2016年11月19日(土) |
ストロベリーライフ 荻原浩 |
荻原浩 毎日新聞出版 2016
STORY: 東京でフリーのデザイナーとして独立した恵介。ある日突然、静岡で農業を営む父が倒れた。父や農業に反発して東京に出たはずだったが、なぜかイチゴ農家の手伝いをすることになり…。
感想: 東京でフリーデザイナーとして独立したものの、仕事は減る一方で、妻や子供にも引け目を感じていた恵介。父が倒れ、静岡に帰ってみると、そこにはイチゴが待っていて…。
農業を廃業するつもりでいた恵介だが、農業をやめると莫大な相続税が待っていたり、父が注文した苗がどっさり届いてしまったり…。
生きている生き物を枯らすことができないという変な使命感を持ってしまい、なぜかイチゴ農家の手伝いをする。
妻子は東京に残っているが、次第に恵介は東京にも戻らなくなり…。
恵介の姉家族たちとの関係とか、結構面白く読むことができた。
イチゴは以前育てたことがあって、なんとなくイメージがつかみやすかった。
でも、やっぱり農家って大変だね。
恵介はデザイナーとしての経験などから、このまま専業農家をやっていても、苦労のわりに収入に結びつかないということをよくわかっていて、新しい農業のあり方を模索していく。
このあともうまくいくかはわからないけれど、何だか希望が見える終わり方でよかったかな。
6歳の息子と一緒に見に行く。
特に見たいわけでもなく、あまり期待もせずに見に行った。
かつては赤ちゃんを届けていたコウノトリ宅配便社。ある事件をきっかけに、赤ちゃんのお届けはやめていたのだが、兄弟がほしいネイトが赤ちゃん申込書を見つけ、申込書を送ってしまう。
かつて届けられるはずだった赤ちゃんのチューリップは、事件によってお届け先がわからなくなってしまい、今もコウノトリ宅配便社のお荷物として扱われていた。
首にするように命じられたジュニアだったが、どうしても首にすることはためらわれ、チューリップを手紙を処理する担当にする。
しかし、ネイトの申込書を見たチューリップが禁じられていた赤ちゃんを作り出してしまい…。
果たしてジュニアとチューリップは無事に赤ちゃんを届けられるのか?
というようなストーリー。
途中で色々な邪魔が入る。特にオオカミたちは面白かった。息子もゲラゲラ笑っていた。
そして、特に面白いわけでもないはずなのに、最後は家族っていいね…みたいな感じで、少しうるっと来てしまった。
大人の私としては、赤ちゃんのお届けが禁じられていた間に生まれた子供ってじゃあ、どういう風にできたのよ?とか、赤ちゃんお届けって養子ってことかよ?とか、つい突っ込みたくなるわけではあるが、そんなことを気にしなければ、子供には十分に面白い作品に仕上がっていると思う。
夏目漱石の作品はそんなに読んだことがないが、興味があってドラマを見てみた。
のちの漱石となる金之助(長谷川博己)は、実父に捨てられ、養父(竹中直人)に育てられたが、事情から結局実父に金で引き取られるという複雑な子供時代を過ごしていた。
そのせいか他人のことが信じられない性格である。
縁談により、中根家の鏡子(尾野真千子)と結婚することに。鏡子は一人で、金之助の赴任地である熊本へ行くことになる。
二人はなかなか夫婦としてうまく行かない。やっと少し順風満帆に行くかと思われたとき、金之助は英国に留学することに。
離れ離れになった間に、精神を病んでしまい、帰国後もおかしくなった金之助と何とか暮らしていく鏡子。
そのうちに金之助の小説「吾輩は猫である」が評判になり、金之助は大作家への道を進むことになるのだが、そのころには持病の胃潰瘍がますます悪化して…。
夏目漱石の本、あまり読んだことがないけれど、少し読みたくなってきたかも。
統合失調症なのか、ノイローゼなのかはよくわからないのだが、本当にこんなにひどい状態で、よく一緒にいられたなー、鏡子はすごいなと思ったり。
皆さん、演技がよくて、本当に良い作品に仕上がっていたかと思う。
2016年11月06日(日) |
カツオが磯野家を片づける日 渡部亜矢 |
渡部亜矢 SB新書 2016
あの「サザエさん」の一家の主・波平が急死し、残されたフネの家はごみ屋敷化していた。
姉・サザエはマスオとともに別の家に引っ越し、パートで忙しく実家には顔を出せないでいたし、妹・ワカメも2人の子供を抱えるワーキングウーマンで、実家からは足が遠のいていた。
シングルで一番身軽だったカツオが家を片づけることになったが、様々な問題が持ち上がり…。
あの「磯野家」のその後を想像しながら、親が老いてきたり死んだりして家を整理することの大変さや、どのように処理をしていけばいいのかが書かれた新書。
なかなか面白く読んだ。
自分の親もかなり年を取って来ていて、病気にもかかったりしているので、こういうことはもう少し考えておかねばならないのかもなとは思ったが、やはりそのときにならないとなかなか動けないものかも…。
2016年11月05日(土) |
わが心のジェニファー 浅田次郎 |
浅田次郎 小学館 2015
STORY: 恋人のジェニファーに結婚の申し込みをしようとしたラリー。日本好きのジェニファーに日本を旅行して日本が理解できたらそのときにプロポーズを受けると言われ、電子機器を持たずに日本に一人旅をすることに…。
感想: 久しぶりに浅田次郎の小説を読んだ。かつては結構読んでいたような…。
主人公は、祖父母に育てられたアメリカ人のラリー。ラリーの父母は息子を置いて出ていってしまい、祖父母に育てられた。祖父は軍隊の偉い人で、かつて第二次世界大戦のときには日本へ駐留していた。
そんなラリーが日本大好きなジェニファーにプロポーズをしようとすると、ジェニファーから日本へ行って自分の目で日本を見て、日本を理解してきてほしいと言われる。
そこで、何の電子機器も持たず、ガイドブック2冊を頼りに一人旅に出ることになったラリーの珍道中(?)を描いた作品。
ラリーがジェニファーに手紙を書くという形式になっているところと、実際にラリーが経験したところとの二部構成になっているのだが、なんとなく惰性で読んだ感じ。
あんまりおもしろくないっていうか、ラリーの複雑な生い立ちに共感できないどころか、出会う先々でジェニファーがいるのに恋愛系の展開になったりして、なんなの?ってちょっと思ったり。
でも、最後、どうなるのかと思って最後まで読み進めると、ジェニファーの意図がわかり、なるほどーと思う展開にはなっていたのだけれど…。
ちょっとイマイチ乗り切れなかったかなぁ…。
でもまあ、アメリカ人の視点から日本を見るとこんな感じなのかな?とか思えたり、ガイドブックの日本の解説が面白かった。
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