宿題

目次(最近)目次(一覧)pastnext

2007年02月28日(水) アイスクリーム・チャイルド/千葉千恵巳
となりのしろくまこわいから
ガムの紙にくるんじゃえ
天使をレンジでチンしたら
ももいろひよこができちゃった

ゆうことなんか聞かないよ
命令されると とけちゃうもん
とけちゃうもんね

大きい空をつかまえて
地面をずるずるひきずって
太陽バンッとはじけたら
ももいろひよことかくれんぼ

捕まってなんかあげないよ
鬼になったら とけちゃうもん
とけちゃうもんね

真っ赤な夕日攻めてきた
水鉄砲でたたかうぞ
ほっぺがどんどんふくらんで
ももいろひよこが大笑い

負けてなんかやらないよ
たいくつしてたら くさっちゃう
ゆうことなんかきかないよ
命令されると とけちゃうもん
とけちゃうもんね


★アイスクリーム・チャイルド/千葉千恵巳★

2007年02月27日(火) 可能性/シルチョフ・ムサボリスキー
あらゆる悲しみも原因を辿ればカップ1杯の紅茶が冷めてしまうことの、
あとはすべて応用と発展でしかないんじゃなかろうか。
世界はすっかり冷め続けるカップ1杯の紅茶のようなもので。
ミルクティーが冷めないように、僕は手をつなぐ。
そして手は指輪だけを手のひらに残して、消えてしまう。

毎日、自分の中でいちばんちいさな骨を折りながら
僕は自分をいつでも失うことが可能だと考えている。
熱を失った鳥はもう飛ばない。ちいさな墓守よ。
溜息のような落ち葉に埋もれた墓標の名は?


★可能性/シルチョフ・ムサボリスキー★

2007年02月26日(月) 愛のしるし/草野正宗
ヤワなハートがしびれる 
ここちよい針のシゲキ
理由もないのに輝く 
それだけが愛のしるし

いつか あなたには
すべて 打ち明けよう

少し強くなるために
壊れたボートで一人 
漕いで行く

夢の中でもわかる 
めくるめく夜の不思議

ただの想い出と 
風が囁いても

嬉し泣きの宝物
何でもありそうな国で 
ただひとつ

ヤワなハートがしびれる 
ここちよい針のシゲキ
理由もないのに輝く 
それだけが愛のしるし
それだけで愛のしるし


★愛のしるし/草野正宗★

2007年02月25日(日) 生きてるうちにしたいこと「打ち解けて話したい」/イッセー尾形
20代後半のころだったろうか、
「後はもうやがて来るだろう死を受け入れるだけだ」
とノートに書いたことがある。
きっと建設現場に通う毎日が嫌だったのだろう、と今なら分かる。
しょっちゅう親方から叱られていた。
だから、そのころの願いは人を怒鳴ったりしないで、
穏やかに将来を過ごすことだったのだろう。

ところが今だに、僕は荒っぽく不機嫌を振りまいているらしいのだ。
つい先日も「せめて今後は穏やかに仕事をしたいものです」
と長年の仕事仲間からのファクスで驚いた。
送信時間が深夜だから、思いあまって書いたのかもしれない。
自分が人の気分を害するようなことをしているのだろうか。
いつ自分はそんなことをしているのだろう。
怒鳴ったことすら覚えがない。

舞台の上で何百人もの人物を演じて、
その人物からは溢れ出る言葉を語っているというのに、
いざ自分本人のこととなると全くあらゆることがわからない。
平穏に日常を過ごしていると思っているのに、
周りの人間が不安定だと言うのだ。この行き違いは悲劇だろう。
誤解なら解きようもあるが、感じ方の問題だから、収拾のつけようがない。
たとえば「気を使う」という行為に代表されるように、
一方が遠慮すれば、他方もギコチなくなるようなものだ。
一旦、狂った歯車は悪い結果を生むのと似ている。

ドイツ人のある小説家と話したとき、この話題になった。
彼は「むかし盲目の友人に、よく本を読んでいた。
それはきっと彼の楽しみでもあっただろう、と思う。
私の楽しみでもあったから」と微笑んだ。

多分、現実に叶わないことをイメージで共有するのが
幸福だと言いたかったのだろう。

そうか、生きているうちに僕がしたくてすることは、
舞台で他人を演じることかな、と思う。
それ以外に何もないのが、貧しいかのように感じるけれど、
あきらめて、「打ち解けて楽しく談笑する」を切なる望みとしよう。


★生きてるうちにしたいこと「打ち解けて話したい」/イッセー尾形★

2007年02月24日(土) 1/2/川本真琴
あたしたちってどうして生まれたの
半分だよね
一人で考えてもみるけど
やっぱへたっぴなのさ


★1/2/川本真琴★

2007年02月23日(金) コンティニューvol.35/庵野秀明
「エヴァ」はくり返しの物語です。
主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。
わずかでも前に進もうとする、意思の話です。
曖昧な孤独に耐え他者に触れるのが怖くても一緒にいたいと思う、
覚悟の話です。


★コンティニューvol.35/庵野秀明★

2007年02月22日(木) Beautiful world/宇多田ヒカル
もしも願い一つだけ 
叶うなら
君の側で眠らせて 
どんな場所でもいいよ
Beautiful world
迷わず君だけを見つめている
Beautiful boy
自分の美しさまだ知らないの
It's only love
寝ても覚めても少年マンガ
夢見てばっか
自分が好きじゃないの
何が欲しいか 分からなくて
ただ欲しがって
ぬるい涙が頬を伝う
言いたいことなんか無い
ただもう一度会いたい
言いたいこと言えない
根性無しかもしれない
それでいいけど
もしも願い一つだけ
叶うなら
君の側で眠らせて
どんな場所でもいいよ
Beautiful world
迷わず君だけを見つめている
Beautiful boy
自分の美しさまだ知らないの
It's only love
どんなことでも やってみて
損をしたって
少し経験値上がる
新聞なんかいらない
肝心なことが載ってない
最近調子どうだい?
元気にしてるなら
別にいいけど
僕の世界消えるまで
会えるなら
君の側で眠らせて
どんな場所でも結構
Beautiful world
儚く過ぎて行く日々の中で
Beautiful boy
気分のムラは仕方ないね
もしも願い一つだけ
叶うなら
君の側で眠らせて


★Beautiful world/宇多田ヒカル★

2007年02月21日(水) 西野公論(2007-5-14)/西野亮廣
「呑みに行こう」とタモリさんからの電話。
よなよなエールが置いてある気の利いた店で合流。
変態たるもの談義も一段落して、「絵本はどうだ?」とタモリさん。
そんな話になるのは百も承知で、カバンの中には制作中のものを入れてきた。
絵本を観て「楽しいねぇ〜」とニヤニヤ笑うタモリさんに手ごたえを感じ、
僕は少し本音を漏らす。
「去年の頭から始めて、まだこんなもんです」
「いいんじゃない?ゆっくりやれば?」
「いや、フラストレーションは溜まります」
ゴールテープがなかなか切れない事に対する苛立ちがあった。

それから少し呑んで、
「厚揚げの旨い店があるから、移動しよう」とタモリさん。
タクシーに乗り込み、しばらく走り、厚揚げの旨い店へ。
たいした看板も出していないその店、店主の本業は画家。
営業は店主の趣味だとか。
もちろん客は一人もいない。
店の真ん中には大きなプロジェクター。
「カウントベイシーの観せてよ」というタモリさんに
「お、珍しいねぇ」とDVDの山を漁る店主。
会話の意味がまったくわからない。

店主ともども焼酎を呑みながら、DVD鑑賞会。
画面に映ったのはジャズのライブ。
どうやらピアノを弾いているのがカウントベイシー、人の名前か。
アメリカで国際的名声を得た人物らしいが、
演奏を見る限りピアノもほとんど弾いていない。
「コレがいいんだよ〜」と酔っ払い親父が二人。
バンド全体が鳴らす音は音楽音痴の僕にでも凄みを感じれたのだが、
カウントベイシー本人の良さがあまりわかっていない僕。
酔っ払い親父から説明をいただく。

皆を生かす為に自分は後ろに引くんだとさ。
小室哲哉サンみたいなところかな・・音楽音痴でゴメンなさい。
一時間ほどでDVDが終わり、「俺の友達がさぁ〜」とタモリさんが口をひらく。

タモリさんのお友達にカウントベイシーの大ファンがいて、
好きが高じて「ベイシー」という呑み屋を作ったのだとか。
店にはベイシーの音楽が流れ、壁にはベイシーのポスター。
ど田舎に、さらに趣味に寄せて作ったもんだから、繁盛とは無縁の営業。
それでも20歳の頃から続け、ほそぼそとした30年の月日が流れた。
常連で固められたそのお店、おかしな時間に扉が開くとそれは一見の客。
その日、おかしな時間に店の扉が開いた。
そこで入ってきた一見さんは、カウントベイシーその人。
日本の、しかもど田舎にだ。
想い続けて30年、その人はゴールテープを切ったわけだ。

「こういう事があったんだよ」と話を締めたタモリさん。
ハッとした。
そういえば厚揚げも頼んでいない。
あまり多く言わない人だから・・しかしまぁ、そういうことだ。
数時間前、「去年の頭から始めて、まだこんなもんです」と言った僕に、
30年以上かかってゴールテープを切った人の話。
店を変えたのも、DVDを観せたのも、この話に繋がっていたわけだ。

最近つくづく人に支えられているなぁと思う。
感謝、感謝です。
そんな僕はよけい期待に応えたいと思うわけで・・
簡単な言葉だが「頑張ろう」と思った。

「厚揚げ食うか?」とタモリさん。
一人前だけ注文して、二人で食べた。
メッチャうまかった。


★西野公論/西野亮廣★

2007年02月20日(火) トラジコメディ/鈴木慶一
雨にふられて ぼくが泣いているよ
旅行先のホテル 君おいて出て
ポツンと

悲しい話で ぼくが笑っているよ
がけのこっちにすわり 海を見つめて
ポツンと

ここでもし一生終えて
何かひとつ残すなら
くつひもだ
何の意味もないもので
数字の8を書き
横に並べておいてく

風に吹かれて 永遠がとんでく
雨がやんで空に 虹を見つけて

だめだよ ぬれたくつを持って
今来た道に もどるだめなぼく

部屋に帰って 煙草ふかしてる
君に火をかりたら 好きだと言うよ
ポツンと

悲しい話だ ぼくがほほえむよ
雨がやんで空に 虹を見つけた

だめだよ ぬれた服を脱いで
今君のむねに もどるだめなぼく
だめだよ ぬれた体ふいて
今君の上で ねむるだめなぼく


★トラジコメディ/鈴木慶一★

2007年02月19日(月) はやとちり/宇多田ヒカル
そろそろ部屋から出ておいで
いつまでたっても消えないから 事実
つまずく姿を見られた時の様に
フォロ−すればいいのかな

だいたい君もずるいじゃないかい
お世辞じゃないよ
会いたい
また私のはやとちり

思わせぶりでは好かれてしまうよ?
嘘吐きなだけでは嫌われちゃうよ?

カラカラになった太陽は
毎日雨を望んでいるのかも
そう考えれば降られた気分だって
悪くないんじゃないかな

「勝てないような気がした
オマエはいつも強いし
泣かない」
それは君の勘違い

事態を理解してしまった時に
理想主義の理論なんてうるさい

貴めないで
間違った速度で走ってたんじゃない
ただ今回はさ
ちょっと歩幅が合わなかっただけ

夢から覚めた後また眠りたいよ
現実主義者には分からないだろう

隨分話が違うじゃないかい
今すぐ厭なら明日にバイバイ
That's the way it is
いつまで待っても損なだけなら
出直してくるよ 今はバイバイ
That's the way it is


★はやとちり/宇多田ヒカル★

2007年02月18日(日) One Night Magic/宇多田ヒカル
あげたい、君の知らないCD一枚


★One Night Magic/宇多田ヒカル★

2007年02月17日(土) happly ever after/中川翔子
幸せはいつだって失って初めて
幸せと気付く小さな不幸
今だってきっとまだ間に合うはずだから
願いはたったひとつ

呼吸と同じ数だけ泣いたその後に
待ち受けてたのはこの先永遠に続く
君なしの世界

100年経っても癒えない傷と云えない言葉
それだけを道標にして
僕らは今でもここで生きている


★happly ever after/中川翔子★

2007年02月16日(金) 元気でやってるのかい?/イルリメ
やあやあ
行くぞ
迷っていた体を
かかとが持ち上げて
走って向かって近づいていけば
あっちゅうま
体験がしたくて
神経がみなぎる
そわそわしてみぶるいしてきた
だんだんとリズムを刻んで 一体感
そうそうないむきだしのきみの
ダンスがはじまったら
思わず笑っちゃうなあ
あいつもこいつも
そいつもどいつも
踊れ
おかしな格好でも
リズム感が無くても
女にもてなくても
男にもてなくても
どうでもいいって面倒くさい事
一旦忘れて大丈夫
お祭り

楽しかったこのひと時も
今から過去へと流れゆく
やるせなくなったら思い出せ
そうだ!
忘れかけていた記憶の中で
あの時流れていたメロディーを!
うたに込めた思い出一つ胸の中で弾けろ

元気でやってるのかい?
一体どうしてるんだい?
調子はどうなんだよ?
そちらの
天気は晴れてるのかい?
うまいことやっているのかい?
うまいもん食ってるのかい?
睡眠時間は?
生活出来ているのかい?
お風呂入ってるのかい?
野菜は足りてるのかい?
仕事は順調?
どっかへ遊びに行った?
ストレス発散出来てる?
大丈夫?

そうか
まあなんだ
なんちゅうか
あんまりな
無理すんな
案外、くさるから心配なんだ

うたに込めた思い出一つ胸の中で弾けろ


★元気でやってるのかい?/イルリメ★

2007年02月15日(木) 新作「スカイ・クロラ」について/押井守
「あるプロデューサーからアニメ化してはと原作を薦められ、
いい本だと思った。
でも僕はこのところ、オジサンとオバサンが出る映画ばかりを
半ば意地になって作ってきたので、若い人の話はできない、と一度は断った」

「別れて暮らしてきた娘と二十何年ぶりかで再会し、
身近な存在として若い人と向き合うことになったから」
「その娘も結婚し、ガブ(愛犬)が死に、自分の人生がひと巡りした気分。
この作品で、僕も生き直したい」

「人生の可能性を留保したくて何も踏み出さなければ、傷つくことはない。
でも自分の経験から言えば、不幸になるのも人生の醍醐味。
その覚悟と意志があれば、人生は情熱の対象になる」

「恋愛は、反社会的で身を滅ぼすもの。肉体がきしむような愛を描きたい。
だから、僕らしからぬ濡れ場も入れました」

「ポニョも、宮さんの転機という気がする。縁があるんだと思う。
僕の今度の作品には空中戦がありますが、
はっきり言って(飛行機好きの)宮さんよりうまい自信がある」


★新作「スカイ・クロラ」について/押井守★

2007年02月14日(水) 花森安治の仕事/酒井寛
暮しの手帖の編集会議で、花森がなにかのことで怒りだし、
激して、「ペンと剣」にふれてゆくところが、録音テープに残されている。
録音の日時は、わからない。
以下、その部分を再現する。
花森は、ときに、どなるようにしゃべっている。

「…もうちょっと、文章を上手になれということだ。
ジャーナリストは、言葉を軽視しておったんでは仕事にならんぞ。
自衛隊はどんどん訓練しとるわ。
武器の使い方から、人間の動かし方から。
われわれは、なにを訓練しておるんだ。
われわれの武器は、文字だよ、言葉だよ、文章だよ。
それについて、われわれはどれだけ訓練しているか。
それで言葉はむなしい、文章は力のまえによわい、なんて平気で言うんだ。
ぼくは、そう思わんよ。
ぼくはやはり、ペンは剣に勝つと思うんだ。
思っているだけじゃ、だめだ。
剣が訓練している何倍も、ペンもトレーニングしなくちゃ、だめなんだ。
世間がぜんぶ、もはやペンは無力であると言っても、
ぼくはジャーナリストだから、それを信じないんだ。
一生かかって剣に勝つことができなくても、ぼくはやはり、
剣よりペンを信じるんだ。
信じない人間が、どうして勝つことができるか。
信じていたって、トレーニングしたって、勝つかどうかはわからん。
しかし、われわれは、信じるほかに道はないんだ。
あまっちょろい、きざな文章を書いていて、それで世の中が動くと思うのか。
相手の肺腑をえぐるということは、ピストルにはできんぞ。
言葉はそれができると、ぼくは思う。
その力を諸君が信じなければ、この仕事も無意味だ。
武力は、青春を投入し、欲望も投入し、それひとすじでやっている。
おもしろおかしく世の中を渡って、しかも剣より強いペンを
作ることができると思うのか。…」

(それでは編集会議に入る、という言葉でテープは終わっている)


★花森安治の仕事/酒井寛★

2007年02月12日(月) 気球と通信/ムーンライダーズ
ボクヲヒトリニシナイデホシイ

晴れた空から ガラスの気球
光を浴びて はかなく こわれた
何度も”通信”していたらしい
僕は知らなかった

コレカライツモキニシテイルヨ
公園の池に ガラスの小船
水に巻かれて 沈んで消えた
何度も”通信”していたらしい
僕は少しも気付かずにいた

いつもの道で 僕の恋人
蒼ざめた声で さよならと言った
何度も”通信”していたらしい
僕は知らなかった

コレカライツモキニシテイルヨ
ボクヲヒトリニシナイデホシイ


★気球と通信/ムーンライダーズ★

2007年02月11日(日) 悪童日記(6月2日)/水道橋博士
松本さんは、最近のインタビューでも、しきりと、
6年前のフジテレビの「ごっつ特番」が、
視聴率9%に終わったことを口にする。
あの番組が、テレビコントの作品性として、
一種の到達点とも思える出来であったのは間違いないだろう。
その賞賛がありながら、
逆に言えば、91%の"大方日本人"に、
無視されたことの恨みを、忘れないのだろう。

俺が出演した『すべらない話』の打ち上げの時、
もう大方、撮了した段階で、松本さんに対し、

俺は、 10年前の『ビジュアルバム』で、
既に世界でも通用する映像作家であることは、 証明済みであること、
映画の才能とは作品の点ではなく作品群の線であることを、伝えると、
「でも今回の映画が、それでも、無視されたらどうする?」と問い掛け、
二人同時に「次に撮ればいいんですよ」
「次を撮ればいいんやな」と同時に答えた。

きっと、この時の思いは、どんなに映画が上出来でも、
91%の"大方日本人"に、無視されることがわかっていたからだ。

確実に映画は当るだろう。
しかし、それだけ多くの人が見れば、
公開後の評価は、"否"の大合唱も大きくなるだろう。

カンヌで、殿は松本さんに、
「3本くらいは、めちゃめちゃ叩かれる。
 そんなことは気にするな。そして映画を撮り続けることが大事。
 最低5本は撮ってくれ!」(週刊プレイボーイ誌より)
とアドバイスしたという。

きっと、松本監督は、確信を持って、次回作へと進むだろう。
選ばれた才能を持つ人の永久運動が始まる。
映画は、本来、宿命的に選ばれた才能が生み出すタモマノだ。
その『監督(誕生)バンザイ』を俺は思うのだ。


★悪童日記(6月2日)/水道橋博士★

2007年02月10日(土) 富士日記2(6月6日)/宮沢章夫
ジョン・ケージのこと、ノイズミュージックのこと(特にメルツバウについて)、
そして『エリエリ・レマ・サバクタニ』について考えていたら
「実験音楽」や「ノイズミュージック」がなにか愛おしくなってきた。
ジョン・ケージがでたらめだしさ。
メルツバウの映像をYouTubeで見ていたら面白くてしょうがない。
メルツバウの中心にいる秋田昌美さんは僕と同じ年齢だが、
まだそれをやるかと思うと、感服するっていうか、勇気づけられる。


★富士日記2(6月6日)/宮沢章夫★

2007年02月09日(金) この門をくぐるものは一切の高望みを捨てよ/森見登美彦
登美彦氏が暮らしていた四畳半王国(=学生時代)においては、
時間と才能の空費は輝かしき勲章であった。
人間としての大きさが「無駄なこと」に注いだ時間と
才能の多寡ではかられる世界、いかに手のこんだ方法で
時間を棒に振ってみせるかで人の値打ちが決まる世界、
世間一般と真逆の価値観が支配する世界、
どう考えても根本的に間違っているとしか思われない世界、
というものが確かに存在する。
そこは偉大なる馬鹿王が君臨する地であり、
阿呆神へ捧げる祝詞の声は決してやむことがなく、
腕におぼえのある選りすぐりの学生たちが、
日夜、非のうちどころのないフォームで時間を棒に振り続ける。
「なんだか面白そうでいいなあ」と言う人がいるかもしれない。
その人は何も分かっていない。


★この門をくぐるものは一切の高望みを捨てよ/森見登美彦★

2007年02月08日(木) 眼の哲学/青山二郎
私は小説を書いてみようと思って、しきりに勉強しています。
見えるもの、見えるような姿を外に現わしたものの外は信じられない。
信じたものは形が見える所まで、文章の力で表現出来ないはずはないと思った。
例えば陶器を語るなら、その美と同じ高度な言葉が陶器を眺める様に、
活字の表テに眺められるはずです
(美は人を沈黙させると言いますが、それは感動が人を沈黙させるので)
美は、知らなければ知ることを強要される。
詰り、そういう美を捕えて、言葉を発見することが知るという事であります。
人間は若しかすると一つの波紋を描きながら、その波に乗って、
自分の描いた波紋の上をだれも泳いで逝く様に見えます。
精神自体の性質も恐らくそんなものらしいのだが、
まして実生活になると蛇は蛇のようにしか歩かない。
ここでは親の心配も身に着けた教養も、
見渡したところ、生まれながらのものを殺す助けにしかなりません。


★眼の哲学/青山二郎★

2007年02月07日(水) 眼の哲学/青山二郎
良いとこと悪いとこと、この位はっきり兼ね備えていて、
誰にも見抜かれ乍ら愛され、
軽蔑され乍親しまれている幸福人も珍しい。


★眼の哲学/青山二郎★

2007年02月06日(火) 眼の哲学/青山二郎
お前の様に金を使えば誰だって集まって来るさ、
と私は兄貴に冷やかされた。
そう言うことが抜け目なく分かる兄貴は(つい二三年前に死んだが)
生涯たった一人の親友もできなかった。


★眼の哲学/青山二郎★

2007年02月05日(月) 眼の哲学/青山二郎
陶器なんかでも、独りで弄ってコッソリ楽しんでいる
孤独な鑑賞家がいるものだが、一つ間違うと酷いものである。
人と折り合えないのは自分が折り合わないからで、
折り合う方法なんかいくらでもあるのだが、
折り合えなければ、折り合わないのが正しい様に考えるのが
悪い癖である。
だが今だに、この癖が完全に治った人間を見たことがない。


★眼の哲学/青山二郎★

2007年02月04日(日) 眼の哲学/青山二郎
散々遊んで来て、金に不自由したことのない、
恁した人間の道楽なんて他愛ないものである。
それに引き換え、その他愛なさが彼女達を幸福にしているのであった。
一つのグループには、忽ち一つの共通した感情が約束される。
例えば怒る時も共通、喜ぶ理由にも過不足があってはならない様に見える。
嫉妬に加担し、浮気の共犯者になる。
何処から見ても、形からはみ出す不便というものがない、そして自由である。
泣くことで、彼等は悲しくなるのだ。
所作や動作で、感情を表現出来ない思想なんか一つも無い。
それ以上のことは生意気に考えるものではない、
そういう躾が板に附いているのであった。
口を開けば、口から出て行く決まり切った言葉に従って…
取り敢えず喋っている中に、それを頭と心が納得して行く。


★眼の哲学/青山二郎★

2007年02月03日(土) ロマンティックあげるよ/吉田健美
おいでファンタジー 好きさミステリー
君の若さ隠さないで
不思議したくて 冒険したくて
誰もみんなウズウズしてる
大人のフリしてあきらめちゃ
奇跡の謎など 解けないよ
もっとワイルドに もっとたくましく 
生きてごらん

ロマンティックあげるよ
ホントの勇気みせてくれたら
ロマンティックあげるよ
トキメク胸に キラキラ光った 夢をあげるよ

いつかワンダフル きっとビューティフル
人のジャングル迷い込んで
スリルしたくて 幸せしたくて
何故かみんなソワソワしてる
思ったとおりに叫ばなきゃ
願いは空まで 届かない
もっとセクシーに もっと美しく
生きてごらん

ロマンティックあげるよ
ホントの涙みせてくれたら
ロマンティックあげるよ
淋しい心 やさしく包んで
愛をあげるよ


★ロマンティックあげるよ/吉田健美★

2007年02月02日(金) 男たちの挽歌/桑田佳祐
誰もが みんな目一杯で
何故 涙が出ちゃうの?

どうせ生まれてきたなら
阿呆らしいのもアリだぜ
ここで一発キメたら
幸せってヤツさ


★男たちの挽歌/桑田佳祐★

2007年02月01日(木) 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX/櫻井圭記
「どうだった」

「確かに良い映画と言えなくもないわね。
でもどんな娯楽も基本的には一過性のものだし、またそうあるべきだわ。
始まりも終わりもなく、ただ観客を魅了したまま手放そうとしない映画なんて
それがどんなに素晴らしいと思えたとしても、害にしかならない」

「ほう、手厳しいな。
我々観客には、戻るべき現実があるとでも言いたいのかね」

「そうよ」

「ここの観客の中には、現実に戻った途端に不幸が待ち受けている者もいる。
そういう連中の夢を取り上げ、あんたは責任を負えるのかね」

「負えないわ。でも夢は現実の中で戦ってこそ意味がある。
他人の夢を自分に投影しているだけでは、死んだも同然だ」

「リアリストだな」

「現実逃避をロマンチストと言うならね」

「強い娘よのう。
いつかあんたの信じる現実が作れたら呼んでくれ。
その時わし等はこの映画館を出て行こう」


★攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX/櫻井圭記★

マリ |MAIL






















My追加