(タモリさんは、ご自分のジャズのお店を、繁盛させたいと思っているのでしょうか?)
タモリ これ、ほとんどのかたが知らないと思うんですけど、大学のジャズ研のOBで会社を作って、新宿でライブハウスの『J』っていうのをやってんですけどね。厚生年金の隣の地下ですけど、赤字なんです。
山下 毎日ライブしてるんだから。
タモリ 毎日ライブやって……。出演者には、なんとか払ってるんですけどね。
山下 見たらすごいですよ。バンドは毎日入って、もちろん歌手さんもたくさん入って……。
タモリ ところが、ミュージシャンたちは、ジャズ特有ですから、自分の言いたいことだけを、やっぱり言っちゃう……。それから、ジャズ特有のこむずかしい顔をしてる人もいるんです。たのしい音楽なのに、しかめっ面すると……。
(それは、ジャズだけじゃなくて他のジャンルでもいえると思うけど……お客さんが少なくなると、デフレスパイラルみたいなものに入るから)
タモリ (笑)そうそう!
(みんながこむずかしくなって、根性のあるやつだけが翌日も来るみたいな)
タモリ (笑)
(それでますます、一般の人たちは、業界に入りにくくなるんですよね……じゃあ、ちょっと今日のお客さんが、無邪気なふりをして、そこにいけばいいのかもしれないね)
タモリ ええ、それがいいと思います。お店を経営してる私の先輩はベースなんですけど、店を経営するにあたって、長年断念してたベースをまた練習して、プロとしてやってんですけど、このかたは、お客さんの少なさをなんとか打開しようと思って、長年封印していた、モノマネをやるんですよね。
山下 (笑)はっはっは!
タモリ 3曲ぐらいやると、モノマネが入る。しかもかなり放送禁止的なモノマネですけど。それでまたジャズの演奏に戻ったりして……。
(店が、試行錯誤で、のたうちまわってますね)
タモリ ええ。それでその人は、さる大手の会社の、かなり上の方の人なんです。業界で評判を聞いたら、「えっ!」っていうぐらいのきびしいまじめな人なんですけど、たまたまそこの部下が来たらしいんです。そしたら、モノマネがはじまったんです。しかも、下ネタのモノマネが……。
★はじめてのジャズ24回/タモリ×山下洋輔★
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