2005年04月22日(金) |
ダーリンの頭ン中 小栗左多里&トニー・ラズロ |
小栗左多里&トニー・ラズロ メディアファクトリー 2005
あの『ダーリンは外国人』シリーズを書いた小栗左多里と夫のトニー・ラズロが二人で作った本。前作のノリを期待すると期待はずれ。基本的に語学について考えた本なので、漫画はある程度は面白いにしろ、そういう部分に興味がないとちょっとつらいような気がする。
語学に興味がないわけでない私も、そんなに面白いとは思わず、何となく最後まで惰性で読んだ感じ。やっぱり前のシリーズの路線の方が私としては面白いと思うので、またそっちの方を出してほしい。
★関連本 ・『ダーリンは外国人』 →その感想ページ ・『ダーリンは外国人(2)』 →その感想ページ
2005年04月21日(木) |
タイタニック(DVD)とタイタニック号99の謎 福知怜 |
タイタニック号99の謎―驚くべき真実! 福知怜 二見書房 1998
夫とともに『タイタニック』を見る。実は最初から見たことがなく、最初の部分を毎回見逃していたので、初めて最初から最後まで全部見たことになる。
この映画はローズとジャックの恋の物語に注目されることが多いと思うが、私としては、当時の階級社会とか女性の扱われ方のようなものを本当によく描いている文化的に面白い作品のような気がする。タイタニックというゴージャスな船の中に、一等客から三等客までが乗り込み、さらに船員や石炭をくべる火夫、レストランで働く人たち、楽団員などなど・・・あらゆる人々が乗っていた。
ローズと婚約者とのやり取りを見ていれば、当時の男性が女性に対してどういう振る舞いをすることを許されていたのかもわかるし、ローズの母親を見ていれば当時の女性が男性の庇護のもとで暮らし、それなしで暮らすことなど考えてもいなかったこともわかる。また成金を嫌う金持ちの人たちや、そういった人たちの暮らしぶりもよくわかる。
あとからプレスシートや本を読んでみると、当時の一等客が払っていたお金は500万以上もし、三等客は2〜3万円くらいだったというから、その差が歴然としている。これだけ金額が違えばあのような態度もうなずけるかも・・・とちょっと思った。
本を読んでみると、(この本は映画が公開されたあとに書かれているらしい)映画は必ずしも真実を描いていないようだ。特にキャルに賄賂を渡され、それをつき返したあとで、ピストルで乗客を傷つけ、自殺をしてしまった船員については、全くそういうことはなかったらしい。最後まで救出を続けたのちに別の理由で(多分氷山を見つけたという連絡に何の対策も採らなかったということ)自殺をしたらしいのだ。映画が公開されたあと遺族の抗議を受けて、20世紀FOX社が賠償金のようなものを払ったらしい。
何となく映画を見れば、タイタニックの中で行われていたことがすべて真実のように描かれているような気もしていたが、本を読んでみると、かなり様々なことが謎として残されたままになっているようだ。だから、映画の中で繰り広げられていたことは一部は事実だとは思うが、そうでない部分も結構あるのかもしれない。もちろん当たり前のことだけれど。
未曾有の大事故だったために、その責任などを逃れるために、様々な人の証言が食い違っているらしく、結局一体何が起こったのか、どうしてこんなに死者が出たのかということがすべて解明されず、うやむやになってしまった部分が多いのだそうだ。それは確かにうなずけるが、このような事故であるがゆえに、最後まできっちりと証言をしたりして、事実を追求してほしかったようにも思う。
映画を見ていて思ったけれど、やっぱりレオナルド・ディカプリオはかっこいい。目のアップがあるけれど、この目がすごくいいのだ。女性が夢中になったのもうなずけるかも・・・と思った。映画は映画でやはり楽しめる作品になっていると思うし、人間というものについても考えさせられる。
篠田節子 文春文庫 (1996)1999
STORY: 福祉事務所のケースワーカーたちが出会う様々なケースについて描く連作。
感想: 約10年前の作品ということになるが、今はもっと状況が変わっているのだろうか・・・とも思った。なかなかシビアな現実に、こんなことがあるんだなーと思いながら読んだ。あまり気分がよくなる話ではない。とりあえず最後まで読んだけれど、面白いというわけでもなかった。
★篠田節子のほかの作品 ・ハルモニア →その感想ページ ・カノン →その感想ページ ・百年の恋 →その感想ページ ・贋作師 →その感想ページ
2005年04月13日(水) |
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月 |
(多少ネタバレありかも・・・)
レディースデーに見た。あまりよい評判を聞かなかったのでどうなのかと思っていたけれど、私としてはかなり面白かった。前作を忘れているのもあるけれど、前作よりも面白い印象がした。でも、周りの声は前作の方が面白いという声のほうが圧倒的に多い・・・。
マークとの恋愛の日々を送るブリジットだけれど、恋する女の不安な心理をよく描いているなーと思った。何かをやっては嫌われるのではないかと思ったり、マークの同僚美人女性弁護士とマークの仲を疑ったりと。こういうのは微妙な年頃で恋愛関係にありながら結婚まで行かないときにはありがちな心理のような気もした。でも、確かにあまりにも疑心暗鬼になりすぎているという嫌いはあったかも。
結局自分で自分を悪い方へ悪い方へと追い込んでしまったブリジット。以前付き合っていた女ったらしダニエルと再び仕事をすることになって・・・。ダニエルは相変わらずのキャラクター。しかし、あそこまで行き過ぎるとどうなのか・・・とも思わなくもなかった・・・。ヒュー・グラントファンにはきついのかしら・・・。
今回、ドイツやタイなどの各国にも飛んだりしてなかなか面白かった。特にタイの刑務所のシーンは笑えた。タイ人の女たちは本当に男にひどい目にあわされているなーと思った。それなのに明るく前向き。ブリジットは自分がばかげていたことに気づく。
個人的に面白かったシーンはマークとダニエルが噴水で争うシーン。マークはこんな風になれるなら、もう少し感情を表情で表したりできるといいのにねと思った。ブリジットの前でもそういう姿を見せていたら、ブリジットもあんまり心配にならなかったんじゃないかなと。
個人的にブリジットのイギリス英語とイギリスの風景がやっぱり好きだった。なかなかイギリスの英語を聞く機会がないから、こういう映画を見るとうれしくなるのかもしれない。
★前作は『ブリジット・ジョーンズの日記』
2005年04月10日(日) |
サンキュー、ボーイズ(DVD) |
夫とともに何か見ようと思い、夫が選んだ数本の中からこの映画を選んでみた。
実際にあった話をもとにした作品だそうで、家族の愛というものが何かということを考えさせられた。15歳で望まぬ妊娠をし、望まぬ結婚をすることになったビバリーは自分の人生設計がめちゃくちゃになったと思いつつも、大学進学の夢や文才を生かしていくという夢をあきらめずに前向きに生きていく・・・と言えば、言葉がよすぎるような気もするが・・・。
多分当時は中絶などということが考えられない時代だったのだろう。今だったらきっと中絶して相手と結婚することもなかっただろう。15歳の母親はあまりにも未熟で、子供とともに成長していくような感じだ。夫は根っからのならず者でついには薬に手を出し、離婚。女手一つで子供を育てることになる。親になるとはどういうことか、というのを考える場面だった。
でも、どういう親でも親は親。そして、子供ができればそれなりに親らしくなっていくものなのかもしれないとも思わされた。
ビバリーも息子に大学進学の夢などを打ち砕かれてしまい、「お前のせいで計画がすべて台無しになった」というようなことを言う。ビバリー自身も15歳で妊娠するという不名誉なことで警察官の父の人生設計をめちゃくちゃにしている。でも、親というのは、たとえそうでも子供を愛するものなんだなーというのが何となくわかる作品だった。
前向きになれる映画というような話を色々聞いていたけれど、どちらかと言うと私にとっては愛とか家族などについて考えさせられる映画だった。
2005年04月08日(金) |
産んではいけない! 楠木ぽとす |
産んではいけない!―少子化なんてくそくらえ 楠木ぽとす 太田出版 2001
子供を産みたくない!と思っている人が読んだら、背中を押してくれること、間違いなしの本だった。
この本、たまたまブックオフに行ったときに文庫版のものを見つけて、読んでみたいと思ったのが発端だった。たまたま手にすることができたのは文庫版の前に出版されたと思われるこっちだったけれど。
子供を産むとどんなに大変なのかなどが面白おかしく書かれていて、段々子供を産むのが憂鬱な気分になってくる。否定的な気分になりたい人にとっては最高に後押ししてくれそうな本だ。
最近子供を持つ、産むということに肯定的になってきていた自分ですら、何となくやっぱり産まない方がいいのかもなーという気分になってきた。産みたいと強く願っている人は読まないほうがいい本だろう。
★文庫版はこちら
夫とともに短めの映画をということで、この映画を選んだ。『ピノキオ』は以前、世界名作アニメのような番組か何かでちょっと見たことがあるものの、子供の頃の記憶なので断片的にしか覚えていなかった。もちろん原作とディズニーバージョンのこの作品とではちょっと違うのだと思う。
ディズニーのアニメはあまり好きじゃないものもあるのだけれど、この映画は絵もすごく素敵な感じで、なかなかよかった。ゼペットじいさんの小屋の中の機械仕掛けの小物や、水の中のシーンなどなど、当時としてはすごく高度なアニメーションの技術だったのだろうと思った。鯨のシーンはすごく迫力満点。音楽とアニメの動きもすごく合っていて、本当に楽しい演出が多かったと思う。
最後の方では号泣モードに。ピノキオがいくら悪いことをしても、おじいさんはピノキオを愛し続ける。その愛情に胸を打たれてしまう。
見終わったあとも映画の中で使われていた歌などが頭の中をぐるぐる回って、すごく楽しい気分になる映画だった。
DVDには特典として子供向けゲームなども入っていて、子供の道徳教育にもふさわしいかも・・・なんて思ってしまった。
2005年04月06日(水) |
いま、会いにゆきます 市川拓司 |
小学館 2003
STORY: 妻を亡くし、一人息子と二人で生活を送る主人公のもとに、死んだはずの妻が生前の言葉通りに戻ってくるが・・・。
感想: 映画化もされ、ものすごく感動を呼んでいるとか、大人気だとか聞いていたので、とりあえず原作を読んでみたいと思ってようやく読むことができた。感動・・・というものはそんなになかった。泣ける話でもなかったと思う。ただ最後のところで、なるほどー、こういうことだったか・・・という物語のちょっとしたうまさみたいなのは感じることができた。
しかし、そこまで感動物だろうか? 最近死者がよみがえって一緒に一定期間を過ごしもう一度去っていくみたいな話がかなり多くないか? これもそれと似たようなものといえばそれまでというか。
この間、子供たちの中には「死者は生き返る」と思っているものがかなりの割合いるという話が新聞に載っていたが、もしかしてこういう本や映画、ドラマなどを読んだり見たりして、現実がよくわからなくなっているのだろうか?とも思う。
もちろん私もこうしたファンタジーみたいなものが嫌いなわけではないのだが、あまりにも似たような話が多いとちょっとどうなのかと思うのだ。
私がこの話で知りたいと思ったのは、あまりにも生きにくいハンディを抱えている主人公がどうなっていくのか・・・ということだけだったかもしれない。きっとこんな風になったら生きているのも大変だろう。それでも生きていくんだなーということと、ハンディを抱えていても何とかやれる範囲でやっていくことは可能なのだということ・・・そっちの方に関心がいった。
★映画版はいま、会いにゆきます
新潮文庫 (1998)2004
STORY: 大雨の日にタワーマンションで4人が殺されるという事件が起きる。その部屋に住んでいる一家全員が殺されたと思われたが、その部屋の実の持ち主は夜逃げをしていて無事だった。果たしてこの一家は誰なのか、そしてどうして全員が死亡したのか・・・。
感想: もともと朝日新聞の夕刊だったかに連載されていたものだと思う。宮部みゆきは好きだったので毎日読もうと思っていたのだが、最初の方の難解さに嫌になってやめてしまった。今考えても、やはり新聞連載の小説で毎日ちょっとずつ読んでいくやり方だとなかなかこうした作品は難しいような気もした。新聞連載ということもあってなのか、ルポライターが事件の内容をまとめている部分と普通に登場人物の視点から描かれる部分とがあった。最近こうしたルポ形式のものってはやっているのだろうか? 変わった趣向ではあるけれど。
内容は競売とそれを巡るトラブルや家族とは何かということを考えさせるようなものだった。昔読んだ『女たちのジハード』でも確か競売物件を安く手に入れるというのがあったと思うが、やはりこうした物件はなにやら危ないものを秘めているような気がする。元々競売に出されるということ自体が、何かに失敗したとか曰くありげな物件ということだし。こうした法律上のことなどもきちんとまとめられていた。
また一方では家族の愛とはどういうことかを問う作品でもあった。その典型が夜逃げをした一家と若くして未婚の母となった娘を抱える一家。父親となるはずの男が家庭を持つことを極度に恐れ、自分だけが大事で、一緒に暮らしていた人を殺すことさえいとわないとしたら・・・。
宮部みゆきの小説の中には時々こうした冷酷で人間とのつながりをほとんどもてないような人物が登場するけれど、この小説ではこの男がそうだった。
読むときは一気に読んだものの、何となく焦点がぼけているというか、読み終わってどうこういうような感動みたいなものはなかった。ただやっと解決したかというようなそんな後味だけが残ったような・・・。その意味であんまり面白いというわけでもないのかもしれない。
★その他の宮部みゆき作品 ・夢にも思わない →その感想ページ ・ドリームバスター →その感想ページ ・ドリームバスター2 →その感想ページ ・ブレイブ・ストーリー →その感想ページ ・淋しい狩人 →その感想ページ ・模倣犯 →その感想ページ ・R.P.G →その感想ページ
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