2012年04月25日(水) |
スウィート・ヒアアフター よしもとばなな |
よしもとばなな 幻冬舎 2011
STORY: 交通事故で生死の境をさまよった小夜は、なぜか幽霊が見えるように。同乗の恋人は帰らぬ人となってしまったが、毎日が前とは違っていて…。
感想: あとがきによると、この本は震災で被災された方などに、少しでも癒しを与えられたら…という気持ちを持って書かれたようだ。
とても穏やかな文章、穏やかな空気…。
臨死体験をして、世界が変わって見えた主人公。そして、残された人たちが悲しみを乗り越えていく様…。
すべてが本当にいい感じに描かれていて、身近な人を亡くした方、今、辛い気持ちでいる方に読んでもらえたら、しっくりくる人もいるのではないかと、本当にそんな風に思った。
若い頃、吉本ばなな(今はよしもとばなな)がブームだった。その頃は、全く読もうとも思わず、今も、ほとんど読んだことはないけれど、この作品の不思議な透明感みたいなものに触れて、ああ、あの頃、読んでおくんだったかなー?などと、いまさらながら思ったりもする。
2012年04月22日(日) |
消失グラデーション 長沢樹 |
長沢樹 角川書店 2011
STORY: バスケ部のエースである緑が突然消えてしまった。直前まで一緒にいた康は、緑を探すため、放送部の樋口とともに真相を探るべく動き出す。
感想: 最後まで読んで、ええっ?っとなる話ではある。
でも、そのだまされ方が、どうにもこうにも納得いかないというか、わかりにくいというか…。
多分、本来なら、その事実を知ってからもう一度読み直すべきなのかもしれない。
そんな時間はないのでやらないが…。
いや、しかし、私は中山七里の「さよならドビュッシー」に通じるものがあるなーと思ったのだが、「さよなら〜」はあまり感じなかったけど、こっちのは本当にしっくりこないというかなんというか。
これはやり方が汚いんじゃないのー?ってつい思ってしまって…。
確かにミステリーとしてはひきつけるものもあったが、バスケ部内の描写と人物関係が複雑で、その事実も含めると本当に複雑すぎて、なんだこりゃ?と思わないでもなく…。
でも、この本は第31回横溝正史ミステリ大賞の大賞受賞作で、ミステリ作家さんたちからも絶賛の声が寄せられている作品なので、そういうところに好き嫌いが分かれる作品とも言えるのかもしれない…。
NHKの朝ドラ。実在の人物・小篠綾子の生涯をもとにしたフィクションドラマ。
子役時代の最初のうちは、なかなかなじめない感じもしたが、段々面白くなってきて、尾野真千子にバトンタッチしてからも戦争が終わるまでは本当にテンポもよくて、毎日楽しみに見ていた。
子育て編が始まってからは、ちょっと中だるみ感。姉妹のけんかとかが好きじゃなかったからかも。それに尾野真千子よりも老けている感じの子供たち…だったので。(成長した時はそれぞれに役柄に合っていたとは思うけれど…)
その後、晩年を夏木マリが交代。最初はまあまあだったけれど、やはり最後の週とかはもうどうでもいいような感じに…。
この作品を見て、洋裁にかけた女性の人生とか、時代の移り変わりとかを本当に感じられて、楽しかった。
俳優陣も演技派揃いだった。
岡田惠和脚本のドラマということで見てみた。結構評判よかったみたい?
でも、思ったのと全然違うドラマだった。
最初、中井貴一と小泉今日子が大人の恋愛をする物語かと思っていたのだ。ところが、この2人はけんかばっかり! 言い争いが段々エスカレートしていくのが毎回のパターンで、段々疲れてくるような…。
言い合える関係っていいのかもしれないけど、突っかかってけんかする関係って疲れそう…。特に40代後半以降の2人でしょ…。もう少し気持ちがホッとできる会話が聞きたかったかも。
と、話が逸れたが、ドラマは45歳独身、テレビ局でドラマのプロデューサーをしている千秋(小泉今日子)が、このまま一人で一生を終えるのかな…とちょっと自暴自棄な気分になって、前から思っていた鎌倉の古民家に引っ越す…というのを本当に実行してしまうことから始まる。
本当は悪友2人(森口博子&渡辺真起子)とともに暮らすつもりだったのだが、2人は本気ではなかったため早々に振られてしまい、一人で住むことに…。
この古民家の隣に住むのが長倉一家。長男の和平(中井貴一)は妻に先立たれ、小学生の娘と弟の真平(坂口憲二)、妹の万里子(内田有紀)と住んでいる。真平はナガクラというカフェっぽいお店をやっている。
そこに家を出た既婚の妹・典子(飯島直子)が夫(浅野和之)の出会い系サイト遊びや思春期の息子の子育てにうんざりして飛び込んできて…。
和平は鎌倉の市役所に勤めているのだが、同じ部署の部下・知美(佐津川愛美)とその母から突然言い寄られ…。
出てくる人の行動もちょっと不思議なことが多いんだけど(例えば、真平は本当の恋愛をしたことがなく、恋愛ボランティアみたいなことをしており、女性なら誰でも口説いてしまうとか、万里子は勝手に千秋の写真を出会い系サイトに投稿して、何人男性が集まるかを試したりだとか、和平が2人から言い寄られたり、典子の夫が出会い系サイトで千秋に会おうと思ったり…)、まあそれは百歩譲るとして、何だか痛い描写が多すぎて、それがちょっと悲しい感じだった。
千秋は悪友と3人でよくディナーやランチなどを楽しむのだが、この会話がまず痛すぎ…。でも、独身で40後半まで来てしまったキャリアのある女性の悲哀みたいなのがよくにじみ出ている会話ではあるのだが…。(ただ、この3人はキャリアがあり、収入も多くて一人で暮らせるだけの経済力もあるのでまだいいのかも…。普通の人はここまでのキャリアもないからそういう会話だったら本当に痛すぎて見てられないかも…)
それと、一時期は癒し系キャラで好まれていたはずの飯島直子の落ちっぷりというか。いや、今でも素敵なんじゃないかと思うんだけれど、ここまでいたぶられたキャラでいいんだろうか?と悲しい感じに。
女は年を取ると、ひどい扱いしか受けないのね?みたいな…。
結局最後まで何かが進展するわけでもなく終わったような気もする…。どうせならもう少ししっとりした中井貴一と小泉今日子のラブストーリーを見るほうが心が落ち着いたんじゃないかなーと思ったりもした…。
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