人生や価値について悩むようになるのだ
ほんとうにこのままであなたは目を閉じてしまうのか、永遠に
ほんとうにこのままでわたしは目をとしてしまうのか、永遠に
物体が落下するのをちゃんと数式になると知っている
電子雲が実体を備えていることも知っている
空が蒼から紅に変わるのも知っている
そして私たちは囚われてもいる
苦しみさえも私ではない
喜びも私ではない
私は何もない
私はない
ない