躑躅(つつじ)の枝はごわごわとしていて初めて逢った白磁の君のようだった
家族の絶対的な愛ゆえの甘えと社会的犯罪への結びつきに、自己肯定と否定との間で暖かく激しい春の雨のように濡れていた
この身体と人生を投げ打って受け止る覚悟をしていたと半歳を過ぎてから長閑(のどか)に語って
春雷のように君の瞳が流れ落ちてその水滴が別れ霜(しも)となってくれればと感じたりもする
執筆者:藤崎 道雪
ふー、とほっぺをマンパンにした空気を深く吐き出した。
少し額を上げて、視線が広がると気持ちが安らぎ、昼間の休み時間に書いた恋人とのシークレットの日記の内容を思い出さぬとも思い出した。
視線の先にある信号機は夜のネオンに照らされてとても可憐だ。
赤々と眼球が充血しているような肉体、そこへとっておきの音楽をジャンルを超えてぶち込みまくる。脳内が活性化して肉体の充血のぼんやりとした視界とせめぎあってくる。その中で残ってくる音楽だけが一流の証明であって、どっかの雑誌に載っているようなのではなくなる。
少し生まれる自信と執着。
固執の果てに生まれるだろう新しい生命の誕生と婚姻という新しい関係。
全身全霊のエネルギーで押さえ込むと衝突する女性性との相克が恋というものの本質で、それは故意に増大しうる。
嗚呼、あの信号機に見えるよ、君の笑顔、おすまし、怒りのように
嗚呼、あの信号機に近づいていくよ、結婚、誤魔化し、殺人のように
もう少しだけ肉体と脳の鬩(せめ)ぎ愛を続けていくことにするよ
執筆者:藤崎 道雪
先日、メールで女と話していたら、「最初に会った時にとっても緊張していて、けれど貴方が手を握って下さったから、とても安心できて、これから、というのを想像してしまいました」と言いくさった。
「それは、わざとだ。手を握れば緊張で顔から火が吹き出そうなのを和らげ、縮みあがっているのを下ろせると知っていたからだ」
「ぇ・・・なら、あの時にすーっと首筋を撫でられたのも、でしょうか?」
「首筋がどうかしていた?」
「首筋だけでこれまでに感じた事がないほどだったので、これは100万人もほらではない、と思ったのです。そう実感しました」
「アハハ、それも計算ずく。ものすごい緊張の後、ふっとそれを解くと大きな喜びがやってくるもの。エスキモーなども極寒の地で寝る時は、ものくそ身体に力を入れて心に緊張を入れてから寝る。そうしないと寝れないそうだ」
「そうだとすると一から十まで貴方の手心の上で遊んでいて知らなかったことになってしまいますが・・・」
「それで何か都合が悪いかな? 人と人とは、世の中とは所詮そのようなもの。大きく開いているものがそっと先導している。それを嘘と言えば世の中は全て大嘘。常識も、情愛も、情熱も大嘘に過ぎない。嘘の上手い下手はあるけれども」
「・・・だとすればこうしてまた話が出来るになったのも何か嬉しい気がします。だって、それが男らしい、と言われる正体ではないでしょうか」
「ほ、少しは変わったなぁ。なかなか面白い」
「貴方と3年間お付き合いしている時は、全然気がつかなかったのにとっても不思議です。またお話させていただけるようになれば、もっと色々教えて頂けるような気がしております」
「アハハ、そうかもしれないしそうでないかもしれない。そういえば、さっき「縮みあがった」と言っただろう」
「はい、そういえば」
「そういう心構えだよ」
「・・・(後略)・・・」
そうこうしてもうメールを打ち切ったのだった
執筆者:藤崎 道雪