2007年08月29日(水) |
風が強く吹いている 三浦しをん |
三浦しをん 新潮社 2006
STORY: 大学入学を控えた走は万引きをして逃げている最中にハイジに見初められ、竹青荘というボロアパートへ連れて行かれる。ハイジに促されるまま、竹青荘の住人たちはたった10人で、箱根駅伝を目指すことになって…。
感想: 走ることにかけての才能はあるけれど、高校時代に挫折を経験した走が、高校時代に故障して、走ることをあきらめざるを得なかったハイジや陸上の経験があるものもないものもいる竹青荘のメンバーと出会って、箱根駅伝を目指すことになる。走は仲間たちとの付き合いを通して、精神的にも大きくなっていく…という流れ。
最初、走や竹青荘のメンバーたちが、箱根駅伝を目指すことになるという経緯の部分で、少し強引さは感じたものの、結局は弱小の野球部が甲子園を目指すというような漫画に感動するのと同じように、弱小陸上部でメンバーが10人しかおらず、そのうち1人は本当に走るのが遅い…という中で、練習をすることによって記録が伸び、実際に箱根駅伝に出ていく…というストーリーは、やっぱりそれはそれで面白い。
10人というメンバーの数からか、描き足りなくてあまり印象に残らない人物もいたことはいたのだけれど、それは仕方ないかな。
とにかくもともと箱根駅伝は毎年見てしまうし、感動するので、それを本で読んでもやはりそれなりに胸が熱くなった。箱根駅伝好きな人にはオススメな本かも。
私が一番同情したのは王子さん。私自身、足が遅く、持久力はなく、子供時代はマラソン大会になると休みたかったものだけれど、だからこそ、そんな人ががんばりぬいていく様子には、すごいなー、自分は絶対無理だ…と、違った意味での感動があった。
2007年08月18日(土) |
君がくれた夏 ガンと闘った息子の730日 |
24時間テレビのスペシャルドラマ。ユーイング肉腫と呼ばれる難病のガンに侵された息子とともに過ごす日々を綴る感動のドラマ。
タッキーと深キョンができちゃった婚の若い夫婦役を演じた。
んだけど、やっぱりどうも違和感が。
特にタッキー。顔がキレイすぎるからか、とび職のイメージに合わない。ちょっとやんちゃを・・・というシーンも男らしさがあまりなくて、悪くなりきれないような・・・。
深キョンの方も『富豪刑事』を思い出すようなしゃべり方のときがあって・・・。
そして、子供があまりにもできすぎていて・・・。
ってことで、突っ込みつつ見ていたんだけど、そうは言いつつ泣けるシーンもあった。特に鈴木杏樹の娘が死んでしまうシーンとか、おじいさんが奥さんが入院したときのことをしんみり語るとか・・・。
でも、実は翌日の戦争で別れ別れになった人のドキュメンタリーの方が号泣だったので、このドラマはどうも中途半端な泣かせ物だったような気がする。
2007年08月13日(月) |
レミーのおいしいレストラン |
1匹のネズミが冴えないシェフ見習いとコンビを組んで、誰もがうなるおいしい料理を作って成功する・・・というような話・・・だと思って、映画を見に行ったのだけれど、印象がだいぶ違っていたかも・・・。
まず最初に、『リフテッド』という同時上映の映画があったのにも、予想外・・・だったんだけど。(これは見習い宇宙人の話で、セリフがなく、アニメの動きだけで笑わせる作品)
この作品・・・子供向けかと思いきや、案外大人向けだったりして?と思わせるものが。話もここで終わりか?と思うとさらに続き・・・と、ただのハッピーエンドで終わらせない。
結構人生の深さみたいなのを感じさせ、セリフにはステキなものがあったりして、考えさせられる部分もあった。
けど、やっぱりもっとカットしたりしてコンパクトにまとめた方がわかりやすかったのでは?とも・・・。
アクションシーンが結構あって、そのスピード感はアニメならではのものでもあるのかもしれないけれど、まるで『ダイ・ハード』のような作品を見ているかのようで、なかなかそういうシーンはよかった。
あとネズミが一言も人間と言葉を交わさないのはよかった。安易にネズミと話すことができる設定でなかったことは評価したいような気が・・・。
さて、以下ネタバレあり・・・。
見る前に「ネズミが作る料理なんて食べたくない」という批判があるというのを聞いており、そういうことを言ったらこの映画は成り立たないよなぁ・・・と思っていたのだけれど、見終わってその意味がわかった感じ。
だって、ネズミたちが料理してる〜! 人間じゃなくて、ネズミたち(それもわんさか)が作った料理を人間に出しているって考えたら、やっぱり気持ち悪いかも・・・。(レミー1匹なら許せるんだけど)
私ならだけど、レミーをシェフたちに見せたあとで、シェフが全員出て行ってしまうのがダメだー。私はそこで、みんなで協力して、レミーの指示をもとに料理を作ると思ったのだ。しかし、全員出て行ってしまい、リングイニは給仕に走り、ネズミたちが料理をするんだもん・・・。これはもう・・・。
もしすごいハッピーエンドにして終わらせるなら、レミーが書類を持って走り回り、リングイニが店を継ぐことになり、広い家に引っ越すことができたシーンで終わらせてもよかったよなぁ・・・とも思う。(イーゴのエピソードはもっと前に持って来て、普通にリングイニがレミーの指示で作った料理に感動させればよいと思うのだが)
まあ、そんな感じで、長々と引っ張りつつ、ハッピーエンドだけにはせず、レミーにもリングイニにも性格的に問題がある部分もきちんと描き・・・。
悪い映画ではないのだけれどなぁ・・・。やっぱりもっとコンパクトにしていったらもっとよい作品になったんじゃないのかなぁ・・・とも思った。
2007年08月12日(日) |
50回目のファーストキス |
ドリュー・バリモアとアダム・サンドラーの笑って泣けるラブ・コメディ。
舞台はハワイ。バカンスに来る人を狙って付き合うだけの遊び人風のヘンリー(アダム・サンドラー)。彼は水族館で獣医として働いている。ある日、カフェでルーシー(ドリュー・バリモア)と出会って、興味を引かれる。が、ルーシーは事故で短期記憶喪失障害という、前日のことをすべて忘れてしまう障害を持っていたのだった・・・。
ルーシーの家族は、ルーシーが事故のことを思い出さなくて済むように、毎日、同じことを繰り返せるよう、新聞は特注で事故の日の朝のものを取り寄せたり、涙ぐましい努力をしている。でも、それが本当にルーシーのためなのだろうか?
最初はヘンリーとルーシーが付き合うことを反対する家族だったが、ヘンリーが事故のことを知らせるビデオ作戦を思いつき、段々家族も心を開いていく・・・。でも、ルーシーは家族やヘンリーに負担をかけることを望まず、交際を絶つことを決めてしまい・・・。
ストーリーを聞くだけだと、お涙頂戴ものって感じだけど、コメディなので、笑いもたっぷり入っていて、じめ〜っとした気分にはならない。笑いと涙のバランスが取れていて、見終わってからもいい気分になれる。オススメの映画かも! かなり気に入った。
2007年08月09日(木) |
ドリームバスター4 宮部みゆき |
宮部みゆき 徳間書店 2007
STORY: 時間鉱山にマッキーを探しに行ったシェンは一人鉱山に残る。鉱山で出会った3人の日本人の一人を助けるため、探索することにするが・・・。
感想: シリーズ第4作。前作が章の途中で終わってしまったので、続きが気になっていたものの、すでに時間が経ったので、あらすじを忘れていた自分。でも、最初のところに登場人物の説明と、前の部分の説明が若干書いてあったので、何とかついていくことができた。よかった。
このストーリーを読んでいて、今までになく、『ブレイブ・ストーリー』を思い出してしまった。実は私はあれはかなり乗れなかったのだ。そして、この話も途中からその路線になっていて、やっぱりちょっと乗れない・・・というか、描写された内容が頭にパッと入ってこなくて、何度も戻って読み直して、意味を確認したりしなくてはならず・・・。
この人のファンタジー、それも変わった世界に行くというのは、わかりにくいのか、それとも私の想像力が欠如しているのか・・・。
内容はキライではないけれど、そういう部分でちょっともったいないかなーと思ったりするんだけれど。
さて、ここからネタバレあり。
後半でシェンのお母さんのローズが登場。この展開を見る限りだと、シェンがローズを捕まえるのは難しいような感じが・・・。
それとユキオがかわいそうだったなー。地球にもテーラにも行けず、死んでしまった魂はどこへ行くんだろう・・・。
東野圭吾 文春文庫 2006
STORY: 弟の学費を捻出したいあまりに強盗に入った先で、とっさに殺人を犯してしまい、刑務所に入ることになった兄・剛志。兄と2人きりで暮らしてきた弟・直貴の生活はその日から一変し・・・。
感想: 映画化もされた作品で、義母よりあらすじを聞いていた。あらすじを聞いていても面白く読み進めることができ、続きが気になった。でも、どうも最後に来て話が失速・・・という感じが個人的にちょっとしたのが残念。
刑務所からの手紙がタイトル通り重要な要素となる。弟は兄からの手紙により、兄が刑務所に入っているということを周りに知られ、進学も就職も自分の夢も結婚も・・・すべてがダメになる。そして、兄と縁を切ろうとする。
兄は弟と2人だけで生きてきており、何とかして弟を大学に行かせたかった。そこで強盗に入り、はずみで人を殺してしまい、刑務所に入れられてしまう。弟は自分のせいで兄が犯罪を犯したのだと負い目も感じるが、やはり自分だけでなく、自分の妻や娘にまで影響が及ぶのを見て、考えが変わって行く。
しかし、弟は被害者の気持ちは考えたことがなかったに等しい。自分たちが被害にあうことで初めてそこまで思いが至る。
色々なことを考えさせられる話だった。でも、最後の終わり方がどうも・・・。それと、途中で出てくる社長さん・・・。この人の言葉は含蓄があるような感じもしたんだけど、結局何が言いたいのかが私の頭ではよくわからなかった・・・。
そう、読者に判断を任せるという部分がすごく多くて、どうもそれが不完全燃焼みたいな印象を持たせてしまうんだろうなぁ。だから、読み終わっても、いい話だった、とか爽快感がということもなくて、えっ?これで終わり?みたいな感じになってしまうんだ・・・。
そういうところはちょっと残念だったのかな・・・。
↓映画版
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