感想メモ

2019年02月19日(火) ひぐまのキッチン  石井睦美


石井睦美 中公文庫 2018

STORY:
就職活動に失敗したまりあ。祖母の紹介でコメヘンという会社を紹介される。職種はなぜか秘書。引継ぎを終え、いよいよ独り立ちするが…。

感想:
 祖母の紹介で入社することになったコメヘンという会社は、中小の商社で、食品を扱っている。

 社内にはなぜかキッチンがあって、入社初日からそのキッチンでお好み焼きを焼く歓迎パーティーが開かれる。

 どうやら秘書は折に触れてキッチンで料理をしなくてはならないようなのだが…。

 中小企業ならではののんびり感とか、料理で来客のおもてなしをするだとか…ほのぼのした小説ではあるが、逆に言えば、あまり大した出来事も起こらずに、だらだら〜っと物語が進む。

 そんなわけで、思ったよりも面白くなかったというか。優等生っぽい感じの物語なのかも…。



2019年02月07日(木) すぐ死ぬんだから  内館牧子


内館牧子 講談社 2018

STORY:
78歳のハナは外見を磨くことを厭わず、10歳ほどは若く見られる。夫の岩造とも相性よく暮らしていたが、夫が急死。悲しみに暮れるハナであったが、生前にはわからなかった夫の秘密が発覚して…。

感想:
 78歳になっても、外見を磨き、楽だから、年だからを言い訳にして、だらしない格好、緩い格好をしている人を見下しているハナ。正直、自分は楽な方に動いているので、ハナのようなおしゃれな人は否定はしないけれど、見下される筋合いはないわ…と思ったり。

 息子の雪男の妻・由美が芸術家気取りなのも気に食わないし、嫁の立場だとしたら、結構嫌な姑かなーとも思う。

 若く見られる、おしゃれできれいと言われることに生きがいを見つけていたハナだが、夫の急死のあとは、すっかり何もかもやる気を失ってしまい、外見を磨くこともすっかりやめてしまう。何もかも億劫になってしまい、どこにも行きたくもなくなってしまう。

 手抜きをすると、どんどん外見は崩れていくらしい。確かに人は自分に対して気合を入れられなくなったら、どんどん老け込むかも。そういうのをセルフ・ネグレクトというらしい。

 しかし、夫の遺言状が出てきて、新たな事実がわかると、途端にハナは目が覚めたようになってしまう。夫に対する憎しみが生きる元気を与えてくれたのだから、何が災いとなるか福となるかはわからないものだなと思ったり。

 自分の立場に置き換えたらどうだろうと考えてしまった。夫が死んでこんな事実が発覚したら、やはり相当ショックだろうな。信じていればいた分だけショックも大きくて憎しみも大きくなるかも…。

 前に読んだ「終わった人」も面白かったけれど、「すぐ死ぬんだから」も面白くて、今後、年を取っていくとしたらこんな感じかなとちょっと思ったりもした。


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