つまりだね、万華鏡だよ。
一定の筒の中でしか、一定の環境の中でしか生きていけないのだから。
1人1人に代わりない個性があるように見えて、20個のパターンに98%は入っちゃうんだから。
バイト辞めても退職してもどうってことが無い。ただの組み合わせの1つでプロトタイプなんだ。
残りの2%だって、万華鏡の他の色味とぶつかって削れたエラーなのさ。
エラーはアクセントには大切だけど、所詮エラーで、要らなくなれば弾かれる。
つまり、万華鏡だね。
クルクル、と。
くるくる クルクル
種の連鎖は回っていくよ
美しさと荘厳さを観ても良いけれど、10分で飽きる代物(しろもの)だ
一部でしかないのに全体観て、つまんねーやなんてお笑いさーね
お笑いさー
笑い飛ばしちまえよ
そうやって処理しちまえよ
掛け替えの無い、なっていう嘘っぱちの家族も親友も自分すらもさ
ああ、自分はわかんねーんだったっけ
こりゃまた失礼w
執筆者:藤崎 道雪(校正H16.6.9)
解ってはいるさ
判ってはいる
安心を拒絶した途端、生ぬるい夏の海水のように腋(わき)の下へとの浸透が
それらが暗紅色に混ざり合いながら、左側をチクリ、と刺し続けることすらも
絡(から)め獲られ、せめて粘々(ねばねば)なカラメルのように唇を噤(つぐ)むしかないことも
目の前を色んな質草が飛び交っている。
嗚呼、結婚もあったんだっけな、子供も造れるんだっけな、ゲームも音楽も映画も、曇天、透けるほどの勿忘草(わすれなぐさ)色の空すらも
1個1個がカプセルの中に入って、ゥヨォ〜ン、ウヨォ〜ン、と長い8の字を描いて飛んでいる
くだらねぇ、という反抗心も、消え去れ!、という激昂も、天才だ、という自賛もカプセルに詰め込もうとした。
カプセルの大群の先はある、先はない、両方ともいえない、答えが要らぬという自己陶酔に惑わされながら、
乾いた口腔の沈黙しか、痛む心臓は欲していない。
執筆者:藤崎 道雪
少しの安心を脂肪の中に積み重ねていけば
多くの実践を得るために志望を天空に広げれば
最高の貯金を財産を宝石を土地を獲得したらならば
肉体的な死を迎えても後悔はしないのかい
安心を捕獲する道具は其処此処に
絶対的な神でも、他力という努力の放棄であっても、諦めの修行でも、
流通信用の紙幣でも、他人からの自己肯定でも、快楽でも欲情でも何でも、
そこらにここらに、転がってる
縋りたければ袖はヒラヒラと幻想的な大アゲハのように
たった一言だよ
側に居たい、と安心に向かって言うがいい
注記;「脂肪(しぼう)」、「実践(じっせん)」、「獲得(かくとく)」、「後悔(こうかい)」、「其処此処(そこここ)」、「放棄(ほうき)」、「諦(あきら)め」、「紙幣(しへい)」、「縋(すが)り」、「袖(そで)」
執筆者:藤崎 道雪
少し安心する
背筋から広がる鈍い筋肉痛
ヒリツクような左足中指の興奮
梅雨前に焼け始めた右手首の白皙(はくせき)
さざめ石が細かくなるように打ち付ける窓の暗い雨音
瞬間の積み重ねが永遠と勘違いさせてくれる深夜の声に
少し、安心する
執筆者:藤崎 道雪
出会い系メールのように送られてくる女たちの視線と好意、厚顔。
TVドラマのタイアップ曲のように時期が過ぎれば、見向きもされない豚雌のようじゃないか。
エミネムの「Stan」のように何枚もアルバムが出た後、初恋のように君だけを、
君だけしか頭に浮かんでこない曲があるのだ。
喉を締め付けられるような苦しみと貧困と絶望からくる狂気が、
そして抑え過ぎた色香が、色褪(あせ)せることなく君を、冬の月にする。
聴き込んだレコードの退色したtrebleと、無理して出す音割れたbassのグラデーションが、朧を君に掛けて。
私が天球に届かなくても、私は闇夜に君に逢える。
これから幾ら、幾許か、生を許されようとも、性に侵されようとも、太陽に地球に養われ依存しようとも。
違う。
違う違う。
電話も手紙も肉体も、声も文字も肉欲も要らないんだ。
そういう形あるものに、君を矮小(わいしょう)に閉じ込めたくないんだ。
それは、出会い系メールと同じなんだ。
君は、それは違うんだ。
君だ、君だよ。
君の心臓を握り潰(つぶ)す刹那(せつな)、血飛沫(ちしぶき)で目を細めあい見詰め合う、
ズブリ という生暖かい手にかかる粘液、恍惚と見紛(みまが)う薄れ逝く意識と、その従順と全ての放棄と、
食いしばる口腔で、睫毛(まつげ)から顎(あご)へ小刻みに震え、
生存の宿命と智性から生じる罪悪感と解放、これらを渾然(こんぜん)と私に預けていく。
ギリギリのキリの倣岸(ごうがん)が。
君だよ、君だ。
追記;「ウィグワム」:アルゴンキン語で住居の意味。インディアンのテント風の小屋
執筆者:藤崎 道雪(校正H16.5.26)
海蔵という古臭い名前を聞いた時は笑った笑った。
友達に「早くお嫁に行きたいから」と色々と声を掛けていた時だった。
175��100�舛阿蕕ぁ△畔垢い堂颪辰討澆燭�なった。男の人って、やっぱり、ぎゅ、ってしてくれた時に安心するから大きい方がいい。私が167�造如∈廼瓩和世辰�52キロだけど前は46�舛了�だってあったもん。最初の電話をしてもらってバツイチなのを言ったけど、海蔵さんは「とりあえず会ってから」だったし、会った後、「結婚していた時にさびしかったら好きになった人が出来たけど、ちゃんと構ってくれれば平気だよ」って言っても、手をつないだままだった。
彼の顔はいまいちだけど性格は良いし、側にいてくれそうだし、私は性格重視だし。それに何だか似ている。
初対面で前から行ってみたかったイタリア風のカフェで、「ちゃんと養ってやるよ。だから好きにさせろ」って言った。その時は驚いたし、変な人って思ったけど、手を握ってくれてたし、紅茶の飲み方が、ズズズズズーって味噌汁みたいで変だったから思わず笑っちゃった。
「私のこと好き?」って聞いたら、「好きだよ。特にお尻の辺りが」ってエッチく触ってくる。「違うの。私の側にずーっと居てくれるほど好きなの?」って聞き直したら、「もちろん」と目を見て言ってくれた。恥ずかしくて胸がポ〜ってなって嬉しかった。「誰かに必要とされるって愛されるって重要なことでしょう?」
彼の正直で素直な所が好きになっちゃったし、こんな話を久しぶりに友達にのろけたら、「そういえばあんたも、体で男を釣ってるさもしい所があるからね〜」って何だか酷いことかな?を言っていた。「さもしい」って何だっけ? とにかく、「とにかくお似合いじゃない?」って言ってくれたので、照れちゃった。
それに、最初にデートした時、家の前まで来てくれて、でも、好きで結婚してたのを知ってからも好きで、電話とかがかかって来てた人からの連絡がなくて、で、もしかしたら家に来てるかも、って言ったら、「いても、俺は好きだよ」って言ってくれたんだ。来てなかったんだけど、絶対に来てないと思ったけど、「最初だから一回冷静になって考えて。それからにしようよ」って言ったら、無理やりキスされたけど嫌じゃなかったし、帰ってくれた。だから、大切にされてるんだな〜って思ったんだ。 あ、あと、「彼を好きなのと海蔵を好きなのは違うってことわかってもらえるよね?」って言ったら、「うん」って言ってくれた。これからが楽しみになったよ。
友達に同じイタリア風のボーイさんが居るカフェで話したら、「あんた、それって、家の前まで引っ張ってって…試したの? わざとじらしたの? だって彼は新幹線で来たんでしょ? それでそのままバイバイだったの? 自分の家の前で?」って言ってた。だって、海蔵は、「いいよここで。足痛いっていってたでしょ」って優しいことを言ってくれたし。何だか嬉しかったから。
「はいはい、お似合いね」って、言われて話題を切られちゃった。
それから海蔵は家に来るようになって、なるべく一緒に居てくれるようになったの。私は一緒にいる時も側に居て欲しいから、くっついていたかった。でも、自分からは言えないから、相手に合わせちゃう。でも、海蔵はベタベタするのが好きで、とっても幸せだった。
「このままず〜〜っと一緒に居られたら、一番好きになれそう」って思ったから彼に聞かせた。
だって、私、正直だから嘘つけないし。
もうでも若くないな〜って思う。一緒のバイトの子を見ると、ほんと肌とかピチピチしてておばさんだな〜って。でも、好きな人とず〜っと一緒にいたい、ってのは若い時から変わんないし。まだ、足とかはいけてると思う。ジーンズが最近、ピッチッピチのが流行ってきてるけど、店員さんに「もうワンサイズ下のはけますよ」って言われた。胸は80切るけどウエストは60ちょっとオーバーくらいだった。化粧を念入りにしたら、まだまだいける。バイトの子なんかにも5歳くらい下に見られたりするしね。
でも、海蔵は3ヶ月くらいしたら、時々約束をすっぽかすようになって、外のデートがなくなってきちゃった。一緒にいるのが幸せだから私は良いんだけど、半年ぐらいになったら泊まってもくれなくなっちゃった。
「子供が嫌い」って言ったからかな〜? 「子供はいいよね。親戚や友達の子供を見ても全然嫌い」って言ったからかな〜? だってほんとに最初、海蔵は「子供は可愛いな」って言ってた気がする。何か思い出したかも。
海蔵は公務員だけど、結構外部の人と話したりするし、だからかな〜? でも、海蔵は私のこと「好きだ。一緒にいたいよ」って言ってくれたし、好きになっちゃったらしょうがないしね。ちゃんと「付き合って〜」って言われてから関係したから適当じゃないし、「そのうちしっかりするから待っとけな〜」って言ってくれたし、私は相手に合わせちゃう女だし。
今はお互い忙しいけど、高校くらいまでお互い絵とか描くのとか一緒だったから価値観が似てるんだし。職を変えたら、絵とかまた描きたいな〜ゆっくりと。人物得意じゃないけど海蔵の顔とか描いてみよっかな〜…
そういえば最初にデートした時も、風が熱くなくて湿気てなくていい天気だったな〜。日差しが強かったけど適度な暑さだったっけかな。
執筆者:藤崎 道雪 (校正H16.5.8)