感想メモ

2003年12月28日(日) 音読暗誦教室  齋藤孝 さくらももこ


齋藤孝 さくらももこ 集英社 2003

 昔から授業などで取り上げられてきた名文の数々を暗誦しようという企画。ちびまる子ちゃんをキャラクターにし、解説の文章やさくらももこのちょっとした説明、4コマ漫画みたいなものがついている。

 本屋で立ち読みして面白そうと思って借りてきたこの本。確かに面白い。暗誦しようという名文は古典から最近のものまで色々ある。こちらを選んだのは多分齋藤孝さんだろう。

 ちびまる子ちゃんって、結構キャラクターが色々いてそれぞれに個性があるのね。ドラえもんを使った学習教材とかあったと思うけど、それと似たような感じのことができているわけだ。さらにドラえもんなんかよりキャラクターが多いし、特徴が色々だから使いやすいのかもしれない。ただ、私は特にちびまる子ファンでもないし、アニメの方も見ていないので実はそこまでキャラクターに詳しくはないのだけど。ファンの人が読んだらますます漫画とかつぶやきが面白いかもしれない。

 取り上げられた文章については自分も昔読んだなというものが多い。しかし、どうも習ったのと違う読み方のものがちらほらとあって、そっちがすごく気になってしまった。「論語」なんて、「子曰く」は「しいわく」と読んだものだったけど、この本では「しののたまわく」みたいな感じだ。その他にもちょっとずつ違うようなところがあり、うん?と思ってしまった。最近は読み方が変わったのだろうか。確かに昔習った読み方で今は教えていないとかあるし。地名とかも変わってるし。でも、古典の文章なのに変わること、あるのかな…。

 私は暗誦はもちろんしないのでこれだけで終わりだけど、懐かしい薫りがしたなー。古文とか、漢文とか…すごく懐かしいな。勉強好きな人は読んでみるときっと面白いと思う。もちろんそうでない人も漫画が面白いから読んでみるといいと思う。



2003年12月26日(金) ドリームバスター2  宮部みゆき


宮部みゆき 徳間書店 2003

STORY:
ドリームバスターのシェンとマエストロは顔のない風船人形のようなものがたくさんいる場に探査に出かける。彼女の夢の中で見たものとは…。

感想:
「ドリームバスター」の続編。

 主に2話に分かれていたのだけれど、1話目の方が今までと似たような感じの話で、もう1話は手紙形式でちょっと違った感じに描かれている。どっちかというと1話目の方が好きだったけれど、怖めの話としては2話目の方かもしれない。

 相変わらず面白い世界観と、宮部みゆきの考える倫理とは、政治の圧力とは…といったようなものが、エピソードの中にちりばめられているような気がした。弱者への視点とか、個人の葛藤や苦悩といったものも取り上げられていた。ただちょっと飽きてきたのも事実なのかもしれない。今後の展開次第といったところかな。

 あと17人くらい凶悪犯がいるらしいけれど、この話はその全員が出てくるまで終わらないということなのか、それとも気が向いたときにだけ書かれるということなのか、どっちなのだろう?



2003年12月20日(土) からくりからくさ  梨木香歩


梨木香歩 新潮文庫 2002

STORY:
染色の勉強をしている蓉子は祖母が亡くなったためその家で下宿人とともに暮らすことになる。マーガレット、紀久、与希子の3人とともに、質素な暮らしを始める。幼い頃から話し相手だった人形りかさんは祖母の死後、様子が変わってしまっている。蓉子はりかさんにまつわる謎に次第に迫っていくが…。

感想:
 何だかものすごく読むのに時間がかかってしまった。「りかさん」を読んだときもちょっと思ったけれど、やっぱり歴史とか機織とか色々な要素が詰まっていて、理解しながら読むのには時間がかかる。ゆっくりとしか読めない本というのがあると思うけど、これはその類の本だ。でも、図書館で借りているので、期限内に読まないとと思ったりすれば荒い読み方しかできないのかも。一度読みきれそうにないので返して、再び予約を入れてようやく借りたものの、やはり時間がかかった。

 つまり、時間がかかるというのは背景が難しくわかりにくいということでもある。特に同居している2人の日本人の子たちの特徴がいまいち飲み込めず、またその他出てくる男性陣も誰が誰だったっけ?などとちょっと思って前に戻ったり色々してしまった。私が読解力がないだけなのかもしれないのだけど。

 作品の最後の部分で盛り上がるところがありそこは面白かったのだけど、親戚とか血のつながりとかの部分で結局誰と誰がどういう関係なのかというのがあまりよく理解できなかったのが残念だった。でも、多分きちんと読む人にとってはわかるんだと思うけれど。

 こういう難しめの本はずっと読んでいなかったのもあって、頭がついていけない部分もあったのかもしれない。この本は結局延々と受け継がれていくものみたいなものを象徴していたのかなと思った。けど、ちょっと重ためだったので、もうこれでいいかななんて思ってしまった…。やはり私はこの人の本が無条件で好きであるというわけじゃないなと思った。



2003年12月09日(火) 本を読む女  林真理子

本を読む女
林真理子 新潮文庫 1990 

STORY:
和菓子屋の末っ子として生まれた万亀(まき)は優等生として親の期待、周囲の期待にこたえようと生きている。そんな万亀にとって読書は心の支えであった。やがて太平洋戦争へと突入し、万亀は時代の波に翻弄されていく。

感想:
 この作品は今NHKの月曜ドラマでやっている「夢見る葡萄」の原作である。ドラマの出来が大変素晴らしくて、ついつい見入ってしまっていて、原作を読んでみたくなった。万亀のモデルは林真理子の母親だそうだ。

 ドラマとは設定が異なっている部分がかなりあり、ドラマの方が面白くなるように仕立ててある部分や、小説よりもよい感じに描かれている部分もあると思った。やはりドラマと小説は別物であると思っていた方がいいかもしれない。どっちかというとドラマの方が今のところは明るい感じである。まだ最後まで見ていないうちに原作の最後まで読んでしまったのがちょっと残念である。最近はこのようにドラマに興味を持ってその原作本を読んでみようと思うことが結構多い。それはそれで楽しいのであるが、やはり本とドラマが全く同じであるということはほとんどありえない話だ。だから、先に原作を読んで気に入っている人がドラマを見るとどう思うのかわからない。逆にドラマを見た後で本を読むと世界が広がるということはある感じがする。

 万亀の生き方を読んでいると、やはり今からそう遠い昔ではない頃にはまだまだ女性は迫害されていたと思う。男性の言うなりになり、勉強をすることも必要ないと思われていた時代。つくづく自分は恵まれた時代に生まれたのだと思う。戦争とも一応今のところは無縁である。ただこのように太平洋戦争に否応なく巻き込まれていった万亀の人生を読んでいると、今、私が直面しているイラクへの自衛隊派遣の問題などとちょっと照らし合わせてしまう。私は戦争に反対なのは今も昔も変わらないし、自衛隊の派遣などとんでもないとは思っているが、自分がそう思っていても世の中は結局どんどん進んでいき、止めることができない状態になっている。今から数年後にどういう風になっているかわからない。昭和の始めの頃はまさか戦争で東京が焼け野原になるだなんて誰も思っていなかったことだろう。ほんの10年くらいの間にどんどん状況が変わっていったのだと思う。それでも人は生きていく。私にもそういう強さがあるだろうか…。



2003年12月06日(土) 盲導犬クイールの一生  


石黒謙吾 写真/秋元良平 文藝春秋 2001

 NHKで放映されていたドラマの原作といってもいいのかもしれない。ドラマの方は楽しく見ていたのだけれど、最後の方を見ることができずちょっと悲しかった。本はドラマとあらすじ的には一緒で、写真がいっぱいあって、ドラマを見ていた人にはなるほどー…と思うところも結構あったかと思う。ドラマの方があたりまえだけど色々なエピソードを盛り込んでいて、盲導犬についてわかりやすく、またドラマとしても見ごたえのあるものに仕上がっていたと思う。

 本の方はあまり分厚くもなく写真が多いので、結構あっという間に読めてしまう。盲導犬に興味のある人にはぜひ読んでもらいたい一冊かもしれない。



2003年12月02日(火) 夏のロケット  川端裕人


川端裕人 文藝春秋 1998

STORY:
高校時代にロケット作りに熱中していた新聞記者高野は、過激派のミサイル製作者が爆発により重症を負った事件を追ううちに高校時代の仲間たちと再会し、ついには昔の夢を実現させるべく彼らと行動をともにすることになるが…。

感想:
 この本は文庫版が出たときに書店で結構宣伝されていて、その宣伝文句が非常に面白そうな感じで読みたいなーと思っていた本だった。しかし、実際に読んでみると結構難しくてすんなりと読める本ではなかったのがちょっと残念だった。

 宇宙とかロケットとかそういうものが好きな人なら楽しめるかと思ったけれど、かなり科学的に解説が加えられていたりするので、その部分で乗っていけないと結構つらい。私は段々そういう説明部分は読み飛ばすようにしてしまい、ストーリーを追うような感じにしてしまった。多分、この科学的な部分がこの本のよいところなのだとは思うけれど、私のような文系の頭にはちょっとついていきがたいものがあった。

 それから、登場人物がとてもわかりにくい。仲間たちの描写がないわけではないのだけれど、最後まで誰が誰なのかちょっとわかりにくかった。特徴がなさすぎるわけでもないと思うし、やっぱり高野の視点で描かれすぎていて、その背景とかがどうも頭に入ってこなかったということだと思う。

 ミサイルとロケットは同じ原理で…とかそういう部分はなかなか面白かったのであるが、やはり話としてはちょっと難しく書きすぎている部分があったし、最後も最初のシーンとつながらないような気もしたりして、あまりよい作品であるとは思わなかった。



2003年12月01日(月) おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと  池川明


池川明 高橋和枝/絵 リヨン社 2002

 おなかの中にいたときの記憶を子供たちに聞いてまとめた本。

 たまたま図書館の返却されたばかりの本の中に入っていて、面白そうで借りてしまった。私は子供が生まれる前の記憶を持っていて…とかいう話は結構好きなのだ。子供たちはお母さんを選んで生まれてくるとかそういう類の話が大好きなので。

 この本はそういうことよりもおなかの中にいたときにどんな感じだったかとか、何を聞いたのか、見たのかなど、出産時の感じなどをまとめたものである。こういう記憶は3,4歳くらいまでで消えてしまうものなんだろう。だから、あまり話すことが得意でない、まだそのときの記憶がある頃には話すことができないのかも。もし子供ができたらおなかの中にいたときどうだった?とか聞いてみたいものである。


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