感想メモ

2018年11月27日(火) スケートボーイズ  碧野圭


碧野圭 実業之日本社 2017

STORY:
怪我でスケートを離れていた和馬、スポーツ新聞部で取材を続ける将人。大学4年生の二人は就活・スケート・友情・恋愛など悩みながら、最後の1年を過ごしていく。

感想:
 最近はフィギュアスケートもかなり人気が出てきている。でも、テレビに映るのは、ごく一部の選ばれた人のみ。もっともっとたくさんの人がスケートをしていて、その人たちがどんな生活をしているのかが、この作品を読むと何となくわかる。

 特に大学生からフィギュアスケートを始める人がいるという事実は、少し驚きだった。何となく小さな頃からやらなくてはダメなイメージがスケートにはある。

 でも、大学生からやっても、きちんと試合に出て、成績を出すことができる。その試合の上位になることを目標にがんばる人もいるのだということを知ることができた。

 女子に比べると男子は競争が少ない。とはいえ、男子の世界にも色々ありそうだ。

 また新聞部の一員として取材をする将人は、就職先にマスコミを選んで、すでに内定をもらっているが、この先も記者としてどういう取材をすべきなのかを考えさせられることになる。

 スポーツライター・野口美惠さんの解説が巻末についているが、非常によく書けていて、スケートを続けることの大変さを感じることができた。

 どんなスポーツも真摯にがんばる人は美しい!



2018年11月16日(金) 院内カフェ  中島たい子


中島たい子 朝日文庫 2018

STORY:
総合病院に併設するカフェで週末だけバイトする小説家の亮子は、夫との不妊に悩んでいる。カフェには様々な個性的な人々がやって来て…。

感想:
 私は接客業をやったことがないし、この先もやれるとは思わないので、カフェなどで働くことはないと思うのだが、こういう仕事をできる人ってすごいと思う。そして、それが病院のカフェとなると、普通の店とはまた少し違った様々な人々がいるのかもしれない…。

 総合病院だけあって、医療関係者の人も来れば、入院患者が点滴をぶら下げて来ることもある。お見舞いの人もいれば、通院中の人もいる。

 そんな変わった常連さんたちにちょっとした愛称をつけつつも、やはり同じ時間帯に毎週やって来る人のことは覚えるし、気になるものなんだろうなーと思う。

 バイト中にやって来た一組の夫婦・朝子と孝昭。夫のほうが入院するらしく、二人でカフェにやって来たが、何か言い争いになって、朝子が孝昭にソイラテをぶちまける場面に亮子は遭遇する。

 私もこんな場面に遭遇したら固まってしまうかもしれないのだが、同じくバイトの村上は、接客業が長いらしく、何事もなかったかのような対処をする。

 朝子と孝昭の夫婦は、夫が潰瘍性大腸炎にかかり、夫婦の仲がすれ違っている。カフェで出会う人々を通じて、二人はお互いに自分の気持ちに向き合うことになる。

 亮子が「ゲジデント」と名付けた医師は、3分診療しかしない主義なのだが、それがアメリカでの体験に基づいており、3分で無駄がないわかりやすい診療をするというのをモットーとしているらしい。

 3分で何がわかるんだ?と医者が機械的に作業をしているような気持ちで診療が短いのもどうなんだろう?って思う自分がいたんだけど、こういうスタンスの下でやっている医者もいるんだと気付いた。

 総合病院ともなると、待ち時間も長いし、あっさりと要所要所を押さえながら診察を終えてくれる医者も実はいいのかなーと考え直したりした。



2018年11月10日(土) 東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて  成田名璃子


成田名璃子 光文社文庫 2017

STORY:
今日も共同台所「すみっこごはん」には新しい人がやって来て…。くじ引きで当たった人が料理を作る変わった場所には、いろいろな事情を抱えた人がやって来て…。

感想:
 「東京すみっこごはん」シリーズ3冊目。

 1作目の話をかなり忘れているし、2作目の話も忘れているけれど、登場人物をすっかり忘れていても全然楽しめるこの作品。

 1話1話がそれぞれの人のエピソードで、毎回楽しめる。

 それに「居酒屋ぼったくり」シリーズよりも、一般家庭の料理のコツみたいなのがわかる気がする。

 料理好きな人には楽しめると思う。



2018年11月05日(月) 居酒屋ぼったくり9  秋川滝美


秋川滝美 アルファポリス 2018

STORY:
美音と要は結婚することを考え出すが…。居酒屋ぼったくりで巻き起こるご近所のトラブルから常連客の恋愛模様までの様々な出来事…。

感想:
 「居酒屋ぼったくり」シリーズ9冊目。もう9冊目になってしまったのね。

 美音と要の仲は進展しているけれど、居酒屋店主と多忙なビジネスマンでは、居酒屋を続けるのは無理なのでは?などと周りが騒いだりしている。この2人のこれからはどんな感じになるのかな?

 そして、ご近所トラブルの話では、つわりに苦しむ奥さんに「栗きんとん」を作る。果たして「栗きんとん」がつわりに効くのかどうなのか? 実際に効く人もいるんだろうか? あんまり食べたくない部類な気もするんだけど。

 常連さんたちの恋愛模様も一歩ずつ進んでいるようだし…。

 このところは、料理よりも人間模様のほうに重きが置かれているような気もする。まあ、そのマンネリ感がまたいいのだと思う。


 < 過去  INDEX  未来 >


サーチ:
キーワード:
Amazon.co.jpアソシエイト
ゆうまま [MAIL]