2010年08月21日(土) |
カッコウの卵は誰のもの 東野圭吾 |
東野圭吾 光文社 2010
STORY: 元オリンピックスキー選手の緋田宏昌の娘・風美は将来を嘱望されたスキー選手。親子の遺伝子研究をさせてほしいという申し出を頑なに拒む宏昌。実はそこには風美の出生の秘密が隠されていて…。
感想: 遺伝子の研究から、親から子へ類まれな才能は遺伝するのか、そして、その才能があるなら、それを伸ばしていけば素晴らしい競技者になるのではないか…と考えるようになるのは当然なのかも。
でも、才能があるからといって、そのことが本当に好きでなければ、それをするのは苦痛でしかない。そんなことを考えさせられる。
物語は、風美の出生の秘密を巡るミステリーなのだが、そちらの話と相まって、ちょっと色々と考えるところのある話であった。
自分の娘が自分と血がつながっていない、それどころか、誘拐された子供であると、途中で気付いた宏昌。そのことをひた隠しにして、実の娘として育ててきたわけだが、嘘をついているという苦悩や、本当のところを教えなくてはならないというまっすぐな気持ちとか、すごくよく伝わってきた。
結局この人は真面目なんだろうなー。
生みの親、育ての親とよく言う。父としては真実を話せば、娘が動揺し、父を父とも思わなくなるだろうと勝手に思い込んでるみたいなんだけど、そんなことないんじゃないかなーとちょっと思ったりも。
ここまで育ててくれた恩を娘はきっとわかってると思うんだけどな。そこまで苦しまなくてもいいんじゃないかなーとかも思ったり…。
最後はとりあえずホッとする展開にまとめていて、後味も悪くなくてよかった。
番宣を見て、なんとなく面白そうだと思って見てみた。
毎回出てくる料理がおいしそうだった。料理が人を幸せにするっていいよなぁ〜と。
でも、いろんな人のその後みたいなのが中途半端な描かれ方で、その点がちょっと残念かな…。
にしても、くるみ(観月ありさ)みたいに毎日丁寧に料理する人って貴重よね…。やりたくてもなかなかできないわ…。
お料理下手なセレブ妻のともさかりえの気持ちがちょっとわかっちゃう…。私も太巻き作って失敗したことあるし…。
康太役の野村周平がかわいくてよかったなぁ…。
偉そうな八百屋(佐藤祐基)やおっさん(イッセー尾形)のその後が知りたかったなぁ…。
東野圭吾 講談社 2009
STORY: 日本橋署に新たに配属された加賀恭一郎が、小伝馬町で起きた殺人事件を様々な人情を交えながら解決していく。
感想: 刑事が主人公というわけではなく、刑事が訪ねていくそれぞれの人が主人公となる短編が連なり、殺人事件の解決までを描くという、面白い趣向の作品。
考えてみると、刑事ってたくさんの人と会って、たくさんの謎を解き明かしているのね。
加賀のような刑事がいたら、どんどん犯人が捕まっちゃいそうな気がする。
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