あの輝ける真空を超えてある天体の先にあるものは何だろう、
あの未来になっても決してたどり着けないけれど惹かれるものってなんだろう、
決して着けない、決して見えない、けれど心で観えているもの、惹かれるものは何だろう。
なんて話を煤(すす)ぐらいショットバーの揺れる蝋燭(ろうそく)に向かってじっと話をする。
そんなのいいじゃないか、どうだって。
横に並んで不安定の椅子でハイヒールが落ちないかTバックはずれないか、寄せてあげるブラが締め付けてきた、なんて一言も言わない私を見てくれよ。
決して見えなくて分かり合えないものなんかじゃなくて、何もかも分りあいたいって思ってきた存在が横にいるんだよ。
それでも蝋燭で一層渋さをまして素敵なんだけれど・・・(ため息)・・・
トルコブルー色の薄いセーターにYシャツの似合う男
枯れ草の森の木漏れ日のようにぽかぽかさせてくれる男
手入れなんか、というボウボウの太い眉
不浄など、思いも寄らないサッパリな口
優しすぎる右手と暖かすぎる睫毛
射抜かれる髪と撫でられる胸の奥
グローブのようなのに甲の一部は無毛だったり
グリズリーズのようなのに心の一部は赤子だったり
革靴のつま先のはげを気にしていないで
どんな時も付き合い酒は一杯だけで
ご飯粒1つもお茶碗につけないで
付き合い女は一杯いるわけで
極太の眉毛にうら響く声
視線は騒がしい街行く一人一人を警戒
肘の内側の可愛らしい肌触り
食べるガブガブ男
静かなメガネの男
注記「白皙(はくせき):肌が白い事」 (校正H19.6.18)