2019年03月14日(木) |
東京すみっこごはん 楓の味噌汁 成田名璃子 |
成田名璃子 光文社文庫 2018
STORY: すみっこごはんに新しい人物が数人やって来る。楓は懸命に尽くそうとするが、その気持ちは相手に伝わらなくて…。
感想: 「東京すみっこごはん」シリーズの4冊目。
相変わらずストーリーや登場人物の細かいことを忘れてしまっている私。そんなこんなで、ちょっと繋がりが思い出せない部分もあった。やはりシリーズものは続けて読みたい…。けど、続けて読めることがまずないので厳しい…。
まあ、そうは言っても別に前のストーリーを全て覚えていなくても短編みたいなものなので、そんなに支障はなく読めるのだけれど。
母を病気で亡くした楓は、自分の中で母を神格化していってしまい、自分が母に追いつけなくてもやもやしている。思春期にありがちな悩みだけれど、気持ちはよくわかる気がする。
そして、楓は新入りさんたちを母と同じように一生懸命にもてなそうとするけれど、新入りさんたちにもそれぞれ事情があって、結局来なくなってしまう。そのことが楓を追い詰めるわけなんだけれど、この新入りさんたちが来なくなるというのが、リアルな気がした。
例えば、同じシリーズものの料理店や居酒屋を舞台にした話は、大抵小さな問題や事件が起こり、それが解決されてよかった…とホッとするような構成になっているわけだけれど、この話は新入りさんが来なくなってその後がまだ描かれないまま終わっている。
これが、新入りさんが心を入れ替えてすみっこごはんの常連になるという筋立てだったら、ありきたりだし、そういう風に丸く収まることばかりが実際の生活には多くないから、リアルだと思った。
とはいえ、やはりこの新入りさんたちのその後は気になるので、この先、また続編が出るなら、そのあたりのことも出てきそう。
その続編が出るころに、またしても内容を忘れてしまっていそうな自分がいるのだけれど…。
2019年03月04日(月) |
菜の花食堂のささやかな事件簿 金柑はひそやかに香る 碧野圭 |
碧野圭 だいわ文庫 2018
STORY: 派遣社員の傍ら菜の花食堂で働いてきた優希は、「正社員にするからもっと働いてほしい」という申し出に対して自分がどう生きていきたいのかを考え出し…。
感想: 「菜の花食堂のささやかな事件簿」シリーズの3冊目。
前作で靖子先生の瓶詰などを売ることになり、今回は地元のマルシェやイベントなどで知名度を上げようとがんばる優希の姿が描かれている。
派遣社員として働く会社では、一人が突然仕事を辞めてしまい、そのしわ寄せが派遣社員の優希に押し寄せる。そして、正社員になれることを匂わされるのだが…。
謎解きの合間にこうした優希の事情なども丁寧に描かれている。そして、優希が出した結論は…。
また、菜の花食堂は25周年を迎える。その記念にパーティをしようと盛り上がる中、靖子先生の過去や菜の花食堂の歴史などが段々わかって来て…。
ほのぼのとした感じで相変わらず危なげなく読むことができる。靖子先生の謎も明らかになってきているし、さらに続きが出そうな感じ。続編も出たら読んでしまうと思う。
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