野島伸司脚本のドラマということで注目していたのだけれど、毎回どういう展開になるのかわからず、あり得ないと思いながらも楽しいドラマだった。
最後までどんな展開になるのかわからず、誰と誰がくっつくのかも予想がつきそうでつかない感じで…。
野島伸司の脚本は、ちょっとドロドロしてるようなのが多かったので、敬遠気味だったけど、こうしたテンポのいいドラマはやっぱりいい。
まず第1話で、エレベーターが止まって、同じフロア同士の住人たちが初めて自己紹介をし合う…その場面のテンポのよいこと…。それだけで、ぐいぐい惹きつけられてしまい、このあり得ないシチュエーションもありだね…という気分にさせてくれちゃうから…。
住人の一人宇佐美啓(玉木宏)は婚約者の芽衣(貫地谷しほり)に突然の婚約破棄を告げられ、失意のどん底。その状態を見かねた精神科医の菊田(谷原章介)が、ラブシャッフルをしないかと持ちかける。1週間ごとにそれぞれの恋人を入れ替えるというのだ。写真家の旺次郎(松田翔太)、同時通訳の愛瑠(香里奈)も乗り気になり、それぞれの相手を連れてくる。
旺次郎はつきあっていた人妻の玲子(小島聖)、愛瑠は自分に付きまとう大金持ちの諭吉(DAIGO)、菊田は自分の患者で自殺願望のある海里(吉高由里子)をそれぞれ連れてくる。そして、芽衣も乗り気になって、奇妙なラブシャッフルが始まる。
貫地谷しほりは『ちりとてちん』のイメージが強かったのだが、全然別人になっていて、ちょっと変わった女の子を好演していた。玉木宏も最近よく見るけど、ちょっと抜けていてだらしないんだけど、やるときにはびしっとやるっていう、不思議なキャラクターを面白く演じていて、とにかくよかった。
他の出演者もみんな役柄にはまっているし、どんな展開になるのかがわからず、本当に楽しめるドラマだった。終わってしまったのが残念だなー。
にしても、啓は選挙に当選したのだろうか?
マナカナ主演の双子のドラマ…と聞いて楽しみにしていたし、前半は面白く見ていたのだが…後半からはなんだか面白くなくなってしまった…。
双子が実際に相手の存在を知らなかったのに偶然に出会い、出生の秘密を知っていったり、二人が入れ替わったり…なんていうのは、面白い展開だったのだけれどね。
二人の恋愛に関しても、同じ相手を好きになってしまい、特にのぞみ(三倉佳奈)の方が苦しむ様子とかは切ない感じがあったのだけれど…。
けど、そののぞみに石橋(山口翔悟)がひどいことを言うのに、歌手になろうと決心したりするところの思考回路がわからなかった。私なら、そんなことを言われた時点で、この人と一緒にやってはいけないと思うのだけれど。
また舞子から芸子になろうという直前でのドタキャン…これってどうなの?
さらに、歌手としてデビューし、人気大絶頂となり、初のコンサートツアーの初日に、めぐみ(三倉茉奈)がいきなり解散宣言…。
のぞみの祇園を飛び出したのと同じく、唐突に人生の重大なことを勝手に決めて、周りに迷惑をかける…。その流れに唖然…って感じ。
その後、結局のぞみは祇園に戻り、めぐみは介護福祉士から看護師の道へ。石橋も医者の道に再び戻り…っていう展開は、突っ込みどころ満載…。
ありえない展開ばかりで、どうなんだろうかと思う場面が多かった。
特に最後に来て、初枝(三林京子)がすい臓がんにかかり、抗がん剤治療をしても効かないという場面。普通なら余命が出され、そのまま死に至ると思うのだが、最後には新しい抗がん剤の治療が効いて、初枝はそのまま普通に生きていた。
こんなのあり得るのかなー?って思ってしまう。この前に見た『風のガーデン』もすい臓がんだったけれど、すい臓がんは気付きにくく、治りにくいはず。
実際、私の身内でこのがんにかかって亡くなった方がいて、こんな展開ってあり得るんだろうか?と疑問を持ってしまった。
まあ、ドラマだから、嘘でも仕方ないんだけど、それにしたってもう少しリアリティがある展開の方がよかったのでは…。(その他の医療シーンに関しても同様なことを思った)
最後のシーンも海に向かって歌ってたけど、なんで歌ってるんだろ〜って感じで、失笑な感じ。
最初がミステリアスで面白い展開だっただけに、残念だったな。
東野圭吾 文春文庫 2001
STORY: 妻と娘がスキー事故に巻き込まれ、娘だけが奇跡的に助かった。しかし、娘の肉体に宿ったのは妻の魂だった。平介は小学生の肉体に妻の魂を持った妻と2人で生きていくことになるが…。
感想: 最後のシーン…ものすごく感動してしまった。読んでよかった〜という感じ。
実はこの小説、一度借りたときには、持っている本が多すぎて、期限までにとても読み終わらず、返してしまった。そして、改めて予約を取り直して、今回手元に来たのだが、今回も延滞してしまって…。どうしようか迷いつつも読み切ってよかった。
物語は、父の立場である平介の視点で描かれる。もし妻が小学生の娘になってしまったら…男とはどうなるのだろうか。
さすがに小学生の肉体を持った妻と肉体的に交わることもできず、かといって、他の女性と付き合ったりすることも妻の手前できず…。
でも、小学生から徐々に大人の女性に成長していく妻には、若い男が言い寄って来て、夫として、男として我慢ができない。
そのため、妻を束縛するかのように行き過ぎた行動をしてしまう…。
この辺は、ちょっと引くけど…。でも、それがリアルなのかな…。(人にもよるかも)
東野圭吾の作品の中には、よく加害者の家族の話がある。今回もスキー事故を起こしたバス運転手は事故で死んでしまい、残された妻と娘の描写がある。その描写は憐れな感じである。
また、加害者がなぜ事故を起こしたか…。仕事のしすぎで過労だったことがわかるわけだが、なぜそこまで仕事をしなくてはならなかったのか…。そこにももう1つの家族がかかわっていて…。
さて、最後に平介はまさか?と疑念を抱く。本当はどうだったのだろうか。やっぱり平介の思った通りなのか? 私としては、平介が思った通りではなかったような気がしたのだけどね。でも、もし妻の演技なのだとしたら、すごいなぁ…と思った。
山田太一脚本のドラマということで、見ることにしてみたのだが、最初のうちは若者2人の話し方に違和感があったりして、面白くなく、挫折しそうに…。 でも、そこを通り越してくると、だんだん面白くなって来て、そのまま最後まで見た…。 自殺しようとしていた藤本(陣内孝則)を止めた加奈(仲間由紀恵)と翔太(加瀬亮)は、藤本が自殺しようとなどしていなかったのに突き飛ばされて殴られた…などと主張したため、警察に行くことになり、知り合いになる。 2人はかつて自殺しようとしたことがあり、藤本の様子がおかしいことに気づいたのだった。そんな共通点からお互いに惹かれあう2人。 しかし、2人の家族を巻き込んで騒動が展開していく…。 以下ネタばれあり。
加奈の苦悩はわからないでもないのだが、家同士が巻き込まれて、親が口を出すところがちょっとなーと思った。 もちろん最初から自分に非があり、子供ができないということがわかっているからこその苦悩なのかもしれないが、どこも悪くなくたって、結婚しても子供ができないことはざらにあることで、もしなんなら、2人だけの秘密にしておき、結婚してしまうということだってできるんじゃないかな…とも思ったりした。 確かに今でも家の血を残すとかいう考え方があることはあるのだろうが、こればっかりは授かりもの。どうしようもないときもあるだろうと思うのだが…。 ま、最後は丸くおさまったみたいだけど…。
お父さんたち2人の女装が一番ツボにはまったかなぁ…。
曽田正人原作の『昴』の映画化。
漫画は全部持っているんだけど、たぶん原作とは別物だと思って見に行った。
けど…それにしても、どうしたらこんなに面白くなくできるんだ?と思ってしまうくらい、イマイチな出来。
ダンスのシーンもちょっと突っ込みたくなるようなところもあったし…。
昴役の黒木メイサは、バレエはやったことがなかったらしいけど、その割にはがんばったとは思う。この間見た『風のガーデン』ともまた違う感じで、よい女優さんだとは思うんだけど、いかんせん脚本が…。
原作ファンで、原作のようなものを期待している人には、全くオススメできない感じ。
クリント・イーストウッド監督の作品。最初、テーマが重そうで、あまり見たいと思わなかったのだが、夫が大絶賛し、もう一度見てもいいと言うので、一緒に行ってきた。
2時間以上ある映画は、長くてあまり好きじゃないのだが、この映画は集中して見ていたせいか、長さは感じなかった。それほどまでに圧倒されたのかも…。
以下、ネタばれあり。
シングルマザーとして仕事に忙しいクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、急な仕事で息子のウォルター(ガトリング・グリフィス)を一人残して家を出る。急いで家に戻ってくると、ウォルターはいなくなっていた。近所を探し回り、警察に電話すると、子供の捜索は1日経たないとできないと言われる。翌日、警察がやって来て、ようやくウォルターの捜索が始まるが、手がかりがない。
それから約半年後、ウォルターが見つかったという知らせが入り、クリスティンはウォルターを迎えに行く。しかし、現れた少年は、ウォルターと名乗る別人。クリスティンは自分の息子ではないと主張するが、今は混乱しているだけだと告げられ、その少年(デヴォン・コンティ)と家に戻る。
やはり少年は別人だと確信したクリスティンは、警察にウォルターの捜索をもう一度お願いしに行くが、警察はウォルターはもう見つかったのだから、この件は終わりだと相手にしない。それどころか、クリスティンのことを異常だと決めつけるような行動に出る。
このときのロサンゼルス警察は腐敗しきっていた。その警察と闘っていたのが、長老教会の牧師(ジョン・マルコヴィッチ)だった。彼は新聞記事を見て、クリスティンに連絡を取る。2人で権力と闘おうとしていた矢先、クリスティンは警察に連れ去られ、その場で、精神病院に送り込まれてしまう…。
精神病院には、同じように警察に逆らったかどで精神病院に入れられた女たちがたくさんいた。そのうちの1人キャロル(エイミー・ライアン)は、クリスティンに精神病院の仕組みを教えてくれる。
クリスティンは牧師の力によって精神病院を脱出することに成功するが、そのとき、20人の少年を連続誘拐殺人した事件が持ち上がっていた。その被害者の一人がウォルターかもしれないということがわかる。
犯人はゴードン・ノースコット(ジェイソン・バトラー・ハーナー)で、いとこの少年(エディ・オルダーソン)に誘拐殺人を手伝わせていたのだ。ゴードンはカナダで捕まり、カリフォルニアに移送される。
警察権力に対する審判とゴードン事件の裁判が始まり、クリスティンも傍聴する。結局、権力者たちは失墜し、ゴードンも死刑となる。
死刑執行の直前、クリスティンはゴードンに呼び出される。息子を本当に殺したのか確かめたかったクリスティンはゴードンに会いに行くが、結局ゴードンは真実を言うことはなく、死刑執行される。
それから、数年後、事件はすっかり終結したかと思われていたが、クリスティンはゴードン事件で殺害されたと思われていた少年が見つかったという連絡を受ける。少年は逃げ出した数人のうちの1人で、その後、数年ずっと隠れていたのだった。少年の口からは、ウォルターが少年の逃亡を助けたことが語られる。
クリスティンは、ウォルターもまだ生きているかもしれないと、結局、生涯子供を探し続けた…。
というあらすじであった…。
なんだか内容が重いんだけど、私が心に残っているシーンを書いておく。
まず、当時の警察が腐敗していたから仕方ないのかもしれないが、ウォルターがいなくなった直後にクリスティンが電話しているのに、子供がいなくなっても、99%は翌朝までに見つかるので、1日経たないと捜査はしないと警察に言われるシーン。
今の世の中なら、あり得ないのかなと思う。こうした失踪事件では、時間が勝負という面もある。早ければ、殺されず助かる場合も…。
それから、精神病院に入れられるところ。もし自分が入れられてしまったらどうしたらいいのだろうと、考えてしまった。薬は飲んだふりして飲まないとか…。反抗的な態度を取ると電気ショックを与えられるし、精神が異常だと決めつけられれば、自分の言うことは誰も取り合ってくれないから、本当に恐ろしい。
病院を出てから、クリスティンがほかの仲間たちを救うために立ち上がるのがよかった。
そして、ゴードンの死刑執行。ゴードンは全く反省していないけれど、死は怖くて、懺悔をしている。それでも往生際が悪くて、死刑台への階段を登るときにもすごくごねる。こうしたやり取りがやけに生々しくリアルで…。
そして、被害者の関係者たちが見守る中、死刑が執行される。もし自分の子供が被害にあっていたとしても、犯人が死刑執行される現場にいたいと思うだろうか…とちょっと考えてしまった。私はいたくない、見たくない。けど、見届けたい人もいるだろう。日本ではきっと誰も見られないところで死刑が執行されるんだろうな…。どうなんだろう。
そして…最後に、一番泣けたシーンは…やはりラストだった。死んだと思われた子供が見つかり、5年後くらいに帰ってくる。少年は事件のことはニュースで知っていたのだが、自分のせいで他の子供たちが殺されたと思って、罪悪感から名乗り出ることができなかった。けれど、もう一度両親に会いたくなって、それで名乗り出たのだ。
私は、少年がもう一度両親に会いたくて…と言う場面で、涙があふれるのをこらえることができなかった。その他のシーンは、泣くことはなかったのだが…。クリスティンとは別の部分で泣けてきてしまった。
結局のところ、ゴードンは自分がウォルターを殺したのかをはっきりさせなかった。ウォルターは逃げ出した少年たちの1人で、もしかしたら、見つかった少年と同じようにどこかで生きているのかもしれない…。
だから、クリスティンは母として、生涯ウォルターを探し続けることになったのだろうが、きっと殺されてしまっていたのだろうと思う。
実話をもとにしたフィクションだけれど、本当に胸を打つ話で見てよかったと思った。
2009年03月13日(金) |
チェーン・ポイズン 本多孝好 |
本多孝好 講談社 2008
STORY: 雑誌記者の原田は、自分が取材をした2人が毒薬で同時期に自殺をしたことを気にかけていた。そんなとき、元OLが同じく毒薬で自殺。原田は3人に何かのつながりがあるのではないかと独自に調査を始める。
感想: 読み終わって…「よかった…」ってまず思った…。
ホッとしたというか。
自殺の調査をしているわけだから、きっと…と思う一方で、元OLの生活を覗いていくと、段々死なないで!と思ってくるから不思議だ。
最初は、他の2人と違って、自殺の動機としても弱いような気がしていたのだが…。
人が自殺するか、それを思いとどまるかって、本当にちょっとしたことだったりするのかな…とちょっと思った。
桐野夏生 新潮社 2008
STORY: 夫の隆とともに遭難し、無人島にたどり着いた清子。そこに漂流してきた日本人と中国人の男たちの中で、女はただ一人。隆の死後、清子はくじ引きで決めた男と2年ごとに結婚することになって…。
感想: 女が一人でそれ以外は男だけ…という無人島での話…と聞いて想像していたのとはなんだかはるかに違った内容の話だった。
清子は40代後半。それでも、島の中でただ一人の女ということで、男たちからちやほやされたり、性のはけ口とされたり…。
でも、清子はそんな中で最もたくましく生きているのだった。
女一人だからこそ、その武器を利用したり、またどの男について行ったら一番うまく生活していけるか、島から脱出できるか…など、頭を回転させる。
清子以外の男たちも、決して全員がいい人なわけでも、人間関係がよいわけでもなく、嫌われる者がいたりと、無人島でも普通の社会でも、気が合わない人がいればあまり状況は変わらないのかとも思ったり…。
なんだか壮絶な話で、最後まで一気に読んでしまった。感想を書くのが難しい作品…。
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