2018年10月21日(日) |
菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日 碧野圭 |
碧野圭 だいわ文庫 2017
STORY: 菜の花食堂の料理教室を主宰する靖子先生には、ミス・マープルという噂が立ち、ちょっとした問題ごとが持ち込まれてきて…。
感想: 「菜の花食堂のささやかな事件簿」のシリーズ2冊目。前作同様、ほのぼのとした温かいムードが漂いながら、色々な事件や問題ごとが靖子先生に持ち込まれる。
また、食堂も発展をとげるべく、地元のマルシェに参加したりして、今後は靖子先生のピクルスなどを売っていく方向にも進んでいくのかなー?とも思わせられ、食堂がどうなっていくのかも楽しみな展開となっている。
日常の重々しい事件を扱うわけではないので、気楽に読めるところもよい。
桐野夏生 朝日新聞出版 2018
STORY: 両親が夜逃げし、叔父夫婦に預けられた真由は、ひどい扱いを受け、渋谷のラーメン屋でバイト。家に帰りたくない真由はリオナという少女と出会い…。
感想: 渋谷を徘徊する女子高生。家に帰りたくないのは、その一人一人に様々な理由がある。そして、居場所がない彼らはあまりにも無防備でだまされやすい。
真由は何不自由なく両親の愛を受けて育てられてきたのに、突然、両親に親戚の家に行かされる。決まっていた私立高校への入学は難しくなり、公立の学校に変えたものの、勉強をしたい子が集まってくるわけではないその高校には全くなじめない。
叔父夫婦の家は経済的に苦しく、高校生の子供を預かる下地がなかった。そのため、小遣いもろくにもらえず、ご飯も満足に食べさせてもらえず、真由は居場所がない。
そんな環境に嫌気がさした真由は、渋谷のラーメン屋で雇ってもらう。そのことから様々な出来事に巻き込まれていく。
渋谷には女子高生を食い物にするような様々な職業があり、また居場所がなくフラフラしている女子高生を誘惑する誘いもたくさんある。
真由は行き場がなくて困っているので、泊まるところがあるとか言われると、すぐに相手を信用してついていってしまう。または自暴自棄になってついていってしまう。
普通行くかなー?って思うようなところで行ってしまい、結局危険な目にあって、逃げ出す。
学習しないなーとも思うけど、これが実際の女子高生の姿なのかもしれない。
真由が出会ったリオナやその友達のミトなどは、両親がひどく、子供の頃から信用できる大人が周りにいない。
そして、3人はぶつかり合いながらも一緒に生活する方法を模索したりする。
多分リアルなんだとは思うけど、あまりにも衝撃的な話で、自分はこういうこととは無縁で生きてきたけど、それは幸運なことだったのかなーとか、考えてしまった。
とはいえ、どうなるのか最後まで目が離せず、結構一気に読んでしまった。この先も知りたかったんだけど…というのが、正直なところだけれどね…。
2018年10月02日(火) |
おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子 |
若竹千佐子 河出書房新社 2017
STORY: 夫を亡くし、子供たちとも疎遠になって一人で生きている桃子さん。孤独なようでいながら、桃子さんの頭の中にはたくさんの人の声が存在して…。
感想: 芥川賞を受賞した作品。面白そうかなーと思って読んでみることにしたけれど、やはり芥川賞を取っただけのことはある…というか。
正直なところ、結末がよくわからなかったな…。
娘や息子の育て方を間違えたと思いつつ、毎日を一人で過ごす桃子さん。私は孤独の中で、いろんな声に囲まれながら死んじゃうのかなーと思ったんだけど、この結末はそうではなく…。
やはり生身の人間同士の関わりが大事ってことなのかなー?
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